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更新日:令和7(2025)年11月21日
ページ番号:813807
令和7年9月22日(月曜日)
議事日程
議事日程(第8号)
令和7年9月22日(月曜日)午前10時開議
日程第1 議案第1号ないし議案第31号、諮問第1号、報告第1号ないし報告第15号及び決算認定に対する質疑並びに一般質問
日程第2 休会の件
午前10時0分開議
○議長(武田正光君) これより本日の会議を開きます。
質疑並びに一般質問
○議長(武田正光君) 日程第1、議案第1号ないし第31号、諮問第1号、報告第1号ないし第15号及び決算認定についてを一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。
順次発言を許します。通告順により天野行雄君。
○天野行雄君 おはようございます。国民民主党の天野行雄です。本日は、地元稲毛区の皆さん、支援組織の皆さん及び国民民主党の仲間が傍聴に駆けつけていただきました。ありがとうございます。
それでは、早速質問に移ります。
初めに、経済の活性化について伺います。
日本の名目GDPは、2023年にドイツに抜かれ世界4位に後退していますが、次はインドに抜かれて5位に後退すると予想されています。ドイツに抜かれた原因は、円安とドイツのインフレによる影響が大きいと日本政府はコメントしています。GDPを拡大するには、産業構造を高付加価値型へと変換させ、成長分野に経営資源を集中させることが重要であり、現在の産業構造を守ることが経済成長を止める可能性も指摘されています。世界経済はトランプ大統領の自由貿易を否定する関税政策により景気下押し圧力が強まり、成長率は鈍化することが想定されています。同時に、サプライチェーンの再編は避けられない様子です。カーボンニュートラルやエネルギーシフトに伴って、世界的な産業構造の変化やサプライチェーンの転換が始まっており、動向を注視するとともに対応が必要です。新たな産業・地域づくりを推進するために、千葉県として企業の誘致、創出を図り、新たな民間投資を呼び込む環境づくりに向けて、本県経済を牽引していくことが期待される地域について誘致、創出すべき産業分野等の調査のために、令和5年度新たな産業・地域づくりに関する基礎調査が行われました。
ここで伺います。新たな産業・地域づくりについて、どのように取り組んでいくのか。
次に、電力の安定供給についてです。
ロシアのウクライナ侵攻や中東における紛争により、我が国のエネルギー安全保障が危惧される中、資源の少ない日本にとってエネルギー自給率の向上などエネルギーを安全、安定、安価に確保することは極めて重要な課題です。
ここで電力事業の実態や課題について説明します。初めに、日本固有の課題ですが、1、エネルギーの自給率が僅か15.2%で、海外からのエネルギー輸入への依存、2、欧州などと違い、隣国との電力系統の連系がなく、基本的には日本国内で発電する電力での自給自足が原則、3、国土は細長く島国であり、かつ東と西で供給する周波数も相違し、地域間の電力の融通量に限りがあるなど、日本固有の課題を抱えています。
日本の電力需要は減少傾向で推移していましたが、データセンターや半導体工場の需要拡大により、2024年度から増加傾向に転じています。東京電力パワーグリッドの発表では、2024年のデータセンター向けの電力需要は36万キロワットですが、13年後には954万キロワットと27倍まで増加すると想定されており、その増加量は出力100%とし、原子力発電所では約9基、最新の洋上風力発電では約750基に相当します。電力広域的運営推進機関の想定では、電力需要は2034年度まで平均増加率0.6%で推移すると公表しています。国際情勢によるエネルギー安全保障の悪化や電力需要が拡大する中で、安定供給を維持するために、第7次エネルギー基本計画では、再エネの主電源化や次世代エネルギーの利用拡大など、これまでの電力政策からの転換を示しています。
安定的な電力供給を維持するには、電力の利用と発電量は常に同時、同量が原則です。その需給バランスが崩れると周波数が変動し、安全装置の発動により発電所が停止してしまい、最悪の場合には大停電、ブラックアウトのリスクを抱えています。実際に、平成30年9月には北海道胆振東部地震では、苫東厚真火力発電所が停止し、風力や水力発電所も引きずられて停止し、ブラックアウトしてしまいました。泊原子力発電所が稼働していたら、最悪の状況は防げたのかもしれません。
また、東電管内でも、令和3年3月には電力供給の予備率が3%を下回る可能性があり、電力需給逼迫警報が、その6月には注意報が発令されました。いずれも電力需要の急増と太陽光発電の出力減少など供給力の低下が原因でした。自由化の導入により、火力発電所の老朽化や採算性のない発電所の撤退も一つの要因です。一方では、東京電力エリア以外の地域では発電する電力が余り余剰電力が発生しており、再エネの出力制限が行われています。いずれ全国まで拡大していきます。出力制御が難しい太陽光や風力発電など、自然変動電源の増加による需給ギャップが電力の逼迫や余剰電力の発生につながっており、系統制御で同時、同量を維持できる範囲を超える可能性もあり、大きなリスクを抱えています。また、スペインでも今年4月には大停電が発生しました。原因はいまだ調査中ですが、電力網の脆弱性や再エネの導入拡大などが指摘されています。
次に、再エネ電源の整備遅延が指摘されています。この8月、三菱商事から銚子市沖を含む3海域で合計170万キロワットの洋上風力発電事業の撤退が表明されましたが、地域活性化を期待していた地元自治体は衝撃を受けています。他の9促進地域でも、建設費用の高騰など厳しい環境に置かれており、撤退ドミノを避けるためにも対策が必要です。洋上風力発電は政府の計画では、2030年に5.7ギガワット導入目標ですが、24年末で0.3ギガワットであり、今回の撤退により達成することはほぼ難しくなり、先行きに不透明感が漂う状況です。撤退までに費やした3年半の時間は戻ってきません。また、再エネ電源の有効的な活用には、電力会社間を連携する基幹系送電線の強化も必要です。デジタル田園都市国家構想総合戦略には、電力供給力の強化として、送電線等の電力インフラの計画的な建設がうたわれています。
太陽光や風力発電は、気象条件により出力が変動し取り扱いにくい電源です。また、太陽光は雪や火山灰の堆積により、発電量はほぼゼロまで落ち込みます。気象条件により変動する再エネの出力電力に対し、随時、火力発電や揚水式発電の出力調整を行い、安定供給を維持しています。現状では、この調整電源がなければ電力供給は不可能です。また、火力発電所も不効率な運転を強いられています。電力自由化の導入により、火力発電所の老朽化や採算性の悪化により競争力を失った発電施設は撤退し、その不足した電力を補完するために容量市場を2024年から本格導入しましたが、新たな金銭的負担が増えたことは否めない事実です。このほかにも系統用蓄電池が導入され、電力供給に余力があるときに蓄電し、不足したときには放電を行う調整電源としての利用が期待されています。水道でいえば給水場のタンクの役割を果たしていますが、建設資金も高く、なかなか整備が進んできませんでしたが、電力の売買により収益を得ることが可能で、新たなビジネスモデルとなっています。
平成28年に電力の完全自由化が導入されましたが、真にお客様のためのシステム改革であったか疑問です。電気料金の低廉化が期待されましたが、結果は市民からよく見えていません。また、自由化の導入によりコスト削減が求められ、送配電設備への投資額は大きく減少し、設備の拡張や修繕が抑制されました。それまでは企業の動向や地域特性を踏まえて需要想定を行い、それに基づいて先行投資により電力設備の拡充を図り、お客様のニーズに対応してきました。現在は、供給や系統連系の申請を起点として対応することが基本となっています。また、資材の高騰、電力機器の納入期間の遅延、労働力不足など課題も多く、大型案件では対応に5年から10年の時間を要す状況にあり、データセンターへの供給や再エネ、系統用蓄電池の送電系統への接続など、お客様の要望に応えることが難しい状況も見受けられます。
私たち国民民主党は、公約として原子力発電の有効的な活用を訴えています。原子力発電所は資源価格の影響を受けにくく、出力が安定的であり、エネルギーの安全保障に大きく寄与します。安全確保を最優先としつつ、原子力を我が国の電力供給基盤における重要な選択肢と位置づけ、原子力発電を最大限活用する必要があります。2011年3月の原子力事故後、国内の原子力発電所は一旦全て停止しました。25年8月時点で再稼働14基、設置変更許可は4基、審査中は8基となっています。安全基準を満たした原子力発電所の早期再稼働に向けて、原子力に関する規制機関の審査体制の充実、強化や、審査プロセスの合理化、効率化等を図り、適合性審査の長期化を解消しなくてはなりません。また、現在、小型モジュール炉、SMRの研究開発が進められており、現実的な選択肢として期待されています。次世代新炉の開発、建設やリプレースを推進すべきと考えます。
次に、夢の技術と言われ、太陽と同じ反応を地上で実現し発電する核融合発電の開発が進められており、そのポテンシャルは、既存エネルギーの7割まで置き換えも可能と言われています。フランスで進められている国際熱核融合実験炉、ITERの計画の遅れが表明されると、国家間の競争に拍車がかかりました。日本は現在、世界でもトップレベルの技術を有していますが、米、英、独、中が巨大な研究資金をつぎ込み開発を加速しています。日本の開発資金は劣後の状況ですが、政府は国内施設での実証炉の建設を2030年代に前倒しする方針を決定し、今年度中の工程表の策定を進めています。日本政府の積極的な予算措置により開発を加速すべきであり、今勝負しないと国家間競争に敗れてしまいます。国政に携わる皆様は、危機感を持って日本の核融合発電の研究開発予算の確保をお願いします。仮に千葉県へ実証炉を誘致することが可能であれば、関係する研究所や企業の進出、人口流入にもつながり、県内経済への大きな波及効果が期待されます。千葉県への核融合発電の実証炉の誘致について、県として検討を要望します。
ここで伺います。再生可能エネルギーの導入拡大に資する送電線路強化の取組や系統用蓄電池の設置に関する状況はどうか。
続いて、グリーントランスフォーメーション―以下GXとします―についてです。
政府が2025年2月に示したGX2040ビジョンとは、日本が2040年までに脱炭素社会への道筋を明確にするとともに、経済成長を達成するための脱炭素成長型経済に移行するための長期的な国家戦略です。エネルギー政策やカーボンプライシング、イノベーションの革新などを通し、国内産業の競争力を向上させることを狙いとしており、GXを加速させるために様々な施策が示されています。京葉臨海コンビナートをはじめ、県内には多くの企業が進出をしており、新技術の開発による新産業の創出と新たな企業誘致、GX投資の拡大により、環境対策と県内経済の活性化を図るべきです。
ここで伺います。GX2040ビジョンに対する受け止めはどうか。また、県としてどのような姿勢で臨んで行くのか。
続いて、GX2040でもGXを加速させるための個別分野の取組として示されているCCS及びCCU事業についてです。
CCS及びCCUとは、二酸化炭素を回収、有効利用、貯留を行うことです。電化や水素化などエネルギー転換などでは、CO2の排出が避けられない分野でも排出を抑制する必要があり、カーボンニュートラルを実現していくにはCCSやCCU技術が必要とされています。火力発電所や化学工場などからの排気ガスに含まれるCO2を分離、回収します。そして、地下800メーター以上の安定した遮蔽層で覆われる地層の中に貯留するのがCCSです。CO2を資源として合成燃料の生産やメタノール、エタノールなどの化学製品の製造に有効利用するのがCCUです。また、排ガス処理だけではなく、空気中からのCO2の回収技術の確立など技術開発が進み、新産業としてカーボンプライシングの商用化が進められています。千葉県はCO2の発生源となる産業も多く、また資源として活用する可能性が高い千葉県において、CCSやCCUはなくてはならない技術であり、有意義な施設だと考えます。
今年4月に苫小牧におけるCCS大規模実証試験を視察してきました。2016年度から地中へのCO2圧入が開始され、19年度には目標である累計30万トンのCO2圧入が達成され、現在は圧入を停止し、モニタリングが行われています。日本国内でCCSに対応する貯留層が存在しており、政府として2030年には事業化を図ることを目標に、事業者への支援を行っています。千葉県の外房沖を貯留地域とする首都圏CCS事業が先進的CCS事業として指定されています。
ここで伺います。千葉県外房沖を貯留地域とする首都圏CCS事業の取組状況はどうか。
次に、CCUですが、CO2の直接利用と間接利用があり、直接利用では、溶接用ガスや炭酸水、ドライアイスなどが製造されています。間接利用では、様々な物質に変換させて利用します。水素とのメタネーションによりメタンやガソリン、バイオ燃料などの製造、強度の強いコンクリートの製造、ポリマーを生成してプラスチックの利用など研究開発が進んでいます。
ここで伺います。CCUの導入に県はどのように取り組んでいくのか。
次に、脱炭素教育です。
脱炭素社会の実現には持続可能な社会の創り手となる子供たちへの環境教育が重要です。それには気候変動や脱炭素に関する基礎を体系的に理解し、自らが考え行動する必要があります。
ここで伺います。カーボンニュートラルの実現に向けて、児童生徒にどのような教育を行っているのか。
最後に防災対策です。
千葉県では、首都直下地震や房総沖地震、南海トラフ地震や富士山の噴火など、様々な自然災害の発生が想定されています。政府の地震調査委員会によると、マグニチュード8から9の南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は80%に引き上げられました。富士山はおよそ300年ほど噴火しておらず、周期を考えると、いつ噴火してもおかしくありません。また、1707年には南海トラフ地震の49日後に富士山が噴火したこともあります。最近では、カムチャツカ半島巨大地震から1週間で、周辺火山で16世紀以来となる噴火が相次いだという実態もあり、南海トラフ地震と富士山の噴火の連続発生についても念頭に置いておく必要があります。
次に、南海トラフ地震について伺います。
南海トラフ地震による被害想定が2025年3月に発表されましたが、高知県では津波高は30メーターを超え、千葉県内では館山市で11メーター、銚子市やいすみ市で9メーターなど、県内各地で来襲が想定されています。また、津波によりライフラインが被災し、市民生活への影響も懸念されます。
ここで伺います。千葉県として南海トラフ地震による津波への減災対策をどのように考えているのか。
次に、富士山の噴火対策ですが、国は首都圏における広域降灰対策ガイドラインを2025年3月に公表しました。これは富士山の大規模噴火で降灰することが想定される首都圏等の対策を主に取りまとめたものです。千葉県では、22年3月に富士山等の噴火に伴う降灰対策に関する対応指針を策定されていますが、ここで伺います。
国の首都圏における広域降灰対策ガイドラインを踏まえ、県は富士山の噴火に伴う降灰対策にどのように取り組んでいくのか。
今年5月には、地震津波議連で能登半島地震の被災地の視察に伺いました。発災時には道路が寸断され、集落の孤立が33か所、その3,345人の被災者は、さらに苛酷な状況に追い込まれています。千葉県も半島であり、孤立集落の発生が指摘されています。そのような中、千葉県では昨年6月議会の補正予算に、災害時における孤立集落対策のさらなる強化を図ることを目的に孤立集落対策緊急支援補助金が提案され、可決しました。これで市町村が実施する避難設備の整備や備蓄品の整備、ヘリポートの整備などに対する補助金の支給が可能となりました。
ここで伺います。孤立集落対策緊急支援補助金の活用状況はどうか。
次に、防災士についてです。
防災士は災害による被害を最小限に抑え、地域、職場の防災力向上に貢献することを目的としています。国内の多くの自治体で、地域での防災力の強化方策として、防災士の資格取得に対する支援策が整備されています。県内では、地震などの震災により孤立集落の発生が想定される中で、地域での防災士の活動が期待されています。
ここで伺います。
1、災害が頻発化、大規模化する傾向にある中で、防災士の必要性について県はどう認識しているか。
2、県内市町村における防災士資格の取得への支援状況はどうか。また、県として資格取得の支援策についてどう考えるか。
以上で1回目の質問を終わります。御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(武田正光君) 天野行雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 国民民主党の天野行雄議員の御質問にお答えいたします。
まず、新たな産業・地域づくりについての御質問にお答えいたします。
本県では、成田空港の拡張事業や圏央道、北千葉道路など広域道路ネットワークの整備等が進展することにより、人、物、財の流れが一層大きくなることが見込まれ、今後、本県のポテンシャルがさらに高まるものと認識をしています。こうした強みを最大限生かし、県経済を牽引することが期待される地域において、県では中長期的な視点から成長産業の立地可能性や経済波及効果を分析するなど、新たな産業・地域づくりに向けた取組を推進しているところです。これらの取組を総合計画をはじめとした各種計画に反映をさせるとともに、本県ならではの特性や強みを生かした様々な取組を多様な主体を巻き込みながら進めることにより、我が国の国際競争力強化に資する産業拠点形成や県内各地域のさらなる発展を目指してまいります。
次に、GX2040ビジョンに関する御質問にお答えいたします。
GX2040ビジョンは、GXの実現に向けて国が目指す産業構造等について長期的な方向性を示したものであり、県としてもビジョンの趣旨を踏まえ、様々な施策に取り組んでいく必要があると認識をしています。そのため、県では京葉臨海コンビナートにおけるカーボンニュートラルを推進するため、官民協議会を設置し、水素等の利活用に向けて検討を進めているほか、洋上風力発電やペロブスカイト太陽電池を活用した発電等の導入を促進するとともに、民間におけるCCSの事業化を支援しているところです。今後も再生可能エネルギーの導入等を進めるとともに、国に対して民間の取組への財政支援の働きかけを行い、GXの実現による県内経済の発展に引き続き取り組んでまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。
○議長(武田正光君) 商工労働部長関雄二君。
(説明者関 雄二君登壇)
○説明者(関 雄二君) まず、送電線路強化の取組や系統用蓄電池の設置に関する御質問ですが、再生可能エネルギーの導入拡大を図るためには、太陽光や風力などの発電設備のある地域から電力需要のある地域まで送電するための送電網を増強することや、発電量の変動に対応して電力の需給を調整するため、送電網に蓄電池を接続することが重要です。送電網の増強に向けては、全ての電気事業者により構成される電力広域的運営推進機関が地域間を結ぶ送電設備に関する長期的な整備方針を示しており、これを踏まえて、各電気事業者が計画的な取組を進めているところです。また、送電網に接続された蓄電池については、東京電力パワーグリッドが公表しているデータによれば、本県を含む同社管内において、令和7年7月末現在で46件、容量ベースでは8万キロワットとなっており、近年導入が進んでいます。
最後に、首都圏CCS事業の取組状況に関する御質問ですが、CO2を回収して地下に貯留するCCSは、CO2の排出削減が技術的に難しい鉄鋼業等において、カーボンニュートラル実現に向けた取組として期待されており、国は2030年までの事業開始に向けて、先進性のある民間プロジェクトを支援しているところです。本県においては、製鉄所等から排出されるCO2を九十九里沖の地下に貯留する事業に向けた調査として、民間事業者が首都圏CCS事業に取り組んでおり、今年度はCO2の貯留ポテンシャルの評価やCO2を輸送する陸上パイプラインの基本設計等が行われております。また、海底を掘削して地層の状態を調査する必要があることから、9月17日には国が九十九里町から匝瑳市にかけての沖合を試掘が可能となる特定区域に指定するとともに、試掘の許可申請の受付を開始したところです。今後、試掘の結果等を踏まえて、令和8年度末ごろに民間事業者が事業実施の最終判断を行う予定となっています。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。
(説明者井上容子君登壇)
○説明者(井上容子君) GXへの取組について、CCUの導入に関する御質問ですが、CCUは二酸化炭素を回収、利用することであり、温室効果ガス削減の手段として環境負荷を低減する重要な役割を果たすと同時に、経済的な価値をも生み出すことができる技術とされています。県内でも京葉臨海コンビナートの企業において、二酸化炭素から燃料となるメタンを生成するカーボンリサイクルなどのCCUの技術開発に取り組んでいますが、社会実装されるまでには膨大な開発費用や設備投資が必要となります。県としては、国や各企業の動向を注視するとともに、各産業界における技術開発や社会実装を後押しするため、引き続き国に対し支援の働きかけを行ってまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 教育長杉野可愛君。
(説明者杉野可愛君登壇)
○説明者(杉野可愛君) カーボンニュートラルに関する教育についての御質問ですが、カーボンニュートラルの実現に向けては、県民、企業、行政などあらゆる主体がそれぞれの役割を自覚し、主体的に行動していくことが求められており、家庭や学校における児童生徒への教育についても、その重要性を増しています。そこで、マインクラフトを活用した温暖化対策の取組を体験できるコンテンツや、気候変動問題について自ら考え、取り組むきっかけとなる映像教材、地球温暖化についてクイズ形式で考えるドリルなどを作成するとともに、専門講師による出前講座を実施しています。また、理科や社会科などにおいて、地球環境や資源・エネルギー問題について体系的に学んだり、総合的な学習の時間では、探究課題の1つとして環境問題を取り上げるなど、様々な学習機会を通じ、持続可能な社会の創り手の育成に努めているところです。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 防災危機管理部長青柳徹君。
(説明者青柳 徹君登壇)
○説明者(青柳 徹君) まず、南海トラフ地震の減災対策についての御質問ですが、国が今年3月に公表した南海トラフ地震における本県の被害想定は、前回の平成24年と比較すると、建物被害は減少見込みであるものの、死者数については200人増の最大1,800人と想定されたところです。想定死者数については、全て津波に起因するものであり、迅速な避難行動が被害軽減につながることから、平時から避難経路の確認や非常用持ち出し品の準備など、津波に対する備えを万全にしておくことが必要です。県としては、引き続き市町村と協力し、県民の早期避難の重要性を周知するとともに、津波避難訓練を実施するなど、津波に対する減災対策に取り組んでまいります。
次に、富士山の噴火に伴う降灰対策に関する御質問ですが、県では、降灰による被害を軽減するため、リスクの洗い出しを行うとともに、県の降灰対策としての取組をまとめた富士山等の噴火に伴う降灰対策に関する対応指針を令和4年3月に策定したところです。このたび、国において新たに首都圏における広域降灰対策ガイドラインが策定され、自宅などで生活を継続することを基本とすることや、降灰量などのステージに応じた被害の状況と降灰対策の基本的な考え方などが示されました。県としては、国のガイドラインを踏まえ、対応指針の見直しを進めるとともに、火山灰がもたらす影響や備蓄の必要性などについて、引き続き県民や事業者等に周知啓発を行ってまいります。
次に、孤立集落対策緊急支援補助金についての御質問ですが、県では、能登半島地震において多くの孤立集落が発生したことを踏まえ、昨年度、孤立集落対策緊急支援補助金を創設し、令和8年度までの3年間で備蓄の強化や避難施設の整備など、市町村による孤立集落対策の支援に集中的に取り組んでいるところです。具体的には、水、食料などの備蓄や蓄電池、ソーラーパネルの購入、のり面崩落による被害を防止する擁壁の設置のほか、ドローンの購入及び市町村職員による操縦技術の習得など、行政としての対応能力の向上にも活用されています。今年度は、令和7年8月末時点で16市町村163集落において孤立集落対策の強化を計画しており、県としては、引き続き市町村の取組を幅広く支援することで、対策の強化を図ってまいります。
次に、防災士の必要性についての御質問ですが、NPO法人日本防災士機構が認証する防災士は、防災に関する様々な知識と技術を備え、自ら身の安全を確保し、地域住民の避難誘導や避難所の運営支援など、自助、共助の理念に基づき地域を守る存在として様々な場面で活躍をしています。認証が開始された平成15年以降、全国に広がっており、本県でも令和7年8月末時点で9,391名の方が登録されています。県では、防災訓練における啓発活動や防災研修センターにおける研修への講師派遣など、平時から防災士が所属する団体と連携した取組を行っているところであり、防災士は地域防災力の向上に大きな役割を果たす存在と認識しています。
最後に、防災士資格の取得支援についての御質問ですが、防災士の資格を取得するためには、日本防災士機構が認証した研修機関が実施する防災士養成研修講座の受講や、防災士資格取得試験に合格することなどが必要になります。県内19市町村において、防災士の資格取得に関する研修や試験などにかかる費用への助成制度を設けて防災士の養成に取り組んでおり、県では、この助成を行う市町村に地域防災力充実・強化補助金により財政支援を行っているところで、県内の防災士登録者数は増加傾向にあります。引き続き、地域の防災活動を主導できる防災リーダーを養成するための支援に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 天野行雄君。
○天野行雄君 回答ありがとうございました。それでは、2回目の質問と要望を申し上げます。
新たな産業・地域づくりにおいて、激動する世界情勢の中で注視すべきポイントは、世界的なサプライチェーンの変革、カーボンニュートラルやGXへの取組がポイントになり、これはピンチであるとともに経済規模拡大のチャンスとも捉えられます。調査時期は令和5年度であり、調査では、そのような視点からの報告内容はない様子です。様々な要因により世界のサプライチェーンの変革やカーボンニュートラルへの対応が進行する中で、千葉県の経済規模拡大と活性化につながる県内産業の在り方や産業構造について調査、分析、検討を行い、千葉県が進むべき産業振興の方向性を中長期的な視点から示してください。
また、理想的な将来像の地域として、千葉県経済を牽引する京葉臨海コンビナートが対象に入っておらず、将来像に触れられていないことに疑問を持ちます。カーボンニュートラルの実現に向け新技術の確立を目指す多くの企業、世界的なサプライチェーンの変革やカーボンニュートラルにより大きな影響を受けるエネルギーや化学、鉄鋼産業が集積されている京葉臨海コンビナートの調査、分析を行い、明確な将来像を示してください。
次に、GXに取り組む姿勢について回答いただきましたが、産業分野別に取り組むべき方向性を明確に示し、戦略的に新産業の創出を目指して取り組んでください。また、回答いただいたCCU事業では、新産業の誘致に向けて取組をお願いします。
以上3点、要望とさせていただきます。
次は電力の安定供給ですが、再エネ100%で電力供給をすると公約に掲げている政党もありますが、私は非常に厳しいと考えています。再エネ電源は気象条件により出力変動するのは避けられません。その過不足した電力を補う火力発電所などの調整電源が必要となります。今後、蓄電池や燃料電池への代替も進みますが、それだけでは補い切れません。火力発電所の早期廃止を求めている政党もありますが、代替する調整電源の在り方についても示す必要があると思います。将来の調整電源として期待される燃料電池や蓄電池はコストが高く、電気料金の高騰も懸念されます。出力調整が難しい再エネの割合が拡大すると、電力系統の制御は非常に難しくなります。スペインのブラックアウトの原因は調査中ではありますが、再エネ電源の拡大が影響していることが想定されています。欧州の電力網は各国を連携しており、自国の電力が不足したときには隣国からの電力供給に頼ることが可能ですが、日本にはありません。再エネ王国と言われるドイツは原子力発電所を停止しましたが、原子力で発電したフランスからの電力供給がないと安定供給は不可能な状況です。ドイツからフランスへの電力輸出を1とすると、フランスからの輸入は約26という状況です。海外のエネルギー政策の動向を、資源エネルギー問題懇話会で前年度調査をしましたが、イギリスは一貫して再エネと原子力、これでなければカーボンニュートラルの達成とエネルギーセキュリティー確保は無理と断言しています。欧州では、原子力発電を推進または検討する国が増加傾向です。原子力発電を撤退したイタリア政府は、2027年中に原子力発電再開に向けた法令などを整備することを明らかにしました。2035年末までに段階的に閉鎖する予定のスペインも、原子力発電の閉鎖をめぐる議論を再開しました。ドイツも、政権の交代により原子力利用に対する姿勢の変化もささやかれています。これらもウクライナ侵略などによるエネルギーセキュリティーが危惧される中での現実的な選択であると思います。
さらに、企業ではRE100やスコープ1、2、3の導入が進んでおり、再エネや原子力発電などのクリーン電源の必要性が高まっていることも事実です。日本では、核エネルギー発電である次世代新炉や開発中の核融合発電を含めた電源のベストミックスが重要な要素となります。電源構成は各国のエネルギー自給率や現在の電源構成、さらに地域特性や地政学的条件などにより総合的な判断をすべきです。日本で安定的な電力供給を継続していくためには、偏った電源に集中するのではなく、エネルギーのベストミックスが必要であり、現実的なエネルギー政策を推進することを提案します。
次に、CCSについてですが、現在の取組状況は理解しました。県としてCCSの円滑な導入を図るため、事業に対する支援が必要と考えます。首都圏CCS事業に対して、県はどのような支援をしていくのか、お答えください。
続いて、防災士について追加して質問します。防災士資格の取得拡大に向けてどう取り組んでいくか。
以上、2回目の質問といたします。
○議長(武田正光君) 商工労働部長関雄二君。
○説明者(関 雄二君) 首都圏CCS事業に対する県の支援に関する御質問ですが、CCS事業の導入を進めていくためには、現在行われている調査、設計からインフラ整備に至るまで莫大な費用を要することから、国の責任において継続的な財政措置を図るよう要望しているところでございます。また、首都圏CCS事業では、陸上パイプラインの調査等の際に、県が道路の占用許可等の手続に関わることとなるため、関係部署間で情報共有をしっかり図ることなどにより、許可等の手続や地元関係者との調整が円滑に進むよう協力してまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 防災危機管理部長青柳徹君。
○説明者(青柳 徹君) 防災士資格の取得拡大についての御質問でございます。県では、地域防災力充実・強化補助金によりまして、防災士資格の取得支援に取り組む市町村への財政支援を行っておりますけれども、これまで活用していない市町村にも働きかけを行うなど、防災士資格の取得拡大につなげてまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 天野行雄君。
○天野行雄君 ありがとうございました。回答にあったように、県としてCCS事業が円滑に進むよう地域対策を含め支援を要望させていただきます。
次に、防災士ですが、まず市町村における防災士資格の取得支援の拡大への取組を要望いたします。
次に、輪島市の能登半島地震における災害対策の総評によると、市内に防災士は875名おり、輪島市の総合防災訓練や研修会の開催を通じて活動の支援要請をしてきたが、今回の災害では、一部の防災士は避難所等で活動があったが、全体としては活動が少なかったと総括をしています。今後に向けて防災士が組織的に高い機能を発揮できるよう、体制の見直しを必要としていると、これからの改善点を示しました。千葉県として、防災士がより高い機能を発揮するための条件整備について検討し、対応されるよう要望をいたします。
最後といたしますが、私的なことですが、私は子供の頃、真空管やトランジスタのラジオの組立てが大好きなラジオ少年でしたが、今は死語です。電子部品も真空管からトランジスタ、IC、LSIと技術革新を目の当たりにしてきました。その頃から日本の電子技術は世界のトップレベルに躍り出し、1988年、日本の半導体の世界シェアは50%を超え、私は日本の国を誇りに思っています。その後、日米半導体協定などの影響もあり、シェアは1桁まで下落し、失われた30年とも言われる日本経済の長期停滞期に突入しました。今月7日、NHKスペシャルで北海道のラピダスが放映され、2ナノ相当の半導体の基幹部品の試作に成功したという放送を見て涙が浮かびました。知事が誘致を考える先端産業には半導体産業も視野に入っています。私は技術立国日本の復活を夢に見ていますし、その一翼を千葉県が担う姿を想像するとぞくぞくします。熊谷知事、日本の国際競争力を高めて、千葉県経済のさらなる活性化を図り、夢や希望に向かって人生に挑戦できる、そして子供たちに誇れる日本の復活に向けて頑張りましょう。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(武田正光君) 次に、森 岳君。
○森 岳君 皆さん、こんにちは。自由民主党、木更津市選出の森岳でございます。今議会におきまして質問の機会をいただきました先輩、同僚の皆様方には心より感謝を申し上げます。
それでは、通告に従い質問に入らせていただきます。
初めに、建物の断熱化への取組についての質問です。
本年3月、私はちば自民党青年局・青年部主催の県内視察にて千葉商科大学を訪問しました。そこで拝見したのが、学生団体が主催する断熱DIYワークショップであります。この取組は、学生が自ら教室の二重窓化や壁面への断熱材設置を行い、建物の断熱性能を向上させるものであり、改修後の教室は未改修の部屋と比較して、体感でも分かるほど温度差があり、その効果を実感することができる、とてもすばらしい取組であると感じました。建物の断熱性を高めることで、健康で快適な室内環境の実現に加え、冷暖房などのエネルギー消費量の削減にもつながり、ひいては温室効果ガスの排出削減にも寄与いたします。
地球温暖化対策が喫緊の課題となる中、建物の断熱性向上の重要性はますます高まっています。本県においても建物の断熱化を一層推進するため、県が主導的な役割を果たすべきと考えております。
そこでお伺いします。県として建物の断熱化を積極的に推進すべきと考えるが、どうか。
家庭や事業所における断熱化の取組を促進していくためには、県自らも庁舎などの県有施設において率先して取り組んでいくことが必要であると考えています。現在、県では老朽化が進む県有施設の建て替えなどを順次進めていますが、その際には、環境負荷の低減にも留意しながら取り組んでいるとのことであります。断熱性を高めることは、まさに環境負荷の低減に大きく資する取組であり、また県民に施設を快適に利用していただくことにも資することから、県有施設の断熱化を積極的に推進していくことが重要であります。
そこでお伺いをいたします。県有施設の断熱化について、どのように取り組んでいるのか。
次に、県民活動の推進についての質問であります。
人口減少や少子高齢化の急速な進行に伴い、社会情勢が大きく変化する中、地域が抱える課題はますます複雑化、多様化し、行政による対応だけでは限界があると認識しています。こうした状況において、ボランティア活動をはじめとする自発的な社会貢献活動の重要性は、これまで以上に高まっています。私自身も地元木更津市でビーチクリーン活動などに参加していますが、こうした活動は地域の課題解決に寄与するだけでなく、参加者が社会の役に立つ喜びや充実感を感じることができます。また、活動を通じて地域への愛着がさらに高まり、地域をもっとよくしたいという思いにもつながっていくことを実感しています。県では、こういった活動を県民活動と位置づけ、千葉県県民活動推進計画を策定し様々な取組を進めております。昨年12月議会で私が質問したボランティアマッチングサイト「ちばボランティアナビ」では、令和4年1月の開設以来、特に若い世代を中心に登録者は急増し、現在、3,000名を超える方が登録していると伺っております。この千葉県県民活動推進計画は、今年度末で計画期間が終了予定となっておりますが、ボランティア活動の輪を広げ、多くの県民の皆様に活動に参加していただけるよう、引き続き取組を推進していくことが必要と考えます。
そこでお伺いします。次期千葉県県民活動推進計画の策定に向けた検討状況はどうか。
次に、治安対策についてお伺いをいたします。
県警によりますと、本年7月末時点の電話de詐欺被害の認知件数は677件で、前年同期比で170件増加し、被害額は約42億5,000万円と、前年同期比で約25億5,000万円の増加と聞いています。認知件数、被害額ともに大幅な増加となっており、深刻な状況であると認識しています。特に認知件数等が増加した要因の1つとして、オレオレ詐欺の一種である偽警察詐欺の増加が問題となっています。この詐欺は、犯人がLINEなどに被害者を誘導し、警察官や検察官を名のり偽の逮捕状の画像を見せるなどして被害者を信じ込ませ、金銭をだまし取るというもので、非常に悪質かつ手口も巧妙であると伺っています。偽警察詐欺による被害が急増していることから、これ以上の被害拡大を防ぐため、迅速な対策が求められております。
そこで2点お伺いをいたします。
1つ、県内における偽警察詐欺の状況と増加の要因はどうか。
2つ、偽警察詐欺に対する県警の対策はどうか。
続いて、自動車盗についてであります。
県警によりますと、令和6年中の本県における自動車盗難事件の発生件数は706件で、前年比で40件減少しており、本年7月末時点では344件、前年同期比で107件減少しているとのことであります。また、令和6年中の検挙件数は331件、検挙率は約46.9%で、前年比で検挙件数は141件、検挙率は21.4ポイント増加し、本年7月末時点では、検挙件数が219件、検挙率は約63.7%となり、前年同期比で検挙件数は23件減少したものの、検挙率は10ポイント増加していると伺いました。県警の皆さんの御尽力により着実な成果が上がっているところであります。
しかしながら、新聞報道等によると、全国的には前年を上回る自動車盗の発生が認められ、本県は減少しているとはいえ、昨年は全国ワースト3位となるなど、依然として発生件数が高い水準にある状況であります。この現状を踏まえると、これまでの対策に加え、さらなる対策が必要であると考えます。
そこでお伺いをいたします。自動車盗の効果的な取締りに向けて、今後、県警ではどのような対策を講じていくのか。
次に、農業の持続的発展に向けた取組についての質問であります。
米や野菜などの価格については、連日のようにテレビや新聞等で報道されております。こうした報道を目にするたびに、私たちの食卓を支える米や野菜などがどのように作られているのか、消費者に生産現場の状況に関心を持ってもらうことは重要であり、改めて食育の大切さを実感しているところであります。加工食品や外食が普及したことなどにより、農産物に直接触れる機会が減り、農業の生産現場と食卓との距離も広がり、生産者と消費者との関係性が希薄化しております。その結果、農業の生産現場の事情をよく知らない消費者も増えており、食を支える農業への理解が深まらないことを懸念しています。ある若い農業者に聞いた話では、小学生を対象とした農業の体験学習は行われていますが、中学生以上の若い世代や大人が農業の現場を知る機会は十分とは言えないとのことでありました。確かに中高生になると、そういった学習の時間はほとんどないのが現状だと思います。こうした状況を踏まえると、小学生のみならず、多くの県民が生産者の努力や苦労を実感し、農業の生産現場を身近に感じられる機会が必要なのではないでしょうか。
そこでお伺いをいたします。消費者が農業への理解を深めるための取組を進めるべきと考えるが、どうか。
続いて、地域計画についてお伺いします。
地域農業経営基盤強化促進計画、いわゆる地域計画は、将来の農地利用の姿を明確にし、担い手への農地の集約化により安定した農業経営の実現を目指すものであります。農業の持続的発展に向けた極めて重要な計画であり、策定に当たっては、地域の実情を踏まえた目標設定と具体的な施策を構築するため、市町村をはじめ関係機関が一体となって取り組むことが必要であります。特に計画策定の過程では、市町村が定期的に地域の農業者や関係団体などが参加する協議の場を設け、地域の課題や目標について議論を深めることが求められております。県は、これまで市町村や農業委員会に対して支援を行うことで、計画策定の後押しを行い、その結果、地域計画は昨年度までに一定数が策定されたと伺っております。しかし、地域計画により各地域の農業が持続的に発展していけるよう、今後は定期的に地域の実情を踏まえた見直しを行うことになっていますので、引き続き県において十分な支援を行っていくことが必要だと考えます。
そこでお伺いします。県は地域計画の策定主体である市町村に対し、計画の見直しに向け、どのように支援していくのか。
続いて、農業事務所の普及指導員の育成についてであります。
農業の振興を図る上で、農業者が直面する様々な課題を解決し、経営を持続的に発展させていくことは重要であります。そのためには、現場で農業者と直接向き合い、栽培指導や経営指導などを行う普及指導員は、農業振興の要を担う欠かすことのできない存在であります。農業の現場では、担い手の高齢化や減少に伴う産地の維持、生産資材の高騰、新規就農者の地域への定着、近年の気候変動、特に高温化の影響による収量や品質の低下など、課題が山積し、非常に厳しい状況であります。このような複雑かつ多岐にわたる課題に対応するためには、普及指導員の中でも、特に経験豊富で特定の品目に精通した高度な知識や技術を有するスペシャリストの果たす役割はますます重要になっています。しかしながら、経験豊かなベテラン普及指導員が退職すると、スペシャリストが不足し、現場の農業者のニーズに十分に応えられなくなることが懸念されますので、スペシャリストをいかに育成し、確保していくかが重要であると考えます。
そこで伺います。普及指導員の中で、専門性の高いスペシャリストの育成について、どのように取り組んでいるのか。
次に、東京湾の漁業についての質問であります。
木更津市地先に広がる盤洲干潟は、昔からアサリやノリなどの多くの魚介類が水揚げされる好漁場として知られており、また潮干狩りは木更津市の重要な観光資源にもなっております。この重要な資源であるアサリの漁獲量は長らく低迷が続いていたところであり、令和4年の県議会において、資源回復に向けた県の取組について伺ったところであります。その後、地元のスーパーでも木更津産のアサリを販売しているところを見かける機会が増え、私自身、消費者の立場としてアサリの漁獲量が増えていることを実感しております。最盛期とまでは難しいかもしれませんが、引き続きアサリの漁獲量を増やしていくためには、これまでの取組を維持、発展させていく必要があると考えます。
そこでお伺いをいたします。アサリの増産に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。
最後に、木更津港についての質問であります。
木更津港は、木更津市、君津市、富津市にまたがる重要港湾であり、県南部地域の経済社会基盤を支える工業港であります。この港は京葉臨海工業地帯の一翼を担い、鉄鉱石などの外貿貨物や砂、砂利といった内貿貨物の取扱いを中心に発展してきました。また、近年では中古自動車の輸出拠点にもなっており、背後地域だけでなく本県経済を支える大変重要な役割を担っているところであります。しかしながら、社会情勢や港を取り巻く環境の大きな変化に対応していくために、木更津港は港湾計画の改訂が必要となっております。このため、この改訂に先立ち、目指すべき将来像となる長期構想が本年2月に策定されました。そして現在、港湾計画の改訂に向けて、木更津港港湾計画策定検討会が5月に立ち上げられ、検討が進められていると伺っております。
一方、木更津市では、港を中心としたまちづくりの推進及び地域住民が海に親しむための港湾施設などを整備するパークベイプロジェクトを進められています。このプロジェクトの一環として、現在、市が駅前から海に向かう歩道において、アーケードの撤去や無電柱化などの再整備を行っているところであります。これに連携する形で、駅に最も近い木更津港の吾妻地区では、将来的に交流厚生用地や港湾緑地の整備を予定しています。しかし、この整備を進めるためには、現在、吾妻地区に停泊している砂、砂利を運搬する小型作業船を木更津南部地区に移動させる必要があります。ところが、移動させる計画はあるものの、木更津南部地区には受け入れるための船だまりが整備されておりませんので、木更津港のさらなる発展に向けて、この船だまりの整備は急務となっているところであります。
そこで質問します。木更津南部地区における小型船だまりの整備に向けた取組状況はどうか。
続いて、港湾の脱炭素化についてであります。
将来の海面上昇は、世界中で甚大な被害をもたらす可能性が指摘されております。加えて、近年の酷暑や集中豪雨など、気候変動の影響と見られる異常気象が頻発していることからも、環境対策の強化は喫緊の課題であります。港湾や臨海部では、サプライチェーンの拠点となる多くの産業が多数立地しており、これらの地域は環境負荷を低減しつつ、温室効果ガスの排出削減の大きなポテンシャルを有する地域でもあります。特に鉄鋼業やエネルギー産業などの重化学工業に関連した施設が集積する木更津港において、脱炭素化の推進は、単なる環境保全にとどまらず、関連する産業の持続性を確保し、港湾の競争力を強化する上でも非常に重要であると考えます。
こうしたことから、県では、木更津港、そして千葉港におけるカーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガスの排出削減目標や具体的な取組を示した港湾脱炭素化推進計画を策定したと伺いました。脱炭素の取組を一層加速させるため、この計画の具体的な実行が求められているところであります。
そこでお伺いいたします。港湾の脱炭素化に、今後どのように取り組んでいくのか。
以上で壇上での質問を終わります。執行部の皆様には前向きかつ明瞭な御答弁をお願いいたします。(拍手)
○議長(武田正光君) 森岳君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 自民党の森岳議員の御質問にお答えいたします。
まず、次期県民活動推進計画の策定についての御質問にお答えいたします。
地域コミュニティーの機能低下が進む中、福祉や防災、子育てなどの様々な分野で、多岐にわたる地域課題が山積をしています。県では、これらの課題解決に自発的に取り組む県民や団体を支援するため県民活動推進計画を策定し、各種事業に取り組んでいるところです。これまで県民活動への参加や多様な主体による連携、協働を促進してきた中で、ボランティア活動への参加意欲が世代により異なるなどの課題が明らかになるとともに、連携、協働の取組を通じて地域の課題解決にとどまらない新たな地域の魅力や資源を発見する活動も生まれています。このため、次期計画では、各世代のライフステージに応じた参加機会を提供していくとともに、連携、協働の取組をより一層推進し、新たな価値の創出につながる取組も支援をしていきたいと考えています。今後、有識者や市民活動団体関係者で構成する県民活動推進懇談会での御意見などを踏まえ、年度内に計画を策定し、地域のみんなの力で未来を共に創る千葉県を目指してまいります。
次に、農業への理解を深めるための取組についての御質問にお答えいたします。
県では、消費者が様々な体験を通じて農産物の生産から消費までのプロセスや、地元で生産される食材、地域の食文化などを知ることができるよう食育の取組を進めているところです。具体的には、学校において地域の生産者などと連携した出前授業や栽培活動等の取組を推進するほか、今年度は新たに学生などの若い世代を対象に、生産現場の見学や生産者との意見交換の場も設けることとしています。また、幅広い世代を対象に、誰もが楽しめる観光農園や農業体験施設などの魅力をポータルサイトで発信するとともに、種まきから収穫、調理までの体験活動を提供する食育ボランティアや食育サポート企業を登録し、希望者とのマッチングを図るなど、その活動を支援しているところであり、引き続き食に関わる様々な関係者と連携しながら、農業への理解を深める取組を進めてまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。
○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。
(説明者井上容子君登壇)
○説明者(井上容子君) 建物の断熱化の推進に関する御質問ですが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅や建築物の脱炭素化を進めるためには、空調などのエネルギー消費量を削減させる建物の断熱性能の向上は重要です。このため、県では、住宅の窓断熱改修や窓や壁などの断熱性能を大幅に向上させたネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHの取得に対する補助を実施するとともに、中小事業者等を対象に、建物の断熱工事に対して補助を行っています。このほか、ZEHの無料宿泊体験の実施や「県民だより」などを通じた普及啓発にも取り組んでおり、今後も家庭や事業者における建物の断熱化等による脱炭素化を促進してまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 総務部長前田敏也君。
(説明者前田敏也君登壇)
○説明者(前田敏也君) 県有施設の断熱化についてお答えいたします。
断熱化など省エネルギー性能の向上は、県有施設における環境負荷の低減に加え、施設環境の改善、エネルギーコストの削減などの効果もあることから、重要な取組であると考えております。現在進めている県有施設の建て替え等では、窓への断熱性の高い複層ガラスの使用や、屋根や壁への断熱材の使用など、建物の断熱性能の向上を図っているところです。引き続き県有施設の整備に当たっては、環境負荷の低減に努めるとともに、ライフサイクルコストにも配慮しながら断熱化を進め、省エネルギー化を図ってまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 警察本部長青山彩子君。
(説明者青山彩子君登壇)
○説明者(青山彩子君) 私からは治安対策についてお答えいたします。
まず、偽警察詐欺の状況等に関する御質問ですが、令和7年7月末における偽警察詐欺の認知件数は231件、被害額は約28億300万円で、前年同期に比べ、認知件数は200件、被害額は約23億3,300万円の大幅な増加となっております。この手口の被害者は、10代後半から各世代満遍なく幅広い年齢層となっております。また、犯行にはプラスで始まる国際電話や、末尾が0110の電話番号を使用してLINEに誘導し、LINEのトーク機能を利用して偽警察官の画像や動画を見せた上で、捜査名目で金をだまし取るこうかつな手口であることが、増加につながっているものと考えられます。
次に、偽警察詐欺の対策に関する御質問ですが、偽警察詐欺は高齢者以外の被害が多いことから、SNSで偽警察詐欺の手口に関する広報動画を配信するなど、幅広い世代に対する広報啓発に取り組んでおります。また、犯人からの電話の多くに国際電話が使われていることから、こうした電話に出ないよう、あらゆる機会を捉え、固定電話に対する国際電話着信ブロックの利用のほか、携帯電話には着信拒否設定や電話着信規制アプリの利用などを呼びかけております。
最後に、自動車盗対策に関する御質問ですが、県警としては、防犯カメラ捜査等の初動捜査を徹底し、実行犯の早期検挙に努めるとともに、突き上げ捜査により、その背後にいると思われる指示役、さらには首謀者等の上位被疑者を検挙し、犯罪組織の壊滅を目指します。また、盗品の処分先の摘発、壊滅も重要であることから、盗難自動車の保管・解体場所、不正輸出の拠点となっている悪質な自動車ヤードを徹底的に取り締まり、盗品流通経路の遮断を目指します。引き続き広域・複雑化する自動車盗に的確に対応するため、他の都道府県警察や税関等の関係機関と連携し、真に実効性のある捜査を推進してまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 農林水産部長高橋輝子君。
(説明者高橋輝子君登壇)
○説明者(高橋輝子君) まず、地域計画の見直しに向けた市町村に対する支援についての御質問ですが、地域計画は農業経営基盤強化促進法に基づいて、地域ごとに将来の農地利用の姿を明らかにするための計画ですが、策定後の取組を通じて地域の新たな課題などが明らかになっていくため、随時見直しされることが重要です。計画の策定に当たっては、市町村や農業委員会に対し、地域における協議が円滑に運営されるよう話合いをまとめる手法の研修や専門家の派遣などを行うとともに、県職員が運営方法の助言をするなど支援してきたところです。計画の見直しに当たっても、毎年行われる農業者や地域の関係者による協議が効果的に進められるよう、県職員が積極的に参画して、他地域の担い手の情報や先進的な事例などについて紹介するなど、市町村支援に取り組んでまいります。
次に、普及指導員の育成についての御質問ですが、農業者のニーズや課題が複雑・高度化している中で、普及指導活動を行うためには、高度な専門的知識や技術を持ちながら、産地等の状況に応じて的確に指導できる人材の育成が重要であると認識しています。このため、県では普及指導員に対して、水稲、野菜、畜産等の分野別の研修などを実施することに加え、より専門性を高めるため、イチゴやネギなど本県の主要品目については、さらに特化した指導力向上研修を実施しているところです。さらに、より高度な専門知識を持った本庁職員が現地に赴いてアドバイスを行うなど、引き続き専門性の高いスペシャリストの育成を図ってまいります。
最後に、アサリの増産に関する取組についての御質問ですが、本県のアサリの漁獲量は、魚類や鳥類などによる食害や波浪による稚貝の流出などにより減少が続き、平成30年には過去最低の10トンまで落ち込みました。このため、県では食害を防止する囲い網の設置や食害生物の駆除、稚貝の流出を防止する砕石による漁場造成などを支援した結果、令和5年の漁獲量は239トンに回復しています。今後も水産総合研究センターにおいて、管理作業が省力化できる囲い網の手法の検討を行うとともに、稚貝の生育に適した藻場の管理などを推進し、アサリの増産に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 県土整備部長四童子隆君。
(説明者四童子隆君登壇)
○説明者(四童子隆君) 小型船だまりの整備に向けた取組状況の御質問ですが、木更津港においては木材の取扱いが終了したことから、木更津南部地区の木材取扱施設を廃止して小型船だまりを整備することとし、本年3月に港湾計画の変更を行いました。木材取扱施設では、原木を係留するため、多数のくいが設置されていたことから、現在そのくいの撤去等に向けて、関係する港湾利用者との交渉を進めているところであり、木更津南部地区の小型船だまりの整備を早期に実施できるよう取り組んでまいります。
次に、港湾脱炭素化の取組についての御質問ですが、県では温室効果ガスの削減目標や水素、アンモニア等の供給目標を定め、港湾管理者と立地企業等の脱炭素化に向けた取組等を取りまとめた千葉港・木更津港港湾脱炭素化推進計画を本年3月に策定したところです。本計画において、県では港湾活動に伴うCO2排出量削減のため、公共埠頭での照明施設をLED化するとともに、船舶版アイドリングストップとして、停泊中の船舶へ電力を供給する設備の設置等を行うこととしております。今後、本計画に基づき、港湾機能の高度化を脱炭素化に配慮しながら進めるとともに、立地企業と連携を図り、港湾の脱炭素化に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 森岳君。
○森 岳君 それぞれに御答弁をいただきまして、ありがとうございました。再質問と要望をさせていただきます。
最初に、建物の断熱化への取組です。今年の夏も本当に暑く、県内でも猛暑日が続き、建物の断熱化は地球温暖化対策の観点から重要でありますが、個人的には快適な住環境の確保の面で非常に重要であると強く感じたところであります。本年4月から新築住宅で断熱等級4級以上が義務づけされましたが、住宅分野における断熱化は、まだまだこれからといった状況と認識しています。既に県でも家庭や事業者における建物の断熱化を促進しているとのことでありますが、建物の断熱化についてしっかりと理解を深めていただけるよう、普及啓発も含め、一層の取組促進を図っていただくとともに、県立学校も含めた中で、県有施設における積極的な断熱化にも取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、県民活動の推進は再質問いたします。多岐にわたる地域課題の解決には、これまで以上に多様な主体が連携、協働して取り組むことが求められております。答弁にもありましたように、多様な主体による連携・協働は、単に地域の課題解決にとどまらず、地域の新たな魅力を生み出し、さらなる地域の発展へとつながる好循環を生み出すことも期待されると考えております。現行の計画においても、多様な主体による連携、協働の促進を重要な柱として掲げ、各地域において取組も進められていると承知しております。しかしながら、持続可能な地域づくりを実現するためには、こうした取組をさらに進化させ、より幅広い主体の参画を促すことが必要と考えます。
そこでお伺いいたします。県では、これまでどのように連携、協働の推進に取り組み、今後どう推進していくのか。
次に、治安対策であります。偽警察詐欺の被害は、千葉県だけでなく全国的に増加している問題で、社会的な関心が高く、不安に感じている県民も多いと思います。この詐欺による本県の被害額は約28億円にも上り、さらに、被害は10代の若者も含む幅広い年齢層に広がっているとの答弁を伺い、誰もがその標的となり得ることを考えると、改めて強い危機感を覚えたところであります。県民の大切な財産を守るためにも、関係機関や団体などと協力し、若い世代を含めた全ての世代が自分事として防犯意識を高められるよう、手口の周知等の広報啓発に努め、被害を食い止めていただくよう要望いたします。
続いて、自動車盗についてですが、県警では、犯罪組織の壊滅や盗品流通経路の遮断に向けた取締りに尽力され、広域化する自動車盗にも他都道府県警察や関係機関と連携して対応するなど、しっかりと対策に取り組んでいただいていることが分かりました。引き続き千葉県に犯罪組織を入れないよう、検挙と抑止の両面から各種対策に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
次に、農業の持続的発展に向けた取組であります。農業を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。特にコスト上昇が大きな負担となっており、適切な価格転嫁が行われないと経営が圧迫されてしまいます。農業の持続的発展のためには、コスト削減や効率化だけではなく、消費者と生産者との信頼関係を築くことも重要であります。消費者が生産者の努力や苦労を理解し、また、生産現場を知ることで、農業に関する関心や理解が深まるものと考えますので、今後も食育や農業体験など、消費者と生産者が直接つながる取組を積極的に進めていただくよう要望いたします。
続いて、地域計画でありますが、地域計画は地域農業の持続的発展を支える重要な計画であり、国の各種補助事業とも密接に連携しています。これに伴い、農業者が国の施策から取り残されることがないようにするために、県は市町村の地域計画の見直しに際し、円滑に見直しが進められるように、また、より実効性のある内容になるように、積極的な支援をしていただくよう要望いたします。
また、普及指導員の育成についてでありますが、専門性を高めるため、様々な研修等を通じて取り組んでいることが分かりました。本県の農業は地域ごとに多様な特色を持っておりますので、それぞれの地域で盛んな品目に対する専門的な支援が重要となります。各地域における農業の競争力強化や持続的な発展を支えるため、地域の特性に即したスペシャリストを配置できるよう、引き続き効率的、効果的な普及指導員の人材育成に努めていただくよう要望いたします。
次に、東京湾の漁業に関してでありますが、アサリの漁獲量は囲い網などの取組が効果を発揮し、一定の成果が見られる状況に一安心したところであります。しかしながら、東京湾ではアサリのほかにも、ハマグリ、カレイ、アナゴなど、かつて豊富だった魚介類の水揚げが依然として低迷しております。東京湾漁業の復活には漁場環境の改善が不可欠でありますが、漁場環境の悪化は様々な要因が複合的に作用しているため、抜本的な対策を講じるのは難しい課題であると認識しております。つきましては、アサリの増産に向けた取組を引き続き推進するとともに、漁場環境の改善に向けて、関係者や漁業者の声を十分に反映しながら、一丸となって効果的な対策に取り組んでいただくよう要望いたします。
最後に、木更津港に関してでありますが、パークベイプロジェクトはみなとまち木更津の再生を目指し、官民連携による地域の特色を生かしながら、駅前から港周辺の活性化を図る木更津市にとって非常に重要な事業であります。特ににぎわい拠点の一部となる吾妻地区の交流厚生用地等の整備には、砂・砂利運搬船の移動先となる木更津南部地区の小型船だまりの整備が必要となります。県としても市とも調整しながら、小型船だまりの早期整備に向け、しっかり取り組むよう要望いたします。
また、港湾脱炭素化については、港湾、臨海部には温室効果ガスを多く排出する産業が集積しており、産業構造の転換や競争力の強化にもつながるものと考えております。計画の実現には官民がしっかりと連携して取り組んでいく必要がありますので、県にはぜひ主導的な役割を担うとともに、率先して取組を進めていただきますよう要望いたします。
以上、2回目の再質問と要望です。
○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。
○説明者(井上容子君) 連携、協働の推進に関する御質問ですが、県では、これまで先進事例を紹介する協働のまちづくりセミナーの開催や、優れた取組事例を表彰するちばコラボ大賞の実施などにより、市民活動団体、企業、学校など多様な主体が各地域で連携、協働する機運を高める取組を進めてきたところでございます。今後もより豊かな地域社会の実現に向けまして、連携、協働による地域づくりを一層推進するため、次期計画においても施策の柱の1つとして位置づけ、取組を進めたいと考えております。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 森岳君。
○森 岳君 ありがとうございました。地域課題の解決に向けて多様な主体が連携することは、地域の魅力を高め、住民の参画意識を向上させるのに重要であります。次期計画においては、ボランティア活動、市民活動団体、企業、学校など多様な主体による連携、協働のさらなる促進を図り、地域社会がより豊かになるよう取組を進めていただくよう要望いたします。
以上で私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(武田正光君) 暫時休憩します。
午前11時26分休憩
午後1時0分開議
○議長(武田正光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により関政幸君。
○関 政幸君 皆さん、こんにちは。千葉市緑区選出、自民党会派の関政幸です。今回、登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚の皆様に感謝を申し上げます。
早速、質問に入らせていただきます。
最初のテーマは、フェーズフリーの考え方を踏まえた取組の推進についてです。
災害のために特別に備えるだけではなく、日常のものが災害時にも役立ち、あるいは災害用のものが日常でも役立つという平時と災害時を問わず施設や物品等を活用する考え方、いわゆるフェーズフリーの考え方については、政府の骨太の方針に記載されるようになり、また、今議会で審議中の新総合計画案にも記載されております。先日の我が党の小路正和議員の代表質問や高橋秀典議員の質問でも取り上げられましたので、私は、お2人の質問を踏まえながら伺ってまいります。
フェーズフリーは、あらゆる場面に様々ありますので、行政から県民一人一人まで、それぞれできる取組の積み重ねにより、本県防災の底上げ、すなわち防災力の総合的向上に大きく寄与するものであります。午前中、天野議員の質問がありましたが、南海トラフや首都直下型地震、さらに富士山大噴火、こういった広域複合災害の場合に、底上げが絶対必要だというふうに私は考えております。マンホールトイレやローリングストックがよく例に挙げられますが、環境、農業、商業、教育、あらゆる分野において、ちょっとした発想の転換や工夫を加えることで、防災力強化にも資する一石二鳥、三鳥、四鳥にもなる、そういったフェーズフリーがたくさんあります。例えば学校教育の場面では、算数の授業で速さ、距離、時間の関係を学ぶ際に、津波の速度を用いて、津波の到達時間や避難場所までの距離と避難に要する時間を計算する学習が挙げられます。津波の速さや自分たちが住んでいる地域で実際に逃げるために要する時間を計算して実感するといった、子供たちの防災意識の向上にもつながる取組です。こういった取組の展開は、ちょっとした発想の転換や工夫、発見などから無限の可能性を秘めていますので、先行事例を参考にしながら、実践を通じてアイデアやノウハウを蓄積し、また、それを活用し、あるいは活用してもらい、また蓄積していくという好循環をつくっていけるものであり、その好循環をつくっていかなければなりません。
先日の小路議員への答弁で、県は、市町村等へのフェーズフリーの考え方についての丁寧な情報提供や助言を行い、県民や事業者等への周知啓発や理解促進をしていくこと、また、高橋議員への答弁で、様々な分野にフェーズフリーの考え方が取り入れられるよう庁内の連携を図っていくとしています。いずれも好循環の構築に欠かせないことです。さらに私は、県民や市町村への普及啓発における説得力と、部局横断的な取組の実効性を高める県庁内の土台づくりが必要と考えます。その土台づくりの第一歩は、担当業務を問わず、全職員に日頃から意識を持ってもらうことであります。日頃から、もしかしたら何かできるかも、あるかもと意識を持ったり、時折考えたり、少なくとも頭の片隅にあることが大事です。そのためには、フェーズフリーの考え方の理解と様々なアイデアやノウハウといった知見を習得するための機会と充実した研修が欠かせません。そして、職員から新たな発見が生まれて実践され、アイデアやノウハウの蓄積となり、それを活用し、また発見、蓄積していく、この好循環をまず県庁につくり、さらに、市町村や県民へと広げていくべきであります。
そこで、まず伺いますが、新総合計画案への記載を受けて、今後、フェーズフリーの考え方を取り入れた防災力の向上につながる取組を、どのように進めていくのでしょうか。また、全職員が意識を高めるための研修の実施や、庁内でアイデアやノウハウの蓄積と実践の好循環を構築していくべきではないでしょうか。
続いて、本庁舎や議会棟などの建て替えの検討がスタートしておりますので、これらの施設には、より積極的にフェーズフリーの可能性を追求していくべきです。この点、現在の県有建物長寿命化計画では、施設の基本的な性能項目に加えて、「留意すべき事項」として「防災対策」の項目に必要な取組の推進の記載がありますが、そこにフェーズフリーは明記されておりません。
そこで、県有施設の整備において、フェーズフリーの考え方をより積極的に取り入れるべきではないでしょうか。また、県有建物長寿命化計画に、その取組を明記すべきではないでしょうか。
さらに、ルールへの明記も必要です。この点、千葉県防災基本条例では、第8条で県の責務として「県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、基本理念にのっとり」、「防災対策を総合的に推進する」と定めています。そして、第3条は、「防災に関する対策は、次の各号に掲げる事項を基本理念として行われる」と定めます。フェーズフリーの考え方は、この防災対策の基本理念の各事項と同レベルで列挙すべきものですので、お配りした資料1のように、条例第3条に新たな第4号として、「平時と災害時の区分にとらわれず、施設、物品、サービス等を活用する考え方を踏まえた取組みを行うこと」とする規定の追加が必要です。平成25年12月議会で制定された同条例は、我々議員発議ではなく、執行部から提出されたものですので、今回は見解を伺います。
そこで、基本理念にフェーズフリーの考え方を踏まえた取組を行う旨の事項を追加するなど、千葉県防災基本条例を改正すべきではないでしょうか。
続いてのテーマは、水道施設の災害対応についてです。
現在検討されている県営水道料金の値上げの主な理由には、老朽化した水道施設や管路の更新と耐震化が挙げられています。この点、県水道事業運営審議会の部会が取りまとめた管路や施設の更新についての基本的な考え方には、管路の耐震化については、液状化による管路被害が特に想定される地域に埋設された管路や、災害拠点病院、防災拠点の最重要給水施設につながる管路について、目標使用年数にとらわれずに耐震化を行うとされています。管路の長さは9,000キロ以上にもなりますので、欠かせない優先づけですが、災害発生時も送ることができる浄水の確保がこの大前提となります。そこで、論理的順番から最優先であるべき浄水を作るところまでの過程、すなわち川からの取水施設、導水管、浄水施設までの急所施設と導水管に絞り、今回は災害対応の状況を伺います。
そこで、まず地震への対応についてですが、県営水道において、各浄水場で浄水を作るという基本的な観点から、取水施設から導水管を通じた5つの浄水施設について、レベル2地震動、震度6強から震度7までの対応が全て完了しているところは、どの浄水場ですか。
続いて、レベル2地震動の対応が完了していないものについて、今後、どのように整備を進めていくのでしょうか。
また、各地域が送配水管でつながっているネットワークを踏まえ、浄水場で浄水が作れない場合に、他施設からのバックアップ体制はどのようになっているのでしょうか。
続いて、同様に、水道用供給事業の統合がされる九十九里地域と南房総地域について、取水施設から導水管を通じた浄水場までの施設についてはどうなっているのでしょうか。
次に、富士山噴火等による降灰への対応です。県の指針では、1707年の宝永噴火に近いケースのシミュレーションにおいて、東京湾湾岸から本県内陸にかけて、2センチから8センチの降灰が予想されています。この場合には、火山灰特有の水質汚濁も課題に加わります。
そこで、富士山噴火等による降灰があった場合、浄水処理過程でどのように対応するのでしょうか。また、県内浄水施設の対策状況と今後の対応をどう進めていくのでしょうか。
続いてのテーマは、がんセンターのハイパーサーミアについてです。
ハイパーサーミアは、熱に弱いがんの特性に着目した温熱治療の医療機器です。平成30年12月議会において、その導入を求める2万1,768名の請願の採択と、さらに医学的観点、病院経営的観点及び本県のがん政策的観点の検討を求めた附帯決議を受けて、今和2年10月、がんセンター新病棟に設置されました。設置に至るまでには、標準治療と併用して行い、身体への負担が軽いという特徴、がん対策推進条例の第13条に定める研究に寄与する可能性、当時、近隣都県にはあって本県になかったことによる患者の方のニーズ、採算性など総合的な検討がされたわけですが、稼働開始からもうすぐ5年になります。
そこで、ハイパーサーミアの稼働状況はどうでしょうか。
また、医学的観点からのがん患者への治療効果や経営的観点からの費用対効果をどう捉えているのでしょうか。
続いては、AEDの使用及び心肺蘇生法の実施についてです。
先日の我が党の宮坂奈緒議員が女性へのAED使用について質問されましたが、AEDは、できる限り24時間365日、誰もが誰に対しても利用できる効果的かつ効率的な設置が望ましいです。この点、私が担当した昨年6月議会での我が党の代表質問では、公共施設におけるAEDの屋外設置の必要性を取り上げましたので、その後の進捗を伺います。
そこで、公共施設における屋外のAED設置の取組状況はどうでしょうか。
続いて、AEDは誰もが利用できる仕様、性能であるべきです。この点、平成29年2月議会の私の質問では、聴覚に障害のある方や難聴の方が利用できる液晶ディスプレーにより操作方法の表示があるAEDを取り上げ、設置対応を要望しました。その当時、AED条例だけでなく、手話言語条例や障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例の趣旨からも求めたものです。昨年1月1日に施行された多様性尊重条例も同様の趣旨でしょうし、さらに、成田空港があり、インバウンドに力を入れている本県は、外国人の利用にも対応が必要です。
そこで、県有施設におけるディスプレー表示のあるAED設置状況はどうでしょうか。特に本庁舎等や千葉聾学校に設置されているAEDの状況はどうでしょうか。
さらに、救助実施者が外国人であることに配慮した、外国語対応のAEDの設置状況と今後の設置に対する考えはどうでしょうか。
次に、令和5年のデータによれば、本県で年間1,515件、1日当たり約4件、一般市民の方が要救助者に対しAEDの使用及び心肺蘇生法の実施が求められるような状況が発生しています。ちゅうちょすることなく、できる限り速やかに実施できる環境づくりが大事ですが、実施は、そう簡単なことではなく、とても勇気が要ると思います。また、トラブルやリスクを心配する声も聞かれます。法的な観点からいえば、通常の実施で救助実施者が民事なり刑事なりの法的な責任を問われるケースはまずなく、仮に万が一賠償を求める民事裁判を起こされたとしても、適切な応訴で棄却されるため、責任を負うこともありません。ただ、憲法で保障された裁判を受ける権利が誰にもあることから、この万が一の場合でも、勇気ある救助実施者を厚く支援するための条例第13条及び14条の規定があります。
そこで、この運用状況に関して伺いますが、まず、条例の制定から現在まで、本県でAEDの使用や心肺蘇生法の実施が行われたケースは累計で何件でしょうか。
また、これまでに、条例に定める救助実施者への支援規定の利用状況はどうでしょうか。特に、万が一への備えとして、訴訟費用の貸付けとその免除を定めた条例規定の適用場面はどうですか。また、適用状況を踏まえて、今後どのような啓発を行うのでしょうか。
続いてのテーマは、公文書管理と条例制定についてです。
昨年12月議会では、歴史的価値のある公文書の誤廃棄や所在不明事案の再発防止の徹底と公文書管理について、デジタル技術の活用を含む取組の推進などを後押しすべく、県当局に条例制定を求める請願が採択されました。私は紹介議員の1人ですので、状況を確認します。
そこで、公文書管理の在り方検討及び条例制定の検討について、現在の取組状況はどうでしょうか。
続いて、適切に管理、保存する公文書の前提として、そもそも作成しなければならない公文書を、条例制定の際に整理して規律する必要があります。特に政策や施策の決定に当たり、メリット、デメリットの検討などは、プロセスとしても大事ですし、その内容が適切に記録され、文書として作成されなければなりません。ここは、後世の人々が生かせるように残すという点だけではなく、行政評価の場面や、我々議員が県民から負託されたチェック機能を全うするために、その資料としても大変重要です。
そこで、県の意思決定の経緯等を行政文書で作成することについて、明確に規定すべきではないでしょうか。
最後のテーマ、千葉市や緑区の課題については2点。
1点目は、長柄浄水場からの千葉市営水道への送水についてです。
今議会では、九十九里地域及び南房総地域の水道用水供給事業を統合し、統合後の水道用水供給事業を県企業局で経営するための条例改正案が提出されています。これが可決され、さらに統合実施後のことにはなりますが、長柄浄水場から千葉市水道事業地域、主に土気地域への送水が検討されています。実現となれば、千葉市には保有する未活用水源の活用による水源費用の二重負担の解消や、老朽化した土気浄水場の廃止などを図ることができ、一方、県においては、統合後の長柄浄水場の稼働率向上や用水供給事業の収入増につながるメリットがあります。
そこで、水道用供給事業の統合が予定されている九十九里地域と南房総地域ですが、統合後における長柄浄水場からの千葉市営水道への送水について、課題等の整理をどのように進めているのでしょうか。
千葉市や緑区の課題の2点目は、誉田駅前交番の設置についてです。
JR外房線の誉田駅周辺では、宅地開発による世帯数が増加しています。近隣の小学校の児童数も増え、令和7年4月には973名となり、第2グラウンドが必要な状況です。また、ネクストコア千葉誉田の企業立地により、働く人の駅利用も増え、外国人も見られるようになりました。駅の1日の平均乗車人員も、令和2年度5,478人から令和6年度7,072人へと増えています。この点、誉田駅の隣にある鎌取駅と土気駅には駅前交番がありますが、誉田駅にはありません。現在、誉田駅南口側では、道路改良に併せたロータリーの整備が予定されております。
そこで、JR外房線の誉田駅前の交番の設置については将来的にどうでしょうか。
以上、1回目です。よろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(武田正光君) 関政幸君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 自民党の関政幸議員の御質問にお答えいたします。
まず、フェーズフリーの考え方を踏まえた県有施設の整備に関する御質問にお答えします。
県有施設は災害時には防災施設としての役割も担うことから、施設の整備に当たっては、平常時と災害時との状況を区別しないフェーズフリーの考え方を踏まえていくことは重要と認識をしています。このため、県では防災拠点となる合同庁舎において、太陽光発電設備や蓄電池を設置するほか、災害対策本部の支部としての機能を発揮するため、複数の会議室の間仕切りを可動式とし、大規模な会議スペースとして使用できるようにすることなどを原則として整備を進めているところです。フェーズフリーの考え方については、今後も積極的に取り入れながら、防災力強化に資する県有施設の整備などを推進するとともに、新たな総合計画の策定を踏まえ、県有建物長寿命化計画へも記載をしてまいります。
次に、公文書管理の検討状況に関する御質問にお答えいたします。
県では、公文書管理の今後の在り方を検討するため、7月に各部の次長や公営企業、行政委員会の文書関係課長等で構成する庁内検討会議を開催し、デジタル化に対応した文書管理や制度の見直しの必要性、今後の検討の方向性等について認識の共有を図りました。また、今後の検討の参考とするため、本庁や出先機関の複数の所属を対象に、文書管理の現状に関するヒアリング調査を行っていますが、その中では、現行の総合文書管理システムの改善や、許認可や補助金など申請を伴う業務に係る一層の効率化を求める意見などがあったところです。県の文書管理は、県の業務や各種手続全般に関わり、県民や事業者への影響も大きいことから、そうした点も考慮しながら、今年度中を目途に公文書管理の見直しの方向性を取りまとめた上で、次年度以降の検討につなげてまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。
○議長(武田正光君) 防災危機管理部長青柳徹君。
(説明者青柳 徹君登壇)
○説明者(青柳 徹君) まず、フェーズフリーの考え方を踏まえた県の取組についての御質問ですが、県では、避難所などとなる県立学校や公共施設において、太陽光発電設備や蓄電池の整備を進めるとともに、電気自動車を災害時に電源として活用する取組など、フェーズフリーの考え方を取り入れた施策を進めてきたところです。今回、新たに総合計画案にフェーズフリーの考え方を明記したことを契機に、さらに取組の幅が広がるよう、今ある施設や設備の災害時の活用可能性や具体的な活用方策の洗い出しについて、庁内の連携を図りながら進めてまいります。さらに、職員向けの研修の実施や、先行する取組の共有など、フェーズフリーの考え方や施策を全庁的に広げていく効果的な手法についても検討してまいります。
最後に、千葉県防災基本条例についての御質問ですが、県では、防災意識の高揚や防災人材の育成により、地域防災力の向上を図ることを目的とし、県民や事業者、自主防災組織、県などおのおのの役割や取組事項を具体的に定めた防災基本条例を定めています。自助、共助、公助が一体となり、平時から継続的に防災対策に取り組むことをうたう防災基本条例の理念は、フェーズフリーの考え方も包含するものと考えており、防災啓発サイト「じぶん防災」や防災副読本「こども防災」などにおいて、フェーズフリーの具体例などを含め、その考え方の周知を行っています。引き続き防災研修センターにおける研修や市町村に対する助言など、様々な機会を通じて普及・啓発を図るとともに、国や他の都道府県の動向も注視しながら、県民に対しフェーズフリーの考え方のさらなる理解促進に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 企業局長野村宗作君。
(説明者野村宗作君登壇)
○説明者(野村宗作君) 県営水道における取水施設から浄水施設までの耐震化状況に関する御質問ですが、県営水道の5つの浄水場施設のうち、江戸川から取水しているちば野菊の里浄水場については、平成14年度に整備を始めた比較的新しい施設であることから、取水施設から浄水施設までの一連の施設で震度6強から7程度、いわゆるレベル2地震動に対応しているところです。その他の整備から長い年数が経過している4つの浄水場においても、関連する取水施設等も含め、大部分はレベル2に対応しているところですが、施設の一部分については未対応となっております。
今後どのように水道施設の耐震化を進めていくかとの御質問ですが、浄水場等の耐震化に当たっては、多大な費用を要するほか、浄水処理を長期間停止しなければならないため、その間の安定給水に支障がないよう、施設ごとに工事の時期を分散し、段階的に取り組んでいく必要がございます。このため、被災した際の水道使用者への影響等を踏まえ、浄水処理能力の大きい浄水場などを優先して、順次耐震化を推進しているところでございます。
次に、他施設からのバックアップ体制に関する御質問ですが、県営水道では震災などにより一部の浄水場が停止した場合でも、他の稼働が可能な浄水場等から水を融通できるよう管路のネットワーク化などを図っており、バックアップ体制を確保しているところです。具体的には、県営水道内において他の浄水場からの供給量を増やすとともに、予備水源である井戸の活用を図ること、また、他の水道用水供給事業体からの受水を増量することにより水を確保し、送配水管のネットワークを利用し、被害のあった浄水場の配水区域等への給水を可能な限り維持することとしております。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 総合企画部長三神彰君。
(説明者三神 彰君登壇)
○説明者(三神 彰君) まず、九十九里・南房総地域の各浄水施設の耐震化状況やバックアップ体制に関する御質問ですが、来年度から県企業局に統合となる九十九里地域水道企業団は、光、東金及び長柄の3つの浄水場を、南房総広域水道企業団は大多喜浄水場を保有し、現在運用しております。レベル2の地震動に対しては、光及び大多喜の浄水施設は対応済みですが、東金及び長柄の浄水施設では一部の対応にとどまっています。また、他の施設からのバックアップについては、現在対応できておりません。これらにつきましては、今後、統合基本計画に基づき、レベル2に対応するための改良工事を行うほか、九十九里地域の3つの浄水場間を結び、現在休止している連絡管の運用再開に向けた整備を実施するなど、統合後も災害に強い水道施設の構築に取り組んでまいります。
次に、火山灰への対応に関する御質問ですが、富士山の噴火等が発生した場合、火山灰により水源となる河川の濁度の上昇や、火山ガスが溶け出すことによる酸性化、また、ろ過池の目詰まり等が予想され、浄水処理過程では、浄水薬品の注入量を増やしたり、開口部をシート等で覆うなどの対策を行うことになります。県ではそれぞれの施設の状況に応じて、噴火発生時にも安定して給水が確保できるよう、必要な浄水薬品の確保や施設を臨時的に覆うシート等の準備などについて、県内事業体に対し助言してまいります。なお、県内浄水施設のうち、屋外に設置されており開口部を有する36の浄水場中12の浄水場では、汚染防止対策として既に施設の覆蓋化が行われており、火山灰にも対応できる状況です。
最後に、長柄浄水場から千葉市営水道への送水に関する御質問ですが、長柄浄水場と千葉市営水道施設との間を新たに送水管でつなぎ水の有効活用を図ることについては、現在、県及び市などの関係者で構成する実務検討会において具体的な協議を行っているところです。協議に当たり整理すべき項目や課題は多岐にわたりますが、現在は長柄浄水場から千葉市側の施設までの間の想定される送水ルートや送水方法、各種手続の内容など、検討の初期段階となる項目の整理に着手しているところです。今後はこれらの項目について、事業認可を所掌する国等の関係機関への確認作業を進めるとともに、追加すべき検討事項や課題への対応策などについて、検討会での議論を深めてまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 病院局長山崎晋一朗君。
(説明者山崎晋一朗君登壇)
○説明者(山崎晋一朗君) 私からはがんセンターのハイパーサーミアに関する2問にお答えいたします。
まず、稼働状況についての御質問ですが、ハイパーサーミアは令和2年10月に新棟が開院した際、それまで県内においてほかに保有する医療機関がなく、都道府県がん診療連携拠点病院であるがんセンターとして、治療法の選択肢を広げることは有意義であるため導入したものです。導入直後の令和3年度の稼働件数563件に対し、直近の令和6年度は843件となっており、稼働件数は年々増加しています。
次に、治療効果と費用対効果についての御質問ですが、ハイパーサーミアはがんに対する電磁波温熱療法であり、放射線治療や化学療法と併用することによって治療効果を高めるとされています。経営的観点からの費用対効果については、稼働件数の増加に伴い医業収益も増加しており、現在の傾向が続けば、数年後には導入費用を回収できる見込みとなっております。がんに対しては様々な治療法がありますが、今後の医療の進歩に合わせ、ハイパーサーミアの活用も含め、患者の病状に応じた良質かつ適切な医療の提供ができるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 保健医療担当部長山口敏弘君。
(説明者山口敏弘君登壇)
○説明者(山口敏弘君) 私からはAEDの使用及び心肺蘇生法の実施についてお答えいたします。
まず、屋外のAED設置の取組状況に関する御質問ですが、公共施設において管理者の不在時や施設の利用時間外であっても、誰もが使用可能な屋外にAEDを設置することは、AEDの使用率を向上させ、人命を救う可能性を大きく高めることにつながるものと考えています。このため、県では今年度、施設の利用時間外でも人通りが多くAEDの屋外設置が可能な状況にある県有施設として、千葉ポートパーク、富津公園、流山区画整理事務所、東葛飾地域振興事務所の4か所を試験的に選定し、年度内の設置を進めているところです。今後は、これらの施設における具体的な利用状況の検証等も行いつつ、市町村等に屋外設置の事例を紹介し、設置を呼びかけることなどにより、誰もが要救助者に対してAEDを使用できる環境づくりに取り組んでまいります。
次に、ディスプレー表示のあるAEDの設置状況に関する御質問ですが、ディスプレー表示のあるAEDは、従来の音声ガイドに加え、本体の液晶画面にイラストとメッセージで操作方法が表示されるため、耳が不自由な方などにとっても、より操作しやすいという利点があります。県有施設に設置されているAED784台のうち、本年8月1日現在、ディスプレー表示のあるAEDは204台で、このうち本庁舎等にある6台には全てディスプレー表示があります。また、千葉聾学校にある2台のAEDにはディスプレー表示がありませんが、現在、ディスプレー表示のあるAEDを新たに2台設置する準備を進めているところです。
次に、外国語対応のAEDの設置状況等に関する御質問ですが、外国語にも対応できるAEDについては、一部の県有施設に設置されていることは承知していますが、県全体の設置状況は把握しておりません。まずは県有施設における設置状況を調査するとともに、救助実施者が外国人であることに配慮したAEDに求められる機能や、必要性の高い設置場所などについて研究してまいります。
次に、AEDの使用や心肺蘇生法の実施状況に関する御質問ですが、本県におけるAED使用等の件数については、総務省消防庁が調査している救急搬送の対象となった心肺機能停止症例のデータにより把握しています。これによると、千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施の促進に関する条例が施行された平成29年から令和5年までの7年間で、心原性心肺機能停止における心肺蘇生法の実施は4,821件であり、このうちAEDが使用された件数は493件となっています。
最後に、条例に定められた救助実施者への援助の規定の適用状況等に関する御質問ですが、AED条例では、県は、要救助者にAEDを使用または心肺蘇生法を実施した者に対し、訴訟を提起された場合における訴訟費用の貸付け及び返還免除を行えることや、健康被害等が生じた場合に必要な情報の提供その他の適切な援助を行うことが規定されています。これまでの適用状況としては、健康被害等が生じた場合における援助として、感染防護せずに心肺蘇生法を行った者に対して検査費用を支出した事例が1件あるのみです。また、訴訟費用の貸付け及び返還免除の事例はありませんが、事例の有無を問わず、救助実施者がAEDの使用等をちゅうちょすることがないように、安心して救助を行えるための制度であることも含め、引き続きAEDの使用率向上に向けた普及啓発を行ってまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 総務部長前田敏也君。
(説明者前田敏也君登壇)
○説明者(前田敏也君) 行政文書作成の規定に関する御質問でございますが、県の行う事務については、緊急を要する場合や軽微な事項を除き、原則として行政文書によって処理することが千葉県文書管理規則及びその運用通知に規定されております。その上で、県の重要な政策決定等に係る意思決定過程を示す文書も、後日、事業実績や経緯について検証する観点から、重要な文書であると認識しているところです。県の意思決定の経緯等に係る文書の扱いについては明確な規定がないことから、現在進めている公文書管理の在り方検討の中で、国の公文書管理法なども踏まえながら、規定の明確化について検討してまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 警察本部長青山彩子君。
(説明者青山彩子君登壇)
○説明者(青山彩子君) 私からは千葉市や緑区の課題についてお答えいたします。
誉田駅前の交番設置に関する御質問ですが、交番設置は地域の治安情勢や人口、世帯数などのほか、既存の警察施設などとの位置関係を考慮し、総合的に判断してきたところですが、治安情勢や今後の人口動態等を踏まえると、県下の交番・駐在所の総数を増やすことは、現状においては困難と考えております。しかしながら、誉田駅周辺の整備事業の進展状況等を踏まえつつ、現在設置している最寄りの誉田交番の建て替え時期を捉え、同交番移転の要否について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 関政幸君。
○関 政幸君 答弁ありがとうございました。2回目ですが、まず、フェーズフリーの考え方を踏まえた取組についてですが、長寿命化計画への明記、速やかにお願いいたします。
フェーズフリーの考え方の基本的な出発点が、よりよい平時の追求からであり、それが災害時にもとなりますので、基本的に災害時を担当する防災危機管理部が重要な役割であるのは間違いないのですが、むしろ平時に関する業務を担う他部署こそが、実は肝になると思います。所管や担当を横断した作業は大変な負担を伴うことも想定されますが、新たなフェーズフリーの創出は、やりがいのあるクリエーティブな仕事だと思います。そして、その仕事の結果を適切に評価することが大事です。
そこで、職員のモチベーションを高めて好循環につなげる積極的なプラスの人事評価や仕組みの導入を要望します。
続いて、ここまでを前提に、部局横断で実施していただきたい具体的な取組について質問をします。
1つは、県立学校体育館のエアコン整備におけるフェーズフリーです。記録的な猛暑に対する子供たちの安全と教育機会の確保と、避難所になる場合への対応としての整備が急がれています。この点、先日我が党の渡辺務議員の質問であったように、ようやく今年度、中学校2校、特別支援学校5校及び高校2校の設計に着手したところであり、順調に工事が完了しても令和9年度から、さらに残りの体育館がある特別支援学校30校、高校119校については未定な上、予算と工事を考えれば、設置まで相当な時間を要すると考えられます。避難所になる体育館に絞っても、特別支援学校で22校、高校で108校にもなります。そこで、フェーズフリーの考え方で可搬式の空調設備―可搬式のエアコンや大型冷風機など複数考えられますが―に着目します。具体的には、平時は学校Aの体育館に置いて利用することとし、有事に避難所となればそのまま使用します。一方、そこが避難所とならず、ほかの学校の体育館や施設が避難所となる場合には、必要とする場所へ搬送して利用します。もちろん災害時における可搬式の空調設備の利用先の候補はあらかじめプランニングしておきます。また、学校Aの体育館の固定エアコン設置が完了した場合には、可搬式の空調設備は別の学校Bの体育館、あるいは学校Aの武道場やほかの施設などに移して、平時の基本的な利用場所を変更します。可搬式なので、平時でも様々な用途で柔軟に利用できる取決めも可能です。以上を全体育館の固定式エアコンの整備スケジュールと一緒に計画的に行うものです。
可搬式の空調設備の購入については、学校、教育委員会だけではなく、知事部局で行うことも考えられます。つまり、フェーズフリーの出発点を変えて、災害時のために知事部局が可搬式の空調設備を大量保有し、それを平時に県立学校体育館などに置いておく。これは保管の意味もあると思いますけど、そういった形を考えます。どこが主導するかを含め、部局横断的な取組となります。そして、財源には災害復興・地域再生基金を活用することが可能です。今年度末時点で現在高見込みは約363億円となります。
この点、私が担当した昨年6月議会の我が党の代表質問では、災害復興・地域再生基金が根拠条例の第5条により、災害の予防のために用いられることを踏まえて、「日本一の防災県に向け、基金の積極的活用を含め、災害予防につながる対策のさらなる強化」を求めたところであります。
今回取り上げた可搬式の空調設備の例は、有事に避難所での熱中症による2次被害、これはひいては災害関連死も含みます。こういったものを防ぐ県民の命を守るための災害の予防です。
そこで、県立学校の体育館の空調整備について、フェーズフリーの考え方を踏まえた利用計画を立て、可搬式の空調設備を導入してはどうでしょうか。また、財源に災害復興・地域再生基金を活用するなど、災害時の利用を含めて全庁で部局横断的な検討をしてはどうでしょうか。
さらに、それらの空調設備の電源は、災害時の停電対応を踏まえることがフェーズフリー的にも望ましいです。この点、既に太陽光パネルを設置している県立学校は39校あるようですが、現在、当局では、本県が日本の産出量の約8割、世界シェアでは約4分の1を占めているヨウ素を原料に用いたペロブスカイト太陽電池の率先モデル事業の実施を検討しているところです。仮にこの事業がどこかの県立学校で実施できれば、災害時に避難所になった場合の停電対応というフェーズフリーに加えて、平時の有用性として、原料であるヨウ素や再生可能エネルギーなどの環境問題に係る教育的な活用や、校舎壁面などのインパクトがあり目立つ場所への設置による学校の外観的特徴の付与、シンボル的役割の期待といった一石二鳥、三鳥、四鳥、こういったメリットがあると考えます。もしかしたら、老朽化した施設の全体的な印象も、先端技術品の輝きにより、少しは軽減できるかもしれません。
そこで、部局横断でフェーズフリーの考え方を踏まえながら、ペロブスカイト太陽電池の率先モデル事業の対象施設として県立学校を検討してはどうでしょうか。
次に、水道施設の災害対応についてですが、まず、県営水道において、取水施設から浄水施設までの一連の施設で、レベル2地震動までの対応が完了しているものは、現在のところちば野菊の里浄水場のみ、この水系ということでした。その他の分に関して事前に資料を頂いているんですけど、説明するともう質問が終わっちゃうんで割愛して、現実を踏まえて浄水処理能力の大きい浄水場等を優先した速やかな耐震化を進めてください。
統合後に用水供給事業を行う九十九里地域と南房総地域の取水施設から浄水施設までの一連の施設については、光浄水場と大多喜浄水場はレベル2地震動までの対応は完了しているとのことです。こちらも統合後には未対応の箇所の耐震化を計画的かつ速やかに進めてください。
富士山噴火による降灰対策についてですが、降灰は富士山からの距離や風向きの影響を受けるため、県内でも降灰が少量で浄水処理の影響が軽微にとどまる地域が生じる可能性があります。その意味でも、バックアップ体制とそのための管路ネットワークの強化、井戸の利用などは大事です。将来的に県内の事業統合がさらに進んでいくはずですので、その過程においては、経営基盤の強化や施設の合理化だけでなく、バックアップ体制の強化も図ってください。
がんセンターのハイパーサーミアです。利用状況はいいということです。実際、県病院局の経営は全体として厳しい状況にあると伺っております。引き続きこのハイパーサーミアを含めて、公立病院だからこそ期待される役割を果たしていってください。
AEDの使用及び心肺蘇生法の実施についてです。条例では、9月をAEDで命を救う勇気を持とう月間と定めています。これは県民の関心を特に喚起する目的で、普及啓発のための広報活動の強化を図ったものですが、それだけではなく、県当局においても、広報内容についてのブラッシュアップの機会として、またAED推進に関する施策の状況を確認していただく機会にもしていただきたいです。できる限り24時間365日、誰もが使える仕様のものを効果的かつ効率的に配置していくよう、引き続き求めます。
千葉市や緑区の課題のうち長柄浄水場からの千葉市営水道への送水についてですが、実現すれば、県、市双方のメリットとなります。統合後には迅速に動けるように、スケジュール感のある準備に努めてください。
誉田駅前交番の設置については、これにつきましては、統一的な設置基準は理解しております。今回は将来における柔軟な対応をお願いします。
以上、2回目です。
○議長(武田正光君) 教育長杉野可愛君。
○説明者(杉野可愛君) 体育館の空調整備に関する御質問ですが、県教育委員会では、議員御指摘のとおり、本年度避難所に指定されている県立学校の体育館の空調整備に着手したところであり、順次、整備を進めてまいります。
可搬式の空調設備は、災害時や空調整備完了後に学校間で移動して使用するなど柔軟な活用ができることから、フェーズフリーの考え方を踏まえ、災害復興・地域再生基金の活用という御提案もありましたが、そういった財源なども含めて、防災部局等と連携、相談しながら、他の自治体の取組状況等を研究してまいります。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。
○説明者(井上容子君) 次世代型太陽電池率先導入モデル事業に関する御質問ですが、ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟な特性を有することから、従来導入が難しかった箇所への設置が可能であり、蓄電池と併せて導入することで、停電時の電力の確保といった災害時のレジリエンスの向上にも資するものです。モデル事業としましては、この特性を生かしながら、横展開が可能であり、県として象徴的な意義を持つ施設や教育などの付加価値がある施設への導入が望ましいと考えており、県立学校も含めた県有施設への導入を検討しています。
以上でございます。
○議長(武田正光君) 関政幸君。
○関 政幸君 ありがとうございます。可搬式の空調設備ですけど、予算の参考となる東京都葛飾区の例がありました。ぎゅっと要約すると、1施設4台で約1,850万円、これを県立高校の体育館159なんで29億4,150万円。すると、災害復興・地域再生基金の約8.1%となります。可搬式の空調設備はいろいろありますので、速やかに研究を終えて、部局横断でより詰めた検討へと迅速に入っていただきたいです。繰り返しますが、全庁での部局横断的な検討を、基金の活用を含めて、よろしくお願いいたします。
また、ペロブスカイト太陽電池についてもしっかり検討してください。
防災基本条例の改正についてです。答弁ありました。資料1でお示しをしているように、ほかの条項との比較とか、あるいは裏側では計画案の記載、こういった立法事実も含めて、やっぱり苦しいと思うんです。今回は執行部提出ということですので、必要性を指摘するにとどめます。
ほかの質問とも関連するので2回目で触れなかった公文書管理と条例制定についてです。作成すべき公文書に関する規律ですが、条例で記載内容の詳細を定めることは、バランスから考えてもなじみにくいと思います。一方で、政策や施策の決定については、メリット、デメリットの整理などの検討過程を、どの部局においても適切な文書で残すべきですし、さらに先日の我が党の田中議員が質問で取り上げたEBPM、証拠に基づく政策立案に沿った検討とか、フェーズフリーの考え方の観点からの検討についても適切に記録がされ、文書化しておくことが、我々議会側としても非常に大事であります。
まだまだ条例は先なんですけど、案をお示しさせていただきました。資料2を御覧ください。ポイントは、実施機関の文書作成を定める包括的な条文、これとは別に、実施機関の職員による政策決定過程の記録という条文を、さらに設けるものです。ポイントは、作成に当たっての記録であります。具体的には、実施機関は、「政策、施策又は事業の決定するに当たっては」云々と書いてある。このとおりであります。第3項はフェーズフリーの考え方からの検討です。これは括弧を付したのは、ほかの条例などによって代替が可能だからです。
要望します。
1点目ですが、条例策定に当たり、文書の作成に係る規定について、議場配付した資料2のような政策決定過程の記録を規律する条文を設けてください。
2点目、記録に当たり、例えば我々議員が議会で行った質問や要望に対する検討や研究を記録する機会の漏れや、あるいはフェーズフリーの考え方からの検討を記録する機会の漏れを網羅的に防ぐAI等を用いたチェックシステムを導入する―これは会議録検索システムをベースに、技術的に多分可能だと思います―など、公文書の管理だけではなく、作成とその手前の記録においても積極的なデジタル技術の活用を求めます。フェーズフリー、我々もしっかりと一緒にやってまいります。
以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(武田正光君) 以上で質疑並びに一般質問を終結します。
議案付託
○議長(武田正光君) 議案第1号ないし議案第31号については、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。
決算認定の件
○議長(武田正光君) この際、お諮りします。決算認定については、17人の委員をもって構成する決算審査特別委員会を設置し、これに付託の上、その審査終了まで閉会中の継続審査に付することにしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武田正光君) 御異議ないものと認めます。よって決算認定につきましては、17人の委員をもって構成する決算審査特別委員会を設置し、これに付託の上、その審査終了まで閉会中の継続審査に付することに決定しました。
次に、お諮りします。本特別委員会に対し、地方自治法第98条及び第100条の権限を付与することとし、同法第100条第11項に基づく調査に要する経費の額を100万円以内とすることにしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武田正光君) 御異議ないものと認めます。よって本特別委員会に対し、地方自治法第98条及び第100条の権限を付与することとし、調査に要する経費の額を100万円以内とすることに決定しました。
次に、お諮りします。ただいま設置されました決算審査特別委員会の委員の選任については、お手元に配付の決算審査特別委員会委員指名表記載のとおり指名したいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武田正光君) 御異議ないものと認めます。よって決算審査特別委員会委員は指名表記載のとおり選任されました。
諮問第1号
○議長(武田正光君) 次に、お諮りします。諮問第1号について、地方自治法第206条第3項の規定により、議会は諮問を受けた日から20日以内に意見を述べなければならないことから先議したいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武田正光君) 御異議ないものと認めます。よって諮問第1号を先議することに決定しました。
議案付託
○議長(武田正光君) 諮問第1号を総務防災常任委員会に付託します。
総務防災常任委員会開催のため、暫時休憩します。
午後1時53分休憩
午後2時28分開議
○議長(武田正光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
諮問第1号審議
○議長(武田正光君) 休憩中に開催されました常任委員会の審査の経過と結果について総務防災常任委員会委員長の報告を求めます。総務防災常任委員会委員長宮川太君。
(総務防災常任委員会委員長宮川 太君登壇、拍手)
○総務防災常任委員会委員長(宮川 太君) 総務防災常任委員会に付託されました諮問1件の審査の経過と結果について御報告いたします。
諮問第1号審査請求に関する諮問については全員一致で、審査請求を棄却すべきである旨答申することに決定いたしました。
なお、審査の過程において当局から詳細な説明があり、質疑が行われたのでありますが、その主なものを要約して申し上げますと、「退職手当を全額不支給とした処分が妥当と考える理由は何か。また、過去に同様の処分事例がある場合、均衡は図られているのか」との質問に対して、「公金の不正受給を理由に懲戒免職となった本件の処分は、処分庁に委ねられた裁量権の逸脱等は認められず、妥当と判断した。過去の処分事例や他県の事例においても、退職手当は全額不支給となるのが通例であり、均衡を欠くものではない」との答弁がありました。
なお、一委員より、「当該職員に厳罰が科されるだけではなく、県民の信頼を失い、県政に大きな損失が生じるため、再発防止に向けてしっかりと取り組んでもらいたい」との要望がありました。
以上をもちまして総務防災常任委員会の報告を終わりにいたします。(拍手)
○議長(武田正光君) 以上で総務防災常任委員会委員長の報告は終わりました。
討論の通告がありませんので、討論なしと認めます。
これより起立により採決します。
諮問第1号について、総務防災常任委員会委員長報告のとおり、審査請求について、これを棄却すべきである旨答申することに賛成の諸君は御起立願います。
(賛成者起立)
○議長(武田正光君) 起立全員。よって諮問第1号は総務防災常任委員会委員長報告のとおり、審査請求について、これを棄却すべきである旨答申することに決定しました。
休会の件
○議長(武田正光君) 日程第2、休会の件を議題とします。
お諮りします。9月24日は委員会審査準備のため、25日、26日、29日及び30日は常任委員会開催のため、10月1日は委員会予備日のため、また2日は総合調整のため休会としたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(武田正光君) 御異議ないものと認めます。よって9月24日ないし26日、29日ないし10月2日は休会とすることに決定しました。
なお、各常任委員会は、お手元に配付の常任委員会開催日程のとおり開催されますので、御了承願います。
以上をもって本日の日程は終了しました。
10月3日は午後1時から会議を開きます。
これにて散会します。
午後2時32分散会
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