ここから本文です。

更新日:令和3(2021)年11月2日

ページ番号:23670

答申第153号

答申第153号

平成28年2月3日

千葉県病院局長矢島鉄也様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

平成25年7月4日付け○○第○○号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成25年6月10日付けで異議申立人から提起された、平成25年6月3日付け○○第○○号で行った自己情報不開示決定に係る異議申立てに対する決定について


諮問第137号

答申第153号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.附言7.審議会の処理経過

 1.審議会の結論

千葉県病院局長(以下「実施機関」という。)が平成25年6月3日付け○○第○○号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

実施機関の判断は、妥当である。

 2.異議申立ての経緯

(1)異議申立人は、平成25年5月20日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成●年●月●日臨時開催特定県立病院医療安全管理委員会の『議事録』と『録音テープ起こし原こう』」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を平成●年●月●日開催の特定県立病院医療安全管理委員会(以下「本件委員会」という。)の議事録(以下「本件文書1」という。)とし、本件請求時点において本件文書1を作成していないことから、本件請求に係る行政文書を保有していないとして本件決定を行った。

これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成25年6月10日付けで本件異議申立てを行った。

(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成25年7月4日付け○○第○○号で審議会に諮問した。

 3.異議申立人の主張要旨

(1)異議申立ての趣旨

「本件決定を取り消す。」との決定を求める。

(2)異議申立ての理由

ア異議申立書

(ア)条例における不開示理由に該当しない。

(イ)「保有していない。」は、規定により虚偽である。

(ウ)処分(不利益)は重大であり、率直な意思表示は尊重されるべきであるが「透明性」及び「公平性」、「公正性」が最も重要であり、求められる。

(エ)求める情報(録音テープ起こし書面)に関する回答が、全くない。

イ異議申立理由書2

平成25年6月18日付けで異議申立人が実施機関に対し任意に提出した「異議申立理由書2」において、概ね次のとおり主張している。

「行政文書を保有していない。」は虚偽である。規定に従えば、平成△年△月△日以後は、作成されている。

ウ意見書

実施機関の理由説明書(下記4)を受けて平成26年1月24日付けで異議申立人が審議会に対し提出した意見書において、概ね次のとおり主張している。

(ア)「対象行政文書について」(下記4(2))

a特定県立病院(以下「特定病院」という。)○○院長(以下「院長」という。)が、特定病院から排除する目的の遂行のために、医学的理由なく、異議申立人の入院診療行為を禁止する処分(以下「本件禁止処分」という。)を実施しようとした。院長の恣意的な本件禁止処分が公平・公正であるかのように装うために、特定病院医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)が公平・公正な評価機関であり、また、その委員会において公平・公正な審議をしたように見せかける、あくまで形式的事実のみを得ようとした。したがって、本件文書1の「内容」が暴露されると、院長の不法行為が明るみに出ることをおそれ、院長は開示請求を拒否しているにすぎない。

bICレコーダーの趣旨は、透明性の確保にある。当初の約束である「テープ起こし」をしないことは、信義則違反であり、「隠ぺい工作」である。早急にテープ起こしをすることを求める。

c「当初」の委員会の設置目的と指針について

「当初」の委員会の設置目的と指針については、「現在」の特定病院の実態からかけ離れている。「現在」の委員会の役割は、院長の恣意的かつ不当な特定病院運営方針を遂行するための道具になり下がっている。

d「現在」の委員会の能力について

「現在」の委員会は、各科専門医が構成員になっていない。したがって、各科個別の院内の医療安全における重大な問題への対応や医療事故の分析及び再発防止策の検討や医療事故防止のための啓発、教育(以下「重大問題への対応等」という。)は、不可能である。病院長、○○○○長、○○○○長などは、各科個別の院内の医療安全における重大問題への対応等をする能力がなく、不可能である。したがって、「外部の専門医」に○○科個別の医療安全における重大な問題及び医療過誤・医療事故の存否、仮に重大な問題及び医療過誤・医療事故が存在すると仮定した場合の対応及び分析を依頼したのである。「外部の専門医」の見解を、委員会が否定できる権限も能力も存在しない。

(イ)「不開示の理由について」(下記4(3))

特定病院医療安全管理委員会運営要領(平成24年8月施行。以下「運営要領」という。)に基づき、「作成」する義務がある。

(ウ)「異議申立てに対する実施機関の考えについて」(下記4(5))

a「議事録」作成は、義務である。

b「テープ起こし」をしないことは、信義則違反であり、「隠ぺい工作」である。

早急に、議事録作成及びテープ起こしをすることを求める。

 4.実施機関の説明要旨

平成25年12月3日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、概ね次のとおり主張している。

(1)対象行政文書の特定について

特定病院は、本件文書1については、平成25年5月20日の本件請求時点で、未作成であり存在しない。

また、会議内容を録音したデータは存在するが、録音内容を起こした原稿(以下「本件文書2」という。)は、存在しない。

(2)対象行政文書について

ア対象行政文書は、異議申立人が主治医として平成○年○月に担当していた患者症例に関して評価・検討を行った、本件委員会の議事録(本件文書1)である。

イ会議内容のICレコーダー録音については、委員会の委員長が異議申立人に対し、委員会への出席を要請した際に、委員会出席の条件として提示され、実施したものである。

ウ委員会とは、県立病院の医療安全管理体制を確立し、快適で良質な医療の提供に資することを目的に、千葉県病院局において制定した「千葉県病院局医療安全管理指針」に基づき、設置されたものである。

エ委員会は、病院長、○○○○長、○○○○長などを構成員とし、院内における医療安全管理の全般を統括するものであるが、特に、院内の医療安全における重大問題への対応等を取り扱うものである。

(3)不開示の理由について

平成25年5月20日開示請求時点では、●月●日に開催された本件委員会の議事録(本件文書1)は作成されておらず、保有していないことから不開示とした。

(4)異議申立ての理由について

異議申立人が主張する理由は、以下に要約されると考える。

ア条例における不開示理由に該当しない。

イ「保有していない。」は規定により虚偽である。規定に従えば、平成△年△月△日以後は作成されている。

ウ処分(不利益)は重大であり、率直な意思表示は尊重されるべきであるが「透明性」及び「公平性」「公正性」が最も重要であり求められる。

エ求める情報(録音テープ起こし書面)に関する回答が、全くない。

(5)異議申立てに対する実施機関の考えについて

ア平成25年5月20日開示請求時点では、●月●日に開催された議事録(本件文書1)は、作成されておらず、保有していないことから、条例第21条第2項により不開示とした。

イ異議申立人は、委員会の議事録が、運営要領で「1週間以内に委員会の委員に配布する。」と記載されていることから、本件決定自体を虚偽であると主張しているが、議事録の作成の期限については、委員会が院内の医療事故等に関する審議も取り扱う性格上、議事録作成に一定の期限を設ける必要性から内規として定められたものであり、状況により1週間を超えることも想定される。

本件委員会の議事録(本件文書1)については、患者症例に係る医療専門分野の議論が中心であり、議事録の作成にあたり、各委員の発言の確認作業も必要であることから、作成まで1週間以上の時間を要したものである。

なお、本件文書1は、評価・審議中の患者症例に関する内容であり、病院として慎重かつ正確に取り扱うべき性格の文書であると考えている。

ウ平成25年5月20日開示請求時点では、●月●日に開催された本件委員会の議事録は作成されておらず、保有していないことから、条例第21条第2項により不開示とした。

エ本件請求時点では、議事録(本件文書1)は作成されていない。また、会議内容を録音したデータは存在するが、録音内容を起こした原稿(本件文書2)は、存在しない。

 5.審議会の判断

当審議会は、実施機関から調査した結果、次のとおり判断する。

(1)開示請求の対象となる行政文書について

条例は、第15条第1項で「何人も、実施機関に対し、行政文書に記録された自己の個人情報の開示の請求・・・をすることができる。」としている。この趣旨は、開示請求の時点で現に存在する行政文書の開示請求を想定しているものである。

また、千葉県行政手続条例(平成7年千葉県条例第48号)第7条によれば、「行政庁は、申請が当該行政庁の事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければなら」ないとしていることから、「申請」すなわち開示請求がなされた時点において存在する行政文書が、開示請求の対象となる。

(2)本件請求に係る行政文書について

本件請求で異議申立人が開示を求めている自己情報に係る行政文書は、本件文書1及び本件文書2であると認められる。

ア本件文書1について

(ア)本件文書1は、平成●年●月●日に開催された本件委員会の議事録である。実施機関の説明によれば、本件文書1は□月□日に作成されていることから、本件請求のあった5月20日時点では、本件文書1は作成されていない。したがって、本件文書1については、開示請求に係る個人情報を記録する行政文書を保有していないとする実施機関の判断は、妥当である。

なお、開示請求日の時点において、当該開示請求に係る個人情報を記録する行政文書の作成が予定されており、かつ、当該行政文書が開示決定等の日までに作成された場合には、実施機関の判断でこれを特定して開示することを妨げるものではない。

(イ)また、運営要領第6条第3項によれば、委員会の「議事録は1週間以内に各委員に配布する」こととなっている。そうすると、本件文書1は、本件委員会の21日後に作成されているから、同項に反していることが認められる。

これについて実施機関は、議事録の作成期限は、委員会の性格上一定の期限を設ける必要があることから内規として定められたものにすぎず、また、本件委員会は患者症例に係る医療専門分野の議論が中心であったため各委員の発言の確認作業等の慎重な対応が必要であったことから、議事録作成までに1週間を超える期間を要したと説明するが、この説明に特段不合理な点は認められない。

イ本件文書2について

(ア)本件請求において、異議申立人は、本件委員会の「議事録」たる本件文書1のみならず、その「録音テープ起こし原こう」も請求内容としている。しかし、実施機関は、本件決定において本件文書1のみを特定し、「録音テープ起こし原こう」に当たる本件文書2を記載していない。そこで、異議申立人は、異議申立書において、上記3(2)ア(エ)のとおり、本件文書2に対する回答が全くない旨主張している。

(イ)本件文書2は、平成●年●月●日に開催された本件委員会の内容を録音したデータを再生し、文章に起こした原稿である。

実施機関の理由説明によれば、上記4(2)イのとおり、委員会の委員長が異議申立人に対して本件委員会への出席を要請した際、異議申立人から本件委員会出席の条件として提示されたため、実施機関は、本件委員会の会議内容をICレコーダーで録音したことが認められる。しかし、上記4(5)エのとおり、本件請求時点においては、本件委員会の内容を録音したデータは存在していたものの、それを文章に起こす作業はいまだ行われていなかったことからすれば、本件文書2は存在していなかったという実施機関の説明に特段不合理な点は認められない。

(3)結論

以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。

なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

 6.附言

本件決定において、実施機関は、上記5(2)イ(ア)のとおり、「開示請求に係る個人情報を記録する行政文書の件名又は内容」欄(以下「件名欄」という。)に本件文書1のみを記載し、本件文書2を記載していない。しかし、実施機関が自己情報開示請求に対する決定通知書を作成するに当たっては、対象文書の件名を全て記載し、開示請求者に対して正確な情報を与えることが求められている。

したがって、実施機関は、本件決定において本件文書2も件名欄に記載した上で、決定通知書を回答すべきであった。

 7.審議会の処理経過

審議会の処理経過は下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成25年7月4日

諮問書の受理

平成25年12月4日

実施機関の理由説明書受理

平成26年1月30日

異議申立人の意見書受理

平成27年11月24日

審議(第252回審議会)

平成27年12月15日

審議(第253回審議会)

答申第153号(平成28年2月3日)(PDF:160KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?