本文へスキップします

センター紹介

IMRT(強度変調放射線治療)

強度変調放射線治療(IMRT)について

IMRTは腫瘍の形状に合わせて高線量を照射する治療法です。周囲の健康な組織に与える影響を最小限に抑えることができるため、副作用が少ないのが特徴です。 当センターでは、脳、頭頸部、肺、食道、前立腺など、全身の様々ながんに対してIMRTを行っています。最近では、IMRTの進化形であるVMAT(強度変調回転放射線治療)が主流です。現在、当センターのIMRTは全てこのVMATで行っています。

脳腫瘍のIMRT

脳腫瘍の一種である神経膠芽腫(GBM)には、IMRTが非常に有用です。IMRTを用いることで、腫瘍密度の高い領域に限局した高線量照射と、腫瘍密度の低い領域への低線量照射を同時に行うことができます。さらに、抗がん剤髄注療法も併用しています。 最近では脳腫瘍の定位放射線治療にもIMRTの技術が利用されています。当センターではVarian社製TrueBeam を用いたHyperArc(ハイパーアーク)という照射技術を導入しています。

脳腫瘍IMRT画像



赤い領域には高線量を照射しています。黄から緑の領域は中~低線量を照射しています。腫瘍に近い眼球や水晶体の線量が低く抑えられています。

頭頸部のIMRT

頭頸部の放射線治療では、治療後の口腔乾燥が問題となっていました。そのため、唾液腺の線量を減らすことで、治療後1-2年での唾液分泌機能の改善がみられるようになりました。また、上顎洞がんなどの副鼻腔の放射線治療においても、IMRTにより視力を温存しながら治療が可能となる患者さんが増えています。

頭頸部IMRT画像



赤い領域は高線量を照射しています。黄から緑の領域は低線量を照射しています。
腫瘍に接する耳下腺(矢印のところ。唾液腺のひとつ)の線量が低く抑えられています。

前立腺のIMRT

前立腺など軟部組織のIMRTには、Varian社製のHalcyonという最新の治療装置を使用しています。この装置ではCT画像を高速撮像して位置合わせができるため、以前のように金属マーカーを体内に留置する必要がなくなりました。 当センターの前立腺IMRTの治療成績は5年PSA無再発生存率で低リスク群、中リスク群、高リスク群についてそれぞれ93.3%、98%、90%です。また、副作用のひとつである直腸出血もGrade1のみの軽度なものに抑えられ、その頻度も3%程度(通常照射では20%程度)となっています。

前立腺IMRT画像



赤い領域の前立腺と精嚢に高線量を照射しています。
腫瘍に接する直腸や膀胱の線量が低く抑えられています。