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更新日:令和5(2023)年4月28日

ページ番号:23594

答申第125号

答申第125号

平成25年1月9日

 

千葉県教育委員会委員長金本正武様

 

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

 

異議申立てに対する決定について(答申)

 

平成22年11月25日付け教職第837号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成22年9月28日付けで異議申立人から提起された、平成22年9月1日付け教職第603号で行った自己情報開示決定に係る異議申立てに対する決定について

 


諮問第100号

答申第125号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

1.審議会の結

千葉県教育委員会委員長(以下「実施機関」という。)が平成22年9月1日付け教職第603号で行った開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

実施機関の判断は、妥当である。

2.異議申立ての経

異議申立人は、平成22年8月18日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「請求人が○○年○月○日付けで行った異議申立てに係る自己情報開示請求書、異議申立書、理由説明書等関係する一切の文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

実施機関は、対象文書を別紙の1から8までのとおり特定した上で、別紙の1から6までについては本件決定を行い、別紙の7及び8については部分開示決定を行った。

これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成22年9月28日付けで本件決定の取消しを求め、異議申立てを行った。

これを受けて実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成22年11月25日付け教職第837号で審議会に諮問した。

3.異議申立人の主張要

(1)異議申立ての趣旨

本件処分において、行政文書の一部を「対象外」という文字を用いて実質不開示とした部分を開示せよとの決定を求める。

(2)異議申立ての理由

異議申立人が、異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての理由は、概ね以下のとおりである。

ア本件決定に係る開示文書中に「対象外」と記載された部分があり、当該文書の一部が秘匿されていた。

イ行政文書は、文書として全てが一体のものである。これでは実質不開示である。不開示情報以外の情報を不開示とするのはおかしい。

ウ「個人情報保護の手引(改訂第四版)」(平成20年3月、千葉県総務部政策法務課。以下「手引」という。)48ページでは、個人情報の開示義務についての解釈及び運用として、「本条例でいう『開示』とは、個人情報の内容をあるがままに示し、見せることであり、開示・不開示の判断は、専ら開示請求に係る個人情報に不開示情報が記録されているかどうかによって行われ、開示の実施の方法によって開示・不開示の判断が異なることはない。」、「情報公開条例に基づいて開示され得る情報は、何人も知り得る情報であるため、不開示情報には該当しないものである。」と記載されている。

また、手引64ページでは、部分開示についての解釈及び運用として、「個人情報の開示請求に対しては、原則開示の精神に照らし、当該個人情報を記録する行政文書に部分的に不開示情報が記録されている場合には、当該行政文書全部の開示を拒むものではなく、当該不開示情報が記録されている部分を除いて、それ以外の部分を開示しなければならないという趣旨である。」と記載されている。

これらの解釈及び運用に基づき、手引165ページでは、具体的な開示の実施方法として、「開示請求に係る個人情報の記録された行政文書又は図画の開示の方法」という表現が用いられている。

これらをまとめると、個人情報の開示においては、「個人情報の内容をあるがままに示し、見せる」のであって、「原則開示の精神」に則って行わなければならない。その具体化が「行政文書に記録された個人情報」ではなく、「個人情報の記録された行政文書又は図画」を開示するという表現に現れている。すなわち、他の情報とともに記録された個人情報を「あるがままに」開示するには、「個人情報の記録された行政文書又は図画」を何の手も加えず開示するしか方法がないのである。

エ条例第15条は、「行政文書に記録された自己の個人情報」の開示請求権を定めたものである。これに対して実施機関は、条例第17条で規定される開示の義務を負い、開示の実施においては行政文書を「あるがままに示し、見せる」ことが原則なのである。その原則の下で、不開示情報が記録されている場合に限りその部分を除いて開示することができると定めているのである。いかに「対象外」という文字を使おうとも、行政文書の一部をマスキングすることは、「あるがままに示し、見せる」ことに反する。

オ手引48ページでは、個人情報の開示義務についての解釈及び運用として、「本条例でいう『開示』とは、個人情報の内容をあるがままに示し、見せることであり、開示・不開示の判断は、専ら開示請求に係る個人情報に不開示情報が記録されているかどうかによって行われ、開示の実施の方法によって開示・不開示の判断が異なることはない。」、「情報公開条例に基づいて開示され得る情報は、何人も知り得る情報であるため、不開示情報には該当しないものである。」と記載されている。

カ手引において、条例に関して「対象外」という用語が定義されているのは、153ページ「2開示請求の対象外」における5目の記載だけである。言うまでもなく、本件決定は上記5項目のいずれにも該当していない。したがって、実施機関は条例にも規則にも要綱にも定められていない処理を勝手に行ったことになる。

キなお、諮問第99号における知事の理由説明書には、「ここで定めているのは、条例第15条第1項に規定する自己の個人情報ではあるが、開示請求の対象外となるものであって、それに対し、本件決定の際に行った対象外の処理は、自己情報以外の情報を開示請求の対象外としたものであり、別の意味のものである。」との主張がある。無知なのか居直りなのかわからないが、これは「自分が法律だ」と言っているのと同じである。

実施機関の理由説明書は、異議申立書に記載した主張が理解されていないようで、的確な反論がなされていない。したがって、貴職始め審議会委員諸氏には冗長な説明となるが、以下に繰り返しも含め若干補足しておく。

(ア)手引64ページ及び165ページの記載について

手引64ページには「行政文書全部の開示」を前提とした解釈及び運用が記され、手引165ページでは「個人情報の記録された行政文書又は図画」を開示の対象としている。言うまでもなく、行政文書に記録された個人情報の部分などという表現ではない。

(イ)処理の方法等について

手引64ページに、「『除く』とは、不開示情報に該当する部分を、当該部分の内容が分からないように黒塗り、被覆等を行うことをいう。」という記載がある。ことほど左様に、手引には用語の定義や処理の方法が事細かに書かれている。ところが、「対象外」という文字で文書の一部を隠すことなど手引のどこにも書かれていない。すなわちそのような処理はありえないのである。

(ウ)今後の運用について

条例の解釈・運用については、実施機関に委ねられている。そこで、手引をかえるなどして、本件決定を合法化する動きが出ないとも限らない。

しかし、今回の処理は明らかに条例の趣旨を逸脱している。情報開示請求によれば開示される部分が、自己情報開示請求によると開示されないというのは、どう理屈をつけようと、「原則開示の精神」に反している。

したがって、審議会会長始め委員諸氏には、本件条例の運用についてつねに厳しい目を光らせていただきたい。

4.実施機関の説明要

(1)本件決定において行政文書の一部を対象外として処理した理由について

条例第15条第1項では、何人も、実施機関に対し、行政文書に記録された自己の個人情報の開示の請求をすることができると規定されている。このことから、請求者が開示の請求をすることができる自己の情報とは、「行政文書に記録された自己の個人情報」、すなわち、対象となる行政文書に記録された情報のうち請求者本人の自己情報ということになる。

したがって、対象文書に記録された情報のうち、請求者本人の自己情報以外の情報については、自己情報開示請求の対象外ということになる。そのため、開示請求の対象外となっている情報については、白抜きを施し、「対象外」と表記するとともに、開示請求の対象となっている情報については、開示をするという運用を行っている。

本件請求における対象文書のうち別紙の4が、審議会における他の議題に関する諮問内容など、異議申立人の自己情報以外の情報が含まれている。このため、別紙の4の文書について、白抜きを施し、「対象外」と表記したものである。

(2)異議申立ての理由について

ア異議申立人は、上記3(2)イのとおり主張する。

しかし、上記4(1)のとおり条例で開示請求できるのは、「行政文書に記録された自己の個人情報」であり、行政文書ではない。

イ異議申立人は、上記3(2)ウのとおり主張する。

しかし、異議申立人の求めている自己の情報については、何も手を加えず開示をしている。

ウ異議申立人は、上記3(2)エのとおり主張する。

しかし、異議申立人の求めている自己の情報については、あるがままに示し、見せている。

(3)以上のことから、異議申立人の主張には理由がなく、行政文書の一部を対象外とした処理は、条例の趣旨に則った、適切なものである。

5.審議会の判

(1)本件請求及び異議申立ての対象について

異議申立人は、実施機関による本件決定に対し、上記3(1)のとおり、「『対象外』という文字を用いて実質不開示とした部分を開示せよ」との決定を求める旨主張している。

そこで、本件決定において実施機関が「対象外」とした部分について、本審議会で見分したところ、異議申立人が○○年○月○日付けで行った異議申立てに係る事案(諮問番号第84号)とは別の事案に関する情報が記載されているだけであり、異議申立人に関する個人情報は記載されていなかった。

そうだとすれば、本件決定においては、異議申立人自身の個人情報は、全て開示されているということができる。

したがって、本件決定における実施機関の判断は妥当である。

なお、条例第15条第1項が「何人も…行政文書に記録された自己の個人情報の開示の請求…をすることができる」と規定していることから、同項で認められる請求の対象は、行政文書に記録された開示請求者自身の「情報」であることは明らかである。よって、実施機関が本件決定において、対象文書に記載された情報のうち請求者本人の自己情報以外の部分について白抜きを施し「対象外」と表記したことは、条例の趣旨を踏まえたものである。

(2)結論

以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。

異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

6.審議会の処理経

審議会の処理経過は、下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成22年10月21日

諮問書の受理

平成22年12月2日

実施機関の理由説明書受理

平成22年12月10日

異議申立人の意見書受理

平成24年10月11日

審議(第213回審議会)

平成24年11月22日

審議(第214回審議会)

平成24年12月13日

審議(第215回審議会)

別紙

No. [対象文書の件名]
1 異議申立書の写しの送付について(送付)の起案文書(平成19年1月8日付け教職号外)
2 理由説明書の提出についての起案文書(平成20年4月23日付け教職第5756号)
3 意見書の送付について(平成20年7月8日付け個人審第13号)
4 千葉県個人情報保護審議会への職員の出席について(依頼)の起案文書(平成21年12月25日付け個人審第8号)
5 異議申立てに係る答申書の写しについて(送付)の起案文書(平成22年7月29日付け教職第490号)
6 異議申立書記載事項変更届について(送付)(平成22年8月18日付け政法第1134号)
7 自己情報開示請求に係る決定についての起案文書(平成19年12月3日付け教職第5272号)
8 異議申立ての決定について(諮問)の起案文書(平成20年2月22日付け教職第5510号)

 

答申第125号(平成25年1月9日付け)(PDF:104KB)【別紙】(PDF:27KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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