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更新日:令和4(2022)年6月28日
千葉県がんセンター泌尿器科では、腎臓、膀胱、前立腺、腎盂、尿管、精巣などのがんを対象に専門的な診断と治療を行っています。EBM(科学的根拠)に基づいた標準治療を質高く行うことを基本方針としています。各疾患共に手術療法を中心に化学療法、放射線治療など集学的治療をきめ細かく行い、また、生活の質(QOL)を考え治療しています。治療開始に当たっては、インフォームドコンセントをご本人、ご家族と共にさせて頂き、信頼関係を築きたいと思います。
泌尿器癌を対象に、各種ガイドライン基づいたEBM(科学的根拠)に基づいた質の高い診療を心がけております。病状の説明と治療内容を患者さん並びにご家族に十分ご相談させていただいた上で個々の状況に応じた最適な治療方法を選択いただけるよう努めております。患者さん自身と御家族に納得していただいてから治療を開始します。ご提案させていただく治療方針は原則すべての患者様において泌尿器科内の医師全員および画像診断部の医師、放射線治療部、病理医、及び患者さんの病状により必要に応じて他科の医師も交えたカンファレンスにて討議を行っております。すなわち多くの泌尿器科医師がおりますが誰が担当することになっても担当医師により治療方針が変わることのない、一貫した質の高い医療を提供するよう心がけております。平成23年度より前立腺癌に対するロボット支援手術を開始しており、ロボット手術に強みがございます。
2020年5月よりダヴィンチXiサージカルシステム(図4)を導入しており現在、従来のSiサージカルシステムとの2台体制でロボット手術を行なっております。
>>前立腺センター
薬物治療や放射線治療での根治は難しいため、手術の適応のある患者さんに対しては個々の状況に応じて開腹腎摘除術、腹腔鏡下腎摘除術、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術のいずれかを選択いたします。手術のみで根治が難しい患者さん、すなわち再発、転移を有する患者さんに対しては分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤を使用して治療を行います。個々の状況に応じて手術による転移・再発巣の摘除を提案させていただく場合もあります。
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を行なうのには難しいですが、開腹手術の選択までには至らない患者さんに対してご提案させていただいております。開腹手術に比べて傷が小さく、入院期間もやや短くなります。
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術
保険険適応があり、当科では2016年9月から治療を開始しました。2019年12月時点でこれまで68例に対して行っております。ロボット手術の指導医であるプロクター認定と泌尿器腹腔鏡技術認定をともに取得している医師による手術を行っております。
保険適応で使用できる分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害剤において、治験段階で参加している薬剤も多く、個々の状況に応じて最適と考えられる薬剤をカンファレンスにて検討の上でご提案させていただいております。また積極的に治験も行っておりますので適応のある患者さんに対してはご提案させていただいております。
手術・薬物治療両面で積極的な治療を行っています。膀胱癌の場合、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT:内視鏡手術)をまず行います。患者様によりアラグリオを用いて、腫瘍の状況をよくわかるようにした手術を行います。この手術のみで終わる場合もあれば、その結果により、再発リスクが高い場合や経尿道的膀胱腫瘍切除での根治が難しいと判断される場合BCG膀胱内注入療法や、膀胱全摘+尿路変更術などの追加の治療をご提案させていただく場合がございます。
膀胱癌、腎盂尿管癌ともに転移がある患者さんでもリンパ節転移のみであれば抗がん剤治療GC(ゲムシタビン+シスプラチン)療法を行い、十分な効果を認めるようでしたら膀胱全摘+尿路変更術による根治的手術を積極的にご提案させていただいております。
ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘
2019年1月から開始し、同年9月からは保険診療での治療を行っています。今後は前立腺癌のように開腹手術に代わりスタンダードな治療となると予想されます。
薬物治療について
遠隔転移を認める患者様に対しては原則抗がん剤治療としてGC療法をまず行っております。効果が芳しくない場合にはキイトルーダ(免疫チェックポイント阻害薬)の使用をご提案させていただいております。免疫チェックポイント阻害剤は当センターでは治験から携わっており、新しい治療選択肢を必要に応じて速やかに提供できる態勢を整備しています
原則的に遠隔転移の有無に関わらず精巣局所の腫瘍は摘除いたします。鼠径部に切開を加えて腫瘍を切除いたします。遠隔転移がない場合は摘除後、再発予防の抗がん剤治療の選択肢を提示させていただく場合がございますが、一般的に再発しても抗がん剤で治癒することが多く、再発予防の抗がん剤治療はあくまで再発のリスクを下げるのが目的となります。
遠隔転移を有する場合でも抗がん剤治療が効果を示すことが多く、治癒することの多い癌ですが、精巣局所の腫瘍自体は抗がん剤が効きにくいため癌のおおもとをたつ目的で全身状態が問題ない患者さんであれば、まず精巣局所の腫瘍を切除後に抗がん剤治療を行います。速やかに抗がん剤治療に移行できるように受診後できる限り早く手術を行えるよう手術室とも相談して配慮させていただいております。抗がん剤治療自体は当センターでは腫瘍・血液内科の医師が担当させていただいております。追加の手術など集学的治療が必要な場合は合同カンファレンスを行い個々の患者さんの状況に応じて適切な治療を提案できるような体制を整えております。
前立腺癌術後尿失禁に対する人工尿道括約筋も適応のある患者さんに対してはご提案させていただいております。
泌尿器科悪性腫瘍全般を取り扱っておりますが、副腎腫瘍は代謝内分泌内科医師がいないため必要に応じて取り扱いのある病院にご紹介させていただいております。
おもに前立腺癌、腎癌、膀胱癌(腎盂・尿管癌)に対する治験を積極的に行っております。詳しくは治験実施状況のページをご覧ください。
深沢 賢(ふかさわ さとし ) 平成12年千葉大学医学部卒
浜野 公明(はまの まさあき) 平成元年千葉大学医学部卒
小丸 淳(こまる あつし) 平成12年千葉大学医学部卒
小林 将行(こばやし まさゆき) 平成15年千葉大学医学部卒
専門は泌尿器悪性腫瘍
佐藤 陽介(さとう ようすけ) 平成19年 富山大学医学部卒
萩原 和久(はぎわら かずひさ) 平成23年 弘前大学医学部卒
馬場 晴喜(ばば はるき)平成24年 山形大学医学部卒
米田 慧(よねだ けい) 平成25年 千葉大学医学部卒
井上 裕司(いのうえ ゆうじ)平成28年 千葉大学医学部卒
野呂 卓秀(のろ たかひで) 平成29年 東邦大学医学部卒