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更新日:令和8(2026)年4月13日
ページ番号:842891
南米原産の特定外来生物ナガエツルノゲイトウ(以下、本種)は、千葉県内では1990年に印旛沼周辺で初めて確認され以降、印旛沼や手賀沼に流入する河川、利根川下流や内房の河川等へ分布が広がっています。近年はそれらの河川周辺の水田内でも生息が確認され、まん延しつつあります。水田では給水するバルブから侵入した本種の茎断片により増殖し(写真1)、稲よりも高く伸びて(写真2)、稲の倒伏や収穫作業に支障をきたす場合があります。そこで、本種に登録のある除草剤を用いた現地実証試験を実施したところ、水田における効果的な防除体系が明らかになりましたので紹介します。

写真1.水口付近に発生する様子

写真2.稲よりも高く伸びる様子
本種の防除では、ピラクロニル(以下、成分P)とフロルピラウキシフェンベンジル(以下、成分F)の2成分を含む除草剤を組み合わせた体系が高い効果を示すことが分かっています。前者は茎断片が萌芽する前または萌芽し始めた時期に、後者は萌芽し始めた時期から生育期間に効果があります。
そこで、2021年、2022年の2か年において、移植1週間後に成分Pを含む「バッチリLX1キロ粒剤」と中干し開始直後に成分Fを含む「ロイヤント乳剤」を散布する体系(図1.防除体系A)と、移植同時から直後に成分Pを含む「ピラクロン1キロ粒剤」と移植2週間後に成分Fを含む「ウィードコア1キロ粒剤」を散布する体系(図1.防除体系B)について、現地試験を実施しました。
「防除体系A」は、ロイヤント乳剤散布のため大型の動力散霧機が必要ですが、草丈35センチメートルまでの本種の防除が可能です。また、ロイヤント乳剤は土壌水分が少ない状態では効果が十分に発揮されないことがあるため、中干し開始直後に散布、もしくは田面が乾いている場合は散布後3日以内に入水する必要があります。
「防除体系B」は、背負いの散粒機のみの処理で草丈5センチメートルまでの本種の防除が可能です。

図1.水田内における防除体系
「防除体系A、B」と「現地慣行体系」としてバッチリLX1キロ粒剤のみを散布したほ場における本種残草の個体数の変化を図2に示しました。
「防除体系A」では、処理2年目に個体数がゼロになった一方、「現地慣行体系」は1年目の個体数は「体系防除A」と同程度であるが、2年目は個体数が約3倍に増えており、本防除体系を2年間継続することで、取りこぼしなく防除できることが明らかになりました。
「防除体系B」では、処理1年目から個体数が大きく抑制されており、2年目は小さい個体が残りましたが、1年目、2年目ともに1平方メートル当たり0.4から0.8本と低く推移しており、「現地慣行体系」と比較すると高い防除効果を示しました。
「防除体系A、B」ともに、収穫時期における本種の発生は見られませんでした。以上のことから、有効な2成分を含む除草剤による防除体系を2年間実施することで、本種を水田内で低密度に管理することが可能です。

図2.ナガエツルノゲイトウの個体数の推移
注)2021年は移植62日後、2022年は移植75日後に調査
これら除草剤による防除体系に加え、耕うん作業は発生が少ない水田から行う等の耕種的防除も重要です。また、取水している河川等で本種の発生が見られる地域では、水口(給水栓等)に網を設置して茎断片の侵入を防止することや、水口付近での発生を確認することなど、初期対応の徹底が重要です。
今回紹介した防除体系は、千葉県農林水産技術会議から発行されている技術指導資料等に掲載されており、本種草姿の他、除草剤一覧も掲載しておりますので、防除する際の参考としてください。
技術指導資料リンク先
難防除雑草「ナガエツルノゲイトウ」分布拡大中 - 千葉県(PDF:1,882.7KB)
初掲載:令和7年12月
農林総合研究センター水稲・畑地園芸研究所
水稲温暖化対策研究室
研究員 山本 一浩
電話番号:043-292-0016
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