(印西市)頼政塚とじごくそば

内容

むがし平家と源氏の戦で治承の乱ち戦があってな源氏の方が負げて源氏の方の大将の源三位頼政っち人も戦死しちまっただと。

そん当事はよ敵に大将の首とられんのはすげ～恥だったんだと。そんで家来が泣ぐ泣ぐ頼政の首をしょって頼政のうんまに乗ってこっちの方さ逃げて来ただと。

ところが結縁寺まで来た時だ乗ってえた馬がぴた～っと止まっちゃた。えぐらひっぱだいてもぶんなぐっても動がね。そんうぇしょってた頼政の首が急に重てぐなった。

「こらぁこごんとごにうめろっちご主人様のお告げだな」そうかんげた家来はこごにうめんべと思っただと。

そんでも穴を掘るもんがね困っちまってまありを見渡すとちょうどすぐそばの畑に草むしりしていた百姓がえた。そこで

「やあえまご主人様の首こごにうめんべと思っただけんどな穴を掘るもんがねくて困ってんだよなんか掘るもんがあったらかしてくんねがな」

と頼んでみた。

百姓は気軽にくわをかしてくった。家来はそごに頼政の首をほうむった。

「ありがと助かったわ。頼みついでにもうひとつ頼みてだけど」

「ああ何んだろがい。わしらにでぎることだったら」

「じつはなこの墓の人はよ源三位頼政様っちえら～い人なんだよ。だげどわしらがえっちゃうとこの墓守ってえぐ人がね。そごでどうだろうがこん墓守ってくんめが。そんかわり」

家来はさらに言葉をついだ。

「おめぇがえま一番てっぱってることをかなえてやんべ」

「そんな偉い人だら村中で守ってやんべ」

百姓は気持ちよぐ引き受げてくった。そんで

「そうだな～一番てっぱってるもんというとこんじごくそばが生えてしょんねことがな」

「そんじゃそのじごくそばっち草こん村には生えねようにしてやんべ」

家来はそう約束するとどこともなく立ち去っただと。

それ以来不思議なことによこん村にはなじごくそばは生えねだと。

この頼政塚の近くでうんまもたおれちまったのでやっぱり手厚ぐうめてやっただと。

春んなるとみごとな白い花がさくそうだよ。

（原話：朝比奈哲）