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診療科・部門紹介

消化器・内視鏡外来

小児消化器科とは

小児消化器科では食道・胃・十二指腸・小腸・大腸などの消化管と、肝臓・胆嚢・膵臓などの実質臓器を扱います。成人領域では上部・下部消化管・肝胆膵および内科・外科など細分化されていますが、小児領域ではこれらをひとまとめに診てゆきます。

これまでその窓口は小児科であったり小児外科であったりしていたのですが、各々の得意分野を生かしながら小児消化器科として一緒に診断と治療を行います。それが診療の近道であり患者さんにも有益です。

小児消化器科の特徴

当院では、小児内科(救急総合診療科)と小児外科がチームを組み、新生児から学童まで様々な年齢でみられる消化器疾患を扱います。その鑑別疾患には免疫疾患、代謝疾患、内分泌疾患などが含まれており、適宜、小児内科系と連携・協働してゆきます。

消化管内視鏡は小児患者さんにとっても診療に際して強力な武器となりますが、概して成人に比し検査の手間と時間がかかりハードルは高くなります。当科では小児患者さんに対して消化管内視鏡検査を迅速に行える体制を整えています。上部消化管内視鏡(胃カメラ)や下部消化管内視鏡(大腸カメラ)に加え、カプセル内視鏡で小腸も検索することができます。成人ではカプセルを自分で飲みますが、お子様の場合、胃カメラを行い補助具を使って胃内に留置することも多いです。成人では内視鏡検査を外来で行いますが、小児では通例入院診療です。静脈麻酔もしくは全身麻酔下に行い、苦痛を感じることなく安全に内視鏡を施行します。

カプセル内視鏡

カプセル

 

カプセル

 

カプセル3

 

主な疾患と治療

逆流性食道炎、胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、胃食道静脈瘤、胃・十二指腸炎、胃・十二指腸潰瘍、IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、消化管ポリープ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、消化管異物、慢性便秘、難治性下痢症など。

胃内異物(ヘアピン)除去

カプセル

 

胃内2

 

胃内3

 

消化器症状として、嘔吐や腹痛、下痢、便秘、血便などがありますが、原因の大半はウイルスや細菌による感染症です。一方、上記に加え、発熱、成長障害(体重減少)、肛門病変、持続する倦怠感、皮膚病変などが見られる場合、炎症性腸疾患などが鑑別にあがってきます。

 

<炎症性腸疾患>

潰瘍性大腸炎とクローン病があり、2020年の厚労省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究によれば、全国で各々22万人、7万人の患者さんがいます。食生活の西洋化や社会環境の変化などにより、近年小児例も増えてきています。昨今は分子生物学的・遺伝学的検査の進展により乳児期早期発症例(very early onset IBD; VEO-IBD)もみられており、鑑別には小児内科系の協力が必須です。

診断には消化管内視鏡、消化管造影、病理組織学的検査などに加え、細菌学的・免疫学的・感染症的見地などから評価が必要です。具体的治療として、5アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(経口・経腸)、ステロイド(経口・経腸)、免疫調整・抑制剤、生物学的製剤などの薬物療法と、血球成分除去療法(GCAP/LCAP)、手術(開腹・腹腔鏡)などがあります。

小児では薬物療法に特化するだけでなく、栄養療法に配慮することが重要です。特にクローン病では、栄養療法が奏功することが多く、その実施には管理栄養士などが、またその受容に際しては看護師やchild life specialist (CLS)、臨床心理士などが介入し、多職種のスタッフと一緒にチームで取り組む必要があります。小児IBDの手術適応に際しては、成長障害、学校・社会生活への影響、精神面への影響、各種治療の長期予後、さらには移行期医療などにつき配慮する必要があり、小児内科系と外科系の密接な連携は極めて重要です。

医師紹介

小児外科部長

氏名 齋藤 武
略歴  
得意・興味のある分野  
専門医など  

救急総合診療科主任医長

氏名 夏井 款子
略歴  
得意・興味のある分野  
専門医など 小児科専門医

救急総合診療科医員

氏名 伊藤 貴伸
略歴  
得意・興味のある分野  
専門医など 小児科専門医

救急総合診療科医員

氏名 酒井 敦
略歴  
得意・興味のある分野  
専門医など 小児科専門医

外来担当表

曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 伊藤 高居 夏井 酒井 夏井
午後 伊藤 高居 夏井 酒井 夏井

令和4年6月15日現在

診療実績

内視鏡検査 件数
上部消化管内視鏡 41
下部消化管内視鏡 37
治療内視鏡(polypec) 1
カプセル内視鏡 32
合計 111
疾患 症例数
潰瘍性大腸炎 3
Crohn病 6
十二指腸潰瘍(IgA血管炎含む) 1
ベーチェット 1
H.pylori 4
大腸ポリープ 3
ミルクアレルギー 1
逆流性食道炎 1

論文・書籍・メディア

  • カプセル内視鏡が診断に有用であったCrohn病の1例(会議録/症例報告)
  • 酒井 敦:日本小児科学会雑誌124巻1号 (2020.01)
  • 治療に難渋した、十二指腸潰瘍を伴ったIgA血管炎の1例(会議録/症例報告)
  • 倉繁 款子:日本小児科学会雑誌124巻1号 (2020.01)
  • TNF-α阻害薬関連血管炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例(会議録/症例報告)
  • 伊藤 貴伸:日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌33巻Suppl. (2019.10)
  • 虚血性大腸炎を発症した高度便秘症の幼児例(会議録/症例報告)
  • 伊藤 貴伸:日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌3巻1号 (2019.04)
  • Blue rubber bleb nevus syndromeの小児例(会議録/症例報告)
  • 伊藤 貴伸:日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌32巻2号 (2018.12)

医療従事者の方々へ

ご紹介いただく先生方へ

消化管疾患が疑われる場合は、当科外来をご予約ください。消化管異物や出血など緊急を要する場合は電話で直接ご連絡ください。適宜対応させていただきます。患者様が来院する際に、これまでの成長(身長、体重など)がわかる記録を持参するようお伝えいただけますと、診療がよりスムースです。

患者さんとその御家族へ

消化器の病気の具体的な症状として、嘔吐や腹痛、下痢、便秘、血便、体重減少、成長障害などがあります。当院では的確な診断のための検査を迅速に行い、早期に治療を行えるよう努めています。
当科は上・下消化管内視鏡、小腸カプセル内視鏡をスムーズに施行でき、総合的見地に立って診断します。また、お子さんの年齢・症状・重症度に応じた最適な治療を提案してゆきます。

治療には、栄養学的・心理的・社会的側面からサポートを要することが多く、看護師や薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、精神科医、CLSとの協力が不可欠です。院内外学校の先生とも連絡を取り合い、地域連携を図っております。