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診療科・部門紹介

呼吸器内科

診療科の紹介

集合写真

主な診療の対象疾患は肺癌です。役割として、診断のための気管支鏡検査と進行、術後再発肺癌に対する抗癌剤治療を主に担当しています。呼吸器外科・外来化学療法科・放射線治療部と綿密に連携をとりながら、専門的治療を組み合わせる事で、長期生存を目指した集学的治療に取り組んでいます。

化学療法は患者さんのQOL(生活の質)を考慮して生活と治療が両立できるよう、主に外来治療を中心に行っています。患者さんに起こり得る副作用症状についても、化学療法認定看護師をはじめとした専門スタッフと共に多角的にサポートしています。

転移病変については脳神経外科・整形外科・放射線治療部・緩和医療科など他診療科とも連携をとりながら、治療および症状コントロールにあたっています。特に、脳神経外科とは毎週カンファを行っています。肺癌では脳転移の頻度が高く、そのマネージメントは重要です。脳病変に対して、化学療法、放射線療法(SRS、全脳照射など)、手術からの治療法の選択についてなど、症例ごとに検討しています。当施設では、脳神経転移に関して複数の報告をしています。それらは日本の肺癌診療ガイドラインや海外の髄膜播種のガイドライン(ESMO)にも引用されています。

気管支鏡検査

肺癌の診断を確定するためには、気管支内視鏡検査で病変から検体を採取してがん細胞を確認することが必要です。近年、超音波と併用する超音波気管支鏡の発達により、診断率が向上しています。

具体的には肺病変には、ガイドシース併用気管支内腔超音波断層法(EBUS-GS)を用います。また、コンベックス型超音波気管支鏡(CP-EBUS)を用いることで気管支周囲のリンパ節病変の診断が行えます。単なる診断のためだけでなく、手術や放射線治療の適応を検討する上で重要な、リンパ節ステージングにおいてもコンベックス型超音波気管支鏡検査が利用できます。リンパ節ステージングにはPET-CTが非侵襲的で非常に重要な検査ですが、偽陽性を示すことがあります。CP-EBUSによる検査を組み合わせることで、より正確な手術や放射線治療の適応の決定が行えます。リンパ節ステージングにおいて、検査するリンパ節はサイズが小さいため、穿刺するにはそれなりの技術が必要になります。

当院では、以前より積極的にコンベックス型超音波気管支鏡検査を行ってきました。2008年から2017年までに2000件以上の患者さんにコンベックス型超音波気管支鏡検査を行い、診断や治療方針の決定に役立てています。

超音波気管支鏡

コンベックス型超音波気管支鏡

研究の進歩に伴い、肺癌の原因となる遺伝子が少しずつ分かってきました。同時にそれらに対する薬も開発されてきました。気管支鏡検査で採取した悪性細胞や組織を利用して病理診断するためだけでなく、複数の遺伝子異常の有無などを調べることによって治療薬を選択することも重要になってきました。肺癌診療ガイドラインにもこれらの検査を行うことが推奨されています。遺伝子検査を行うためにも超音波気管支鏡は有用と考えております。

当院では、気管支鏡検査から1週間程で、病理結果、EGFR変異、ALK免疫染色の結果を得ることができます。PD-L1免疫染色、ROS1遺伝子変異結果までは、通常10-14日程で結果を得ることができます。

遺伝子検査

がんゲノム医療を推進させるために、2018年春、厚生労働省により、がんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム連携病院が指定されました。当院もがんゲノム連携病院の指定を受けました。千葉県では千葉大と当院だけです。がんゲノム医療とは、がんの遺伝子情報を解析し、効果的な治療法の選択や開発を行っていくことです。

近年、次世代シークエンサー(NGS)という最新機器を用いて、少ない試料からでも多数の遺伝子異常が調べることができるようになりました。日本では2013年から我が国初の遺伝子診断ネットワークの臨床試験(LC-SCRUM-Japan)が開始となり、NGSを利用して解析しています。LC-SCRUM-Japanは、がんゲノム医療の先駆けと考えられます。当院は2013年12月からLC-SCRUM-Japanに参加しています。

LC-SCRUM-Japanでは、保険診療で調べることが出来ない200以上の遺伝子異常についてNGSを利用して調べることができます。

検査結果によっては、開発中の治験薬の治療を受ける機会を得ることができるかもしれません。このLC-SCRUM-Japanは、2016年11月NHKスペシャル「がん治療革命が始まった。プレシジョンメディスンの衝撃」で放映され、話題にもなりました。

2018年6月時点で当院からは150例以上の患者さんに登録して頂いていて、登録数は全国でもトップクラスです。当院では、ほとんどの症例で、コンベックス型超音波気管支鏡検査(CP-EBUS)で採取した検体を利用してきました。これは、複数の遺伝子検査を行うのに十分な組織量を採取できる程のCP-EBUSでの高い技術に基づいています。当院で気管支鏡検査を受けられた進行肺癌の患者さんは、LC-SCRUMに参加して頂くことが可能になりますが、いくつかの条件を満たす必要があります。LC-SCRUM-Japanに関しては、国立がん研究東病院のサイト(http://www.scrum-japan.ncc.go.jp/lc_scrum/)を参照下さい。
参加方法については、患者さん向け参加方法(http://www.scrum-japan.ncc.go.jp/participate/index.html)にも説明されています。試験の都合で、一時登録ができなくなることもあります。現在、通院されている病院があり、LC-SCRUM参加のために当院受診をご希望の方は、前述の国立がん研究東病院のサイトを参照して頂き、主治医の先生ともご相談して頂いた上にご紹介して頂くことも可能です。不明な点があれば、当院のがん相談支援センターへご相談下さい。

化学療法

肺癌に対する化学療法も多く行っていて、遺伝子検査を有効利用し、エビデンスに基づく治療を行っています。新たな治療法を開発するため、国内臨床試験グループにも参加し、臨床試験にも積極的に取り組んでいます。下記に、当院での肺癌患者に対する抗癌剤治療の件数を年度別に月平均で示しました。点滴での抗がん剤治療の件数は最近減少傾向ですが、EGFRもしくはALK変異陽性肺癌に対する内服での分子標的薬の治療件数は、新たな薬の開発が続いたこともあり、増加傾向です。新たな治療法として注目を浴びている免疫チェックポイント阻害剤の治療件数も増加傾向です。

治療件数

医師のご紹介

呼吸器内科部長

新行内 雅斗(しんぎょうじ まさと)
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会 専門医・指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡指導医・専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
【専門分野/得意分野】
  • 専門は肺癌の内視鏡診断、抗癌剤治療

主任医長

水野 里子(みずの さとこ)
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会 専門医 指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医
  • 日本医師会認定産業医
【専門分野/得意分野】
  • 専門は肺癌の内視鏡診断、抗癌剤治療

主任医長

芦沼 宏典(あしぬま ひろのり)
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会 専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡指導医・専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法指導医・専門医
  • 日本医師会認定産業医
【専門分野/得意分野】
  • 専門は肺癌の内視鏡診断、抗癌剤治療