ここから本文です。
ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > 文化財 > 文化財の指定と登録 > 県の登録無形民俗文化財 > カイソウの食習俗
更新日:令和7(2025)年2月10日
ページ番号:733027
(かいそうのしょくしゅうぞく)
県登録無形民俗文化財
習俗
令和6年2月7日
カイソウは、千葉県沿岸部に広く分布する郷土食で、カイソウ(海藻・海草)やヨセグサ(寄せ草)と呼ばれる。「寄せ草」が「物(者)を寄せる」に通じることから、縁起物として扱われ、正月、祝い事、おびしゃ、祭り等のハレの日に供されてきた。地域によってはケーソーと呼ばれることもある。原料のコトジツノマタ(本海草、銚子海草とも呼ばれる)・ツノマタという海藻を水で煮たものを型に流し込んで、寒天状に固める。色は透明感のある暗褐色で、海藻類特有の匂いがする。代表的な食べ方としては、一口大に切り分けたものに醤油をかけてそのまま食べる。薬味として、刻み葱、鰹節、唐辛子をかける場合もある。本来はカイソウのみを原料としていたが、現代的な調理方法として、ニンジンを刻んで入れたり、醤油を加えたり、だし汁を使用したりする場合もある。
カイソウが食べられる地域は、海匝地域から夷隅地域までの太平洋沿岸全域のほか、香取市、富里市、成田市、八街市、長柄町等の内陸部に及ぶ。一方で、原料の産地から離れる東京湾沿岸から安房地域ではほとんど知られていない。
原料となるコトジツノマタは、昭和時代までは、旭市飯岡の行商人が年末に売り歩くことで内陸部にまで流通していた。また、カイソウをあまり食なかった夷隅地域では、ツノマタを漆喰の糊の原料として採取されていたが、より需要のある銚子方面に売っていたとのことである。現在では専門業者により年間を通して販売されており、調理されたカイソウ自体も、飲食店や道の駅、スーパーマーケット等で販売されている。また、沿岸部では固めて食べるだけでなく、温かいまま食したり汁の具にしたりするなど、様々な食べ方をしている。本来はハレの日の儀礼食として食べられていたものが、今日では広く日常食でも食べられるようになったものと考えられる。このことは、生産や流通の発達、店舗での販売が関係している可能性がある。
カイソウの食の習俗は、元々はハレの日の儀礼食から始まり、現在に至るまでの間に日常食にも取り込まれてきた。県内東部沿岸を中心に内陸部まで広範囲に広がっており、郷土食の一つとして位置づけられている。こうしたことから、千葉県における海と食を深く関連づけるものの一つとしてとらえられる。
関連リンク
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください