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更新日:令和4(2022)年8月10日
ページ番号:4643
県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。
その状況についてお知らせします。
千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。
週報/月報/報告数/梅毒/腸管出血性大腸菌感染症/インフルエンザ/感染性胃腸炎/麻しん/風しん/リンク
2022年第31週(2022年8月1日~2022年8月7日)(PDF:1,163.3KB)
※過去の注目疾患:2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年
※過去の週報:2012年~2016年週報、2017年週報、2018年週報、2019年週報、2020年週報、2021年週報、2022年週報
警報発令継続中(警報開始基準値 5.0 終息基準値 2.0)
2022年第31週手足口病定点当たり報告数 県全体 7.11 (人) 前週7.62(人)から減少
第27週に警報開始基準値である定点当たり報告数5.0(人)を上回って以降、県内では大きな流行状況が続いており、感染予防として手洗いの励行等が重要である。
2022年第31週に県内医療機関から本年1例目となる薬剤耐性アシネトバクター感染症の報告があった(診断週第30週)。患者の喀痰から検出された菌種はAcinetobacter baumanniiであった。
本疾患が全数把握疾患となった2014年9月から2022年第31週までに県内医療機関から計15例の薬剤耐性アシネトバクター感染症の報告があった(図)。性別では男性9例(60%)、女性6例(40%)であった。年代別では70代が5例(33%)で最も多く、次いで60代と80代がそれぞれ3例(20%)であり、60歳以上が8割を占めていた。症状別では、肺炎7例(47%)が最も多く、次いで敗血症3例(20%)であった(重複登録あり)。推定される感染地域に国外が挙げられていたものは5例(33%)であった。
菌が検出された検体は、喀痰8例(53%)が最も多く、次いで血液3例(20%)、尿2例(13%)であった。菌種名の記載があったものは13例であり、うち9例(69%)がAcinetobacter baumanniiであった。
アシネトバクター属菌は、ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌に属する細菌である。土壌や河川水などの自然環境中や住環境中の湿潤箇所からしばしば検出される。非侵襲性の細菌であり、健常者には通常は無害であるが、感染防御機能が低下した患者において、尿路感染症、肺炎や敗血症、手術部位感染症などの起因菌となり得る。従来は多くの抗菌薬で治療可能であったが、近年、各種の抗菌薬に耐性を獲得した多剤耐性株が散見されるようになった1)。特にAcinetobacter baumanniiが臨床的に重要な菌種とされている。日本でも複数の院内感染事例が起きているが、諸外国と比較すると多剤耐性アシネトバクターの分離が少ない。そのため、国外からの持ち込みが警戒される耐性菌であるが、本県は累積報告年数の多い地域とされており、地域への多剤耐性アシネトバクター定着の可能性が懸念されている2)。
薬剤耐性アシネトバクター感染症の感染症法上の定義は、広域β-ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌による感染症の総称である。届出対象は発症者のみであり、保菌者は対象ではない。2014年9月より5類全数把握対象疾患となった2)。
薬剤耐性アシネトバクターの主な感染経路は接触感染である。人工呼吸器などの湿度の高い環境を好む一方で、乾燥した環境でも数週間以上生存できることが知られており、人の皮膚や医療機器、手すり等の院内環境に生息する。手洗いや消毒が不完全であると、汚染された医療器具や医療従事者の手などを通じて、他の患者に伝播することがある3)。
厚生労働省は薬剤耐性アシネトバクター感染症の届出があった際には地方衛生研究所等での試験検査に努めることとしている4)。また、保菌者も含め1例目の発見をもってアウトブレイクに準じた厳重な感染対策を実施するよう求めている5)。院内感染が疑われる際には保健所に報告し、地域の医療機関等のネットワークの支援を得るなどして速やかに適切な対策を実施することが求められる2)。
対策としては、日常的な医療環境の衛生管理の実施と標準予防策の励行とともに、接触予防策の徹底、さらに病院内の湿潤箇所、特に人工呼吸器の衛生管理と消毒などに留意する必要がある1)。標準予防策としては、手洗い・消毒など手指衛生の徹底や手袋・マスクの着用等がある。接触予防策には個室管理が望ましく、標準予防策に加え、個人防護具(エプロン・ガウンなど)を適切に着用する。また、疫学的にアウトブレイクと判断した場合には、疫学的調査を開始するとともに、厳重な感染対策の実施(患者の速やかな隔離、周辺の接触者や環境へのスクリーニング検査の実施等)が重要となる6)。
■参考
1)多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底について
(平成22年9月6日付け厚生労働省医政局指導課事務連絡)
4)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症等に係る試験検査の実施について
(厚生労働省通知平成 29年3月28日健感発0328 第4号)
5)医療機関における院内感染対策について
(厚生労働省通知平成26年12月19日医政地発1219第1号)
6) 感染症教育コンソーシアム:中小病院における薬剤耐性菌アウトブレイク対応ガイダンス
千葉県の2021年梅毒症例の累計は235例であり、1999年の現行感染症サーベイランス開始以降、最多の報告数となった。
2022年第31週には5例報告があり、累計173例となった。増加傾向が認められており、本年も引き続き注意が必要である。詳細は以下の発生状況を参照いただきたい。
千葉県では、2022年31週に6例届出があり、2022年8月10日現在、累計は80例である
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2022年1~31週)(PDF:265.3KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2021年1~52週)(PDF:270.2KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2020年1~53週)(PDF:250.6KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2019年1~52週)(PDF:240KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2018年1~52週)(PDF:242KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2017年1~52週)(PDF:254KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2016年1~52週)(PDF:145KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2015年1~53週)(PDF:233KB)
- 千葉県の腸管出血性大腸菌感染症発生状況(2010年~2014年)(PDF:224KB)
- 全国の発生状況(国立感染症研究所)
2022年31週の県全体の定点当たり報告数は、前週から変わらず0.02であった。
2022年31週の県全体の定点当たり報告数は、2022年30週の2.80から減少し、2.17だった。
千葉県では、2022年31週に届出はなかった(2022年8月10日現在)。2022年の累計は0例である。
千葉県では、2022年31週に届出はなかった(2022年8月10日現在)。2022年の累計は0例である。
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