ここから本文です。

更新日:令和元(2019)年5月23日

ロボット支援手術について

Da Vinci Si Surgical System(ダヴィンチSi サージカルシステム)

ロボット支援手術は、出血、手術創、疼痛等における従来の腹腔鏡下手術の利点に加え、1)3次元HD画像で10~15倍拡大視野による精緻な手術が可能、2)直観的かつ繊細な手術操作による確実な縫合手技が可能、3)フィルタリング機能によって手術操作の手ぶれがない、などのロボット支援手術ならではの利点があります。

ロボット支援手術は医師が執刀するのであり、ロボットが医師に代わって手術を行うわけではありません。ダヴィンチサージカルシステムは、ペイシェントカート(図1)に装備された4本のアームを使用して内視鏡と手術鉗子を操作しますが、その操作を行うのはあくまで執刀する医師です。

執刀医は手術台の脇に設置したサージョンコンソール(図2)から内視鏡を介した3D画像を見ながら、マスター(図3)を操作することによって手術鉗子を操作します。

ロボット支援手術1

図1

ロボット支援手術3

図3

ロボット支援手術2

図2

 

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術

ロボット支援による腹腔鏡下前立腺全摘除術は、前立腺摘出後の尿道と膀胱の吻合や勃起神経の温存など、従来の開腹手術や腹腔鏡手術において難易度が高いとされていた手術操作について正確かつ素早く実施することが可能となりました。手術を行う執刀医に対するこれらの利点によって、患者さんにとっては術後尿失禁や性機能障害のより早期の回復が期待できます。

利点

手術創の比較

ロボット手術創部

開腹手術創部

 

 

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術は、平成22年11月に薬事承認を受け、平成24年より保健診療が可能となりました。

千葉県がんセンターでは、平成23年度に千葉県内の病院及び全国の自治体病院で初めて導入しました。平成24年4月以降保険診療として開腹手術の多くがロボット支援手術へ移行しており、平成31年5月時点で1300例以上のロボット支援手術を行ってきました。当院は新たにダヴィンチ手術を開始する医師を対象とした認定見学施設でもあります。

前立腺がんの手術について

<前立腺全摘除術:開腹術>

前立腺がんに対する前立腺全摘除術は、転移のない早期前立腺がんに対する、有効性が確立された治療方法の1つです。癌が前立腺の外に出ていない場合には手術で根治できる可能性があります。

千葉県がんセンターでは、本手術をこれまでに1,200例以上施行しており、全国でも有数の手術件数となっています。ただし現在は手術方法の工夫により腹部手術既往のある患者さんや緑内障のある患者さんに対してもロボット支援手術で施行可能となっておりますので現在はほぼ全症例ロボット手術で行っております。

<腹腔鏡下前立腺全摘除術とロボット支援手術>

腹腔鏡による手術は開腹術に比べて出血量が少なく、手術創が小さい、手術後の痛みが少ないなどの多くの利点があります。しかし、前立腺手術の場合は手術鉗子に可動制限が生じるため、膀胱と尿道の縫合操作に技術的困難さがあります。そのため、腹腔鏡下に前立腺全摘除術を施行できる医師は本邦でも少数であり、本術式は普及が進んでいない現状です。

一方でロボット支援手術には、開腹手術と腹腔鏡手術の両方の利点があります。医師はイスに座って自然な姿勢で10倍の拡大視野で3次元モニターをみながら手術操作を行います。このため、開腹手術のように直観に基づいた操作がストレスなく自由に行えます。ロボット支援手術では腹腔鏡手術の弱点である縫合操作が確実に行えます。また腹腔鏡手術のように炭酸ガスで腹腔内に圧をかけて手術しますので出血も少なく、手術の傷も少なく、術後の痛みも少ないため体力の回復も開腹手術より早いのです。

ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術

早期の腎癌は原則手術による摘除が推奨されております。ただし腎臓を全摘してしまうと、2個あった腎臓が1個になり予備力がなくなり、腎機能も低下します。早期の腎がんに対しては、腎臓を全摘しても部分切除でも治療成績(がんの治癒率)は変わらないといわれており、国内外のガイドラインにおいて、可能なかぎり腎部分切除術を行うことが推奨されています。

腎部分切除術のやり方には、1)開腹手術、2)腹腔鏡手術、3)手術用ロボットを用いる手術がありますが、通常は、いずれの方法でも腫瘍を含む腎組織を切除し、切除後の腎臓の切り口を縫合するやり方が一般的です。ロボット支援手術では、患者さんのお腹に開けた小さな孔より、内視鏡や手術器具をロボットのアームに接続して体内に挿入し、術者が内視鏡画像をみながらロボットアームを動かして手術を進めていきます。

開腹手術と比較すると、傷の小さく体への負担が少なく、開腹手術では筋肉を切らなければなりませんが、ロボット手術や腹腔鏡手術ではほとんど筋肉を切らずにすむため、疼痛が少なく、早期の社会復帰が可能です

 腹腔鏡手術との比較では、腹腔鏡手術では縫合などの複雑な操作は難しく熟練した医師でないと遂行することが難しいため、なかなか多くの施設で普及していない技術でしたが、ロボット手術の場合、器具の先端には関節が付いており、人間の手以上に繊細な操作が可能です。そのために理想的な方向で切開や縫合が可能となります。また内視鏡の画像が、3次元HD画像で10~15倍の拡大視野があるために細部までとても良く見ることができます。これらの特徴のため、細かい切開や縫合操作が容易となり高精度な腎部分切除術が可能となります。

腎部分切除術

腎部分切除術手術風景

 

ロボット手術件数

ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術

2019年1月から開始し、現在保険診療で行なっております。今後は前立腺のように開腹手術に代わりスタンダードな治療となると予想されます。

ロボット手術の費用について

ロボット手術のうち、前立腺がんの全摘出手術、腎癌の腎部分切除術、膀胱癌に対する膀胱全摘除術は保険適用です。

高額療養費制度をご利用の場合、所得に応じ最終的なご負担額の目安は以下の通りとなります。

70歳未満の方…約92,000円~160,000円

70歳以上の方…約44,400円~92,000円

(上記費用に部屋代は含まれていません)

 

費用についてご不明な点がありましたら、診療科担当医までお問い合わせください。