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更新日:令和8(2026)年4月16日

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スプレーストックの開花調節

1.はじめに

ストックは、秋から春にかけて芳香のある花を咲かせ、切り花、花壇や鉢物に利用されています。中でも切り花は南房総地域が主な産地で、千葉県の産出額は7億円(令和4年)で全国第1位の産地となっています。

ストック切り花の需要期である年末に出荷する作型では、生育期にあたる夏から秋にかけての気温が生育に影響を及ぼすため、開花期が前後し需要期の販売を逃す場合があります。そこで、適期に出荷するためスプレーストックの主要品種である「カルテットホワイト」で、ハウス内の気温から開花日を予測する技術と、植物成長調整剤や電照により開花時期を調節する技術を紹介します。

2.花芽分化後の気温に基づく開花予測

ストックの花芽分化から開花までの日数は、ハウス内の気温が高いほど短くなります。千葉県農林総合研究センターでは、平成30年から令和4年にかけて、ハウス内気温と花芽分化日の関係を調査しました(図1)。その結果、花芽分化から開花までの到花日数は、以下の式で計算でき、実体顕微鏡下で花芽分化を確認後、ハウス内気温を測定することで、開花日を予測できます。 

到花日数(日)=917.6(度・日)/{ハウス内平均気温(度)-3.5(度)}

例えば、8月15日に播種、9月5日に定植し、9月26日に花芽分化した場合、ハウス内平均温度が18度であれば63日後(11月28日)、20度であれば56日後(11月21日)に開花することが推定されます。

ハウス内気温とストックの花芽分化から開花日までの日数

図1.ハウス内気温とストックの花芽分化から開花日までの日数

注)品種は「カルテットホワイト」

3.ストックの開花調節

ストックの開花には低温要求性と長日開花性の2つの性質が関わっています。このことから、ストックの開花調節技術には、(1)高温による花芽分化の遅れを植物成長調整剤(商品名:ビビフルフロアブル(クミアイ化学工業株式会社)、以下、ビビフルとする)により回避する技術、(2)花芽分化後の電照を使った長日処理によって開花日を前進する技術があります(図2)。なお、試験では「カルテットホワイト」を供試しているため、他の品種では結果が異なる可能性があります。

生育ステージに応じて行う開花調節技術

図2.生育ステージに応じて行う開花調節技術

(1)植物成長調整剤による開花調節

ストックは定植後、花芽分化が起こるまでに一定の低温が要求されます。要求する低温は品種によって異なりますが、極早生の「カルテットホワイト」では23度以下で花芽分化するため、15度条件では3週間で花芽分化しますが、25度条件では花芽分化しません。このため生育期に高温になると花芽分化が遅れ、開花が遅れたり、株によって開花が揃わなかったりします。そこで、高温による花芽分化の遅れを再現し、ビビフル千倍希釈液の散布による花芽分化の誘導の効果と切り花品質を調査しました。

その結果、花芽分化日と開花日は、高温処理区ではそれぞれ10月12日と1月10日であったのに対し、高温処理+植物成長調整剤区では10月1日と12月11日となり、高温処理をしてない無処理区と同日でした(表1)。このように、ビビフルを散布することで、高温条件下であっても、花芽分化を誘導することができました。また、切り花品質は無処理と同程度で品質の低下もほとんどありませんでした(写真1)。

なお、花芽分化誘導はビビフルを2回散布します。1回目の散布処理後、7から10日程度間隔をあけて散布する必要があります。また、生育初期の散布処理では、低節位での花芽分化となり切り花長が短くなる可能性があるので、注意しましょう。

表1.植物成長調整剤による花芽分化誘導

植物成長調整剤による花芽分化誘導

注1)「カルテットホワイト」を用い、令和2年8月20 日播種、9月10日定植
注2)高温処理はトンネル被覆を行い日中30度から40度程度の高温になるように管理
注3)植物成長調整剤はビビフル千倍液を9月24日及び10月1日に散布
注4)ビビフルを散布した9月24日の葉枚数は10.7±0.2、農薬登録条件下である

植物成長調節剤による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

植物成長調節剤による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

 

写真1.植物成長調節剤による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)
 (左)高温処理+植物成長調節剤、12月20日
 (右)無処理、12月20日

(2)電照による開花調節

前で述べたとおり、ストックは長日植物であることから花芽分化以降の日長も開花に影響します。電照し、人為的に長日条件にすることで開花を早めることが可能です。これまでにスタンダード系品種のアイアンシリーズでは遠赤色光で開花促進効果があることが知られており、この光を含む、遠赤色LEDや白熱電球を使用した開花促進が現地でも既に導入されています。今回は、「カルテットホワイト」で16時間日長での電照効果を明らかにしました。

白熱電球(71ワット)、遠赤色LD(9ワット、波長730から740ナノメートル)を用いた場合、開花促進効果が高かったのですが、分岐が減少し、4枝開花で収穫できる割合が減少しました(表2)。また、やや間延びし、奇形花も散見されました。一方、赤色LED(620から630ナノメートル)は遠赤色LEDや白熱電球ほどではありませんが、開花促進効果がみられた上、無処理と同程度の品質でした(写真2)。このように、花芽分化以降の赤色LED照射は、切り花品質を低下させずに、開花促進が期待できます。ただし、本電照の効果はや電照時間によっても変化することが予期されます。一般には電照時間が長い程、開花促進効果が得られますが、切り花の品質低下が起こることも考えられるため、注意が必要です。

表2.電照による花芽分化誘導

電照処理による開花促進と切り花品質

注1)無加温ハウスで「カルテットホワイト」を供試
注2)令和2年8月24日播種、9月14日定植
注3)各光源を定植床面から1.5メートルの高さに設置し、10月3日から12月19日まで日没後に16時間日長になるように照射

電照による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

電照による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

電照による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

電照による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)

   

写真2.電照による切り花品質の様子(日付は平均開花日を示す)
(左)赤色LED、12月14日
(中央左)遠赤色LED、12月5日
(中央右)白熱電球、12月5日
(右)無処理、12月21日

4.おわりに

近年、夏の猛暑日が連続することが多く、暑さが一層厳しくなっています。また、秋になっても残暑が残り、猛暑日の日数が増加しています。今回御紹介した技術を是非、活用していただき、ストックの年末の需要期出荷を目指していただければ思います。

 

初掲載:令和7年9月
農林総合研究センター暖地園芸研究所
野菜・花き研究室
研究員:玉川 直樹
電話番号:0470-22-2962

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電話番号:043-223-2911

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