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お知らせ

千葉県こども病院におけるアクシデントの発生について(令和4年3月28日発表)

千葉県こども病院におけるアクシデントの発生について

  • 令和元年7月、千葉県こども病院において、入院中の患児に挿入されていた気管カニューレ*が逸脱し、当該患児が死亡するという事故が発生しました。
  • 外部委員を含めた院内医療事故調査委員会を開催し、原因究明と再発防止に向けての調査・検討を行い、再発防止策を強化しました。
  • 亡くなられた患者様と患者様のご遺族に深くお詫び申し上げます。

*気管カニューレ
気道を確保する目的で、気管とその上部の皮膚を切開して作成した気管切開孔を介して気管に留置する管

事案の概要

  • 患児は、新生児期より当院に入院、通院していた当時10歳未満の女児(千葉県在住)
  • 発熱を契機に入院となり、内科的治療、外科的治療を受け、退院予定日の数日前に病室において気管カニューレが逸脱した状態で発見され、蘇生処置が行われたが死亡に至った。

調査報告書の概要

  • 外部委員を含めた院内事故調査委員会を開催して検証した。
  • 先に気管カニューレが抜けたのか、姿勢の変化やカニューレの閉塞が先で、後で気管カニューレが抜けたのかについては確定できないが、本件事故発生時の状況からは、上記のいずれかの状況で患児の気道トラブルが生じ、低酸素血症に至った事が主たる死因であったと考えられる。
  • 気管カニューレを使用している患者の生体モニターについては、原則として常時装着とし、体動時など、例外的に外す対応に運用を変更することが求められる。
  • 何らかの小さなアクシデントで死亡することもありうるという医療的ケア児のリスクが共有されていなかった。
  • 人員配備に関して基準は充足しているが、入院患者の重症度や看護必要度などの業務量からみれば十分ではない可能性も考えられる。

再発防止に向けての取組

今後、同様の事故を再発させないため、以下の取組を行った。

  • 「気管切開患者のSp02モニター*管理に関する基本原則」を作成し、気管切開患者には生体モニターを原則として常時装着することとした。

*Sp02モニター:経皮酸素モニター

 

  • 「気管カニューレ挿入中の注意点」及び「気管カニューレの固定方法の確認」等の取り決めを作成し、職員に周知した。
  • 気管カニューレ挿入中でリスクの高い患児は、耳鼻咽喉科医師がリスクの評価を行い、医療者間で共有することとした。
  • HCU(ハイケアユニット)*を令和3年6月に開設し、リスクの高い患者をより安全に治療・看護できる体制を整備した。

*HCU(ハイケアユニット)
High Care Unit(高度治療室、準集中治療室)
高度な治療・看護を必要とする患者が入院する場所
ICU(集中治療室)と一般病棟との中間的な場所

公表資料
参考

医療法第6条の10
病院、診療所又は助産所(以下「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものをいう。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所又は状況にその他厚生労働省令で定める事項を第6条の15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。(以下略)

 

医療上の事故等調査委員会について
出典:千葉県病院局医療安全管理指針第12抜粋
1調査委員会の設置
(中略)
(3)病院長は、アクシデントを医療法第6条の10に該当すると判断した場合は、医療事故調査。支援センターへの報告した上で、事故調査委員会を設置して調査を実施する。(以下、略)

 

医療安全調査委員会の設置等について
出典:千葉県病院局医療安全管理指針第13抜粋
1調査委員会の設置
病院長は、インシデント・アクシデントが次に該当すると判断した場合は、原則として調査委員会を設置して調査を実施する。(中略)
(1)アクシデントが発生した場合であって、医療法第6条の10に該当しないと判断した事案で、医療安全管理委員会が、『明らかに誤った医療行為、又は管理に起因する事案』である、『その疑い』を否定できないと判断したとき
(2)その他、外部委員を交えてインシデント・アクシデントの発生要因を客観的に分析・究明することが、将来の類似事案の再発防止等の観点から必要と判断したとき(以下略)

 

患者・家族の同意が得られない場合の公表内容について
出典:県立病院における医療上の事故等の公表基準3(2)抜粋
3公表内容
(2)患者・家族の同意が得られない場合の公表内容
公表について、患者・家族の同意が得られない場合は、以下の内容にとどめる。

ただし、患者・家族の同意を得られない項目については非公開とする。

  • 事故発生場所(「千葉県立病院」のみ)
  • 事故発生日(「年月」のみ)
  • 事故の領域(例:薬剤に関連する事故・輸血に関連する事故等)