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更新日:平成27(2015)年12月1日

「魂のBCMと呼ばれる理由」(第3回)

BCP(business continuity plan事業継続計画)とは、大震災・風水害・感染症等の緊急事態発生時に、損害を最小限にとどめつつ、事業継続・早期復興ができるよう、平常時に行うべき活動や緊急時における対応方法・手段等を決めておく計画のことです。そして、事業継続の取組をBCM(business continuity management事業継続マネジメント)と言います。
今回、千葉県旭市に工場を持ち、東日本大震災の経験を活かしてBCPを策定し、東京都の「BCP策定最優秀賞」も受賞された大成ファインケミカル株式会社の稲生代表取締役社長から、危機管理産業展2015にて講演された事業継続の取組内容を、特別にコラムとしてまとめてくださったものを掲載します。

第3回:事業継続の秘訣と、事業継続の取組の活用,
スペシャルおまけ:これから取り組む方へのアドバイス

大成ファインケミカル稲生社長

 

大成ファインケミカル株式会社代表取締役社長
稲生豊人

 

(1)事業継続の秘訣:経営資源が減っても継続できる企業にすること

<1>「緊急事態でも動ける従業員」=「デキる従業員」を育てる

 被災時はいつもよりももっと迅速に物事を決めていかないといけません。しかし災害に遭えばヒト・モノ・カネという経営資源は減ってしまいます。それでも回るようにすることが大切です。

 そのためには、従業員を「仕事がデキる人」に育てていくことです。サラリーマンも経営者も、とかく「自分がやらなければ」「自分がいないとまわらない。」と抱え込みがちです。

 そうではなくて、自分がいなくても回るようにしていく感覚が大切です。「ここはあなた(部下)に任せて、私は次の仕事を開拓します」というのが組織として健全だと思います。そういう風土がまた、従業員をデキる人に育てていきます。事業継続に取り組んでいくと、こういう考え方の大切さも実感します。

<2>社長にリスクを知らせなさい

 私は普段、社長として、ヒト・モノ・カネ・情報のすべての経営資源の観点から物事を判断します。でもかつて当社の従業員は違いました。

 たとえば、営業社員は売上アップのみを考えて企画提案していました。事業費は大丈夫か、採算が合うか、人手はあるか、といったことを聞いても、予算は財務担当、人手は総務の仕事、という感覚でした。

 そこで私は現在、企画を出すときには、私を脅すつもりで提案しなさいと伝えています。「今これをしないとこの会社はつぶれてしまいますよ、いいんですか、社長。」といった脅しの企画書で提案するように伝えています。

 そうしたら、従業員が変わってきました。企画に対する事業費も人手も考え、それだけでなくリスク対応も考えた上で提案してくるようになってきました。

<3>提携企業も仲間という意識

 ほかにも、社員が変わったと感じたのは、外部物流倉庫の監査です。以前は、倉庫業者がきちんと自社製品を扱っているかという視点で、損害保険に入っているかなどをチェックしていましたが、今では、「この積み方だと倉庫業者の従業員も危ないから変えましょう」といったように、倉庫内のマネジメントの視点からチェックできるようになってきました。

 一緒に仕事をしている倉庫業者も仲間という意識で大きな目線で対応できるようになってきました。嬉しいことです。

 (2)事業継続の取組の活用

 また、当社は事業継続の取組を事業継続以外の観点からも活用しています。

<1>社会的責任を果たす

 まずは、社会的責任です。当社は被災時に優先すべき製品をランク付けしていますが、当社にとって儲かる商品よりも当社以外の事業者が生産していない商品を優先しています。当社被災による社会経済への損失を最小限に抑えるためです。

<2>事業オペレーションの向上

 また、事業継続の取組をISO9001と改善活動の中に入れて実施することで、企業のオペレーション自体の向上に役立てています。例えば、被災時にも迅速な作業ができるようにカイゼンすることで、平常時の作業効率も向上できるといったことです。

 具体的には、取引先コンタクト情報をクラウド上で管理できるシステムの導入などがあります。

<3>行動計画にも活用

 事業継続の取組ではリスクを想定しますが、それだけでなく、リスクへの行動計画も立てるようにしています。リスクへの対応能力を上げると同時に、従業員の企画立案能力も向上させています。

<4>人事考課との連動

 人事考課にも事業継続の視点を導入しています。業務遂行レベルとして、「ひとりで完全にできる」ではなく、「緊急時にも対応できる」を最高評価にしています。緊急時にも臨機応変に対応できる人が一番「デキる従業員」だと考えるためです。

(3)まとめ

 このように、当社は事業継続を様々な取組と連動して行っています。これは事業継続の取組が社内全体に浸透したがゆえに実施できていることでもありますが、同時に、事業継続の取組を経営向上などに役立てて一石二鳥とすることで、中小企業でも取組が継続できているのだと思います。

 経営者は、経営にあたり、様々なリスクと対峙する必要があります。あえて厳しい取組に挑戦するといった<1>経営戦略的なリスクをとる。
それと同時に、<2>財務、オペレーション、ハザードへのリスクは事業継続の取組でコントロールする。

 リスクをテイクしてコントロールしていく、そういう意識で当たる必要があると考えています。

 これからも、当社はBCMを続け、企業価値の向上に役立てていきたいと考えています。

(4)スペシャルおまけ:これから取組む方へのアドバイス

***これから事業継続に取り組まれる皆さんに、社長からアドバイスをいただきました***

<1>被災した時にこれをやっておけばよかったと思ったこと、まずやっておくべきことは?

 東日本大震災で被災した時、ヒト・モノ・カネ・情報のうち、特にヒトに関することをしっかり決めておけばよかったと強く感じました。

 具体的には連絡体制です。地震の後に帰宅を希望されて帰してしまい、翌々日の朝まで連絡が取れなかった社員がいました。津波にのまれたのではないかと本当に心配しました。帰す時のルールや連絡体制を決めておけばよかったと思いました。

<2>どのようにしたら現場従業員にその気になってもらえるか

 最初は簡単な、転倒防止対策など、現場での実際の取り組み状況を確認するチェックからスタートすることです。最初から理念的なことを言っても現場従業員の心には響きません。取組を継続していくうちに、だんだんとマネジメントや経営への応用などに難度を上げていけると思います。

<3>事業継続のためにどのような訓練をしていけばよいか

 当社では、わざと意地悪な問題をたてて現場の従業に対応を考えさせるタイプの実践的訓練を行います。現場の従業員は、扱っている化学物質の構造式や反応の仕組みまで理解しているわけではありません。そこで、そういうことをよくわかっている従業員が問題を作り、緊急時にどうしたら危険がないかを考えさせるワークショップをするのです。

 そういった訓練の中で、従業員がわかっていないこと、教育すべきことが明らかになっていきます。そうやって従業員の対応レベルが上がっていき、いざというときにも強い企業になれると考えています。(了)

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