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更新日:令和5(2023)年4月25日

ページ番号:23650

答申第91号

答申第91号

平成21年2月4日

千葉県公安委員会委員長様

千葉県個人情報保護審議会

会長原田三朗

審査請求に対する裁決について(答申)

平成19年5月16日付け○○第1号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成19年4月23日付けで審査請求人から提起された自己情報部分開示決定(平成19年3月6日付け○○第52号)に係る審査請求の裁決について


諮問第76号

答申第91号

審議会の結論審査請求の経緯審査請求人の主張要旨実施機関の説明要旨審議会の判断審議会の処理経過

1.審議会の結論

千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成19年3月6日付け○○第52号で部分開示決定(以下「本件決定」という。)した審査請求人の開示請求に係る「□□警察署当直2班作成にかかる『警察官派遣要望について』」(以下「本件文書」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

(1)実施機関が本件決定において不開示とした情報のうち、「聴取内容」の1行目35文字目から2行目6文字目までの部分は開示すべきである。

(2)実施機関が行ったその他の決定については妥当である。

2.審査請求の経緯

審査請求人は、平成19年2月19日付けで実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○×月○△日、私と△△△△がトラブルとなった件で警察官が来た理由と、処理結果がわかるもの」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

本件請求に対して実施機関は、本件文書の不開示部分は条例第17条第2号、第4号及び第6号に該当するとして本件決定を行ったため、審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成19年4月23日付けで本件決定の取消しを求め審査請求を行ったものである。

3.審査請求人の主張要旨

(1)審査請求の趣旨

△△△△が警官出動要請をした理由について知りたい。

(2)審査請求の理由

開示された文書がぬりつぶされていてわからないから。

4.実施機関の説明要旨

(1)対象文書について

本件文書は、○○市内で発生した審査請求人と第三者とのトラブル(以下「本件トラブル」という。)について、派遣要望を受け現場で対応した警察官が処理経過を記録したものであり、決裁欄の印影のほか、題名、報告者氏名、「通報日時」、「場所」、「通報者」、「通報内容」、「被聴取者」、「聴取内容」が記載されている。

(2)条例第17条第2号該当性について

本件文書のうち、決裁欄のうち係長以下の印影、報告者氏名、題名の一部、「通報者」及び「聴取内容」の一部については、開示請求者以外の特定個人が識別できる情報が記載されているほか、「聴取内容」の一部には、他の情報と照合することにより特定個人を識別することが可能となる情報が記載されており、また、以下のとおり本号ただし書にも該当しないため不開示としたものである。

<I>ただし書イについて

本事案が開示請求者と第三者とのトラブルにより警察官の派遣を求めたものであること及び開示請求者が通報者を明確に特定していると判断できないことに鑑みると、「法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」には該当しない。

<II>ただし書ロについて

「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため開示することが必要である」と認めるべき特段の事情が見当たらないため該当しない。

<III>ただし書ハについて

不開示とした特定警察職員の氏名は千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号)で定める警部補以下の警察官氏名であるため該当しない。その他の不開示部分についても本件トラブルの当事者間の情報であるため該当しない。

<IV>ただし書ニについて

開示請求者以外の特定個人の情報を開示請求者が明らかに知っているとは考えられないこと、当該第三者も開示請求者に了知されていることを認識しているとは考えられないこと、開示請求者と当該第三者が利害を共通する立場にないことから、開示した場合開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるため該当しない。

(3)条例第17条第4号該当性について

本件文書のうち、題名の一部、「通報者」、「通報日時」の一部、「通報内容」及び「聴取内容」の一部については、開示請求者以外の特定個人が警察に通報したか、開示請求者以外の当事者が警察にどのような内容を申告したかを開示請求者が明確に認識しているとは判断できないことから、開示することで警察との信頼関係が損なわれ、以後通報の躊躇や協力拒否など正確な事実の把握が困難となり、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれや、通報者等が特定されることで、当該通報者等への不当な圧力により日常生活が脅かされるなど、その権利利益が著しく侵害されるおそれがあることを否定できないため不開示としたものである。

また、「聴取内容」のうち警察官の擬律判断に関する情報についても、開示することで着眼点や捜査手法等が明らかになり、これを知り得た者が検挙に至らない程度の同種事業を敢行し、犯罪の予防、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるため不開示としたものである。

(4)条例第17条第6号該当性について

本件文書のうち、題名の一部、「通報者」、「通報日時」の一部、「通報内容」、「聴取内容」の一部については、開示請求者以外の特定個人が警察に通報したか、開示請求者以外の当事者が警察にどのような内容を申告したかを開示請求者が明確に認識しているとは判断できない状況において、通報者等に関する情報が開示されることになれば、通報者等との信頼関係が損なわれ、以後警察への通報等の躊躇や協力拒否など、正確な事実の把握が困難となり、情報収集活動等の警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため不開示としたものである。

5.審議会の判断

(1)不開示情報について

本件文書は、本件トラブルについて通報を受け現場に赴いた警察官が一連の処理経過を記録したものであり、本件決定においては、以下(1)から(7)までの情報がそれぞれ括弧書きのとおり条例第17条第2号(第三者の個人情報)、第4号(犯罪予防等情報)及び第6号(事務事業情報)に該当するとして不開示とされている。

  • (1)決裁欄のうち係長以下の印影及び報告者名(第2号)
  • (2)題名の一部(第2号,第4号,第6号)
  • (3)「通報者」(第2号,第4号,第6号)
  • (4)「通報日時」の一部(第4号,第6号)
  • (5)「通報内容」(第4号,第6号)
  • (6)「聴取内容」のうち開示請求者以外の特定個人の言動に関する部分(第2号,第4号,第6号)
  • (7)「聴取内容」のうち本件トラブルに対する警察官の判断に関する部分(第2号,第4号,第6号)

これらの不開示情報の内容は、(1)は本件文書の決裁欄に押印した警察職員名及び本件トラブルの対応に係る担当警察職員名、(2)から(6)までは警察署に警察官派遣を要望した通報者に関する情報や通報内容、現場に赴いた警察官が当事者から聴取した内容及び現場における当事者の言動等、(7)は現場に赴いた警察官による本件トラブルに対する判断等である。

(2)不開示情報(1)の該当性について

当該情報は不開示情報のうち条例第17条第2号のみ該当するとして不開示とされた唯一の情報であるため、まずこの部分の同号該当性について以下検討する。

当該情報は同号ただし書ハの「公務員等の氏名」ではあるものの、「警察職員であって規則で定めるものの氏名」として千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則により定めた警部補以下の階級にある警察官であることからただし書ハには該当せず、また、同号ただし書イ、ロ及びニに該当する事情も見受けられないことから、不開示が相当である。

(3)不開示情報(2)から(7)までの該当性について

本件文書はその性質上、開示請求者に関する情報であるとともに本件トラブルにかかわった他の第三者に関する情報でもあり、また警察官の活動情報でもあることから、前記(1)のとおり不開示情報(2)から(7)までは条例第17条第2号、第4号及び第6号が重複して該当しており、その開示支障性においても第三者への影響等の点で錯綜する部分がある。こうした本件文書の特性や各号の該当範囲も踏まえ、当該情報の不開示情報該当性については、まず第4号該当性、続いて第2号及び第6号該当性を検討することとする。

(I)条例第17条第4号該当性について

ア本号該当性の判断について

本号は、犯罪の予防、捜査等を有効かつ効率的に遂行し、公共の安全と秩序の維持に支障を生ずることを防止するために定められた不開示情報である。

本号の対象となる情報は、その性質上、開示・不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、開示することにより支障を及ぼすおそれについて「実施機関が認めることにつき相当の理由がある」場合には、不開示となるものである。

なお、このような実施機関の第一次的判断は、合理性を持つものとして許容される限度内のものでなければならず、審議会においてもこれらの点を考慮して判断する必要がある。

イ実施機関の判断の合理性について

実施機関はこれら不開示情報の開示支障性について前記4(3)のとおり主張するので、当該判断の合理性について以下検討する。

そもそも本件トラブルは、警察官が事情聴取後に当事者をそのまま解散させたことからも、その時点の状況としては軽微な事案であると思われる。

しかしながら、実施機関の第一次的な開示支障性判断を尊重するという本号の趣旨や、警察業務の特性、本件文書に記載された事実経過等を踏まえると、警察へ不信感等を抱いた第三者による通報の躊躇や事情聴取への協力拒否、警察の着眼点等を知り得た者による、検挙に至らない程度の同種事業の敢行といった可能性があるとした実施機関の判断には、犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的要素がないとするまでの特段の事情は見当たらないことから、許容される限度内の合理性があるものと解するべきである。

よって、これらの不開示情報を開示することで犯罪の予防、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるとした実施機関の判断には相当な理由があると認められることから、不開示が相当である。

ただし、不開示情報(6)のうち「聴取内容」の1行目35文字目から2行目6文字目までの部分については、本件文書の開示部分においても示されている明白な事実に過ぎず、実施機関の判断に合理性があるとは認められないことから本号該当性は否定される。

(II)条例第17条第2号及び第6号該当性について

不開示情報(2)から(7)までのうち、前記(i)で第4号に該当すると判断した部分については第2号及び第6号該当性を判断するまでもなく不開示が相当であるので、第4号に該当しないと判断した部分(不開示情報(6)のうち「聴取内容」の1行目35文字目から2行目6文字目までの部分)につき以下検討する。

第2号該当性については、当該情報は開示請求者以外の個人に関する情報ではあるものの、本件文書の開示部分においても示されている明白な事実に過ぎず、開示しても開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがあるとは認められないことから同号該当性は否定される。

また、第6号該当性についても、当該情報を開示したとしても実施機関の事務又は事業の適正な遂行に支障が生ずるおそれがあるとは認められないことから同号該当性は否定される。

(4)結論

以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。

審査請求人及び実施機関双方のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

6.審議会の処理経過

審議会の処理経過は別紙のとおりである。


別紙

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成19年5月16日

諮問書の受理

平成19年7月25日

実施機関の理由説明書受理

平成20年4月21日

審議(第163回審議会)

平成20年6月16日

審議(第165回審議会)

平成20年7月28日

審議(第166回審議会)

平成20年9月8日

審議(第167回審議会)

平成20年10月20日

審議(第168回審議会)

平成20年11月17日

審議(第169回審議会)

平成20年12月15日

審議(第170回審議会)

平成21年1月19日

審議(第171回審議会)

 

答申第91号(平成21年2月4日付け)(PDF:125KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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