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更新日:令和7(2025)年4月1日

ページ番号:747041

夜間冷房と遮光資材によるベゴニアの品質向上技術

1.はじめに

短日植物であるエラチオール・ベゴニアは日長をコントロールすることで周年生産が行われています。その中で、9月から10月の秋出荷作型は安定した需要が見込めます。しかし、この作型は夏の高温の影響により、開花遅延や品質低下等を招きやすく、安定生産が難しい作型でもあります。

2.短日処理と夜間冷房

9月から10月に出荷を行うには、7月から8月に花芽分化を誘導するための短日処理を行う必要があります。この短日処理期間中の夜温が高いと花芽が正常に分化せず、開花遅延を招いてしまいます。そこで、短日処理期間の夜間に冷却して夜温を下げると開花遅延を回避できます。(表1)

表1短日処理中の夜温が「ネッチャダーク」の生育に及ぼす影響
表1短日処理の夜温が「ネッチャダーク」の生育に及ぼす影響(PNG:26.9KB)

3.葉焼けと遮光ネット

エラチオール・ベゴニアは強い光が当たると葉が枯れたり、変色する「葉焼け」症状が発生します。そのため、初夏から秋にかけては遮光ネットの展張が必須となります。一方で、遮光を行うと植物の光合成に必要な光も減ってしまうため、生育低下を招いてしまいます。
葉焼けの原因は光に含まれる熱の影響であるため、クールホワイト(株式会社イノベックス)等の従来と同等の遮熱性を保ちつつ、光の透過性が高いネットを展張することで、葉焼けの発生を回避しつつ、側枝や花房数が増加します(表2)。

表2遮光ネットの違いが「ネッチャダーク」の生育に及ぼす影響
表2遮光ネットの違いが「ネッチャダーク」の生育に及ぼす影響(PNG:41KB)

4.夜間冷房と遮光ネットを組み合わせた栽培

上記の2つの技術を組み合わせ、7月中旬から9月下旬に光の透過性が高いネットを展張しつつ短日処理期間中をヒートポンプで23℃の夜間冷房を行うと、慣行栽培に比べ早期に開花すると共に、開花時の花房数等が増加し、品質が大きく改善されます。(写真、表3)

夜間冷房と光の透過性が高いネットの組み合わせによる生育の影響の写真
写真 夜間冷房と光の透過性が高いネットの組み合わせが「ネッチャダーク」の生育に及ぼす影響

注1)写真左:23℃夜間冷房+クールホワイト1020SW
 写真右:無冷房+ダイオネット1010SG(慣行)
注2)撮影日:令和4年9月26日
注3)耕種概要は表2と同様

表3夜間冷房と光の透過性が高い遮光資材を用いたエラチオール・ベゴニアの秋出荷作型
表3夜間冷房と光の透過性が高い遮光資材を用いたエラチオール・ベゴニアの秋出荷作型の図(PNG:35.8KB)

5.おわりに

ヒートポンプは冷房に加え冬場の暖房としても利用できます。周年で温度管理に利用できる機材として導入をご検討してはいかがでしょうか。

初掲載:令和7年4月
農林総合研究センター
花植木研究室
上席研究員 中島 拓
電話番号:043-291-9988

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