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更新日:令和7(2025)年3月21日
ページ番号:747206
東葛飾地域は、県内でも有数のエダマメ産地であり、ハウス半促成栽培、トンネル栽培、露地栽培と多様な作型で長期間出荷が行われています。
9月から11月中旬にかけて出荷される秋どりエダマメ(抑制栽培)における課題として、生育前半では高温により初期生育が過剰になることで引き起こされる「蔓化」、後半では低温による莢伸長の不良等が挙げられます。また、病害虫被害等により収量及び品質が低下することもあります。
収量性向上のためには、初期生育の過繁茂を制御し、後半は生育旺盛に保つことが必要になります。また、病害虫被害の対策には、早期防除の徹底が重要です。
ここでは、東葛飾地域の露地における一般的な抑制栽培の管理方法を紹介します。生育期間中の高温や乾燥、適切な栽培管理及び病害虫防除のポイントをおさえて、安定出荷を目指しましょう。
写真 抑制エダマメ圃場の様子
耕土が深く、排水性がよく、保水力のある土壌が適しています。過度の土壌水分は酸素不足を引き起こして発芽率を低下させるので注意が必要です。
施肥量は、10アール当たりN:P:K=2から3:10:8(キログラム)程度と春作の7から8割程度を基準として施用します。多肥は過繁茂になり倒伏しやすくなるほか、着莢や実入りが悪くなるため、前作の残肥をふまえて調整することが大切です。
抑制栽培では、莢の肥大期の低温、日射量の減少により、莢色が淡く黄色くなったり、莢が十分に肥大しないということがあります。そのため、生育期間が短くても収量性が良く、莢色が良好で在圃性に優れた品種を選択することが重要となります。
抑制栽培では、通常、中晩生や晩生品種を用い、90日以上の日数をかけて栽培するものが一般的ですが、早生や中早生品種を使うと60から65日で栽培することができます。東葛飾地域では、中早生品種の「サヤムスメ」、中早生から中生品種の「夏風香」が主に栽培されています。
播種期は7月下旬から9月上旬で、無理な遅まきは生育後半の低温により莢が肥大しないこともあるので注意が必要です。
畝幅95から135センチメートル、株間15から30センチメートル、2粒播きした後に間引きをして1本立てにします。
抑制栽培では直播きが主流ですが、鳥害を受けやすいので、種子に忌避剤を粉衣したり、鳥よけを利用して鳥害対策を行いましょう。
開花直前から莢肥大期に水分を最も多く必要とし、開花期以降の水分条件が作柄を大きく左右します。開花期の乾燥は、落花・落莢の増加による収量減少を招くおそれがあるため、開花後、晴天が7日以上続く場合は、畝間かん水を行いましょう。
病害虫の発生は収量及び品質の低下を招きます。品質が低下すると、調製作業の効率も悪化し、作業負担が増えてしまいます。被害が蔓延してからでは、農薬散布をしても効果がありません。まずは被害を発生させないよう予防的な防除管理が重要となります。
病害虫名 | 発生時期 | 対 策 |
---|---|---|
べと病 | 9月から | 密植、過繁茂の圃場で発生が多いので、適度な栽植密度にして風通しを良くする。 また、排水の改善に努め、圃場が多湿にならないようにする。 |
カメムシ類 | 8月から9月 | 開花期頃から飛来するため、開花期からの早期防除と周囲の雑草防除を行う。 |
マメシンクイガ | 成虫8月から9月 幼虫9月から10月 |
連作を避ける。農薬散布する際は、薬剤が莢の部分に十分かかるようにする。 |
ハスモンヨトウ | 9月から | 老齢幼虫になるほど薬剤が効きにくくなるので、葉の食害が見られた時点で早めに防除する。 |
ダイズシストセンチュウ | 6から9月 | 連作を避ける。前作で対抗作物を栽培する。 農機具についた土の洗浄を行い、圃場にセンチュウを持ち込まないよう注意する。 |
雑草は光や養水分をめぐって直接的に作物と競合するだけでなく、害虫や病気の発生源となることもあります。高品質なエダマメを安定的に生産するためには、生育を阻害する雑草の防除が必要となります。
播種前の砕土は丁寧に行い、播種後に土壌処理剤を散布しましょう。雑草が多発する場合、草種に応じた茎葉処理剤を散布しましょう。
播種後約30日で開花し、収穫は開花後30から35日となります。収穫適期は3から4日間と短いため、取り遅れに注意しましょう。適期を逃がすと、莢が黄化し、実が硬くなって食味も低下してしまいます。また、エダマメは鮮度が低下しやすいので、収穫は温度の低い早朝に行い、収穫した株は涼しい場所へ運んでから調製作業を行うよう心がけましょう。
初掲載:令和7年4月
東葛飾農業事務所
改良普及課 南部グループ
普及技術員 新崎 純奈
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