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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和6年度農林水産常任委員会県外調査報告書
更新日:令和7(2025)年4月24日
ページ番号:752877
令和6年10月21日
千葉県議会議長瀧田 敏幸様
農林水産常任委員長 松崎 太洋
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和6年10月16日(水曜日)16時20分から17時30分
(2)調査項目:漁業と観光業の連携による地域活性化の状況について
(3)経過
初めに、ウトロ鮭テラスを視察した後、松崎委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、ウトロ漁業協同組合専務理事、斜里町議会議長から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、斜里町役場産業部水産林務課長から調査事項について説明があり、その後、随時質疑応答を行った。
最後に、松崎委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
ウトロ漁港は、鮭の水揚げ日本一を誇っており、平成28年には旧港から移転した新港に鮭の水揚げ・選別作業を真上から見学できるウトロ漁港人工地盤の供用が開始された。漁港の近くには、鮭・マスが遡上するペレケ川があり、水揚げの見学と併せて観光資源としても有望であったが、知名度が低く、見学に来る人が少ないという課題を抱えていた。また、鮭の水揚げ日本一についても、必ずしもブランド化に直結していないという課題があったことから、観光と漁業の相乗効果を目指す「鮭、日本一PR事業」を平成30年からスタートした。
これは、「知る」「見る」「食べる」の3つの要素で構成されており、まずシンボルマークの作成と展開により、「鮭、日本一」を知ってもらい、漁港を見る拠点にするために、全国から人工地盤の愛称を募集し、「ウトロ鮭テラス」に決定し、観光資源化する取り組みを始めたところである。
毎年、鮭漁がスタートする9月7日に漁協、自然ガイド、ホテル関係者などによるウトロ鮭テラス大掃除を実施し、大掃除後は地元のガイド事業者等を対象に、普段は立ち入れない場所での勉強会を開催し、観光客への情報提供につなげてもらう取り組みを行っている。毎年同じ時期に大掃除を行うことで、季節の話題としてニュース等でも取り上げてもらえるようになった。
また、令和2年からスタートした「知床鮭ウイーク」を令和5年からさらに充実させ、実施期間をこれまでの1カ月から盛漁期の10日に短縮し、毎日何らかのイベントを実施することで、内容をより充実させた。
期間中は、毎日地元ホテルなど3か所で鮭のスペシャリストによる鮭トークを実施している。また、実施ホテルには旬の知床鮭を毎日無償提供するほか、鮭テラスにキッチンカーを出店し、「食べる」ことで知床鮭を知ってもらう取り組みを行っている。
今後は、漁業と観光の双方にメリットが感じられる、地域の人に親しまれるイベントへと成長させたいと考えている。
(5)主な質疑応答
問:これらの取り組みで地域活性化にどのような効果があったのか。
答:魚価は全道の単価と比べてやや微増しているが、これが「鮭、日本一」の取り組みに由来するものなのか、市場の衛生管理等に由来するものなのか明確な分析はできていない。ただ、こういった取り組みを行うことで、漁業関係者、観光事業者の協力体制などの意識は着実に高まっている。
問:新たに漁港整備を行った理由はなにか。
答:旧港は面積が狭く、一度に4隻分しか水揚げ作業ができず、作業に時間がかかることから、鮮度の低下に伴う価格の下落といった問題があった。そこで、新港を整備することで、一度に7隻分の水揚げが可能となり、作業時間の短縮、衛生管理の向上にもつながった。
(1)日時:令和6年10月17日(木曜日)10時10分から11時45分
(2)調査項目:スマート農業に特化した人材育成について
(3)経過
初めに、松崎委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、岩谷学園ひがし北海道IT専門学校校長から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、同校科長から調査事項について説明があり、その後、同校教務主任の案内により施設を視察し、随時質疑応答を行った。
最後に、松崎委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
岩谷学園ひがし北海道IT専門学校は、根室管内における初の高等教育機関として令和6年4月に開校した。同地域では、若者が高校卒業後に地元を離れるなどの人材流出の課題を抱えていたことから、地域課題の解決のため、企業・町・学校が連携しながら一体となって、地域全体で学校づくりに取り組んでいるところである。
同校では、2年制の地域みらい情報テクノロジー科を設置し、農業酪農ITコース、商工業観光ITコースの2コースを設けている。農業酪農ITコースでは、スマート農業環境におけるIT分野の専門人材を育成するため、IT分野の基礎科目であるプログラミング基礎(Python)、IoT、統計、メタバースに加えて、スマート酪農や経営シミュレーション等について学ぶことができる。
学生にはスマート酪農を学ぶにあたり、まずは家族経営による従来型の牧場での実習を行い、現場での酪農の知識を学ぶこととしている。また、獣医師の協力を得て、牛の子宮に実際に触れて感覚を学ぶなどの実践的な授業を行っている。
地元の先進的取り組みを行っているメガファームやJAなどの団体と連携した実習や東京農業大学との連携授業を行っているほか、根室振興局・根室教育局との連携協定を結んでいる。
将来的には、家畜人工授精師の資格取得やスマート酪農について投資と酪農経営を理解する人材、新たなアイデアで新しいビジネスモデルの創出ができる人材の育成を目指していく。
(5)主な質疑応答
問:全国的に後継者不足による大規模化を目指す中で、ドローンなどの資格取得が必要となってくるが、たとえば全国の農業大学校から、資格取得のための短期での受け入れなどは検討しているのか。
答:要望があれば実習先とも連携して、短期での資格取得のための受け入れも検討しているところであるが、人員や金銭面との兼ね合いで実現していない。近い将来実現したいと考えている。
問:最先端の取り組みをしている中で、授業料等はどうなっているのか。
答:町と学校で新しいモデルをつくることを目指しており、土地については町から30年間無償で貸与を受けているほか、実習先企業・団体の厚意により実習費用についても現状は相当安価に抑えてもらっている。こうした町を挙げての協力により、優秀な学生については特待生制度などにより2年間の学費を無料としている。
(1)日時:令和6年10月17日(木曜日)13時5分から14時30分
(2)調査項目:酪農のDXについて
(3)経過
初めに、松崎委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム担当者から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、同担当者から調査事項について説明があり、その後、同担当者の案内により施設を視察し、随時質疑応答を行った。
最後に、松崎委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
株式会社ファームノートデーリィプラットフォームは中標津に第一牧場を置き、働く「人」と「牛」そして「環境」に配慮した酪農生産のDX化を推進。培った経験やノウハウを生産者に提供していくことで、省力化・ 生産性改善による生産者様の利益向上と酪農畜産業界の活性化を目指しているところである。
利益向上のポイントとしては、まず、ゲノム検査による牛群能力の底上げである。牛の遺伝子レベルから性質を分析し、ネットメリットというトータルバランス指標で牛を選択し、牛の生涯収益の向上に努めている。
2点目に個体販売単価の引き上げである。ゲノム検査により、後継対象外となった母牛に和牛受精卵を種付けし、生まれた和牛子牛は、ホルスタインよりも高価で販売することができる。
3点目に平均個体乳量の引き上げである。IoT・AI技術の活用によって牛の健康状態を維持し、発情発見から妊娠までの繁殖業務が効率化でき、平均個体乳量を引き上げることができる。
これらの取り組みにより、利益向上に努めている。
また、環境に配慮した取り組みとしては、糞尿の処理である。一般的な方法では糞尿を貯水槽で一年間ほど貯め続けているため、その間有害物質が常に出続けている状態になるが、当牧場では、長期貯留せず、糞尿を液体と固形に分ける機械を使い、液体についてはスラリーとして畑へ散布し、固形分については、牛舎のベッドとして再活用することにより環境負荷削減に取り組んでいる。
(5)主な質疑応答
問:ゲノム改良により、生産性、効率が上がるとのことだが、具体的にどのような牛が生まれ、効果があるのか。
答:乳成分の良さ、分娩能力の高さや病気へ抵抗性を持っているかなど、遺伝子の総合指標の高い牛を選別していき、よりよい牛群へしていくことを目的としている。
ゲノム改良前から、年間平均乳量が約30%増加し、乳房炎が年間22件から3件に減るなど様々な効果が出ている。
問:牛の搾乳についてはどのように行っているのか。
答:搾乳機を導入しており、牛が搾乳してほしいと感じたタイミングで搾乳機へ寄って来るため、それに応じて搾乳を行っている。また、牛の首にレスポンダーを付けており、搾乳機のゲートを通った際に自動的に記録されるようになっている。
(1)日時:令和6年10月18日(金曜日)8時50分から10時15分
(2)調査項目:市場施設の総合的な衛生管理対策及び海業の取組について
(3)経過
初めに、松崎委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、歯舞漁業協同組合専務から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、同専務から調査事項について説明があり、その後、歯舞漁業協同組合常務の案内により施設を視察し、随時質疑応答を行った。
最後に、松崎委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
歯舞漁港は本土最東端の北海道根室市東部に位置し、地区人口の約83%にあたる535漁家が歯舞漁業協同組合の組合員として漁業に従事している。
コンブ漁業、秋サケ定置網漁業やウニ漁業等、多種多様な漁業が営まれており、年間売上高は80~100億円程度となっている。
歯舞漁業協同組合は令和4年に組合施設を新たに建替え、隣接する人口地盤と一体となって、高度な衛生管理機能、水産物流通の効率化機能、防災・減災機能、都市漁村交流機能など、複合的な機能を有する施設となった。
歯舞地区を含む根室地方の太平洋沿岸は津波・高潮等による被害を多く受けており、津波・高潮等が発生した際には、防災監視室において災害情報をリアルタイムで把握し、漁業者に提供するとともに、人工地盤を活用して背後の高台にいち早く避難することができる。
歯舞こんぶ祭り等のイベント開催、本土最東端のパノラマクルーズ、漁業体験、渚泊等、都市漁村交流を通じた地域活性化に積極的に取り組んでおり、市場・セリ場等の一般見学スペース、パノラマクルーズの拠点、組合食堂、直売所等の様々な機能を兼ね備えた施設整備により、都市漁村交流の更なる推進をしている。
(5)主な質疑応答
問:歯舞漁港において、防災・減災対策への取組を進めるに当たり、特に留意している点をお聞かせください。
答:歯舞漁港BCPを作成して、発災後の連絡体制、役割や活動内容を事前に定め、被害に応じた処理ができるようになっており、いち早く生産活動を再開できるようにしている。
問:訓練は年間何回実施しているのか。
答:年間2回実施している。当地域は高台が少ないため、奥へ逃げるという意識で実施しているが、逃げ遅れた際は、当施設の4階に避難できるよう、防災グッズや食料等を備蓄しており、防災施設の整備がされている。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 松崎太洋 |
自民党 |
委員 |
酒井茂英 |
自民党 |
委員 |
木下敬二 |
自民党 |
委員 |
實川 隆 |
自民党 |
委員 |
竹内圭司 |
立憲民 |
委員 |
西尾憲一 |
平和党 |
委員 | 折本龍則 | 有 志 |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
農林水産部長 | 前田敏也 |
- |
農林水産部農林水産政策課長 |
齋藤和義 |
- |
農林水産部農林水産政策課副課長 |
本間正人 |
議事課主幹(併任) |
議会事務局政務調査課主査 |
庄司仁美 |
- |
議会事務局総務課主事 |
地引浩貴 |
- |
10月16日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
羽田空港 |
- |
12時20分 |
|
根室中標津空港 |
14時10分 |
- |
- |
ウトロ漁港 |
16時20分 |
17時30分 |
調査 |
宿舎 |
- | - |
- |
10月17日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 | - | - | - |
岩谷学園ひがし北海道IT専門学校 |
10時10分 |
11時45分 |
調査 |
株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム | 13時5分 |
14時30分 |
調査 |
宿舎 |
- | - |
- |
10月18日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 | - | - | - |
歯舞漁港 |
8時50分 |
10時15分 |
調査 |
根室中標津空港 | - |
15時30分 |
|
羽田空港 |
17時20分 | - |
- |
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