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更新日:令和元(2019)年6月5日

肝胆膵外科

集合写真2019

平成28年度より肝胆膵外科がひとつの診療科として独立しました。肝臓は体内最大の臓器であり、代謝、解毒、胆汁の生成など多様な機能があります。肝臓で生成された胆汁は肝内胆管から胆嚢を経由して膵臓内を通り十二指腸に排泄されます。その経路の一部に病気があると閉塞性黄疸が発生します。膵臓は膵液を生成し十二指腸に排泄します。またインシュリンを産生し糖のコントロールを行います。つまりこの3臓器は密に接しており主に食物の栄養分を体内に取り込みコントロールする大切な働きがあります。

肝臓、胆道、膵臓はそれぞれ性格の違うがんが発生しますが、消化管と違いカメラで観察し組織診断するのが難しい臓器です。そこで診断の決め手になるのがCT、MRIなどの画像診断です。当院には画像診断のspecialistも多く、また最新の画像解析ソフトを使用し動脈、門脈、胆管の3D画像を作成し手術の際のnavigationとしております。また本年度よりICG蛍光内視鏡システムを導入し、ICG蛍光法を肝胆膵外科手術に積極的に応用していきます。

近年肝胆膵のがんに対して血管合併切除など拡大手術も盛んに行われるようになってきています。当院でも門脈再建術は以前から積極的に施行しておりましたが、ICGを用いて血流を確認することにより、より安全に施行できるようになりました。抗がん剤治療に関しても以前より効果のある薬剤が増え、成績も向上していますが、やはり治癒を目指すには手術しかありません。ただ難易度が高く侵襲の大きな手術になることが予想され、院内のカンファレンスで消化器内科、画像診断部の先生と慎重に適応について検討し、麻酔科と連携し安全で透明性の高い肝胆膵外科治療を目指していきます。

手術写真1

図1 膵頭十二指腸切除後 術中写真

 

手術写真2

図2 門脈再建後ICG蛍光法により血流確認

医師のご紹介

治療方針

腹腔鏡手術について

平成28年度より肝胆膵領域での腹腔鏡手術の保険適応も拡大されてきました。ただ技術的には難易度が高く、厳しい施設認定基準の達成が必要となります。当院では腹腔鏡での拡大肝切除、膵頭十二指腸の施設基準は満たしておりません。早期に施設要件を達成できるよう技術の研鑽を行い、体制を整えていきたいと考えています。

肝臓がん

肝臓がんは原発性肝がん(胆管細胞がん、肝細胞がん)と転移性肝がんに分類されます。

  1. 肝細胞がんでは、肝硬変を合併していることが多く、術後の肝不全を避けるため、肝機能評価、残存肝体積の評価が重要です。当院では3DCTを用い、残肝体積の計測を行い安全な肝切除術式を選択します。肝機能が不十分と判断したときには画像診断部と連携し、肝動脈塞栓術(TACE)を選択します。また現在、肝細胞がんの陽子線治療と手術の臨床試験に参加しております。
  2. 胆管細胞がんは、拡大肝切除、胆道再建、リンパ節郭清が必要な疾患で長時間の手術となることが多い疾患です。閉塞性黄疸の発症も多く、消化器内科に減黄処置と詳細な進展度診断をお願いし、最適な手術を選択しています。
  3. 転移性肝がんは、大腸がん肝転移が切除の対象になることが多く、食道胃腸外科と連携し治療に当たっています。切除可能なら肝切除が第一選択になります。肝細胞がんと違い、正常肝に発生するので拡大肝切除が可能な疾患です。

胆道がん

胆道がんは、胆嚢がん、胆管がん、十二指腸乳頭部がんに分類されます。

  1. 胆嚢がんは、胆嚢ポリープとして発見される早期のがんから、肝膵同時切除が必要な進行がんまであり、術式も多様です。胆嚢自体は肝臓で産生される胆汁を一時的に貯留する臓器で、切除しても後遺症はありませんが、一般に進行は早いとされ、治癒には早期発見が必要です。
  2. 胆管がんは、基本閉塞性黄疸を主訴に発見されます。肝門部胆管がんには拡大肝切除が、遠位胆管がんには膵頭十二指腸切除が必要です。浸潤範囲の正確な診断と適切な術式の選択により胆道がんの根治を目指していきます。
  3. 十二指腸乳頭部がんは胆管膵管が合流して消化管に排出される部位に発生したがんです。出血、黄疸など比較的早期に発見されることが多く、膵頭十二指腸切除が適応されます。

膵臓がん

膵臓領域では、主に膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)、膵神経内分泌腫瘍(NET)と浸潤性膵管がんが手術の対象となります。

  1. 膵管内乳頭粘液腫瘍は悪性度の比較的低い腫瘍で、膵嚢胞あるいは膵管拡張で発見されます。治療が必要な場合は切除になりますが、ガイドラインに沿って厳格に手術適応を決めています。
  2. 神経内分泌腫瘍は膵のホルモンを産生する細胞から発生する腫瘍です。多血性の腫瘍として発見されます。当院でも増加傾向にある腫瘍です。
  3. 浸潤性膵管がんは早期発見の難しい予後の悪いがんです。通常、膵癌と言ったらこのタイプです。進行も早く、黄疸を契機に発見されることもあります。血管合併切除等必要になることも多く、切除可能でも術前、あるいは術後に抗がん剤治療が必要になります。

膵臓の手術は、膵頭十二指腸切除と膵体尾部切除に分かれます。膵液はタンパク、脂肪を分解する消化液で、術後腹腔内に漏れると感染、出血を来たし、注意が必要です。当院では膵液瘻を減らし、安全な手術を目指しています

平成30年度手術成績

術式別

手術件数でいうと膵頭十二指腸切除をはじめとする膵切除が60例、肝切除が45例。

胆嚢胆管切除6例、計111例の肝胆膵腫瘍切除を行いました。

また当院の特徴として脂肪肉腫、神経鞘腫など後腹膜や巨大腹部腫瘤摘出術を5例に施行しました。

疾患別

疾患別には膵疾患が多いのが特徴です。膵腫瘍関連45例、肝疾患35例、胆道がん35例、その他17例です。

術後合併症

術式 症例数 膵液瘻 再手術 その他合併症 在院死亡
膵頭十二指腸切除

39例

3(7.7)

0 1 0
膵体尾部切除

17例

2(11.8)

0 1 0
膵全摘

1例

0 0 0 0

 

術式 症例数 胆汁瘻 再手術 その他合併症 在院死亡
肝部分切除

31例

1 0 2 0
肝葉切除以上

13例

1 0 1 0
胆嚢摘出

19例

0 0 0 0

膵切除では膵液瘻の合併は5例(8.3%)、肝切除では胆汁瘻2例(4.5%)に認めました。昨年度は再手術例、在院死亡例はありませんでした。

重篤な合併症は認めませんでしたが、今年度は症例数の増加を目指し、さらなる向上を目指したいと思います。

代表的肝胆膵がん当院切除例の生存率を過去約10年分示します。

胆道がん生存曲線

 

膵がん生存曲線

 医師のご紹介

肝胆膵外科部長

 

高山 亘(たかやま わたる) 昭和60年千葉大学医学部卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会 指導医・専門医、
  • 日本消化器外科学会 指導医・専門医

専門分野/得意分野:

  • 消化器全般、特に肝胆膵外科

主任医長

 

千葉 聡(ちば さとし)平成4年福島県立医科大学卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会 専門医、
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医

専門分野/得意分野:

  • 腹腔鏡下手術、肝胆膵外科

医長

 

有光秀仁(ありみつ ひでひと) 平成18年山梨大学医学部卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器 外科学会専門医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員

専門分野/得意分野:

  • 専門は消化器がん、ヘルニア

医長

 

栁橋浩男(やなぎばし ひろお) 平成18年浜松医科大学医学部卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会 専門医
  • 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医  
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

専門分野/得意分野:

  • 肝胆膵外科 特に膵臓外科

医長

 

石毛文隆(いしげ ふみたか)平成23年千葉大学医学部卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医・消化器がん外科治療認定医

専門分野/得意分野:

  • 消化器がん、特に肝胆膵外科、ヘルニア

 

医員

 

 

岩立 陽祐(いわたて ようすけ) 平成25年獨協医科大学卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本外科学会専門医

専門分野/得意分野:

  • 消化器がん、特に肝胆膵外科