サルコーマセンターの概要
トピックス
7月は『サルコーマ啓発月間』です。乳がんの「ピンクリボン」のようにサルコーマには「イエローリボン」があります。
ご賛同・ご協力いただける方は、SNSで[ハッシュタグ:#sarcomaawareness #サルコーマ啓発 #肉腫啓発] を付けて、一緒に発信していきましょう!
肉腫(サルコーマ)は全がんの約1%と発生頻度が低く、その治療法については未だ確定しておりません。また、肉腫は様々な年齢、様々な部位に生じることから、どの診療科を受診すれば良いのかがわからず「肉腫難民」が生まれる原因にもなっています。こうした状況を改善するためには診療科の枠を超えたチーム医療が必要不可欠です。そこで、診療科間で協力して肉腫の適切な診断と治療を行うことを目的として平成30年6月にサルコーマセンターを設置いたしました。
サルコーマセンターでは、各診療科が密に連携・協力して、サルコーマボード(キャンサーボード)の開催、サルコーマ登録、サルコーマ外来を行っております。これらによって「肉腫難民」ゼロおよび肉腫患者さんの生活の質(QOL)向上を目指してまいります。
サルコーマとは?
肉腫(サルコーマ)は非上皮性の悪性腫瘍(がん)のことをいいます。肉腫は全がんの約1%と発生頻度が低く、様々な年齢、様々な部位に生じます。病理組織学的には、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、など様々な組織型の腫瘍が含まれます。このように、肉腫は多彩な希少がんの集まりであり、その診断・治療法については未だ確定したものがありません。したがって、診療科の枠を超えたチーム医療が必要不可欠な分野なのです。
対象疾患
対象とする疾患は、肉腫(サルコーマ)の全組織型(骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、などが含まれます)、デスモイド、孤立性線維性腫瘍(SFT)、などの結合組織発生の悪性腫瘍または中間悪性の腫瘍です。
サルコーマセンターには、肉腫診療に関わる全ての診療科および中央部門(研究所を含む)のスタッフが参加しております。
主なスタッフ紹介
サルコーマセンター部長 米本 司
鴨田博人、萩原洋子、塚西敏則、木下英幸
肝胆膵外科部長 高山 亘 婦人科部長 田中 尚武 呼吸器外科部長岩田 剛和
腫瘍血液内科部長 熊谷 匡也 形成外科医長 徳元 秀樹 臨床病理部長伊丹 真紀子
画像診断部長 舩津 宏之 放射線治療部長 原 竜介 他
スタッフ
カンファレンス風景
サルコーマセンターは以下の3つの機能で構成されております。
I.サルコーマボード(キャンサーボード)
平成29年度は4回の定期カンファレンス(サルコーマボード)、4回の臨時カンファレンスを開催し、診断・治療に難渋した肉腫症例(合計26例)を検討しました。
定例カンファレンス
多診療科のスタッフが参加して年4回開催しております。肉腫患者さんのうち診断や治療に難渋した症例を検討しています。どの診療科の肉腫患者さんも適切な診断・治療が受けられるような体制となっています。
臨時カンファレンス
緊急に検討が必要となった場合に適宜開催しています。
II.サルコーマ登録
肉腫と診断された全症例を登録しています。
III.サルコーマ外来
整形外科外来内にサルコーマ外来を設置しております。
参考までに2017.4から2019.3までの2年間に千葉県がんセンターで233名の肉腫患者さんの診療を行いました。
今年度のサルコーマボード開催、開催予定
名称 |
開催日 |
備考 |
---|---|---|
第9回サルコーマボード開催 | 2020年6月8日 | 終了しました |
第10回サルコーマボード開催 | 2020年9月14日 |
ー |
第11回サルコーマボード開催 | 2020年12月14日 | ー |
第12回サルコーマボード開催 | 2021年3月8日 |
ー |
後腹膜腫瘍・腹腔内腫瘍
後腹膜・腹腔内腫瘍に対しては肝胆膵外科が中心となって治療にあたっております。
対象疾患
肝胆膵外科が対象とする疾患は、後腹膜・腹腔内に存在する肉腫(サルコーマ)の全組織型(骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、などが含まれます)、デスモイド、孤立性線維性腫瘍(SFT)、などの結合組織発生の悪性腫瘍または中間悪性の腫瘍です。
治療実績
当科における後腹膜腫瘍に対する治療経験と代表的な肉腫(脂肪肉腫)に対する治療成績
現在参加している臨床研究
以下の多施設共同臨床研究に参加しております。
- JCOG0905「骨肉腫術後補助化学療法におけるIfosfamide併用の効果に関するランダム化比較試験」
- JCOG1306「高悪性度非円形細胞肉腫に対するadriamycin, ifosfamideによる補助化学療法とgemcitabine,docetaxelによる補助化学療法とのランダム化第II/III相試験」
- JCOG1610「病巣掻爬可能骨巨細胞腫に対するデノスマブ術前全身補助療法のランダム化比較第III相試験」
- JESS14「限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対するG-CSF併用治療期間短縮VDC-IE療法を用いた集学的治療の第II相臨床試験」
その他、骨軟部肉腫治療研究会(JMOG)、東日本整形小児肉腫グループ(HOPES)の多施設共同研究にも参加しております。
肉腫診療連携
肉腫を診療している施設間の連携を強化するために「肉腫診療連携の会(サルコム)」を年2回開催しております。千葉県がんセンター、千葉大学、千葉県こども病院、放射線医学総合研究所病院、東京歯科大学市川総合病院などの肉腫を診療している施設が参加して症例検討会および勉強会を行っています。(これは肉腫診療に関わる医療者向けの会ですので、申し訳ございませんが患者さんは参加できません。)
資料
サルコーマ関連学会
サルコーマセンターでは肉腫の診療だけでなく、新規診断・治療方法の開発や研修医の教育や肉腫専門医の育成にも力を入れております。
日本整形外科学会骨軟部腫瘍学術集会
日本サルコーマ治療研究学会学術集会
Connective Tissue Oncology Society (CTOS)
European Musculo-Skeletal Oncology Society (EMSOS)
Asia Pacific Musculoskeletal Tumor Society (APMSTS)
などの国内外の学会で研究発表を行っています。
新規治療の開発
臨床研究や治験に積極的に参加し、肉腫の新規治療の開発に努めています。
※病院の規則に従い、臨床試験については倫理審査委員会の承認、治験については治験審査委員会の承認、保険収載されてない抗がん剤については未実証医療審査委員会の承認を得て行っています。
研究所との共同研究
サルコーマセンターでは研究所などと共同で「ゲノムおよび遺伝子解析に基づく骨軟部腫瘍に特異的な分子病理学的異常の解明と、新規診断および治療法の開発を目指したトランスレーショナル研究」を行っています。
これまでの主な業績