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更新日:令和4(2022)年5月13日
当科では、耳鼻咽喉科、口腔外科の領域のがんを治療しています。舌がん、鼻腔・副鼻腔がん、喉頭がん、咽頭がん、甲状腺がん、唾液腺がんなどを総称して頭頸部がんと呼びます。頭頸部は、食べ物を咀嚼したり、飲み込んだり、また、声を出すなどの重要な機能を司る器官がある場所です。手術でこれらの器官が傷を受けてしまうと、食べ物を飲み込むことが困難になったり、声が失われてしまうなど、日常生活に大きな支障をきたすことになります。したがって、頭頸部がんの治療では、これらの機能をできるだけ温存して治療することが重要です。しかし、がんのできた場所や大きさ、がんの進み具合や患者さんの状態などにより、どうしても手術で切除しなければならないこともあります。そういった場合は、手術で失われた器官をいかに再建するかが非常に重要な問題となってまいります。当科では、できるだけ機能を温存して治療を行うことを目指しています。
当科では、例外的場合を除きがんの告知を行います。治療法にいくつかの選択肢がある場合は、それぞれの治療法についてその長所と短所を患者さんとそのご家族にご理解いただけるよう丁寧に説明いたします。当科としては基本的にもっとも治療効果が高いと考えられる治療法をお勧めしますが、最終的には患者さんに、どのような治療を行うかを決めていただき、ご家族の同意を得てから治療を開始します。治療法により、放射線治療部や画像診断部、核医学診療部と協力連携して治療を行います。
また、重い合併症などがある方で当センターで対応することが難しい場合や、重粒子線治療など当センターでは行っていない治療法が適していると判断した場合は、他施設にご紹介いたします。
輸血は、できる限り行いませんが、輸血以外に救命できないと判断した場合は、患者さんやご家族が希望されるか否かではなく医師の判断で輸血を行います。
早期硬口蓋がん・早期上歯肉がん |
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鼻腔・副鼻腔がんの多く |
強度変調放射線治療(IMRT)と化学療法を併用した治療が中心となります。(注) |
硬口蓋がん・上歯肉がん・上顎洞がんの多く |
口唇がん |
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早期舌がんの一部・早期頬粘膜がんの一部 |
小線源療法をお勧めすることがあります。 |
遠隔転移のある甲状腺がん |
適応がある場合は、手術後にヨード療法をお勧めします。 |
切除不能の進行がん |
通常の化学放射線療法では効果が期待できないと判断される場合は、抗がん剤動注療法と同時に放射線治療の併用をお勧めする場合があります。 |
治療の初期から痛みなどの症状に対して積極的に緩和治療を行います。
※ここにあげた疾患と治療法は、一般的な頭頸部がんの治療であり、個々の患者さんによって治療が異なる場合が多々ありますので、あくまでも参考としてご覧ください。
佐々木 慶太(ささき けいた) 札幌医科大学医学部卒
櫻井 利興(さくらい としおき)千葉大学医学部卒
森本 侑樹(もりもと ゆうき) 千葉大学医学部卒
森 昂生(もり こうせい)札幌医科大学医学部卒