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更新日:令和5(2023)年4月28日

ページ番号:23605

答申第137号

答申第137号

平成25年12月17日

千葉県教育委員会委員長金本正武様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

平成24年8月23日付け教職第424号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成24年7月8日付けで異議申立人から提起された、平成24年6月1日付け教職第241号及び△△第297号で行った自己情報開示決定に係る異議申立てに対する決定について


 

諮問第114号

答申第137号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

1.審議会の結

千葉県教育委員会委員長(以下「実施機関」という。)は、平成○年○月○日に千葉県立○○高等学校(以下「○○高校」という。)の校長(以下「校長」という。)が千葉県教育庁教育振興部教職員課人事室高等学校班地区担当者(以下「地区担当者」という。)に送信した電子メールを紙に出力したものについて、改めて開示決定等をすべきである。

2.異議申立ての経

(1)異議申立人は、平成24年5月18日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、
「・2011年度末の異議申立人の異動に関わって、校長が県教育委員会および地区担当者に提出・送付した、異議申立人に関して記述されたすべての文書(具申、メモ、メールを含む)。
・2011年度末の異議申立人の異動に関する、県教育委員会および地区担当者から校長宛に送られたすべての文書(通知、メモ、メールを含む)」
の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を「平成23年度末人事異動個人調査票」及び「職員配置内示書」と特定した上で、平成24年6月1日付け教職第241号及び△△第297号で開示決定(以下「本件決定」という。)を行った。
これに対し異議申立人は、「その他の文書(具申、通知、メモ、メール等)は存在する」として、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、平成24年7月8日付けで実施機関に対し異議申立てを行った。
なお、異議申立人は、本件決定を受けて、平成24年6月5日付けで、「自己情報開示決定に対する申入れ」(以下「本件申入れ」という。)と題する文書を実施機関に提出し、これに対して実施機関は、電話で回答している。

(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成24年8月23日付け教職第424号で審議会に諮問した。

3.異議申立人の主張要

(1)異議申立ての趣旨

実施機関が行った本件決定で開示された「平成23年度末人事異動個人調査票」及び「職員配置内示書」以外の行政文書について、開示決定等を求めるものである。

(2)異議申立ての理由

不存在を理由に、多くの文書の開示がなされなかったが、これらの文書(具申、通知、メモ、メール等)の幾つかは、異議申立人自身が存在を確認しており、不存在を理由に開示しないことは正当性を欠くものと考える。
自己情報の不開示は、自己の個人情報が、どのように記録されているかを知る本人の権利を侵害することであり、間違った記載があれば、それらに対して訂正、削除を求めることができる個人情報開示の重要な趣旨にも反するものである。

4.実施機関の説明要

(1)本件申入れについて

ア本件申入れの内容は次のとおりである。

(ア)本件決定に関しては、千葉県教育庁企画管理部教育総務課文書・情報室の開示担当者(以下「開示担当者」という。)より「開示されるものは行政文書である。行政文書とは、『職務上作成したもの、また、取得した文書であり、職員が組織的に用いるもの』」との説明を、異議申立人は受けた。


(イ)次の(1)から(9)までに記すものは、存在を確認しているもの、もしくは、当然、存在が想定されるものである。これらは、千葉県教育委員会と校長が、異議申立人の異動のために、「職務上作成、取得し、かつ、組織的に用いた文書」であることは明白である。これらの個人情報が、どのように記録されているかを知ることは本人の権利であり、間違った記載があれば、それらに対して訂正、削除を求めることができることも、個人情報開示の重要な趣旨である。そのため、(1)から(9)までに記した文書、メール、メモを特定し、速やかに情報開示することを求める。
(1)校長が校長室において異議申立人本人との人事面接で作成したメモ(以下「本件文書1」という。
(2)千葉県教育委員会の人事ヒアリングに、校長が持参した具申書もしくはメモ(以下「本件文書2」という。)
(3)千葉県教育委員会の人事担当者が、校長からの人事ヒアリング(聞き取り)に際して作成したメモ(以下「本件文書3」という。)
(4)校長が異議申立人に内々示を行なった後に、異議申立人が校長を通して千葉県教育委員会に不服申し入れを行なった際に、校長が千葉県教育委員会に連絡するために作成したメモ(以下「本件文書4」という。)
(5)異議申立人の不服申し入れを受けて、校長が千葉県教育委員会に送付したメール(以下「本件文書5」という。)
(6)校長のメールに対して、千葉県教育委員会が行った回答のメールもしくはその回答を行なうためのメモ(以下「本件文書6」という。)
(7)上記(6)が電話連絡である場合、校長が千葉県教育委員会から受け取った回答のメモ(以下「本件文書7」という。)
(8)校長が千葉県教育委員会に登庁して千葉県教育庁教育振興部教職員課人事室長(以下「人事室長」という。)と面談した際に、人事室長が校長に回答した内容のメモ(以下「本件文書8」という。)
(9)人事室長が今回の異動に対して「総合的判断」をする元になった、地区担当者から聞き取りをした内容のメモ、もしくは、地区担当者が人事室長に示した、判断の元になった文書もしくはメモ(以下「本件文書9」といい、本件文書1から本件文書9までを総称して「本件各文書」という。)イ本件申入れについて、実施機関は平成24年6月19日、開示担当者から異議申立人に対し、対象文書は、本件決定において開示した2件以外は存在しない旨、電話で回答した。

イ本件申入れについて、実施機関は平成24年6月19日、開示担当者から異議申立人に対し、対象文書は、本件決定において開示した2件以外は存在しない旨、電話で回答した。

(2)本件各文書を対象文書としなかった理由について

ア本件各文書の作成の有無及び提出・送付の有無

本件各文書のうち作成が認められたのは、本件文書1、本件文書2、本件文書4、本件文書5、本件文書7及び本件文書8であり、全て校長が自ら作成したメモ又はメールであるが、実施機関に対して提出・送付は行われていない。
本件文書1は、平成○年○月○日に校長が異議申立人と面談した際に作成されたメモである。
本件文書2は、平成○年○月○日に行われた千葉県教育庁教育振興部教職員課(以下「教職員課」という。)の人事ヒアリングに臨む際に、校長が手持ち資料として用意していたもので、○○高校の職員の人事上の情報をメモしたものである。
本件文書4は、平成○年○月○日に校長が異議申立人と面談した際の経緯について作成されたメモである。
本件文書5は、平成○年○月○日に、本件文書4の内容を校長が職員メールアドレスを用いて地区担当者に送信した電子メールであり、○○高校の教頭及び事務長宛てにも同時送信されたものである。
本件文書7は、平成○年○月○日に校長が地区担当者と話した内容、同日に校長が異議申立人と会話した内容、及び異議申立人が質問と意見を書面にした内容について作成されたメモである。
本件文書8は、平成○年○月○日に校長が人事室長から聞いた内容及びその翌日に校長が異議申立人と会話した内容について作成されたメモである。
なお、本件文書3、本件文書6及び本件文書9について、作成された事実はない。

イ行政文書該当性の判断
本件文書1、本件文書2、本件文書4、本件文書7及び本件文書8のメモについては、校長が所属長として職務上作成したものではあるものの、当該文書を他の職員が職務上利用に供していないこと、また、校長が個人の判断で処分できる性質のものであり、かつ、共用の保存場所で保存していないことが認められる。このため、職員が組織的に用いるものには該当しないと考えられることから、行政文書には該当しないと判断したものである。
本件文書5のメールについては、校長が所属長として職務上作成したものであって、参考として当該メールを他の職員に送信したものの、各個人の判断で処分できる性質のものであり、かつ、共用の保存場所で保存していないことが認められる。このため、職員が組織的に用いるものには該当しないと考えられることから、行政文書には該当しないと判断したものである。

(3)本件異議申立ての理由について

異議申立人は、「具申、通知、メモ、メール等の幾つかは、異議申立人本人が存在を確認しており、不存在を理由にした自己情報の不開示は正当性を欠く」旨主張する。しかし、本件各文書は、組織的に用いるものとして実質を備えた状態、すなわち、組織において事務又は事業の執行上必要なものとして、利用又は保存されている状態ではなかったものであったことから、実施機関が行政文書に該当しないと判断して、対象文書として特定しなかったものである。したがって、存在する行政文書を不存在であるとして不開示としたものではない。
なお、異議申立人は、本件申入れで、本件各文書は「当然、存在が想定される」というが、本件文書3、本件文書6及び本件文書9は作成の事実はなく、異議申立人において存在が想定されるとしても、事実として作成されなかったものである。

5.審議会の判

(1)異議申立人が主張する本件各文書について

異議申立人は、本件異議申立書及び本件申入れにおいて、本件各文書が存在するはずであり、いずれも行政文書に該当すると主張する。
以下、本件各文書について検討する。

(2)行政文書について

条例による自己情報開示の対象となるのは「行政文書に記録された自己の個人情報」(第15条第1項)であり、「行政文書」については、条例第2条第3号により「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義されている。
そして、「組織的に用いるもの」に該当するか否かは、文書の作成、取得、利用、保存又は廃棄の状況を総合的に考慮して、実質的に判断することが相当である。

(3)本件各文書について

ア本件文書1及び本件文書2について

(ア)本件文書1は、平成○年○月○日、校長が異議申立人と面談した際に作成した手書きのメモである。
本件文書2は、平成○年○月○日、校長が教職員課の人事ヒアリングに出席する際、手持ち資料として持参した資料であり、○○高校職員の人事要望等に関する情報が記載されている。

(イ)これらの文書について、実施機関は、校長以外の職員が職務上利用に供していないこと、校長が個人の判断で処分できる性質のものであること及び共用の保存場所で保存していないことから、行政文書には該当しないと説明する。

実際に見分し、上記(2)の判断基準に照らしてみると、本件文書1及び本件文書2に関する限り、実施機関の説明に特段不合理な点は認められない。したがって、これらの文書は「組織的に用いるもの」とはいえず、行政文書には該当しない。

イ本件文書4、本件文書7及び本件文書8について

(ア)本件文書4は、平成○年○月○日、校長が異議申立人と面談した際のやりとり等について校長が作成したメモであり、(1)校長と異議申立人との会話内容及び(2)面談の際に異議申立人が持参した文書の内容が記載されている。
本件文書7は、平成○年○月○日、校長が異議申立人と面談した際のやりとり等について校長が作成したメモであり、(1)当日、校長が地区担当者と電話で行った会話の内容、(2)面談時における校長と異議申立人との会話内容及び(3)面談時における異議申立人からの質問と意見が記載されている。

本件文書8は、平成○年○月○日、校長が異議申立人と面談した際のやりとり等について校長が作成したメモであり、(1)校長と異議申立人との会話内容及び(2)その前日に校長が人事室長から聞いた内容が記載されている。

(イ)これらの文書について、実施機関は、上記ア(イ)前段と同様の理由で行政文書に該当しないと説明する。
実際に見分してみると、これらの文書は、校長が○○高校の人事管理というその所掌事務の範囲内で作成したものであり、校長は、これらの文書を地区担当者に提出又は送付したとは認められないが、通常は、当該事務の執行に必要なものとして当該教頭にも利用させることが推認されるものである。

しかし、本件請求は、上記2(1)のとおり、校長が地区担当者に提出若しくは送付した文書又は地区担当者が校長に送付した文書を開示請求の対象としており、本件文書4、本件文書7及び本件文書8は、いずれも本件請求の対象文書には該当しない。

ウ本件文書5について

(ア)本件文書5は、平成○年○月○日、校長が地区担当者に対して送信した電子メールを紙に出力したものである。これについて、実施機関は、上記ア(イ)前段と同様の理由で行政文書に該当しないと説明する。
しかしながら、上記4(2)アのとおり、本件文書5は、地区担当者のほか、○○高校の教頭及び事務長に同時送信されたとのことである。

そこで、実際に見分し、上記(2)の判断基準に照らしてみると、本件文書5は、校長が人事管理というその所掌する事務の範囲内で作成し、他の職員に送信し、当該職員によって利用されているものを出力したものであるから、「組織的に用いるもの」として行政文書に該当すると認められる。

(イ)そして、本件文書5は、校長が地区担当者に送信したものであるから、本件請求において異議申立人が求めているものとして、対象文書にすべきものである。

(ウ)したがって、実施機関は、本件文書5を対象文書として、改めて開示決定等をすべきである。

エ本件文書3、本件文書6及び本件文書9について

本件文書3、本件文書6及び本件文書9については、これらの文書を作成又は取得していないとする実施機関の説明に特段不合理な点は見当たらず、よって、実施機関はこれらの文書を保有していないと認められる。

(4)結論

以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
異議申立人及び実施機関のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。。

6.審議会の処理経

審議会の処理経過は、下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成24年8月23日

諮問書の受理

平成24年10月5日

実施機関の理由説明書受理

平成25年9月12日

審議(第224回審議会)

平成25年10月10日

審議(第225回審議会)実施機関口頭理由説明

平成25年11月14日

審議(第226回審議会)

 


 

答申第137号(平成25年12月17日付け)(PDF:121KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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