ここから本文です。

更新日:令和5(2023)年8月2日

ページ番号:23577

答申第107号

答申第107号

平成22年11月26日

 

  千葉県公安委員会委員長  様

 

千葉県個人情報保護審議会

会長  原田三朗

 

審査請求に対する裁決について(答申)

  平成20年9月4日付け公委(生経)発第1号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

  平成20年8月10日付けで審査請求人から提起された、平成20年6月24日付け生経発第218号で行った自己情報不開示決定に係る審査請求に対する裁決について


諮問第91号

答申第107号

審議会の結論審査請求の経緯審査請求人の主張要旨諮問実施機関の説明要旨審議会の判断審議会の処理経過

1.審議会の結論

  千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成20年6月24日付け生経発第218号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

  実施機関の決定は妥当である。

2.審査請求の経緯

  審査請求人は、平成20年6月16日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「有責配偶者の虚偽DV被害申告によって、裁判を阻害されているので、これに関する関与者の記録一切」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

  実施機関は、本件請求に係る情報の存否を答えることは、条例第17条第2号、第4号及び第6号に規定する不開示情報を開示することとなり、条例第20条に該当するとして本件決定を行ったため、審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)に対し、平成20年8月10日付けで本件決定の取消しを求め審査請求を行ったものである。

  なお、諮問実施機関あてに提出された文書は異議申立書と記載されたものであるが、諮問実施機関はこれを審査請求書とみなし、条例第46条第1項の規定により、平成20年9月4日付け公委(生経)発第1号で審議会に諮問したものである。

3.審査請求人の主張要旨

(1)審査請求の趣旨

  本件決定の取消しを求めるものである。

(2)審査請求の理由

ア 悪意の遺棄

  法令規範として、「悪意の遺棄(民法770条1項2号)」との識別があり、故意に相手方の意志に反してなす夫婦共同生活の廃止、すなわち悪意の出でたる同居義務の不履行を指称するものと解され、親族法に違背する卑劣な不法行為にあたる。これに荷担し、積極的に破綻させた場合は、不法行為責任を負い、その範囲においては、物質的及び精神的の全損害を賠償するにまで及ぶ(最判昭和33年4月11日民集12巻5号789頁、最判昭和38年2月1日民集17巻1号160頁)。

イ 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律作用

  配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下、たんにDV法という)によって頻発する、一方的ないし策略的に成立する未成年者略取事件は、それまで、子らが平穏無事に生活していたにもかかわらず、なんの落ち度も無いのに、夫が暴力加害者とされてしまい、不法な既判力が段取良く及び、正当な親権者において、子の環境が全く保全できない。

ウ 裁判の経過

  家庭裁判所に適法に訴え出てからこの方、信じられない程、有責者からの虚偽が継続される。そこで、DV法関連法規に基づく、えん罪被害者として、積極的に争ってきたが、○○家庭裁判所○○支部判決では、その有責配偶者(DV妻)に対して、慰謝料を支払えと判決し、その余の請求原因は、帰責事由が異なるとし、共同不法行為請求の道筋を示すまでに至った。続く、親権回復を要求する控訴審も終結し、○○高等裁判所民事○部判決を待つ状態にあるが、未成年者略取、名誉毀損、虚偽告訴、公的扶助詐欺等について、今まで継続されてきた上は、その共同正犯らを、異議申出人において、それなりの書証を獲得し、告発等の刑事訴追手続も踏むべき段階に至っている。

エ  不服申立て理由

  民事訴訟や刑事訴追用と言う理由がある。これが、自己情報不開示決定通知書の不当な判断により阻まれる。仮にも、捜査に支障をきたすという論理を掲げても、逆である。それこそが、容疑者を隠す所為に外ならず、したがって、本件申立てに及ぶ。

4.諮問実施機関の説明要旨

(1)不開示決定(存否応答拒否)の理由について

  本件請求は、審査請求人の配偶者が警察にDV被害の申告をしているか否かを探索するために行ったものと認められ、その存否を答えれば、第三者の申告の有無という事実が明らかになるばかりか、審査請求人に対する警察の情報収集活動が行われているか否かという事実も明らかになるものと考えられ、以下の不開示情報を開示することになり、条例第20条に該当する。

ア 条例第17条第2号該当性について

  本件請求に係る情報は第三者である審査請求人の配偶者に関する情報で当該個人の識別性を有するものであることから、同号本文に該当することは明らかであり、また、本号ただし書イ、ロ、ハ及びニのいずれにも該当しない。

イ 条例第17条第4号該当性について

  仮に本件請求に係る情報が存在しているが不開示とした場合には、審査請求人がDV加害者として捜査若しくは情報収集の対象となっていることが明らかとなり、捜査等から逃れるために対抗措置を講じられるおそれがあり、また、仮に本件請求に係る情報が存在しないことを理由に不開示とした場合には、警察への相談等の事実がないことが明らかとなり、審査請求人の配偶者に対する新たな暴力事案等に発展することも否定できず、当該情報の存否を明らかにすることは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるため、本号に該当する。

ウ 条例第17条第6号該当性について

  警察におけるDV事案の対応については、警察法第2条に定める警察の責務のほか、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第8条(警察官による被害の防止)及び第8条の2(警察本部長等の援助)に基づき行う事務であり、その性質上、正確な事実の迅速な把握が必要とされる。

  また、一般的に警察への被害の申告や相談を行う者は、秘密を守るという信頼関係に基づいて自らの氏名や事案の内容等、申告者が知り得る情報を警察に託しているものであり、その情報の取扱いは、慎重な対応が求められる。

  本件についても、審査請求人の配偶者がDV被害の申告や相談をしたか否かを審査請求人が明確に認識していると判断できない状況において、その存否を明らかにすると、申告者の警察に対する信頼が損なわれ、以後の警察への相談や被害申告等を躊躇し、協力を拒否するなど正確な事実の把握が困難となるおそれがあると認められる。

  よって、本件請求に係る情報の存否を答えると、DVについての被害の申告や相談を受け、被害者を保護する警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、本号に該当する。

(2)条例第19条該当性について

  審査請求人は、民事訴訟や刑事訴追用という理由があると主張するが、本件請求に係る情報の存否を明らかにすると、条例第17条第2号、第4号及び第6号の不開示情報を開示することとなるものであり、存否を明らかにすることによる審査請求人の権利利益が存否を明らかにしないことにより保護される利益を上回るとは認められず、審査請求人の権利利益を保護するため特に必要と認める場合には当たらないので、本条には該当しない。

5.審議会の判断

(1)本件請求の内容について

  自己情報開示請求書及び理由説明書によると実施機関は請求時に請求の趣旨が「配偶者が自分を加害者として警察にDV被害の申告をしているはずなので、自分がDVの加害者として登録された時期が分かるもの。」であることを審査請求人に確認をしている。

(2)条例第20条該当性について

  本条は、開示請求に係る個人情報が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された個人情報の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合について、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができることについて定めたものである。

  本件決定は、本件請求に係る情報の存否を答えることが条例第17条第2号、第4号及び第6号の不開示情報を開示することになるとして、条例第20条の規定により不開示決定を行ったものであるため、まず、情報の存否を答えることの条例第17条第2号該当性について検討する。

  本号は、開示することにより開示請求者以外の第三者の権利利益を損なうことを防止するために定められた不開示情報である。そして、本号に該当するためには当該情報が、開示請求者以外の個人に関する情報であって、開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの又は開示請求者以外の特定の個人は識別できないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるものであり、かつ、本号ただし書に該当しないことが必要である。

  本件請求に係る情報は、審査請求人の配偶者の警察に対するDV被害申告に関するもので、その存否を答えるだけで、審査請求人の配偶者という開示請求者以外の個人が警察にDV被害申告をしたか否かという、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報を開示することとなり、かつ、本号ただし書に該当する事情も見受けられないことから、本号に該当する。

  よって、本件請求に係る情報の存否を答えることが条例第17条第4号及び第6号に該当するか否かについて判断するまでもなく、本件請求は条例第20条に該当するものと認められる。

(3)結論

  以上のことから「1審議会の結論」のとおり判断する。

  審査請求人及び諮問実施機関双方のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

6.審議会の処理経過

  審議会の処理経過は別紙のとおりである。

別紙

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成20年9月4日

諮問書の受理

平成20年10月23日

諮問実施機関の理由説明書受理

平成20年11月28日

審査請求人の意見書受理

平成22年7月26日

審議(第188回審議会)

平成22年9月13日

審議(第189回審議会)諮問実施機関口頭理由説明

平成22年10月18日

審議(第190回審議会)

平成22年11月15日

審議(第191回審議会)

 


答申第107号(平成22年11月26日付け)(PDF:23KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?