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診療科・部門紹介

肝胆膵外科

肝胆膵外科 集合写真

肝胆膵は肝臓、胆道(胆嚢、胆管、十二指腸乳頭)、膵臓の総称で、これらの臓器は代謝、解毒、消化などの生命の維持に欠かせない重要な役割を担っています。肝胆膵外科では、これらの領域にできる肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどに対して、肝切除や膵頭十二指腸切除に代表される高難度手術を含むさまざまな外科治療を中心に行っています。

術前の黄疸の処置、超音波内視鏡による診断などは消化器内科と、術前術後のCT、MRI等画像診断、残存肝体積の計測、門脈塞栓術などは画像診断部と、病理所見や癌の遺伝子検査などについては臨床病理部と連携をとって診療を行っています。関連する診療科によるキャンサーボード(がんの症例検討会)において、診断および手術適応を含む治療方針を判断しています。また肝転移症例などにおいては、原発部位の診療科、特に食道・胃腸外科と緊密に連携をとり、合同で治療にあたっています。

良性疾患に対する胆嚢摘出術(胆嚢がんとの鑑別を要する症例など)、鼠径ヘルニア根治術(他疾患の経過観察中の症例など)、腸閉塞手術、腹膜炎手術なども施行しています。

肝胆膵領域の悪性疾患の特徴は肝硬変、黄疸、膵炎などの複雑な病態が背景にあることが多く、術前の病態の評価、がんの進展度診断、緻密な手術、適切な周術期管理が必要になります。平成28年度から、より専門性の高い医療を提供すべく肝胆膵外科がひとつの診療科として独立しました。近年、肝胆膵分野でも腹腔鏡手術が行われるようになってきましたが、手術難易度が高く長時間手術となることが多いため、効果と安全性の面からその適応は慎重に行っていきます。今後も安心安全な肝胆膵外科治療の実践を第一に考え治療を行っていきます。

治療方針

肝臓がん

肝臓がんは原発性肝がん(肝細胞がん、肝内胆管がんなど)と転移性肝がんに分類されます。外科治療として肝切除が行われますが、術後の致死的合併症である肝不全をさけるため、肝予備能評価・残存肝容積を評価し、安全な肝切除術式を選択することが重要となります。

転移性肝がん治療では、大腸がんの肝転移を始め、腎がん、乳がん、肺がんの肝転移なども、肝切除の対象となります。

胆道がん

胆道がんは胆嚢がん・胆管がん・十二指腸乳頭部がんに分類されます。胆道がんの唯一の根治治療は外科切除であり、それぞれの腫瘍の広がり(進展度)を正確に診断して手術術式を決定します。肝切除術、胆管切除術、膵頭十二指腸切除術などが施行されますが、進行胆嚢がんや進行胆管がんでは肝膵同時切除などの拡大手術となることがあります。肝切除後の残肝容積が不十分な症例では、術後の合併症を予防して安全な手術を行うために門脈塞栓術により残肝容積を増加させてから2-4週間以後に根治手術を行っています。また、閉塞性黄疸を認める症例では、手術前に減黄処置として内視鏡的にステント治療を行っています。

膵臓がん

浸潤性膵管がんの他、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、膵神経内分泌腫瘍などが手術の対象となります。切除可能境界(Borderline resectable)膵がんに術前化学療法(NAC)を行っていますが、切除可能膵がんに対してもNACを導入するとともに、手術後にも化学療法(抗がん剤治療)を行うことで治療成績の向上を目指しています。IPMNなどの膵の良性疾患に対しては、今後、安全性と根治性を考慮しつつ、腹腔鏡手術の導入について検討していく予定です。

サルコーマセンター

肝胆膵外科ではサルコーマ(肉腫)センターの一員として、おもに後腹膜腫瘍や腸間膜腫瘍の摘出術を行っています。年間約10例の切除例があり、脂肪肉腫がもっとも多い疾患となります。切除後の治療に関しては病理検査結果などをもとにサルコーマボード(肉腫の症例検討会)で検討し、必要に応じて放射線治療や化学療法を追加しています。

手術件数の推移

肝切除件数の推移

膵切除件数の推移

過去6年間(2016~2021年度)の手術成績

肝胆膵外科における過去6年間(2016〜2021年度)の手術成績

膵切除術後の膵液瘻の合併症率は膵頭十二指腸切除術9.8%、膵体尾部切除術8.3%でした。(2011年の全国データ(NCD:National Clinical Database)における膵頭十二指腸切除術8575例の膵液瘻の合併症率は13.2%)

アピールポイント

  • 手術治療を中心に、化学療法、放射線療法、遺伝子診断などの先進的で高度な集学的治療を提供しています。
  • 当院の肝胆膵外科はNCD(全国データ)と比較して手術後の合併症発生率は低率で、安心・安全な医療を提供しています。
  • 消化器内科、画像診断部、臨床病理部などとキャンサーボード(症例検討会)を毎週行い、診断・治療方針を決定し、最善の医療を提供しています。

医師のご紹介

肝胆膵外科部長

 

賀川 真吾(かがわ しんご) 平成14年千葉大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 肝臓専門医
  • 日本胆道学会 認定指導医
  • 日本膵臓学会 認定指導医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員
【専門分野/得意分野】
  • 肝胆膵外科

病院長

加藤 厚(かとう あつし) 平成元年千葉大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
  • 日本肝臓学会 肝臓専門医・指導医
  • 日本胆道学会 認定指導医
  • 日本膵臓学会 認定指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本消化器外科学会・日本肝胆膵外科学会・日本胆道学会の評議員 ほか
【専門分野/得意分野】
  • 肝胆膵外科
  • がん化学療法・集学的治療

主任主任医長

有光 秀仁(ありみつ ひでひと) 平成18年山梨大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本膵臓学会 認定指導医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員
【専門分野/得意分野】
  • 肝胆膵外科、後腹膜腫瘍、ヘルニア

主任医長

栁橋 浩男(やなぎばし ひろお) 平成18年浜松医科大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本胆道学会 認定指導医
  • 日本膵臓学会 認定指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員
【専門分野/得意分野】
  • 肝胆膵外科 特に膵臓外科

医長

石毛 文隆(いしげ ふみたか) 平成23年千葉大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会 評議員
【専門分野/得意分野】
  • 消化器がん、特に肝胆膵外科、ヘルニア

医長

岩立 陽祐(いわたて ようすけ) 平成25年獨協医科大学卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医
【専門分野/得意分野】
  • 消化器がん、特に肝胆膵外科

医員

織田 弘起(おだ こうき) 平成30年千葉大学医学部卒
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本外科学会会員
【専門分野/得意分野】
  • 消化器がんの診断・治療