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更新日:令和6(2024)年2月29日

ページ番号:633915

災害に強い森づくりの推進

令和元年房総半島台風をはじめとして台風や大雨が短期間に連続して発生したことにより、千葉県では住宅損壊、広範囲で長期にわたる停電と通信遮断や断水、土砂災害など、これまでにない被害が発生しました。民有林(国有林を除く森林)の約7,700haで、台風の強風により木が倒れたり折れたりする風倒被害が発生し、特に道路や電線等の重要インフラ施設の周辺の森林では、風倒木が道路や電線に倒れかかったことにより、森林の被害にとどまらず、交通障害や、送電施設損傷による大規模停電等につながりました。

このため、県では、被害を受けた森林を復旧するとともに、倒木による道路や電線等の施設への被害を予防するため、災害に強い森づくりを進めています。

 

 

被害状況(森林内)の画像

被害状況(森林内)

被害状況(インフラ)の画像

被害状況(インフラ周辺)

 

重要インフラ施設周辺の森林整備

整備の方向性

  • 道路や電線等の重要インフラ施設周辺は、風倒木が発生した場合でも施設に被害を与えないよう、風に強い広葉樹を主体とした最大樹高10m程度の低樹高の森林を目標とする。
  • 整備する範囲は、風倒木が発生した場合に重要インフラ施設に対して被害を与える危険性がある範囲とし、整備しようとする森林の後方にある後背林(こうはいりん)の最大樹高の1.5倍以上の林帯幅を目安とする。
  • 森林の整備に当たっては、低樹高を維持するための整備を行うとともに、後背林に気象害が発生しないよう周辺の森林と一体的に整備を行う。

森林整備の遷移図(被害林)

森林整備の遷移図(伐採)

森林整備の遷移図(植栽後)

 

整備のイメージ

 

整備のイメージ図

インフラ側林帯(いんふらがわ りんたい)

ヤブツバキ、ネズミモチ、ヒサカキ、ヒイラギ、イロハモミジなど樹高があまり大きくならないものを3種以上混植する。

 

低樹高林帯(ていじゅこう りんたい)

木材生産を目的とする経済林の場合は、コナラ、マテバシイ、ウバメガシなどから選択して植栽する。木材生産を目的としない環境林の場合は、これらにサクラ類、シイ・カシ類、モミジ類、エノキ、ヤマモモなどを加えて3種以上混植する。

 

 

 

 

出典:「災害に強い森づくりにおける植栽の手引き」(農林水産技術会議技術指導資料 令和3年10月)

詳しくは、技術指導資料をご覧ください。

 

森林整備の流れ

1.現地調査

県や市町村の職員、森林組合などの事業主体で、現地調査を行います。

調査では、施設との位置関係や地形を見ながら整備する範囲を検討したり、木の太さや高さ、被害率などの現況を確認しています。ドローンを使用して上空から調査する場合もあります。

林内調査の画像

林内調査

ドローンを使った調査の写真

ドローンを使った上空からの調査(離陸直後の様子)

2.伐採・搬出・地拵え(じごしらえ)

重要インフラ施設沿いについては、被害木を含めて面的に伐採し、樹高があまり大きくならない木を植栽します。後背林については、広葉樹林化を促すための抜き伐りなどの整備を行います。

伐採した木のうち、幹の部分は搬出して木材として利用します。風倒被害を受けた森林の木は、外見上は問題がなくても、風で揺さぶられた際に内部に割れが生じているおそれがあるため、強度が求められない板材等として利用するほか、バイオマス発電用の燃料チップや木質ボードの原材料などに利用されています。

伐採木を搬出した後には幹の先端部分や枝などが残っているため、植栽しやすいように等高線に沿って棚状に積み上げて整理します。

チェーンソーによる伐採作業の画像

チェーンソーによる伐採作業

プロセッサによる枝払い・造材作業の画像

プロセッサによる枝払い・造材作業

電線まわりの枝落としの画像

電話線にかかった枝の切除作業

棚済みの画像

棚積みの状況(重要インフラ施設沿い)

後背林の整備状況の画像1

後背林の整備状況(更新伐)

後背林の整備状況の画像2

後背林の整備状況(更新伐)


3.植栽

植栽に適した春(3~4月頃)または秋(9月中旬~10月頃)に苗木を植え付けます。

植栽後の画像

植栽後

苗木の画像

苗木

 

4.下刈り(したがり)

伐採後の森林は、地面に光がよく届くため、植物が旺盛に繁茂します。植栽した木が雑草などとの競争に負けないよう大きくなるまで、年1~2回の草刈りを行います。

苗木が草に埋もれているので、誤って刈り払わないよう慎重に作業を進めます。夏の暑い時期に炎天下で行うため、過酷な作業です。

下刈り前の画像

下刈り前

下刈り後の画像

下刈り後

下刈り作業中の画像

下刈り作業中

 

災害に強い森づくり事業補助金

県では、災害に強い森づくりに取り組むため、国の支援を受けて令和2年度に災害に強い森づくり事業補助金を新設しました。

重要インフラ施設周辺の森林において、風倒木や土砂流出等による施設への被害を未然に防ぐため、市町村が森林所有者、重要インフラ施設管理者、森林組合等と協定を締結して行う森林整備について、県が事業費の一部を補助します。

 

事業名

災害に強い森づくり事業

内容

人工造林(前生樹の伐倒・除去を含む)、保育間伐、更新伐、下刈、発生材の運搬

補助事業者

市町村

補助形態

間接補助(市町村経由)、委託(市町村が実施)

補助率

間接補助の場合10分の4以内、委託の場合10分の5以内

主な採択要件

  • 1施行地0.1ha以上
  • 電線等の重要インフラ施設に近接する森林であること
  • 市町村、事業主体、インフラ施設管理者、森林所有者の間で、森林整備の実施やその後の維持管理について、それぞれの役割等を定める協定が締結されていること など

 

詳細は、事業要綱・要領等(森林課ホームページにリンク)外部サイトへのリンクで御確認ください。

また、災害に強い森づくり事業のほか様々な補助事業がありますので、補助事業による森林整備を希望される場合は、整備したい森林のある市町村を管轄する林業事務所外部サイトへのリンクに御相談ください。

 

北部林業事務所管内の取組状況(令和4年度末)

千葉市、成田市、八街市、香取市、山武市、神崎町の6市町で災害に強い森づくり事業を実施しています。

 

災害に強い森づくり事業の実施面積

 

令和2年度

令和3年度

令和4年度

千葉市

1.32ha

1.08ha

1.74ha

4.14ha

成田市

-

0.82ha

0.80ha

1.62ha

八街市

0.13ha

0.70ha

-

0.83ha

香取市

-

-

0.94ha

0.94ha

山武市

5.46ha

5.78ha

0.39ha

11.63ha

神崎町

0.72ha

0.43ha

1.15ha

2.30ha

7.63ha

8.81ha

5.02ha

21.46ha

注:数字は被害木等を伐採した面積

 

取組事例

場所

千葉市緑区高田町

実施面積

0.42ヘクタール(4,200平方メートル)

実施内容

令和2年度 伐採・搬出
令和3年度 植栽
令和4年度 下刈り

補助事業者

千葉市

事業主体

千葉市森林組合

 

千葉市の取り組み前の状況画像

実施前

千葉市の取り組み後の状況画像

実施後

植栽した苗木の画像

植栽木

 

 

参考

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部北部林業事務所印旛支所

電話番号:043-483-1130

ファックス番号:043-484-2826

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