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更新日:平成29(2017)年3月8日

東日本大震災を忘れない!事例から学ぶBCP(事業継続計画)策定のノウハウ(第3回・最終回)

BCP(事業継続計画)とは、大震災・風水害・感染症等の緊急事態発生時に、損害を最小限にとどめつつ、事業継続・早期復興ができるよう、平常時に行うべき活動や緊急時における対応方法・手段等を決めておく計画のことです。
このBCPに関して、(公財)千葉県産業振興センターが発行するメルマガ「千葉県産業情報ヘッドライン」で連載したコラムを掲載します。

第3回:BCPの実効性を高める最重要ポイント(最終回)

浅野睦さん顔写真一般財団法人リスクマネジメント協会理事
株式会社フォーサイツコンサルティング代表取締役社長

浅野睦

 

東日本大震災で長期間製造が停止してしまったものの1つに自動車がある。

自動車製造ラインを長期間にわたって止めてしまった原因資材は、意外なことに「過酸化水素」であった。
過酸化水素は、半導体製造の前工程として基板を洗浄する際に必要不可欠な物質であった。
この過酸化水素の国内シェア70%以上を生産するラインが震災によって長期間停止してしまったため、半導体の基板が製造できない事態が発生してしまった。
自動車にはいろいろなシステムが搭載されているため、半導体基板の製造が止まるということは自動車の心臓部をつくることができなくなることを意味していた。
直接自動車には搭載されていない化学物質の供給がストップしたことによって、自動車本体の製造ができなくなったのだ。

たった1つの物質であっても、事業停止に致命的な影響を与える資材の調達や資材を守る視点は事業継続において欠かせないということだ。

この視点は、本稿第1回目に紹介したオイルプラントナトリ社の例で言えば、タンクローリーということができる。
オイルプラントナトリ社では、タンクローリーのドライバーが津波の被害を免れたため、事業継続を早期に果たすことができた。

一方で、本稿第2回で紹介したA社は、資材の調達よりも被災した得意先の応援に全員が走ってしまったために、事業継続を遅らせてしまい、結果的に得意先に多大な影響を与えてしまった。

事前に十分に調査しておけば、被災時の行動が大きく変わるはずである。

もちろん、自社の直接の事業プロセスにおいて重要な資材だけでなく、サプライチェーン全体で事業停止に追い込まれる可能性のあるリスク因子も分析しなければならない。
製造協力先で資材が止まれば自社も止まってしまうからだ。

この分析で重要な資源を見つけ出す基本ポイントは、

(1)独自開発品
(2)長期間のリードタイムを要する資材
(3)多数の製品で使用されている資材

の3つである。

この3つの要素に該当する部品や材料は、想定したリスクに対して、どれくらい調達に支障をきたすかを評価し、代替策を平常時から考えておく必要がある。
過酸化水素のように副資材や燃料なども洗い出しておく必要がある。
被災して動かなくなる設備などの復旧や改修に要する部品の中で調達が難しい材料も、メンテナンス会社はあらかじめ把握しておかなくてはならない。

さらに、被災時に実際にこうした必要資材の調達に向けて行動できるかどうかも検証しておきたい。

大規模災害の発生によってインフラや物流などが停止することを想定した対策本部訓練を行うことにより、ある重要な資材の残在庫が限られている状況を設定し、実際に担当者が早期に重要資材の特定と調達数量を見つけ出せるか、さらに通常よりも調達が困難な状況の中で早急に入荷に向けた行動ができるかどうかを確かめる必要がある。

このことは自社が直接被災せず、遠方の取引先が被災して停止した場合にはリスクとなるため、直接自社が被災ない場合のことも想定しておく必要がある。

また、重要な資材は多岐にわたるため、複数の担当者それぞれが同じ認識で対応できるかどうかも大きなポイントとなる。

たった1人の担当者が「うっかり忘れていた」ということでは事業復旧は遅れてしまう。
訓練によって日頃から自社の事業継続に影響を及ぼす重要な経営資源の認識を持ち続けられるようにしたい。

千葉県産業情報ヘッドラインから転載(第500号2014年11月13日発行)

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