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県民公開セミナー

県民公開セミナー

千葉県がんセンターでは、がんの予防、診断、治療などについての新しい情報を県民の皆様に知っていただきたく、毎年秋に「県民公開セミナー」を開催しています。 毎年異なるテーマをとりあげ、千葉県がんセンターの医療スタッフを中心とした講師がわかりやすくお話しします。 参加は無料ですので、お誘い合わせの上ぜひお気軽にご参加ください。

令和7年度開催情報

第23回千葉県がんセンター県民公開セミナー
日時:10月11日(土曜日)13時から15時30分(12時開場)
会場:ペリエホールRoomA、B(千葉市中央区新千葉1丁目1番1号 JR千葉駅7階)
テーマ:がん治療の不安に答える 患者さん・ご家族が抱える悩みを専門の医療職が解決

定員:300人(先着順)
申し込み:不要
料金:無料

【講演内容】
(1)がんになったときに知っておきたいこと
 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー 吉原 恵子

(2)安心して手術を迎えるために 術前から始める合併症予防策
 周術期管理センター 手術看護認定看護師 薮下 美紀

(3)抗がん剤治療と遺伝子検査
 診療部長 消化器内科部長 傳田 忠道

(4)がん患者さんの食と栄養
 栄養科 管理栄養士 前田 恵理

(5)がんによる苦痛とその対応:緩和ケアという選択肢
 緩和医療科部長 田口 奈津子

第23回千葉県がんセンター県民公開セミナーチラシ(PDF:1,866.7KB)

令和7年度 会場でいただいたご質問への回答

 

※各回答者をクリックすると、その回答者の質問回答へジャンプします。
※個人の特定に繋がる可能性がある質問につきましては、質問の一部を編集しています。

 

1. 回答者:がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー 吉原 恵子

2. 回答者:周術期管理センター 手術看護認定看護師 薮下 美紀

3. 回答者:診療部長 消化器内科部長 傳田 忠道

4. 回答者:栄養科 管理栄養士 前田 恵理

5. 回答者:緩和医療科部長 田口 奈津子

6. その他のご質問

 

1. 回答者:がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー 吉原 恵子

1-(1)

質問:地域医療にもがん患者さんが増えてきています。私は訪問リハビリとして働いており、チームとして参加することがあります。その際、主治医の先生方と密に連携してサポートしていきたいと思います。がんセンターから在宅サービスの対応や助言など、指導を仰ぎたい場合はどのような方法がありますか?また、どのようなチーム医療(在宅サービスに対して)に取り組んでいるか教えてください。

 

回答:対応や助言については当院の在宅サービスの窓口にて必要に応じて対応いたします。窓口は患者総合支援センターの入退院支援室の専従看護師が担当です。

在宅サービスに対してのチーム医療に取り組んでいるか?についてですが、緩和の地域連携パスで連携させていただいている地域のクリニックと患者さんを繋ぐコーディネーターを入退院支援室の看護師が担っています。また退院前に積極的に対面だけでなくWEBも活用して多職種で合同カンファレンスを実施し専門職間の連携を図っています。

 

1-(2)

質問:障害年金について。年齢制限などあるのでしょうか?現在年金を受給している人も受け取れるのでしょうか?

 

回答:(日本年金機構より)障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があります。

病気やけがで初めて医師の診療を受けたときが、国民年金に加入していた間、20歳前(年金制度に加入していない期間)、または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)の場合は「障害基礎年金」が請求できます。

病気やけがで初めて医師の診療を受けたときが、厚生年金に加入していた間の場合は「障害厚生年金」が請求できます。

他にも要件がございますので、ご確認いただけますと幸いです。

 

1-(3)

質問:QST病院で治療を希望する時は、どのような流れで相談すればよろしいでしょうか。

 

回答:QST病院は病院間での予約となっています。担当部署で予約を取っていますので、主治医にご相談いただくようお願いいたします。

 

1-(4)

質問:医療保険に加入しておらず、現在乳がんで、来週か再来週から抗がん剤治療の予定(6か月間)その後手術予定ですが、医療費の他、生活費などの不安もあるのが正直なところ。そういった相談についても聞いてもらえるでしょうか。どこに相談すべきなのかわからないので教えてください。

 

回答:医療保険の意味を民間の保険と捉えますと、民間の保険には加入していない方も多く、必ずしも加入していなければならないものではありません。しかしながら、働けない期間の生活費、医療費はご相談の通り心配になると思います。高額療養費制度、傷病手当金、障害年金などの制度があります。詳しくはがん相談支援センター(電話:043-264-6801)へご相談ください。

 

1-(5)

質問:セカンドオピニオンの取り方について教えてください。健康診断ですい臓がんの疑いありと指摘(超音波検査)→CTスキャン→MRI→内視鏡検査を行ったが判断未定。現在、より精密なCTスキャンを予定しています。このような場合のセカンドオピニオンの取り方を教えてください。

 

回答:セカンドオピニオンはご本人、ご家族が主治医以外の先生に何を聞きたいのか?ということが一番大切です。疑いなのであればがんですか?と尋ねるのか、既にがんと診断されていれば今後の治療について知りたいのか等、もう一度何を知りたいのか?をお考えいただければ幸いです。またその上でセカンドオピニオンに行く場合は、主治医に紹介状の記載をお願いし、予約をとり受診してください。

 

1-(6)

質問:社会保障や就業等、様々な支援があるとお話しされていましたが、現在制度に当てはまらない、隙間にはいってしまう患者は、社会復帰を望んでいても「いまのあなたには何もあてはまりません」と打ち切りではなく、その後すくい上げる取り組みは、今後予定はあるのでしょうか?

 

回答:年齢が若かったり、就業形態などで保障の条件に合わない等、いわゆる『隙間』に当たってしまう方がおられます。市町村によっては地域サービスの利用が可能なこともありますが、現在のところすくいあげる取り組みが具体的に進んでいる、という情報は届いておりません。私たちや患者さん・ご家族が声を挙げていく必要性を感じています。

お困りの事を一緒に考えるのが、がん相談支援センターの役割です。解決ができるかはわかりませんが、ご相談いただければと思います。

 

1-(7)

質問:がん予防、日ごろから何をすればよいでしょうか?

 

回答:国立がん研究センターのがん情報サービスに『科学的根拠に基づくがん予防』というページがあります。

たばこ たばこは吸わない・他人のたばこの煙は避ける。
お酒 飲酒はひかえる。
食生活 これまでの研究から、「塩分や塩辛い食品のとりすぎ」「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、がんの原因になるということが明らかになっています。
身体活動 仕事や運動などで身体活動量が多い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。
体重 これまでの研究から、肥満度の指標であるBMI値(身長メートルの2乗を体重キログラムで割った値)が、男性は21.0から26.9で、女性は21.0から24.9で、がん死亡のリスクが低いことが分かっています。
感染 日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多いのが「感染」です。以下のように、ウイルス・細菌感染は、がんの発生と関連があるとされています。

・B型、C型肝炎ウイルス→肝細胞がん
・ヘリコバクターピロリ菌→胃がん
・ヒトパピローマウイルス(HPV)→子宮頸がん
・ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)→成人T細胞白血病リンパ腫

 

1-(8)

質問:がん保険に入っています。古い契約なので、最近保険会社から追加の契約をやたらと勧められます。本当に追加が必要なのか実際のところわからないので教えてください。

 

回答:それぞれの生活様式がありますので一概に必要かどうかはわかりません。ただ抗がん剤治療などは入院治療から外来治療に移り変わっています。時代によって治療の常識なども変わっていくということです。

 

1-(9)

質問:がん治療をしない選択はありますか?

 

回答:状況によりますが、基本的にはご本人の思いを尊重して、医療者と共に、患者さんにとって良い選択を考えていきます。

 

1-(10)

質問:家族がまったく協力的でない場合どうしたら良いでしょう。1人で現在たたかっています。周りの家族は「切ったら治療は終わる」という考えです。病気がわかってから一度も泣くこともなく、一人でたたかっています。

 

回答:1人でたたかっておられるのですね。よく頑張ってこられましたね。もしかしたら、ご家族も心配や直視できない不安を抱えているのかもしれないですね。がん相談支援センター(電話:043-264-6801)ではそのような患者さんの思いもお伺いいたします。いつでも来室いただければ幸いです。

 

 

2. 回答者:周術期管理センター 手術看護認定看護師 薮下 美紀

 

2-(1)

質問:術前に肥満コントロールのお話がありましたが「やせ」の影響はいかがでしょうか?個人差はあると思いますが、80歳以上の高齢者の開腹手術のリスクについて教えていただきたいです。

 

回答:県民公開セミナーのお話しの中で、BMI25以上を肥満と定義することをお伝えしました。

反対に標準体重マイナス20%の体重BMI18.5未満は「やせ(低体重)」と定義できます。

低体重の方は、場合により貧血や脱水等があると手術中の出血への耐術能、低栄養(総蛋白血漿低下.低アルブミン血漿)等があると術後の傷の治りも遅れる可能性があります。また皮下脂肪が少ないので長時間手術になると骨突出部位が圧迫されることで発赤や褥瘡発生の原因となることもあります。

ご高齢者の方は、若い方に比べると個別性はありますが、心臓や肺の働きが低下傾向にあるため、循環動態や呼吸状態に変化をおこしやすいと考えます。また、一般的に麻酔薬やその他の薬剤による、身体への効果や反応、臓器への負担を考慮します。開腹手術は術後の創の痛みも予測され、痛みや環境の変化により一時的に精神的な混乱を来す、せん妄状態にも十分な注意が必要となります。

 

2-(2)

質問:麻酔が効きにくい体質とのこと。超音波内視鏡を受けたとき、通常より多めの麻酔薬を投与されたようです。その後普段の体調にもどるまで疲れや違和感がありました。なにか気を付けることはありますか?タトゥーをしている家族がいます。どんな影響がありますか?(うで、背中、肩甲骨あたり)

 

回答:超音波内視鏡検査時に使用した鎮静薬は、それぞれの方の若干の個別性がある可能性はありますが、一般的には検査終了後、医師から安静制限がなければ通常の生活に戻っていただいて、大丈夫だと考えます。

内視鏡検査での鎮静薬の使用と全身麻酔は違うもので、全身麻酔は、麻酔中は呼吸の補助が必要なため、麻酔科の先生が麻酔薬の投与を調整しながら呼吸の管理をしています。

タトゥーは、手術部位が近いと創感染の原因や、手術中は電気メスを使うので火傷の原因となることが考えられます。タトゥーがある場合は、医師や看護師にお伝えください。

 

2-(3)

質問:認知症になった方の手術は危険ですか?(実母はそこそこ高齢だったため、手術はせず看取りました。)

 

回答:認知症はどの程度の認知症なのか?病気が手術をしなければ生活や生命に支障をきたす可能性があるか?ご本人がどの程度病気や手術の必要性をご理解できているか?ご家族やご本人を支援してくださる方々の協力が得られるか?等の検討や調整が必要だと考えます。

もしご家族やご本人に認知症があり、手術を検討しなければいけなくなった際は、ぜひ詳しい状況を医師や看護師にお話しください。ご本人やご家族にとって最善の選択ができるよう一緒に考えていけると良いと思います。

 

2-(4)

質問:アートメイクをしていることによる、デメリット、手術の際の影響等を教えてください。

 

回答:アートメイクもタトゥーと同様に、手術部位が近いと創感染の原因や、手術中は電気メスを使うので火傷の原因となることが考えられます。アートメイクがある場合も、医師や看護師にお伝えください。

 

 

3. 回答者:診療部長 消化器内科部長 傳田 忠道

 

3-(1)

質問:がん遺伝子パネル検査というのを初めて知りました。先日大腸がんと診断されたばかりで、治療選択のために、免疫染色(?)などの結果を待っているところです。がん遺伝子パネル検査は1st Lineの治療が始まる前に調べてもらった方が良いものなのでしょうか?治療の選択肢が初手から変わりますか?

 

回答:がん遺伝子パネル検査の対象者は、標準治療がないがん患者さん、または標準治療が終了または終了すると見込まれるがん患者さんです。大腸がんの抗がん剤治療では、標準治療という効果が期待できる抗がん剤治療がいくつかあります。通常は、質問者の方のように抗がん剤治療開始前にいくつか遺伝子検査を行なって抗がん剤治療を開始します。治療をいくつか受けてからがん遺伝子パネル検査を行いますので、選択肢が初手から変わることはありません。

 

3-(2)

質問:遺伝子パネル検査について、年齢制限はありますか?

 

回答:がん遺伝子パネル検査は、年齢の上限はありません。しかし、治療薬を見つけるための検査ですので、がんの進行のために全身状態が悪くなって日中の50パーセント以上横になっている患者さんは抗がん剤治療ができない場合が多いです。そのような患者さんはがん遺伝子パネル検査は行わない方が良いと考えます。

 

3-(3)

質問:術後再発してしまい、もうすぐ新たな抗がん剤治療を始めることになると思います。遺伝子パネル検査をこれから受けたい場合、抗がん剤治療は検査結果が出るまでできないのでしょうか?

 

回答:がん遺伝子パネル検査は、検査を申し込んでから結果がわかるまで1カ月半程度の時間がかかります。その間の抗がん剤治療は可能です。

 

3-(4)

質問:娘が乳がんで抗がん剤を受けたとき、その苦痛を思うと、どうケアをしてよいかわからないです。

 

回答:抗がん剤治療を安全に行う時の、副作用の苦痛を緩和する対策はいろいろあって、苦痛があったら担当医や看護師に相談すると対応できます。また、ソーシャルワーカー、臨床心理師などがいますので、病院の相談支援センターの窓口で相談できます。合同セミナーにも参加していただきましたが、患者会で情報を聞いたり相談したりする方法があります。そのほか、具体的には、例えばタキサン系抗がん剤を使う場合は脱毛の副作用があります。かつらを使うか使わないかに関わらず治療前に種類や値段など一緒に調べておくとよいと思います。また、抵抗力が落ちて風邪をひいて発熱しやすいので、ご本人もご家族も人の多いところに行く時はマスクを着用する、帰宅したら手洗い・うがい、食事前に手洗いで風邪を予防します。食事はご家族と同じでいいですが、もし治療で食欲が低下した場合には胃に負担がかからないように消化の良いお粥やスープなどを少しずつ分けて作ってあげればいいと思います。

 

3-(5)

質問:分子標的治療薬の効果は理解しました。患者としては副作用が怖いので、この治療薬を使った場合の副作用の発生確率が分かると助かります。

 

回答:今回のセミナーのスライドで提示しました写真は、分子標的治療薬のセツキシマブのざ瘡(ニキビ)様皮疹と爪囲炎です。このような皮膚の症状は治療した患者の85パーセント以上で発生します。個人差がありますが、ざ瘡様皮疹は治療開始後1週間で現れ2~3週間頃にピークを迎え、その後は軽くなりますが皮膚乾燥や掻痒感が続きます。爪囲炎は治療開始1か月以降に起こることが多く、治療している間は続きます。

 

3-(6)

質問:頭部のがんで、大きな血管、神経が近く、手術ができないため、放射線と抗がん剤の治療になります。放射線と抗がん剤治療で3分の1の大きさになったようです。今後抗がん剤でがんは無くなっていく可能性はありますか。抗がん剤治療に耐えるためにできる事はありますか?患者は7歳です。

 

回答:15歳未満の小児に起こるがんは1位が白血病、2位が脳腫瘍です。頭部のがんは脳腫瘍でしょうか。脳腫瘍はさまざまな種類の腫瘍が発生しますので進行の速さや治療効果はそれぞれ異なります。大人のがんと違い小児のがんは放射線や抗がん剤に感受性があり治る可能性はあります。その一方で、成長途中の小児期に行う強い治療は、いろいろな晩期の合併症を引き起こす可能性があります。

家族だけで悩まず、周囲に相談することを勧めます。病院には、医師や看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理師などがいます。相談の窓口は相談支援センターがあります。困っていることを主治医や相談支援センターに話してみるとよいです。同じ経験をもつ人々の存在に支えられることもあります。同じ想いを分かち合い、寄り添ってくれる小児がん親の会や小児がん経験者の会が全国で活動をしています。

 

3-(7)

質問:ドセタキセルを今家族が使っています。ドセタキセルについて詳しく教えてください。家族として知りたいことがたくさんあります。抗がん剤が効かなくなったらどうなるのでしょうか?具体的に教えてください。

 

回答:ドセタキセルは、乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、など多くの癌で使われている殺細胞性抗がん剤です。がん細胞が増える時には微小管が需要な働きをしていますが、ドセタキセルはその微小管の働きを邪魔してがん細胞が増えるのを抑えます。

ほかの殺細胞性抗がん剤と同様に、抵抗力が低下して発熱、食欲低下、嘔吐、倦怠感、脱毛の副作用があります。微小管は神経細胞でも重要な働きをしているので、しびれの副作用があります。

 治療している抗がん剤の効果がなくなったと判断されたら、その抗がん剤は終了して、別の抗がん剤に変更します。がんの種類によっては、1番目の治療が効果なかった場合、2番、3番目の抗がん剤治療があります。もし、がんが進行して全身状態が悪化したり内臓の機能が低下した場合には抗がん剤治療の続行は危険ですので治療は終了します。

 そのような場合、痛みや食欲低下、倦怠感などがんの症状が出てきている場合が多いので、症状を緩和する治療は続ける必要があります。具体的には、緩和医療科に入院する方法がありますが、すぐには入院しないで緩和医療科に通院したり、訪問診療を導入したりして自宅で薬剤を処方してもらう場合が多いです。

 

3-(8)

質問:分子標的薬の効果期間を教えてください。(肺腺がんステージ4)

 

回答:例えば、ステージ4の肺癌患者で、EGFR遺伝子変異が陽性で、初めての治療をするとします。その変異に対応する分子標的治療薬(タグリッソ)で治療した場合、治療効果の期間(無増悪生存期間)は中央値18.9カ月です。個人差はありますが、最近の分子標的治療薬の進歩で、治療効果は上がっています。しかし、全身状態が悪くなった場合や内臓機能が低下している患者では効果期間が短くなりやすいです。

 

 

4. 回答者:栄養科 管理栄養士 前田 恵理

 

4-(1)

質問:飲酒のガイドラインについてお話がありました。前半の演題『安心して手術を迎えるために 術前から始める合併症予防策』でアルコールについてはそこまで厳しくないと言っていましたたが、こちらでは少しの飲酒もダメとのこと。もう少し見解を伺いたいと思います。

 

質問:家では全くお酒は飲みませんが、会社の飲み会に年に6回ほど(2月に1度くらい)あり、このときには立場上飲まざるを得ません。顔も赤くなります。普段は全く飲まない人でも胃がんや食道がんのリスクは高くなるのでしょうか?

 

回答:世界保健機関(WHO)は、アルコール飲料は少しだけでも有害で、健康によい量はない、と飲酒に対して警鐘を鳴らしています。日本でも2024年2月に「健康に配慮した飲酒のガイドライン」が公表され、「男性は、少しの飲酒でも胃がん・食道がんの発症リスクの増加につながる」と示されました。特に少量のアルコール飲料を飲んだだけで顔が赤くなる方は要注意です。ただし、これは科学的な事実を示しているだけであり、全ての人に守りなさいという規則ではありません。しかし、「食道がん・胃がんにはどうしてもなりたくない」と「好きなお酒は飲みたい」が両立しないということはご理解いただきたいと思います。

「少しも飲酒をしてはいけません」と伝えているわけではありませんが、このような科学的根拠のある情報を知った上で、可能な範囲で生活習慣を見直していただけたらと思います。ご自分の体質を理解した上で健康管理に心がけましょう。

 

4-(2)

質問:只今がんセンターで入院中です。退院後の家庭での食事が心配です。

 

回答:入院中の患者さんに向けて、退院後の栄養・食事についての栄養指導を行っています。ご希望があれば、ぜひ主治医や病棟の看護師にお申し出ください。

 

4-(3)

質問:現在通院していますが、栄養指導は受けられますか?

 

回答:外来通院中の患者さんに向けても栄養指導を行っています。栄養・食事でのお困りごとがあるときには、主治医や外来看護師にお申し出ください。

 

4-(4)

質問:がんを予防するための食事、及び生活習慣について教えてください。

 

質問:再発、転移を防ぐ食事について教えてほしかったです。

 

回答:がんの予防には「禁煙」、「節酒」、「食生活」、「身体活動」、「適正体重の維持」の改善可能な要因が複雑に関連しています。食生活については、「塩辛い食品の摂りすぎ」「野菜や果物を摂らない」「熱すぎる飲み物や食べ物を摂ること」が多くのがんの原因となることが明らかになっています。しかし、がんの種類によってその影響度が異なります。食事については科学的根拠のない情報も出回っているため、鵜呑みにせずにバランスがよい食事を心がけることが一番です。

また、肥満は多くのがん(例えば大腸がんや閉経前の乳がんなど)と関連があります。適正体重を維持することはがんの再発予防にもつながります。

 

4-(5)

質問:外来に栄養科が欲しいです。

 

回答:外来通院中の患者さんに向けても栄養指導を行っています。栄養・食事でのお困りごとがあるときには、主治医や外来看護師にお申し出ください。

 

4-(6)

質問:絶食といわれて、入院中にポート手術を受けそこから栄養を取るようになっていますが、口からミキサー食を取ることはもうできないのでしょうか?どのような場合にポートを撤去し口からの食事に戻れるのか、または口からとポートから両方で取るようになるのか、いろいろなケースがあるならそれも知りたいです。

 

回答:おひとりおひとりの病状や状況が違うため、この場では明確なお返事はできませんので、申し訳ありません。

主治医やスタッフは患者さんの病状をしっかりと把握した上で、皆さんの治療・療養への想いをなるべくくみ取れるようサポートしていると思います。「口から食事を摂りたい」というご希望を主治医や看護師に打ち明けて相談してみることも新たな道につながるかもしれません。

 

4-(7)

質問:塩分の強い食事を拒否します。何か良い方法はないでしょうか。

 

回答:味覚障害が出ているのであれば、不快な味の食事を無理に摂ろうとせずに他の味付けに変えてみることをお勧めします。塩味を強く感じるのであれば、出汁をきかせて素材の味が活きる調理方法にしてみたり、香辛料でアクセントをつけたりすることがお勧めです。

 

 

5. 回答者:緩和医療科部長 田口 奈津子

 

5-(1)

質問:誰かと共有という点において質問です。誰もいない場合、保証会社に頼るべきでしょうか。(多額の費用がかかるのか心配です。)

 

回答:会場でのお返事として主治医への共有をとお話ししましたが、共有の目的は自らの意思表示ができなくなったときに、周囲の方が本人の希望としての選択肢を伝えることの心の負担が軽減されることにあります。そういう立場の方がいらっしゃらないようであれば、共有しなくても問題はありません。治療・ケアの選択肢ですので、いわゆる後見人などとは異なります。

 

5-(2)

質問:本日聞いたチームでのがん医療は、どの病院でも行っているとはとても思えません。もしかかっている病院について信頼できないときは、途中で転院するという選択は可能でしょうか?

 

回答:お話しさせていただいたようなチーム医療はがん診療連携拠点病院では必須の取り組みとなっています。『院外の方も無料で相談できます。』とするための予算は一定程度公的に支給されます。がん診療連携拠点病院以外の病院では、同様の体制は可能ではないかもしれません。

治療途中の転院は、可能であり、セカンドオピニオンなどの希望でまずは治療の選択肢を確認ください。主治医とよくご相談いただき治療が中断されることのないよう ご検討ください。

 

5-(3)

質問:在宅での緩和ケアは、ほかの病院にかかっている人でも受けられますか?

 

回答:在宅での緩和ケアにつきまして、どの病院からでも地域に紹介いただき、ケアを受けることは可能と思われます。

 

5-(4)

質問:在宅による緩和ケアになったとき、ちゃんと家族としてフォローができるか不安です。

 

回答:ご心配なお気持ちはわかります。ご家族の負担も大きいでしょう。ただし家族だけで行うわけではなく、そこにも訪問看護、訪問診療、訪問薬剤師などなど、チームが存在します。頼っていただいてよいと思います。

 

5-(5)

質問:緩和ケア病棟に移るタイミングがよくわからないです。

 

回答:これまでの治療経過、病状によって人それぞれですので 主治医とご相談いただくのが良いと思います。

 

5-(6)

質問:86歳の夫が肺がんと診断されました。医療機関で受診したのですが、高齢だから手術できないといわれ、現在は血痰に対する止血剤のみ服用しています。体力は下降しています。食欲もなく84キロが62キロになってしまいました。

 

回答:ご心配ですね。今後の療養がスムーズに運ぶことを祈っています。

 

5-(7)

質問:治療後の病気との向き合い方。その後3年、5年、10年と生活する中で、どのように治療が進んでいくのでしょうか? 採血やエコーや服薬の期間などが知りたいです。

 

回答:これは何がんであるか、また 治療前のステージなどによって異なりますので 主治医と相談してみていただければと思います。

 

5-(8)

質問:長期治療中の小児がん患者へのメンタルケアの現状について教えてください。

 

回答:小児がんの方は 高齢者のがんとは大きく異なります。心身の成長、学業、成人医療への橋渡しなど特有の問題点もあります。私は専門外になりますのでぜひ小児がんを専門に担当する先生方やスタッフの講演会などを探してみていただければと思います。

 

 

6. その他のご質問

質問:家族がストーマになりました。臀部に痛みがあり、膿がずっと出ています。膿を出す手術は来月予定していますが、膿が出る患部は何とかならないでしょうか?

 

回答:大変申し訳ありませんが、個々の病状についての個別のご質問にはお返事できません。御了承いただきますようお願い申し上げます。

 

 

問合せ:千葉県がんセンター 事務局 医事経営課
電話番号:043-264-5431