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更新日:令和元(2019)年5月1日

形成外科

診療科の紹介

形成外科では千葉県がんセンターの基本理念である、「心と体にやさしく、希望の持てるがん医療」の実践を目指して、がん治療にともなって変形してしまったり、失ってしまった組織を再び取り戻すべく、治療を行っております。近年の医療の進歩により、失われた形のみでなく、動きや表情、感覚を取り戻すための治療にも取り組んでいます。乳房再建、四肢軟部腫瘍の再建、リンパ浮腫の治療、頭頸部再建、顔面の変形、顔面神経麻痺の治療、その他の悪性腫瘍の再建、放射線治療後の治りにくい傷、傷が治った後の傷痕の悩み、ひきつれや変形などの治療が中心となりますが、リンパ浮腫については外科治療の専門家が少ないため、原因がよくわからないリンパ浮腫(原発性リンパ浮腫)についても当科で診察、治療を行っています。また、当科では純粋な美容外科の治療は行っておりませんが、整容面の改善の目的で、美容外科の手技も用いて手術を行います。

治療方針

もともと当センターにかかっている患者さんは、主治医の先生からご紹介いただいて、チームで情報を共有し合って治療にあたらせていただく場合が多いです。他院で治療中、治療後の患者さんは、主治医の先生からご紹介いただくことも多いですが、紹介状がなくても受診していただくことは可能です。変形やむくみ、ひきつれのお悩みは、相談してもよいものなのか、あるいは誰に相談してよいのか分からずに過ごしていらっしゃる方も多いのではないかと思います。また、高額な費用がかかるのではないかと心配されている方もいらっしゃるようです。おひとりで悩まず、我々に相談していただいて、一緒に解決方法を見つけることができればと考えています。

主な治療のご案内

乳房再建

―乳房再建とは?

乳がんの治療で変形してしまったり、失ってしまった乳房の形態を、ご自身の体の一部や人工乳房を使用して再び取り戻すことを乳房再建といいます。
失われた乳房を取り戻したいという気持ちは、女性にとってごく自然なものであり、そういった方々の希望にお応えするために、当センターでは、乳腺外科医師と形成外科医師がチームになって治療に取り組んでいます。

―どうやって行うの?

手術を行うにあたって、失った組織を補充する方法は大きく分けて、
1.ご自身の体の一部(自家組織)を使用する方法と2.人工乳房(シリコン・インプラント)を使用する方法があります。どちらの方法にも有利な点と不利な点があります。もともとの乳房の形や術後の状態、補助療法の種類でどちらかが向いている場合もありますが、患者さんの好みもあります。よく話し合って理解していただいてから、決めることが大切です。人口乳房による乳房再建

腹部皮弁による乳房再建

―いつ行うの?

乳房再建手術は大きく分けて

  • 1.一次一期再建

  • 2.一次二期再建

  • 3.二次一期再建

  • 4.二次二期再建

に分けられます。

一次再建とは乳癌の手術と同時に再建を行う方法で、二次再建は乳がん治療後改めて再建手術を行う方法です。

一期再建とは、再建を一回の手術で行う方法で、二期再建とは、再建を二回の手術に分けて行う方法です。

1.、2.の一次再建を希望される場合は、局所再発のリスクや補助療法などは患者さんによって異なるので、乳腺外科の先生とよく話しあって決める必要があります。

一次一期再建

乳がんの根治手術と同時に、乳房再建を行う方法です。主にご自身の体の一部(自家組織)を用いた再建を行います。人工乳房(インプラント)を入れる方法は、一期的に入れるには皮膚組織が十分でないことが多いです。

一次二期再建

乳がんの根治手術の際に、専用の組織拡張器(ティッシュ・エクスパンダー)を挿入し、切除後の皮膚組織を徐々に延ばしておき、手術をしていない側と同じ大きさになったところで、人工乳房もしくはご自分の体の一部に入れ替える方法です。乳がん手術の際に最終的な方法を決めておく必要はないため、治療が落ち着いてからじっくり考えられる時間が得られるという利点があります。

二次一期再建

補助療法を含めた乳がんの治療終了後に乳房再建を行う方法です。一次一期再建同様、主にご自身の体の一部(自家組織)を用いた再建を行います。人工乳房(インプラント)を入れる方法は、一期的に入れるには皮膚組織が十分でないことが多いです。

二次二期再建

乳がんの治療終了後に乳房再建を行う方法のうち、一回目の手術で組織拡張器(ティッシュ・エクスパンダー)を挿入し、切除後の皮膚組織を徐々に延ばしておき、手術をしていない側と同じ大きさになったところで二回目の手術を行い、人工乳房もしくはご自分の体の一部に入れ替える方法です

―どの方法を選べばよいの?

一次再建を行う利点としては、乳がんの手術の際に乳房の喪失感を軽くすることや、手術を受ける回数を少なくすることなどの利点があります。がんの治療が終了し、乳房再建について考えられるような余裕が出てから形成外科を改めて受診することも選択できるので、焦る必要は決してありません。
大切なのは、乳房再建をしたいと考えた際に、看護師や医師に何でも聞いていただいて、十分に納得して治療に臨んでいただくことだと思います。失った乳房を取り戻したいという、ごく自然な望みについて聞いてみたいことがあれば、いつでも、何度でもご相談ください。

―リンパ浮腫って?

乳がん術後合併症として、腕のむくみが出ることがあり、これをリンパ浮腫といいます。米国の調査では、乳房再建を行った方の方がリンパ浮腫になりにくいことが報告されています。千葉県がんセンター形成外科ではリンパ浮腫の予防や治療のための外科手術を積極的に行っています。乳房再建と同時に行うことも、乳房再建は行わずにリンパ浮腫の治療のみ行うことも、いずれも可能です。リンパ浮腫治療について詳しくお知りになりたい方は、リンパ浮腫の項もご参照ください。

リンパ浮腫

リンパ浮腫とは、がんの手術時に骨盤内や脚のつけ根(鼠径)や脇の下(腋窩)のリンパ節郭清を行い四肢のリンパ還流が悪くなり、四肢にリンパ液がたまってむくんでしまった状態です。生まれつきリンパ管の発育が悪くむくんでしまう方もいらっしゃいます。繰り返す蜂窩織炎や線維化によりむくみは治りにくくなっていくため、圧迫を中心とする早期からの保存療法が大切です。千葉県がんセンター形成外科では、リンパ浮腫の外科治療として、リンパ管細静脈吻合手術や血管柄付きのリンパ組織移植手術を行っています。これらの方法は、近年のsupermicrosurgeryと呼ばれる、顕微鏡下手術の発達によって可能となった比較的新しい治療方法です。保存療法の指導は、多施設と連携して行っています。

―リンパ管細静脈吻合手術

皮下の集合リンパ管と皮下静脈を吻合することによって、リンパ液が静脈血管に流れ込むバイパスを作成します。集合リンパ管は0.2mm~1.0mm程度と非常に細いので顕微鏡を使って手術を行います。局所麻酔下に手術が可能なことや傷痕が非常に小さいことなどの利点があります。

―リンパ組織移植手術

リンパ管はリンパ節に流れ込みますが、リンパ管やリンパ節にはリンパ液を輸送する能力があります。健康な部位のリンパ節やリンパ管を動脈や静脈をつけてリンパ浮腫の部位に移植することで、リンパ液を輸送する機能を得る方法です。脇の下のリンパ節郭清後のへこみが気になる場合などは、脂肪を同時に移植できるため有用です。

顔面の変形、四肢の変形・欠損、軟部組織欠損

腫瘍を切除する際に同時に再建を行う場合と、再建後の変形に対して改めて整容面、機能面の改善を目的に再建を行う場合とがあります。主に皮弁による治療を行います。皮弁には、欠損部に隣りあった組織を移植する局所皮弁と、欠損部から離れた組織を移植する遊離皮弁があります。顔面や手足の運動機能の回復を目的に、骨、筋肉、神経を付着した皮弁を用いることも可能です。

顔面神経麻痺

顔面神経は顔面の表情筋の運動をつかさどるため、顔面神経が麻痺することで、整容的、機能的に様々な問題が生じます。顔面神経は眉毛をあげる筋肉、目を閉じる筋肉、笑う時に使う筋肉、唇を引っ張る筋肉など様々に分布しており、患者さんによって麻痺の部位や程度、麻痺してからの期間などはさまざまであるため、患者さんの症状に応じて手術計画を立てる必要があります。

―眉毛をあげる筋肉の麻痺

眉毛をあげる筋肉(前頭筋)の麻痺は、上まぶたも垂れ下がって視野の制限をきたすことと、整容上も非常に目立つため、眉毛挙上手術を行います。

―目を閉じる筋肉の麻痺

眼輪筋の麻痺によって目が閉じられなくなること(兎眼)は、目に障害をきたすことがあるため、早めに手術を行う必要があります。上まぶたの筋肉を延長したり、下まぶたを引き上げる手術などを行います。側頭筋を移行する方法もあります。

―口を動かす筋肉の麻痺

下口唇のゆがみ、口角の垂れ下がりは筋膜を移植して再建する手術(静的再建)を用いる場合が多いですが、笑いの表情を再建する目的で行う手術には、神経移植や神経移行を行って元々存在する顔面表情筋を動かす方法と、他の部位から動く筋肉を移植、または移行する方法とがあります(動的再建)。神経移植術・神経移行術は、耳下腺がんなどで顔面神経を切除する必要がある場合や、切除してから短期間の場合、不全麻痺の場合などに行います。麻痺の発症から時間が経っている場合は、委縮してしまった表情筋の代用として、広背筋など他の部位の筋肉の移植や、側頭筋の移行などを行います。

―顔面神経麻痺の後遺症の治療

口を動かすと目を閉じてしまうなどの病的共同運動の症状や、麻痺はある程度は回復したものの力が弱い、不全麻痺の症状などは、患者さんにとっては非常に不快ですが、相談しにくい悩みかもしれません。近年の治療の進歩によって、これらの症状に対する治療の成績も向上してきています。

難治性潰瘍

がんの治療には放射線治療が必要な場合がありますが、放射線照射の影響で、治りにくい傷を生じる場合があり、治りにくい傷のことを難治性潰瘍といいます。化学療法を行っているために傷が治りにくい場合や、皮膚自体に腫瘍が及んでいるために難治性潰瘍を生じることもあります。そういった傷を手術で治すことや、傷の管理を指導させていただくことも形成外科医の仕事です。手術を行う場合は、主に皮弁による治療を行います。皮弁には、欠損部に隣りあった組織を移植する局所皮弁と、欠損部から離れた組織を移植する遊離皮弁があります。

肥厚性瘢痕、ケロイド、瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)

手術などの傷痕が硬く盛り上がり、整容的な問題や、ひきつれ感が強い場合、肥厚性瘢痕もしくはケロイドを生じている可能性があります。が治療には、トラニラスト内服、ステロイド局注、外科的切除、放射線照射などがあります。瘢痕によるひきつれが原因で曲げ伸ばしなどの機能が障害される場合があり、これを瘢痕拘縮といいます。治療には遊離植皮、皮弁、組織拡張法を用いた方法などがあります。

診療実績

医師のご紹介

医長

徳元 秀樹(とくもと ひでき) 平成18年度金沢大学医学部卒

指導医、専門医、認定医など:

  • 日本形成外科学会専門医

専門分野/得意分野:

  • 専門は再建外科 乳房再建 リンパ浮腫