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更新日:令和7(2025)年8月6日

ページ番号:4643

千葉県感染症情報センター

千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。

週報月報新型コロナウイルス感染症麻しん百日咳梅毒腸管出血性大腸菌感染症インフルエンザ感染性胃腸炎風しん急性呼吸器感染症(ARI)報告様式/リンク

週報

 2025年第31週(2025年7月28日から2025年8月3日)(2025年7月分月報を含む)(PDF:1,073.8KB)

2025年7月28日から2025年8月3日までの期間(2025年第31週)(2025年7月分月報を含む)の千葉県結核・感染症週報を掲載しています。

※過去の注目疾患:2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年2025年

※過去の週報:2012年から2016年週報2017年週報2018年週報2019年週報2020年週報2021年週報2022年週報

       2023年週報2024年週報2025年週報

今週の注目疾患

腸管出血性大腸菌感染症

 2025年第31週に県内医療機関から10例の届出があり、累計は、過去5年間の同週時点と比較し最も多い97例となった(図1)。一般的に気温が高い初夏から初秋は腸管出血性大腸菌の多発期にあたる1)ことから、引き続き注意が必要である。

2020年から2025年第31週までの千葉県の腸管出血性大腸菌感染症年別累計届出数のグラフ

2025年の千葉県の腸管出血性大腸菌感染症の診断週別類型別の届出数のグラフ

 2025年に届出のあった97例の概要は以下のとおり。 
 性別では女性52例(54%)、男性45例(46%)であった。年代別では、20代が36例(37%)で最も多く、次いで10代と40代が各13例(各13%)、30代と50代が各9例(各9%)であった。症状の有無別では、患者(有症者)が43例(44%)、無症状病原体保有者が54例(56%)であった。なお、第27週以降では、患者の割合が66%と高くなっていた(図2)。患者43例に発現した主な症状(発生届の記載による、複数記載あり)は、腹痛が35例(81%)で最も多く、次いで水様性下痢が33例(77%)、血便が26例(60%)と続いた。血清群毒素型別では、腸管出血性大腸菌が分離された97例中、O157VT1VT2が22例(23%)で最も多く、次いでO157VT2が16例(16%)であった。VT2陽性株(VT2単独またはVT1VT2)は59例(61%)であった(表)。
 
表:2025年の千葉県の腸管出血性大腸菌感染症血清群毒素型別届出数(31週時点)
O血清群 VT1VT2 VT1 VT2 不明 総計
157 22 1 16 3 42
103 0 9 0 2 11
26 0 4 1 0 5
8 0 1 3 0 4
91 3 1 0 0 4
111 1 1 0 0 2
166 0 0 0 2 2
15 0 0 0 1 1
128 0 0 1 0 1
86a 0 1 0 0 1
不明 6 10 6 2 24
総計 32 28 27 10 97

 

 腸管出血性大腸菌感染症の原因菌はベロ毒素を産生する大腸菌である。腸管出血性大腸菌は家畜等の腸管内に生息しており、感染経路は糞便に汚染された食品や手指などを介した経口感染である。少ない菌数(100個程度)で感染が成立するため、人から人への経路、または人から食材・食品への経路で感染が拡大しやすい1-4)

 症状は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで様々である。多くの場合、3日間から5日間の潜伏期を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様便の後に血便となる。血便の初期には血液の混入は少量であるが、次第に増加し、典型例では便成分の少ない血液そのものという状態になる。有症者の6%から7%において、下痢などの初発症状発現の数日から2週間以内に溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を伴う溶血性尿毒症症候群(HUS)または脳症などの重篤な合併症が発生する。HUSを発症した患者の致死率は1%から5%とされている3,5)

 


 少量の菌数で感染が成立するので、特に乳幼児や高齢者が集団生活を行う場合や家庭内などでは周囲の人への感染予防が重要です6)

 予防の方法として、食品を介した経口感染(食べ物から人への感染)に対しては、以下のことに注意しましょう4)。 

  • 食肉や未加熱の食肉調理品(メンチカツやハンバーグなど、挽肉を使用した製品)は、中心部までよく加熱する(中心部が75℃1分間以上の加熱)
  • 生肉を触った後の手指や調理器具はよく洗浄して消毒する
  • まな板等の調理器具は用途別に使い分ける
  • 生肉を取り分ける箸(トング)と焼きあがった肉を取り分けたり食べたりする箸(トング)を使い分ける
  • 生肉等を冷蔵庫で保管する時は、ビニール袋や蓋付き容器に入れ、肉汁で他の食品を汚染させない
  • 加熱せずに食べる野菜や果物は十分に洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌する

 また、手指を介した経口感染(人から人、動物から人への感染)に対しては、以下のような際には、必ず石けんと流水でよく手を洗いましょう5,6)

  • 排便後
  • 食事の前
  • 下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をした後
  • 牧場などで動物や柵、砂・土等に触れた後

■参考・引用

1)厚生労働省:腸管出血性大腸菌Q&A外部サイトへのリンク

2)国立健康危機管理研究機構:腸管出血性大腸菌感染症 2025年3月現在外部サイトへのリンク

3)国立健康危機管理研究機構:腸管出血性大腸菌感染症(詳細版)外部サイトへのリンク

4)千葉県健康福祉部衛生指導課:腸管出血性大腸菌について

5)千葉県健康福祉部疾病対策課:O157等腸管出血性大腸菌感染症に注意しましょう

6)厚生労働省:一次、二次医療機関のための腸管出血性大腸菌(O157等)感染症治療の手引き(改訂版)外部サイトへのリンク

Topics

夏休みに海外へ渡航される皆様へ

海外においては、国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性があります。海外へ渡航する際には、事前に渡航先における感染症の流行状況、現地滞在中の注意点、海外渡航に際し推奨されている予防接種をご確認ください。

また、感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、渡航中や帰国直後に症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は、医療機関に事前に電話連絡して海外渡航歴があることを伝えた上で受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴等についてお伝えください1,2)

 

参考・引用

1)厚生労働省:海外へ渡航される皆様へ外部サイトへのリンク

2)厚生労働省検疫所FORTH:海外へ渡航される皆さまへ!外部サイトへのリンク

疾患別・保健所別5週グラフ

RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、急性呼吸器感染症(ARI)、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎の5週間分の保健所別の定点当たり報告数のグラフを掲載しています。

月報

2025年7月の千葉県結核・感染症月報(2025年第27週週報)を掲載しています。

新型コロナウイルス感染症

《発生状況について》

2025年31週の県全体の定点当たり報告数は、前週(5.91)から増加して、8.27となった。

2025年31週までの県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況について掲載しています。過去の発生状況については以下に掲載しています。

《新型コロナウイルス変異状況について》

県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)等から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。

その状況についてお知らせします。

麻しん情報

千葉県では、2025年31週に1例の届出があり、累計は18例となった。

2025年31週までの県内の麻しんの発生状況について掲載しています。

【国内の状況】

国立健康危機管理研究機構のまとめによると、2025年は第30週に1例の届出があり、累計191例となりました。近隣都県では、これまでに神奈川県で39例、東京都で25例、茨城県で22例、埼玉県で9例の届出がありました1)

国内外での報告増加を受け、厚生労働省は令和7年3月19日付けで注意喚起をしています2)

1)国立健康危機管理研究機構:麻疹 発生動向調査外部サイトへのリンク

2)厚生労働省:麻しんの国内外での報告増加に伴う注意喚起について(協力依頼) (PDF:190.4KB)

 

【千葉県の過去の状況】

国内で麻しん(はしか)の感染事例が報告されています。麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をご検討ください。

また、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることを事前にかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してください。医療機関へ移動される際は周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は可能な限り避けてください。詳細については、下記ホームページをご参照ください。

百日咳が増加しています!

千葉県では2025年31週に165例届出があり、累計は2,414例となった。

 県内の百日咳発生状況について掲載しています。

梅毒情報

千葉県では2025年31週に8例届出があり、累計は260例となった。

県内の梅毒発生状況について掲載しています。2021年から2024年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

腸管出血性大腸菌感染症情報

千葉県では2025年31週に10例の届出があり、累計は97例となった。

2025年31週までの県内の腸管出血性大腸菌感染症発生状況について掲載しています。2010年から2024年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

インフルエンザ情報

2025年31週の県全体の定点当たり報告数は、前週(0.38)から減少して、0.34となった。

2024/25シーズンの県内のインフルエンザ発生状況について掲載しています。2015/16シーズンから2023/24シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

※県内の迅速診断の結果がとりまとめられています。

感染性胃腸炎情報

2025年31週の県全体の定点当たり報告数は、前週(3.42)から増加して、4.27となった。

2024/25シーズンの県内の感染性胃腸炎の発生状況について掲載しています。2016/17シーズンから2023/24シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

風しん情報

千葉県では、2025年31週に届出はなく、累計は0例であった。

県内の風しんの発生状況について掲載しています。2008年から2024年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

急性呼吸器感染症(ARI)定点から保健所への報告様式

報告様式・集計様式(エクセル形式)(エクセル:62KB)

報告様式・集計様式(PDF形式)(PDF:235.2KB)

保健所へは、小児科・ARI定点の医療機関は報告様式1と2の両方を、ARI定点は報告様式2をご報告ください。

 なお、集計様式は、保健所への送付は不要です。

 参考:急性呼吸器感染症(ARI)に関する説明会の開催について(千葉県疾病対策課)

急性呼吸器感染症定点にかかるシステム上の入力方法について 医療機関向け(PDF:1,419.1KB)

オンライン報告を希望される場合、ちば電子申請サービスから手続きをお願いします(県庁疾病対策課ホームページへ)

リンク

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部千葉県衛生研究所感染疫学研究室

電話番号:043-266-6723

ファックス番号:043-265-5544

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