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更新日:令和3(2021)年10月13日

ハイパーサーミア(温熱療法)外来

 

2020年10月28日より、千葉県がんセンター新病院にて治療が始まりました。

千葉県では、当センターが唯一の導入施設です。

ハイパーサーミア

ハイパーサーミアとは

腫瘍を電磁波で体外から加温する治療です。

体の表面から二極の電極盤ではさみ、その間に8MHzの高周波(ラジオ波)を通すことで、がんの局所の温度を上昇させます。体の表面の温度が先に上昇すると、痛みや低温やけどの原因となりますので、体表を冷やすために体に接する電極またはオーバーレイボーラスに5℃の冷却水を流し、体の中心部分の温度をより高める工夫がされています。

ハイパーサーミアの特徴

人間の細胞は42.5度以上に温度が上がると死滅します。表在性腫瘍に対しては、この熱の効果で腫瘍を死滅させることができます。

深在性腫瘍に対しては、40℃前後の温度上昇であっても、1回の治療が43℃で1分間に匹敵するような十分な温度上昇と加温時間が得られた場合、がん薬物療法(化学療法/抗がん剤治療/分子標的薬/免疫チェックポイント阻害剤)・放射線治療の増感効果を得ることができます。

1990年4月より保険適用となっており、30年以上の期間で保険診療が行われてきています。当センター導入の機器は第5世代目であり、加温調節機能の向上と冷却性能が改善されています。日本ハイパーサーミア学会から推奨を受けています。

ハイパーサーミアにより、熱ショックタンパク質(Heat Shock Protein;HSP)を介して免疫力が高まる効果やアブスコパル効果が報告されています。

対象疾患

浅在性悪性腫瘍;頭頚部癌・乳癌・悪性黒色腫・肛門管癌・骨転移・軟部肉腫など

深在性悪性腫瘍;食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、胆管癌、肝癌、腎癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、子宮癌、卵巣癌など

脳・眼球・血液疾患は対象外になります。

手術直後や病気の進行により、胸水・腹水の貯留により体力が低下されている方、パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)が2以下への低下が認められる方は治療を行えないことがあります。

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)とは

全身状態の指標の一つで患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

Score  定義

0:  全く問題なく活動できる。

発症前と同じ日常生活が制限なく行える。

1:  肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。

例:軽い家事、事務作業

2:  歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。

日中の50%以上はベッド外で過ごす。

3:  限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。

4:  全く動けない。

自分の身のまわりのことはまったくできない。

完全にベッドか椅子で過ごす。

これらのPerformance Status ScoreはECOG(米国の腫瘍学の団体の1つ)が定めた指標を日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が日本語訳したものです。

出典 Common Toxicity Criteria, Version2.0 Publish Date April 30, 1999 及びhttp://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/ctcv20_4-30-992.pdf

JCOGホームページhttp://www.jcog.jp/から引用

当センターでのハイパーサーミア

加温する治療部位は、腹部・胸部・四肢・頭頸部で、深部および体表に治療を行っています。消化器悪性腫瘍、整形外科悪性腫瘍、乳がん、婦人科がん、頭頸部がん、泌尿器がん等の疾患を受け入れています。

保険診療で治療を行います。

がん薬物療法(化学療法/抗がん剤治療/分子標的薬/免疫チェックポイント阻害剤)または放射線治療と併用して行います。だたし、現在は経口薬との併用は一時中止しています。ハイパーサーミア単独の治療は行いません。

有効性に関しては、多施設共同無作為第Ⅲ相試験などを含む非常に多数の論文や学会報告がありますが、現在のところ標準治療としては確立しておらず、オプション/治療の選択肢の一つとなります。患者さんからの治療の希望の申し出によりハイパーサーミアの説明を行います。

化学療法と放射線療法の効果を増感しますので、両者を併用した化学放射線療法を行う際のハイパーサーミア併用により、がんが消失する割合(完全緩解率)の可能性が高くなると報告があります。

抗がん剤との併用において、腫瘍縮小効果が高いのは、術前化学療法やファーストラインでの化学療法との併用になります。がん薬物療法を行っている期間が長くなるにつれて、腫瘍を大きくしないことが併用治療の目的となります。これは、抗がん剤のがんに対する感受性が高い時期、耐性が出現していない時期がより有効性が高いためです。

抗がん剤投与直後の血中濃度の高い時間帯でのハイパーサーミアの併用がより効果的です。

現在の治療枠は、月曜日と金曜日は3件/日、火曜日から木曜日は5件/日で、治療を行っています。1週間に21枠のみのため予約するのが難しい状況が続いており、ご迷惑をお掛けしています。

ハイパーサーミア治療前には、必ずハイパーサーミア外来を受診していただきます。最終的な治療の可否は、当院のハイパーサーミア・カンファレンスおよびキャンサー・ボードにて判断します。必ずしも治療を提供できない可能性がありますことをご了承ください。

画像検査で治療の対象となる明らかな病変のある方を優先的に治療しています。

禁忌・禁止

  • ペースメーカー、埋め込み型除細動器、人工内耳等を装着または埋め込んでいる方
  • 加温域内に金属片(消化管ステント等)を留置している方又は金属粉を含む刺青等をしている方
  • 導電性のある金属を含む貼付材(痛み止めの麻薬貼付剤;フェントスタープ・モルヒネテープ等)を使用したままの方
  • 豊胸材(シリコン)等が埋め込まれている部分への加温は出来ません
  • 意思疎通が困難な方や施行により危険を生じる様な合併症を有する方
  • 妊娠中の方や出産直後の方
  • 小児(乳幼児)

外来診察日

月曜日~金曜日、9時~11時

外来担当医師

千葉 聡(肝胆膵外科・主任医長)

受診方法

当センターを受診中の方

主治医からの院内予約になります。当センターにて治療されている患者さんは、各診療科の主治医とご相談ください。初めに、ハイパーサーミア外来を受診して頂き、十分に説明の上、治療の予定を組みます。

当センター以外の病院に通院中の方

当センター以外の施設にてがん治療中の患者さんは、地域連携室にてハイパーサーミア外来を予約してください。他院ですでに治療が開始されている乳がん・婦人科がん(子宮がん、卵巣がん)の方で、当院での化学療法や放射線療法を希望される方の受け入れは行っておりませんのでご了承下さい。

実際の治療について

1回の治療時間はおよそ40-60分間です。他に、治療前後の準備や着替えなどの時間も掛かります。

治療の頻度は、週1回から月1回です。併用する化学療法・放射線治療によって異なります。治療期間は、開始から2か月後にCT検査による効果判定を行い治療の継続の判断を行います。

副作用は低頻度ですが、熱傷・脂肪硬結・脱水症などがあります。また、腸閉塞を増悪させる報告がなされています。肥満などの体格や年齢により個人差もありますが、副作用のほとんどは軽微です。治療中に、加温に伴う熱さ・痛みがある場合にはスタッフにお伝えいただき、その都度微調節させて頂きます。

医師のご紹介

肝胆膵外科・主任医長

 

 

 

 

千葉 聡(ちば さとし) 平成4年福島県立医科大学卒業

 指導医・専門医・認定医など:

  • 日本外科学会 専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医(大腸)
  • 日本ハイパーサーミア学会 認定医

専門分野/得意分野:

  • 専門は消化器がん、特に肝胆膵外科
  • 腹腔鏡下手術
  • ハイパーサーミア(温熱療法)