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更新日:令和5(2023)年3月7日
ページ番号:344482
中学生区分
社会福祉法人千葉県身体障害者福祉協会理事長賞
筑波大学附属聴覚特別支援学校中学部2年
権田 翠幌(ごんだ みほろ)
私は、小学五年生の春まで、聾者と健聴者は同じ存在だと思っていました。なぜなら、私は、生まれた頃から耳が聞こえませんでしたが、私の母は、健聴者で、家族の間では、手話がなくてもゆっくりとした口話で会話ができたからです。また、幼い頃から聾学校に通っていた為、健聴者と関わる機会がなく、日常生活の中で、健聴者と聾者を特別に意識することがありませんでした。しかし、小学五年生の夏、スイミングスクールに通い始めたことで「少し違うな」ということに気付きました。初めは、「どんどん友達をつくろう」という強い思いで通っていましたが、周りが皆、健聴者ばかりで自分から声をかけることもできず、コミュニケーションの取り方がわからないまま一年が過ぎました。そんな中、同じグループに聾者の男の子が入ってきました。彼は、あっという間に周りの子と仲良くなり、たった一週間で男女の友達にかこまれていて、とても楽しそうでした。私は、その姿を見て、「うらやましい」を思う気持ちと、自分と彼とでどこがちがうのかわからない複雑な気持ちを抱きました。
そんなある日、私がプールから上がり、サウナ室に入っていると、その男の子から「君も聾者なんだよね」と声をかけられました。私は彼に、どうしたら上手くコミュニケーションが取れるのかを相談しました。その時の彼の一言が、私を前向きな気持ちにさせてくれました。それは、「勇気を持たなきゃ友達はできないよ」です。私は、この言葉を聞いて、また新たに「たくさんの友達をつくろうという気持ちがわいてきました。そしてその日から、一人一人に声をかけ、小学六年生の秋には、同じチームの全員と仲良くなることができました。勇気を持って話しかけたことで、はじめは分からなかったコーチの話も、同年代の子に教えてもらったり、コーチに筆談をしてもらったりして、理解することができました。この経験は、中学二年生になった今でも、様々な場面で活かされています。たとえば、部活で他校と合同練習会をしたり、大会に出場したりする際は、初対面の人でも自分から積極的に話しかけることを心がけています。多くの人と関わることで様々な考えを知り、視野を広げることができています。
私は、2020年の東京オリンピックに向けてある目標を持っています。それは、来日した外国人とコミュニケーションをとることです。そのために、普段から、英会話に通ったり外国人との交流イベントに参加したりして、外国語の勉強に力を入れています。
私は、コミュニケーションの第一歩は、勇気を持つことが大切であると知りました。勇気を持つというのは、「聾者だから」必要なのではありません。たとえ、健聴者であっても、自分から話しかけられず、友達ができないで悩む人はいると思います。
聴こえる、聴こえないで区別をしたり、他者との間に壁をつくったりせず、自分がどうしていきたいのかを考え、勇気を持って行動に移すことを、今後も心がけていきたいです。
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