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更新日:平成29(2017)年3月30日

2014年院内がん登録症例

2014年に当院で「がん」と診断した症例、または、他院で診断された後、2014年に当院を受診した症例を登録しています。なお、脳腫瘍については良性腫瘍も含まれています。

集計結果

全登録症例件数(部位別・性別)

2014年症例として登録した全件数を集計したものです。

部位別項目

主要5部位(我が国に多いがんである胃がん大腸がん肝がん肺がん乳がん)に加え、当院で件数の多い子宮がん(頸部、体部)前立腺がん食道がん膵臓がん悪性リンパ腫の計10部位について集計しました。

集計対象は当院で初回治療を行った症例のみになります。なお、初回治療には当院で経過観察を行っている症例を含みます。

集計項目は次の通りです。

  1. 年齢階級別・性別登録数
  2. 治療前ステージ(UICC)別登録数
  3. 治療別・治療前ステージ別登録数

なお、治療は次の通り略します。

略称対応表

略称

治療の分類

手術1のみ

内視鏡のみ

手+内

手術+内視鏡

放射線のみ

薬物療法2のみ

放+薬

放射線+薬物

薬+他

薬物+その他3

手/内+放

手術/内視鏡+放射線

手/内+薬

手術/内視鏡+薬物

手/内+他

手術/内視鏡+その他

手/内+放+薬

手術/内視鏡+放射線+薬物

他の組合せ

治療なし

治療なし

  • ※1外科的治療と体腔鏡的治療のいずれか、または両方
  • ※2化学療法、免疫療法・BRM、内分泌療法のいずれか
  • ※3肝動脈塞栓術、アルコール注入療法、温熱療法、ラジオ波焼灼を含むレーザー等焼灼療法、その他の治療のいずれか

【全登録症例件数(部位別・性別)】

2014年症例の全登録件数は男性2,411件、女性1,702件、計4,113件です。

男性では前立腺、胃、肺、大腸、食道の順に多く、女性では乳房、子宮、胃、大腸、肺の順に多いという結果となりました。

部位名

男性

女性

総計

口腔・咽頭

73

22

95

食道

131

19

150

383

173

556

大腸(結腸)

163

108

271

大腸(直腸)

124

49

173

肝臓

66

31

97

胆嚢・胆管

34

18

52

膵臓

112

64

176

喉頭

27

2

29

319

109

428

骨・軟部

43

40

83

皮膚(黒色腫含む)

6

7

13

乳房

1

468

469

子宮頸部

0

186

186

子宮体部

0

95

95

卵巣

0

44

44

前立腺

531

0

531

膀胱

91

21

112

腎・他の尿路

84

27

111

脳・中枢神経系

31

22

53

甲状腺

20

48

68

悪性リンパ腫

74

77

151

多発性骨髄腫

18

10

28

白血病

13

7

20

他の造血器腫瘍

6

3

9

その他

61

52

113

総計

2,411

1,702

4,113

胃がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、55歳から徐々に増え始め、70歳~74歳をピークに減少しています。また、女性より男性のほうがかかりやすいことがわかります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅰ期の割合がもっとも大きく75%を占めています。次いでⅣ期13%でした。

Ⅰ期の割合が高い理由として、胃がんの多くが早期に発見されていることが考えられます。

胃がんでは、手術がもっとも有効で標準的な治療で、Ⅰ期からⅢ期の患者さんに対して行われます。病変が浅く、リンパ節に転移している可能性が極めて小さいときは、内視鏡を用いて胃がんを切除する方法があります。胃がんの抗がん剤治療には、手術と組み合わせて使う補助化学療法と、治療が難しい状況で行われる抗がん剤中心の治療があります。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期は手術や内視鏡による切除の割合が大半を占めています。Ⅱ期からⅢ期では、手術または内視鏡的切除+薬物による治療の割合が多くなり、Ⅳ期は薬物のみの治療の割合が多くなります。

胃がん年齢別

胃がんステージ別

胃がん治療

 

大腸がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、50歳から増え始め、65~69歳をピークに減少しています。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、全体の47%を0期・Ⅰ期のいわゆる早期がんが占めています。他の部位と比べて不明の割合が多いのが特徴です。

大腸がんの治療は手術による切除が基本で、早期でも手術が必要な場合があります。0期またⅠ期の軽度のものは、内視鏡を使って大腸の内側から切除する方法もあります。直腸がんでは手術後の補助療法として放射線治療を行う場合があります。抗がん剤治療は、主に手術後のがん再発を予防するための補助療法、手術が困難な進行がんに対して、延命および生活の質(QOL)の向上を目的に行います。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、0期は内視鏡を使った治療が多く行われ、Ⅰ期、Ⅱ期では単独手術が多く行われています。Ⅲ期からⅣ期は手術または内視鏡的切除+薬物による治療の割合が多く占めています。

大腸年齢別

大腸ステージ別

大腸治療別

肝がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、60歳から増加し70歳~79歳をピークに減少しています。また、女性より男性のほうがかかりやすいことがわかります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅰ期がいちばん多く42%、次いでⅡ期とⅣ期、Ⅲ期の順となっています。

肝臓がんの治療は、手術、局所療法、肝動脈塞栓術(TAE)の3つが中心になります。肝臓がんの患者さんの多くは、がんと慢性疾患という2つの病気を抱えています。そのため治療は、がんの病期だけでなく、肝機能の状態なども加味したうえで選択する必要があります。

単発で比較的大きながんでは肝切除、がんの大きさが3cmより小さい場合は、ラジオ波焼灼療法(RFA)などの局所療法が選択されます。腫瘍が複数ある場合は塞栓療法(TAE、TACE)が選択され、骨に転移した場合や、血管に広がったがんに対する治療では放射線療法が、手術や局所療法などの標準的な治療で効果が期待できない場合は、抗がん剤治療が行われます。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期と診断された症例の半分は手術を行っています。Ⅱ期、Ⅲ期と進行するにつれ薬物を使った治療とその他の治療の割合が多くなっています。なお、その他の治療にはTAE、RFA等が含まれています。

肝がん年齢別

 

肝がんステージ別

 肝がん治療別

肺がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、50歳から増加し70歳~74歳をピークに減少しています。また、男性がかかりやすいことがわかります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅰ期とⅣ期が多く占めています。他の部位と比べてⅣ期の割合が多い傾向にあります。

肺がんの治療は、肺がんの分類(非小細胞がんと小細胞がん)と病期に基づいて決まりますが、がんのある場所、全身の状態、心臓や肺の機能なども総合的に検討して治療法を選択します。ここでは肺がんの分類(非小細胞がんと小細胞がん)についての集計は行っていません。

肺がんのⅠ期からⅡ期の場合は、手術の適応になります。肺の葉の1つか2つ、または片側の肺すべてを切除する方法があります。骨や脳に転移した場合は放射線治療が行われます。非小細胞がんでは病期に応じて手術や放射線治療と組合せて、あるいは単独で抗がん剤治療を行います。小細胞がんは抗がん剤の効果が高いため、抗がん剤の治療が中心となります。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期・Ⅱ期は手術による治療が多く行われていますが、ステージが進むにつれ薬物のみの治療または、治療なしの割合が多くなっていることがわかります。

肺がん年齢別

肺がんステージ別

肺がん治療別

乳がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、30歳代から増加し始め45歳~49歳がピークとなっています。

また、まれに男性が乳がんにかかることもあります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅰ期が47%と最も多く占めていて、次いでⅡ期28%でした。

0期とⅠ期のがんが全体の58%を占めています。

乳がん治療は、手術、放射線治療、薬物療法(ホルモン療法、分子標的治療、化学療法など)があります。それぞれの治療を単独で行う場合と、複数の治療を組み合わせる場合があります。

基本的な治療は手術によってがんを取りきることで、大きく分けて、乳房を残す「乳房温存術」と、乳房を全部切除する「乳房切除術」とあります。放射線治療は、手術後の再発のリスクを下げるために、乳房温存術の後や乳房切除術で病変が大きい場合、腋の下のリンパ節に広がっている場合などに行われます。薬物療法は、「手術やほかの治療を行った後にその効果を補う」、「手術の前にがんを小さくする」、「手術が困難な進行がんや再発に対して延命および生活の質(QOL)を向上させる」などの目的があります。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、0期では手術のみが半数近くを占めていますが、それ以外では手術のみは少なく、手術と薬物治療や放射線治療を組み合わせた治療が大半を占めています。他の部位と比べて、手術+薬物治療や手術+放射線+薬物治療というように、複数の治療を組み合わせる治療が多くみられます。

乳がん年齢別

乳がんステージ別

乳がん治療別

子宮がん(頚部・体部)

年齢階級別・部位別登録数のグラフを見ると、子宮頸癌は25歳から増加し、35歳~39歳がピークとなっています。子宮体癌は40歳から増加し、55歳~59歳がピークとなっています。このことから子宮頸癌は若い年代がかかりやすいことがわかります。

子宮頸癌のUICC TNM治療前ステージの割合を見ると、0期が大半の55%を占め、次いでⅠ期17%となっています。

子宮体癌のUICC TNM治療前ステージの割合では、Ⅰ期が最も多く全体の83%を占めています。

子宮頸癌の治療には手術、放射線治療、抗がん剤治療があります。がんの病期や年齢、合併症の有無など患者さんのそれぞれの病状に応じて選択されます。

子宮体癌の治療は、手術でがんを取り除くことが基本になります。患者さんの状態やがんの広がりに応じて、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法を組み合わせて行います。

子宮頸癌の治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、0期では手術による治療の割合が半数以上を占めていますが、ステージが進むにつれ手術の割合が少なくなり、放射線治療、薬物治療などの割合が多くなっています。

子宮体癌の治療前ステージ別・治療方法の割合では、Ⅰ期からⅢ期までは手術単独、または、手術と薬物治療を併せた治療の割合が大半を占めています。

 

子宮がん年齢別

子宮がん頸部ステージ別

子宮がん体部ステージ別

子宮がん頸部治療別

子宮がん体部治療別

前立腺がん

年齢階級別登録数のグラフを見ると、60歳代から急激に増加し70歳~74歳がピークとなり減少しています。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅰ期が61%と大半を占め、次いでⅢ期20%となっています。

前立腺がんの治療としては、手術、放射線治療、内分泌療法、抗がん剤治療があります。また、特別な治療をせず注意深く経過を観察する場合(待機療法)もあります。前立腺癌の治療方法は、TNM分類、発見時のPSA値、がんの悪性度、患者さんの年齢や合併症、さらに患者さんの希望などを考慮した上で最適と考えられる治療を選びます。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期とⅡ期では手術の割合が半数以上を占めていますが、ステージが進むにつれ放射線治療と薬物を組み合わせた治療や、薬物単独の治療の割合が多くなっています。

前立腺がん年齢別

前立腺がんステージ別

前立腺がん治療別

食道がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、60歳代から増加し70歳~74歳がピークとなっています。また女性より男性のほうがかかりやすいことがわかります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、0期とⅠ期の早期がんが全体の48%を占めています。

食道がんの治療には大きく分けて内視鏡を用いた治療、手術、放射線治療、抗がん剤治療の4つがあります。食道癌では、手術が最も一般的な治療です。0期またはⅠ期の軽度のものは、内視鏡を用いて食道がんを切除する場合もあります。ある程度進行したがんでは、手術、放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせる治療も行われます。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、0期とⅠ期では、手術または内視鏡による切除の割合が多く占めています。Ⅱ期からは手術のみの治療の割合は少なく、放射線治療+薬物治療など、複数の治療を組み合わせる治療の割合が大半を占めていることがわかります。

 

食道がん年齢別

食道がんステージ別

食道がん治療別

 膵臓がん

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、55歳から増加し、60歳~64歳をピークに減少しています。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅳ期が45%といちばん多く占めていて、次いでⅡ期25%となっています。

膵臓がんの標準的な治療法は、手術、抗がん剤治療、放射線治療の3つです。がんが膵臓やその周囲にとどまっている場合は、手術単独、あるいは手術と放射線治療を組み合わせます。何らかの理由で手術ができないときは、放射線治療や抗がん剤治療が行われます。がんが広い範囲にあり、根治的な手術ができない場合や転移がある場合は、抗がん剤による治療が中心となります。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期からⅡ期は手術単独または手術と薬物治療を組み合わせた治療が多くを占めています。一方、ステージが進むにつれ手術の割合は減り、薬物治療の割合が多くを占めていることがわかります。

 

膵がん年齢別

膵がんステージ

膵がん治療

悪性リンパ腫

年齢階級別・性別登録数のグラフを見ると、45歳から徐々に増加し70歳~74歳をピークに減少しています。また、罹患数は男性と女性であまり差がないことがわかります。

UICC TNM治療前ステージの割合を見ると、Ⅳ期が31%と最も多く、次いでⅠ期31%、Ⅱ期17%となっています。

悪性リンパ腫の治療法は、大きく放射線治療と抗がん剤治療に分けられ、手術を必要とする患者さんはまれです。治りにくい場合や治療の効果が十分でない場合は、さらに強い抗がん剤治療や抗CD20モノクローナル抗体を用いた抗体療法、造血幹細胞移植などが行われます。

治療前ステージ別・治療方法の割合を見ると、Ⅰ期~Ⅳ期ほとんどが薬物による治療が行われています。これは悪性リンパ腫の主な治療方法として抗がん剤化学療法が行われているからです。

 

リンパ腫年齢別

リンパ腫ステージ

 

リンパ腫治療