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研究所長からのご挨拶

筆宝(ひっぽう)義隆研究所長の写真

千葉県がんセンター研究所のホームページをご訪問いただき、ありがとうございます。2022年7月に第6代研究所長を拝命しました筆宝(ひっぽう)義隆と申します。これまでの8年間は発がん制御研究部部長として、新規三次元培養法を駆使して発がん機構解明や個別化医療に資する研究に取り組んでまいりました。今回伝統ある研究所全体の舵取りを担当することとなり、その重責に身の引き締まる思いです。がん研究への貢献を継続すべく、今後も微力を尽くす所存ですので引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

当センターは千葉県におけるがん対策の中核的役割を果たすことを目的に1972 年に開設され、今年11月で創立50周年を迎えます。開設時より病理、生化学、化学療法、疫学の4部門を擁する研究局が併設され、田中昇初代研究局長(1972-1986)は初代病理部長も兼任して臨床と基礎の病理を統合したがん研究を創始しました。新田和男第2代研究局長(1987-1991)は化学療法研究に注力し、崎山樹第3代研究局長(1991-2004)は分子生物学的手法を大体的にがん研究に導入しました。中川原章第4代研究局長(2004-2010)は小児がんである神経芽腫の研究を強力に推進し、世界有数の研究拠点に育て上げました。永瀬浩喜第5代研究局長(2010-2022)は特定のゲノム配列を選択的に標的とするようながんの創薬開発を進めました。

1983年に疫学、1991年には化学療法の2部門の部長も正式に着任し、名実共に4部門体制が確立します。また、2013年には現在の研究所に名称変更しました。この間数回の組織再編を経て、現在の発がん研究、がん治療開発、がんゲノム、がん予防の4部門計6研究室の体制に至っています。総勢64名(16名の常勤職員、40名の非常勤・派遣・委託職員、留学生を含む8名の大学院生)に及ぶ多士済々な面々がそれぞれの強みを生かして独自性の高い研究を展開していますが、医師の部長が各部門を統括することで医学研究としての一体性や方向性を制御しています。また、がん専門病院併設である利点を活かし、基礎と臨床の両方を見据えた研究を展開してきたことが当研究所の大きな特徴です。今後は、当センターの強みでもあるがんゲノム医療の支援や、バイオバンクの利活用による研究にも力を入れていきます。

当研究所に着任して以来、研究に対する手厚い支援には常に感謝しております。例えば、大型機器の整備、動物施設の管理、経理業務の人件費などはすべてセンター負担であり、間接経費の還付割合も高くなっていますが、これらは当センターや千葉県病院局の研究重視の姿勢が強く反映されたものといえます。こうした支援のおかげで、年間2億円弱の外部獲得資金のより効率的な利用が可能になっています。また、学位と専門医の同時取得が可能な研究医制度も設置されています。これは常勤医として臨床を継続しながら、研究日や週末および夕方などを利用して研究所で研究を行い、千葉大の博士号を取得するコースです。大学医局に縛られない形でのキャリア形成に道を開く制度であり、実際に複数の科で活用されています。全国の意欲ある若手医師の参画を歓迎いたしますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

現在はセンターの敷地内に千葉県臨時医療施設を開設中のため、残念ながら新研究棟への移転工事も中断したままの状態ではありますが、数年以内には新研究所が開所可能と聞いております。日本の玄関である成田国際空港を擁する千葉県にとって、世界に向けて発信可能な国際的がん拠点を創出することは極めて重要な課題であり、私達もこれまで以上に国内外から認められる研究所としての地歩を固めるべく、日々努力してまいります。県民の皆様からも、これまで以上に温かい応援をいただけますよう重ねてお願い申し上げます。

2022年7月1日