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更新日:令和6(2024)年3月7日

ページ番号:8290

水稲温暖化対策研究室 Climate Change-Affected Rice Paddy Cultivation Laboratory

研究室の基本方向

近年の地球規模の気候変動・温暖化は、環境ストレスの増加として水稲の生育や、栽培を取り巻く様々な分野に影響を及ぼしています。また、水田作経営においては、農業構造の変化に伴い、稲作部門を中心として経営耕地規模の拡大が急速に進展しています。こうした自然的、社会的環境変化の中で、水稲温暖化対策研究室では、高品質で良食味な米を高い収量水準で安定的に生産し、経営耕地規模の拡大、低コスト化、作業の効率化・軽減化等を実現する技術革新を図っていくための試験研究に取り組んでいます。

現在の主な取組

気象変動に対応した水稲作柄安定対策調査圃試験

温暖化に伴う気象変動下において、水稲の作柄を安定させるため、標準的な方法で栽培した「ふさおとめ」、「ふさこがね」、「コシヒカリ」、「粒すけ」等の、生育、収量、玄米外観品質及び玄米中粗タンパク質含有率を調査しています。これらをとおして気象変動が水稲に及ぼす影響と対策について解析し、その結果を技術情報として関係機関と連携して発信しています。

生育状況の調査

[写真]生育状況の調査

気象情報及び作物生育モデルを利用した生育診断技術の開発

近年の高温傾向に伴い水稲の生育は早まってきており、生育に応じた管理を行うためには水稲の生育を的確にとらえることが重要です。また、水田農業を担う経営体では、急激な耕地規模の拡大や農業経験の少ない人を雇用する場合が増加しており、適期に的確に栽培管理や作業を行えないリスクが増大しています。これらのことから、圃場単位で生育や環境・気象を把握し、生育を予測して作業計画を立てることが求められています。

そのため、気象変動に対応した栽培を行うために、ICTを活用し、水稲の中干しや追肥、病害虫防除の適期を判断するのに必要な出穂期の予測など、気象情報及び作物生育モデルを利用した栽培支援システムの開発に取り組んでいます。

ドローンによる空からの生育診断(赤い色が生育が進んでいる)

[写真]ドローンによる空からの生育診断(赤い色が生育が進んでいる)

スマートフォンを利用した診断技術開発 左:撮影の様子

スマートフォンを利用した診断技術開発 右:生育解析写真

[写真]スマートフォンを利用した診断技術開発(左:撮影の様子 右:生育解析写真)

稲作栽培面積の規模拡大に対応した省力的な栽培技術の開発

急激な耕地規模の拡大や農業経験の少ない人を雇用する経営に対応するために、省力・低コスト技術が求められています。一方で、温暖化は、収量や玄米品質低下に影響するなど、高品質米の安定生産には無視できない状況にあります。そのため、気象変動に対応した省力低コスト技術の開発を進めています。

現在、面積当たりの育苗箱数を大幅に削減するために、1箱当たりの播種量を増やし、移植時の掻き取り量を減らす高密度播種栽培に取り組んでいます。また、新品種「粒すけ」に関して、規模拡大に対応するための栽培技術の確立を行っています。

高密度播種苗用田植機

[写真]高密度播種苗用田植機

5月中旬植えの「コシヒカリ(左)」と「粒すけ(右)」

[写真]5月中旬植えの「コシヒカリ(左)」と「粒すけ(右)」

水稲栽培における新規開発除草剤の特性解明と利用技術の確立

水田用除草剤は、各メーカーによって新規除草剤が毎年開発されています。本県の水稲栽培への適合や、温暖化に伴う水田雑草の生態変化への対応について、新規除草剤の特性を調査し、薬剤の選定を行うと共に、適用条件を明らかにします。

除草剤試験圃場

[写真]除草剤試験圃場

侵略的外来雑草ナガエツルノゲイトウ防除技術の開発

特定外来生物である南米原産の水草ナガエツルノゲイトウは、手賀沼や印旛沼、利根川下流域を中心に急速に分布を広げており、水田内に侵入し水稲への被害も広がっています。農業用水に流入した茎断片で増殖し、生育が旺盛で、畦畔にも定着するために、早急な対策が求められています。

農水省委託プロジェクト(戦略的プロジェクト)として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農村工学研究部門、中央農業研究センター、農業環境変動研究センター)を代表として、千葉県耕地課、印旛農業事務所、印旛沼土地改良区、鹿島川土地改良区、八千代エンジニヤリング(株)と共同で防除技術の開発に取り組んでいます。

ナガエツルノゲイトウ

[写真]ナガエツルノゲイトウ

ナガエツルノゲイトウが畦畔に定着した様子

[写真]ナガエツルノゲイトウが畦畔に定着した様子

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お問い合わせ

所属課室:農林水産部農林総合研究センター水稲・畑地園芸研究所水稲・畑地園芸水稲温暖化対策研究室

電話番号:043-291-0151

ファックス番号:043-291-5319

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