ここから本文です。

更新日:令和5(2023)年2月8日

ページ番号:7217

知的財産権を活用する営農改善・地域振興-商標・地理的表示を中心に-

1.自衛のために知的財産権を学ぼう

(1)農業・農村の知的財産を認識しよう

ア.メリット活用はトラブル回避と一緒に

農産物に限ったことではありませんが、輸入品を含めた他産地・他業者との価格競争には非常に厳しいものがあります。一方で「ブランド」と評価される商品は他の類似商品に比べて有利な価格で売れています。「ブランド」という言葉の意味するところは非常に幅が広いのですが、商品に付けられている商標やマーク等が商品の品質に対する顧客の高い信用を支え、その他の商品から区別してもらう役割を果たしている状態にあるものがブランドです。

「その他の商品から区別してもらう役割」を果たしている商標やマーク等の多くは「知的財産」であり、各種制度によって「財産権」は保護されています。商標等の「目に見えるもの」以外に、生産・流通の方法に関する特許や実用新案、種苗等の商品品質に関する権利もブランドの構成要素になることがあります。
このように、知的財産権は商品販売を有利に進める上で大きな役割が期待できるものですが、「誰かの権利」であることへの注意が必要です。自分の権利が侵害されてしまったり、あるいは他人の権利を侵害してしまってトラブルに巻き込まれたりする可能性があるので、知的財産権に関する知識は農業経営や地域振興にとって不可欠な分野になりつつあります。
経営上のメリットを期待するばかりでなく、トラブルを避けるためにも、知的財産権について学びましょう。

図1_知的財産権トラブルの例(PNG:96KB)

図1_知的財産権トラブルの例
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

 

図2_メリット活用はトラブル回避と一緒(PNG:67KB)

図2_メリット活用はトラブル回避と一緒
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

 

図3_日本の法制における主な知的財産権(PNG:275KB)

図3_日本の法制における主な知的財産権
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

イ.権利を尊重しよう

知的財産権を学ぶ姿勢の基本は「権利を尊重し合う」ことです。

自分の権利を護るためにも、他人の権利を認識し、ルールを遵守する姿勢を確認しましょう。

図4_知的財産権を尊重する社会としない社会(PNG:120KB)

図4_知的財産権を尊重する社会としない社会
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

(2)学ぶべきことは権利登録以外に沢山ある

知的財産権については権利登録が関心の的になりがちですが、権利登録は営農改善や地域振興の取組みの一部です。本来の目的のためには権利登録以外にも他にやるべきことが沢山あります。
貿易交渉において知的財産権のあり方が検討されたり、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が新たに制定されて権利の種類が増えたりしているように、権利登録等の法的な環境は常に変化し続けています。社会の変化に取り残されないように法的な取組みを進めることは大切ですが、権利登録すれば営農改善や地域振興のすべての課題が解決する訳ではありません。
現場の状況を見れば、登録商標、地域団体商標、意匠登録、特許、及び種苗の育成者権等の知的財産権を法的に確保している農業経営者や農協等は珍しい存在ではありません。しかし「登録」した権利を活用して営農改善や地域振興の「実をあげているか」を評価してみると、どうでしょう。登録していたことが忘れられていたり、商品に表示されていなかったり、権利侵害が放置されていたりなどの例が散見されます。

営農改善や地域振興のために関係者が理解しておくべき本質は「権利の取得法ではなくて活用法」であり、「営農改善や地域振興の全体的な戦略」なのです。

図5_営農改善や地域振興における知的財産権の位置付け(PNG:59KB)

図5_営農改善や地域振興における知的財産権の位置付け
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

2.上手に売るために商標や地理的表示を知っておこう

(1)商標等は顧客に識別してもらうための目印

ア.選ばれるための「特徴」を「自ら語れて・真似されない」努力をしよう

商品・サービスは「特徴」があってはじめて他の類似品と区別されます。客の着目する特徴は非常に広い範囲にわたります。「鮮度や糖度などの品質」は農産物の代表的な特徴です。「品種」は品質と結び付けて考えられる面の強い特徴です。JAS有機農産物認証を受けているとか特許製法で生産している等の「生産方法の表示」も品質との関連性の強い特徴です。物流の面からは「納品可能な数量、発注から納品までの所要時間」等も重要な特徴です。「生産者と消費者との間にお互いの顔が見える信頼関係がある」というのは産直型販売の特徴です。「視覚に訴えるパッケージデザイン」や「親しみやすく憶えやすい商標」などは上記のような「様々な特徴に対する信用を蓄積し、外観で判別できるようにするための道具」です。以上の様々な特徴が組み合わさっている「物語性」は特徴の総合力を強めるでしょう。

いずれも生産者の努力の積み重ねによって成り立つものであり顧客の信用を得ることが出来れば経済的な価値を伴いますが、その価値を実現させ、維持・発展させるためには次のような「さらなる努力」が必要です。

先ず第一に「特徴を自らが語れる」こと。自分の売りたい商品・サービスが「他の類似品とどのように違っているか」を知っていて、かつ客にアピールできることは販売上不可欠なことです。また「維持・発展させるべき特徴が明確になる」ので今後の事業展開の方向性も明確になります。

次に注意すべきは「偽装・模倣される」危険性に備えること。偽装・模倣されると独自性や信用が失われて競争力が低下します。品種、製法特許、パッケージデザイン(意匠)、及び商標等は「知的な独創性・独自性」の財産権として法的な保護を受けることができるので、そのような制度を活用することも事業展開にとって不可欠なことです。

図6_「選ばれるための特徴」の考え方(PNG:90KB)

図6_「選ばれるための特徴」の考え方
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

イ.「マーク×商品」の組合せで「両面強化」しよう

ブランド商品は、顧客に「識別してもらって、選んでもらって」います。ブランドはその識別標識(マーク)ですが、マークは商品との組合わせでその役割を果たします。商品(もの)以外に役務(サービス)との組合わせもあります。例えば遊覧バスの「はとバス」は「バスによる輸送」等の役務との組合せで観光客に認識されています。

商標等のマークは顧客の「商品に対する評価と一体」ですから、商品の品質に対する評価が低ければマークに対する評価も低くなります。商標を登録したり、パッケージデザインを工夫したりすることは、営農改善や地域振興のための「ブランド化の取組み」として重要ですが、「マークに関する努力」です。食味向上等の「品質の維持・向上に関する努力」を含めた「両面の努力」を一体的に実施することが不可欠です。

図7_識別力と品質への信用との両面強化が必要(PNG:61KB)

図7_識別力と品質への信用との両面強化が必要
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

ウ.商標の仲間を知っておこう

上記のような商品・サービスを客が識別する「マーク」には、法制上複数の種類があります。主なものは次のとおり。

(ア)商標

商標とは、事業者が自己の取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用するマークです。文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものなどがあります。逆の言い方をすれば、客はこのマークを見たり触ったりすることで類似の商品やサービスの中から自分の求めるものを識別することができるものです。

商標法に基づき登録されて権利を保護されているものが「登録商標」です。個人又は法人が出願できて、「先に出願した者」が登録されます(先願主義)。このため、商標を使っていながら登録しないままでいた場合に、他人の権利が登録されたことで今まで使っていた商標を使用できなくなることがあります。

設定登録から10年間有効です。更新登録をすれば何回でも登録できます。この点が、特許権や種苗育成者権のように有効期限のある権利と比べて大きく異なるところです。

「財産権」なので、他者に使用を許諾したり、譲渡したり、相続したりすることができます。

出願しても登録されない商標として次のようなものがあるので要注意です。

  • 自己の商品・役務と、他人の商品・役務とを区別することができない(識別力がない)もの
  • 公益に反するもの
  • 他人の商標と紛らわしいもの
(イ)地域団体商標

地域団体商標とは、「地域の名称」と「商品又はサービスの普通名称」との組合せの「文字のみ」からなる「商標」で、「地域に根ざした団体がその構成員に使用させる」目的の商標です。

「識別力がない」商標は登録されません。このため、地域特産品にみられる「地名+普通名称」の商標は「既に有名になっていて識別力を有する」と判断されるものでない限り「単なる地名と商品・サービスとの組合せであって識別力はない」ので、登録されません。「このような地域名と商品名からなる商標がより早い段階で商標登録を受けられるようにすることにより、地域ブランドの育成に資するため」に設定されたものが地域団体商標です。

このため、通常の商標と比べて以下のような点が異なります。

  • 登録主体は次のいずれかの団体に該当すること。
    • 事業協同組合等の特別の法律により設立された組合(法人格を有するものであって、当該法律に構成員資格者の加入の自由が担保されているもの)
    • 商工会
    • 商工会議所
    • 特定非営利活動法人
  • 商標の構成は「地域の名称」と「商品又はサービスの普通名称」の組合せで「文字のみ」からなる「商標」であって普通名称でないこと(例えば、伊勢海老は普通名称)
  • 地域の名称と商品・サービスとの関連性があること
  • 需要者にある程度の周知性があること
(ウ)地理的表示保護制度

地理的表示(geographicalindication、GI)とは、産品の品質や社会的評価等が特定の「産地」と結び付いていて、その名称からその産地を特定できるような表示を意味します。世界的にはシャンパン(ワイン)、スコッチ(ウィスキー)、ロックフォール(チーズ)等が代表的なものでしょう。このような地理的表示を「知的財産権」として保護する制度が「地理的表示保護制度」であり、国によって地域によって様々なものがあります。

日本では、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づき「壱岐」、「球磨」、「琉球」等の表示について制度化されていましたが、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(通称:地理的表示法)」(平成26年6月25日法律第84号)によって食用農林水産物や酒以外の飲食料品等についても保護制度が始まりました。

この地理的表示法に基づく保護制度も「商品の表示」に関するものなので商標や地域団体商標と「役割が重なり合う」面があります。特徴は次のとおりです。

  • 商品の名称(地理的表示)だけではなく、生産地、特性、生産の方法、特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由、及びその生産地において生産されてきた実績のすべてが一括して審査され、登録される
  • 申請者は「生産・加工業者団体」でなければならない(法人でなくても良いが、個人は不可)(生産者は登録された団体へ加入し、所定の条件に従って農林水産物等を生産すれば地理的表示を使用可)
  • 登録商標について商標権者等の承諾があり「産地と結び付いた品質特性や品質基準等」が備われば地理的表示の登録も可能(ただし、地理的表示に登録されると地域内で独占排他的な使用ができなくなる)
  • 名称に用いる産地は商品の特性と結び付いていなければならない
  • 商品や包装等に登録された地理的表示を付する場合には所定の登録標章(GIマーク)を「付さなければならない」
  • 登録のある地理的表示の不適切な使用を発見した農業者等が農水省に通報すれば農水省が不正表示の抹消等を命令してくれる(商標権の場合は、権利者自らが警告や訴訟等の自己防衛をしなければならないが、その負担は大きい)
(エ)商号

商号は商人又は会社の名称です。商品そのものの名称ではありませんが、流通段階で商号が商標のように取り扱われる場合があります。「屋号・家号」を持つている業者が、この屋号・家号を自らの商品に表示して販売する例は各地で見受けられます。この場合、文化としての「屋号・家号」が商号や商標の機能を獲得していると考えることができます。全国展開している工業産品の中にも「○○衛門」等の商品名を表示するものがあります。

このように、農山漁村の文化としての「屋号・家号」は商号や商標等の知的財産権に活用できる可能性を秘めているので要注意です。

商号は法律上の手続としては「登記」するものですが、商号を商標として登録することも可能です。前述の全国展開製品の「○○衛門」等には商標登録されているものがあります。

商号が商標等のブランド形成に位置付けられるのであれば、商号の商標登録は検討すべき事項です。

(2)権利の保有者や移動は将来を見越して準備

知的財産権も他の財産権同様に、権利の保有者を明確にすることが権利の取扱いを確実・円滑にする第一歩です。権利の種類によって異なりますが、譲渡や相続等の権利の一部又は全部を移動させる場合もあります。また、許諾契約等によって権利保有者以外の利用を認めることもあります。

すなわち、将来の権利移動や権利活用の状況を想定して権利の保有のあり方を総合的に検討し、取り組むことが必要です。

例えば、任意団体は商標権の当事者になれません。一方で地理的表示法に基づく地理的表示は任意団体であっても登録可能です。この場合、知的財産権を保有しようとする生産者団体の現状にのみ着目すれば、任意団体の組合は商標権を出願することはできないので地理的表示の出願のみが検討の範囲でしょう。一方で、現状は任意団体であるけれども将来の法人化を見込んでいるとか、核心的なメンバーだけの任意団体で活動を開始し将来は農協への権利譲渡を含めて構想するとかの場合には、任意団体の代表者が個人で商標を出願して権利を確保しておく等の取組みもあり得ます。「将来構想は絶対に必要」なのです。

図8_権利の保有・移動は将来を見越して取り組むこと(PNG:55KB)

図8_権利の保有・移動は将来を見越して取り組むこと
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

(3)権利を正しく使って防衛力と信用とを高めよう

ア.防衛力を強化しよう

商標権等の権利登録は営農改善や地域振興のための道程の「通過点」に過ぎません。登録しても、権利保全のための「自衛活動」を怠っていると権利が侵害された場合に、「結果として放置し、現状追認して権利を放棄する」ことになりかねません。

地理的表示法に基づく地理的表示の場合は国(農林水産省)が不正表示の除去を命令するなど不正使用者に対する取締りをしてくれますが、国に速やかな対策をとってもらうためにも「権利者自身が不正表示に対して目を光らせる姿勢」を持っていることが必要でしょう。そもそも、産地自身がこのような知的財産権の価値を理解し、品質・権利の維持体制を備えることが「地域としての品質・信用の維持」に不可欠であるはずです。

権利登録が済んても「気を抜かずに更なる防衛力強化」を進めましょう。

図9_知的財産権の防衛は自ら意識して努力(PNG:96KB)

図9_知的財産権の防衛は自ら意識して努力
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

(ア)他人に権利を独占されないこと

「登録」の最も基本的な役割は、自分の使いたい知的財産権を「他人に独占されて自分が使えなくなるのを防ぐ」ことです。そのためには「他人に先んじて出願する」ことが必要です。

(イ)商標等はちゃんと使うこと

せっかく登録されても「使わなければ客・市場が認識しない」ままの状態が続きます。商標等は「使えば使うほど信用が蓄積する」容器です。登録する前であっても「使って、客や市場に認識されている」ことは登録上有利です。だから商標等は「ちゃんと使う」ことが大切です。

安易な乗換えも要注意です。せっかく権利を登録したのであれば、その権利を行使して「信用を蓄積する」のが権利活用の本来のあり方でしょう。すなわち信用が蓄積するまでにある程度の期間を要します。その信用が蓄積しないうちに他の新しい商標等に「目移りして乗り換える」のは一種の無駄遣いになってしまいます。だから商標等は「ちゃんと使う」ことが大切です。

(ウ)贋物に対抗すること

監視と警告との両方の対策が必要です。対抗策を講じないまま放置すると贋物を認めてしまうことになります。

(エ)普通名称化を防止すること

商標には自他商品識別機能や出所表示機能があります。マークを見たときに、類似商品の中から当該商品の特徴を見出し、製造販売者等の判別ができるのが商標です。

普通名称化とは、商標がこの自他商品識別機能や出所表示機能を失って「一般的な名称に変化する」ことです。

普通名称化した商標は登録されません。また登録後に普通名称化すると登録されていても「登録の実効性」が失われます。有名になるほど普通名称化の危険性は高まります。

例えば、自らが権利を有する商標が出版物等で普通名称として扱われているのを発見したら、商標である旨の警告や申入れによって「修正してもらう」ことが必要でしょう。また商標を表示する際には、登録番号や®マークを付して登録商標であることを常に主張する等の工夫と努力とが必要です。

(オ)品種名は要注意

種苗法の規定による品種登録を受けた品種名と同一又は類似の商標は登録されません。また商標が登録されても、品種名であるとみなされれば「登録の実効性」が失われます。普通名称化と同様に有名になるほど品種名化の危険性は高まります。「商標権」の法的な知識を身に付けていないと、生産者や産地自身、あるいは関係機関が誤解してしまう可能性もあります。

自らが権利を有する商標が出版物等で品種名として扱われているのを発見したら、商標である旨の警告や申入れによって「修正してもらう」ことが必要でしょう。また商標には登録番号や®マークを付して登録商標であることを常に主張する等の工夫と努力とが必要です。

図10_商標と品種名とは両立しない!(PNG:68KB)

図10_商標と品種名とは両立しない!
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

(カ)地名は要注意

ある地域の特産品の名称に地名が付くことは、商標、地域団体商標、及び地理的表示等の法制度が確立する以前からの歴史のあることです。地名と特定の農林水産物等との組合せが「一種のブランド」として扱われて来たことによるもので、地名は地域活性化活動の原動力になり得るものです。しかしながら、現在は知的財産権としての保護と活用の法制度が整備されています。また、特定の生産者等の財産というよりも地域の歴史的財産の面があるので、地名の利用には十分な検討と注意とが必要です。

(キ)法律専門家や関係機関と連携しよう

前述のとおり、商標等には類似している制度が複数あります。それぞれの制度によって権利確保や運用のための注意点が異なり、裁判所の判例などを含めた法律の専門知識が必要です。
登録の願書を用意するだけであるならば法律専門家の力を借りないで済むことがあるかも知れませんが、不正使用者に対する警告や権利移動の相談・手続など高度の専門知識が必要な場面に備えておくことが大切であり、弁理士等の法律専門家と連携することが不可欠と考えるべきでしょう。

また、地域ブランド品としての信用・声価を得るためには地域協力体制が必要です。生産者・産地が関係機関と一緒に知的財産権の知識を学習しながら、協力関係を模索し体制を構築することは、地域的取組みの貴重な一歩になるでしょう。

イ.信用を高めよう

商標等の標識は「使用することで信用が蓄積する」ものです。信用を支えるのは商品やサービスの品質の維持・向上であり、あるいは生産・流通量の安定・増加です。このためには、生産者の組織強化(規約作成と遵守)、種苗の維持・増殖及び配布先の限定、荷姿の統一等、様々な努力を積み重ねて信用を高めることが大切です。

ウ.有名になろう

信用を得て有名になれば、客や市場は本物と偽物との違いを意識します。結果として客や市場が監視をしてくれます。

このとき大切なのは「何が本物かが、客にちゃんと伝わっている」ことです。そのためには、流通業者を含めた関係者が情報を共有するとともに、包装や産地ホームページに記載する等の手法をフル活用して「正しい情報を伝える」努力をしましょう。

図11_商標権等の防衛・活用のための9つの注意点(PNG:125KB)

図11_商標権等の防衛・活用のための9つの注意点
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

3.普及指導員の役割は「権利を活用できる素地づくり・体力強化」

(1)知的財産権を見出して「トラブル防止と活用の意識」を高めよう

栽培・加工・販売の方法に関する発明・工夫、品種、商標、商号、意匠等は知的財産です。登録等の法的な手続をしないと権利化することができないだけでなく、他人が権利化すると使えなくなってしまう可能性があります。

一方で、農業者自身にとっては日々の農業経営で当たり前のように使用しているものであり、専門の法知識も必要なことなので「知的財産」として明確に意識していない場合があります。すなわち、農業・農村は知的財産の海・宝庫ですが、自他の知的財産権が護られず、又は権利として活用されていない可能性がある訳です。

普及指導員は幅広い視野で対象者・地域を観察し、助言する立場にいます。活動の視野のうちに知的財産権を含めていれば、権利に関するトラブルを防いだり、「隠れた知的財産」を見出して権利化と活用の取組みを推進することができます。

(2)登録後を想定して普及活動を展開しよう

「生産・販売の現場」には知的財産権以外にも様々な問題が山積しています。その状況下で、経営体や産地は問題をひとつずつ解決し、経営を維持・発展させなければなりません。

また、これらの問題は時間の経過とともに変化するので、経営体・産地は過去・現在のありようから、将来を的確に読み取らければなりません。

農業改良普及は、この経営体・産地の活動を支援・強化するものです。経営体・産地を支援・強化するためには、時間軸を取り入れた広い視野に立つことが必要です。

前述のとおり、知的財産権の確保は将来の権利保有者を見越していることが大切です。権利保有は経営上の課題の一部ですから、普及指導員は経営全体の将来像から助言できるはずです。

(3)商標等を活用するために品質管理や体力強化を推進しよう

商標や地理的表示は「商品の標識」なので、権利を活用するためには「商品の品質管理」が必須です。また商品の品質管理には「生産者・産地の体力強化」も必須です。すなわち、「経営体や産地の育成・強化」と「知的財産権の確保・運用」との両面を意識し、バランス良く取り組まないと知的財産権の効果は発現しません。

知的財産権の確保・運用は法律専門家の活躍場面が多い訳ですが、品質管理や体力強化は従来からの技術・経営に関する普及指導活動と同様に考えることができます。すなわち、普及指導活動の経験やノウハウはの蓄積は知的財産権の活用に役立つのです。

(4)法律専門家とチームを組もう

ア.課題解決には異分野チームが不可欠

知的財産権の確保・運用には法律の専門知識が必要ですが、登録出願の書類程度ならば出願者(農業者)自身でも準備できるかも知れません。法制学習を支援することは普及指導の第一歩でしょう。しかし、普及指導員の仕事の本来の価値は「登録支援」ではありません。そもそも、出願等の事務は弁理士等の有資格者でなければ従事できません。

一方で、弁理士等の法律専門家は経営体や産地の「知的財産権以外の諸問題」の専門家ではありません。知的財産権は「様々な課題の一部」として活用されるべきものです。すなわち、普及指導員が法律専門家とチームになって取り組むことで、知的財産権を活用した経営体や産地の課題解決が可能になります。

イ.必要な経費は惜しまない

「法律専門家に仕事を依頼するとお金がかかる」ことが知的財産権の取組みの足踏み要因になることがあるでしょう。

知的財産権の取得・管理に関する経費は、登録等の手続に当たって国に支払う経費と弁理士等の法律専門家に仕事を依頼した場合に支払う経費との2種類に分けることが出来ます。国に支払う経費は権利確保に必須です。一方、自力で手続を進めれば法律専門家の経費は節約できます。登録出願の程度ならば関係官庁の窓口指導を受けながら自力で準備することも可能かも知れません。

しかし、知的財産権の権利確保は出願者の目論見どおりに進行するとは限りません。出願後に特許庁から「拒絶理由通知書」が送られてくれば、法律の素人は途方に暮れてしまうでしょう。このような場合に法的な知識が十分にあれば、所定の期間内に手続補正書や意見書等で対処し、登録にこぎ着ける場合があります。

また無事に登録された後でも、権利の不正使用や類似商標等に悩まされることがあります。これらの事態に対抗するためには、法的な知識を活用して警告等の防衛策を講じることが必要です。

商標等の知的財産権には、それぞれの権利ごとに「権利として主張できる根拠や特徴」があるので、登録出願や警告等の法的な取組みを円滑にするには、登録以前から根拠や特徴を熟知している方が、対策が円滑で時間の無駄も少なくなります。訳の分からない書類が届いてからあわてて専門家に相談するよりも、事前に検討をした上で出願する方が「より円滑に取り組める」というものであり、早い段階から法律専門家に相談して「特徴を理解してもらっておく」ことが得策です。

知的財産権に関する経費は、一面の「保険」であり、ある程度は「賭け」の部分があります。しかし権利を法的に確保していないのは知的財産利用にとって決定的なダメージになりかねません。すなわち「必要な経費は惜しまない」ことが鉄則です。必要かどうかの判断には、知的財産権の制度や経営改善・地域振興上の役割の理解が不可欠です。実際の費用負担を決めるに当たっては、権利保有者に関する将来展望も必要です。

ウ.手始めに公的サービスを活用しよう

必要な経費は惜しむべきでないことは理解できても、よく分からないまま専門家に経費を支払って相談するのには無理があります。そこで、知的財産権の取組みに着手する手始めに官公庁や専門団体の公的サービスを利用してみましょう。次のようなものがあります。このような場を利用するうちに、相談すべき法律専門家を見付けることもあるでしょう。

  • ホームページやパンフレット等による制度解説
  • 説明会・講習会
  • 無料相談会

(5)「ビジョンをみんなが自分のものにして」チームワークを展開しよう

「知的財産権を活用する農業改良普及活動」は、経営体や産地の体力を強化して営農改善や地域振興を実現する普及活動です。すなわち、法律専門家を含めた多様なメンバーによるチームワークになるはずです。関係者全員が「目標とする姿」を共有できていないとチームワークは成り立ちません。

目標とする姿を別の言葉で表現すれば「ビジョン」であり「将来の絵」です。ビジョンが大切とは当たり前のことですが、具体的には「構成員各自の活躍の場が描かれている」こと、及び「描くだけでなくて実行する」ことが大切です。自分の能力と責任とがビジョンの中に位置付けられていて、全体として着々と進行する世界を、描き、実行することです。

(6)知的財産権を「団結のシンボル・品質管理の目標」として活用しよう

経営体や産地の活力を高めるためには色々な工夫と努力とが必要ですが、工夫と努力とは「かけ声だけ」でできるものではありません。

努力・団結のためには「シンボル・目標」が必要です。すなわち経営改善や地域振興に取り組むならば「士気を高めるための旗」を持つべきです。これまで述べたように、知的財産権は「品質管理・体力強化と一体」のものなので、強力な旗になります。周囲の競争相手を見回してみましょう。「旗を持っているのは相当に強い」はずです。

逆に言えば、ビジョンに基づくチームワークには全員の団結の目印になる旗が必要です。また到達目標が分からなければ、旗があっても活用されません。

すなわち、知的財産権を団結のシンボル(旗)として位置付け、関係者全体でビジョンを共有する活動は、営農改善や地域振興の強力なエンジンになります。

(7)小さなことから着実に実施して着実に励まし合おう

力強い将来ビジョンを多様なメンバーで共有し、知的財産権を確保しながら品質・生産力の強化に取り組むのは「遠い道のりの旅」です。目的地が遠くても、地図(ビジョン)があって旗(知的財産権)があるので、迷わないはずです。でも、遠いとくたびれて、だれて来るものです。やがて、目的地を忘れ歩みを止めてしまうかも知れません。

だから「小さな成功」であっても、一つずつ味わい、喜び、励まし合いましょう。小さくても「積み重ね続けられることが生長の証」です。喜び励まし合う材料を毎日探すことも普及指導活動の重要な役割です。

図12_知的財産権の活用における普及指導員の役割(PNG:271KB)

図12_知的財産権の活用における普及指導員の役割
(画像をクリックすると別ウィンドウで表示します)

4.基本情報・リンクリスト

(1)商標

ア.制度概要(特許庁)

特許庁(商標)のページへ外部サイトへのリンク

イ.千葉県内の登録事例(平成27年8月26日現在)

商標登録一覧
商標 登録番号 権利者 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 イメージ
房総ポーク 第1954602号 全国農業協同組合連合会 豚肉、豚肉製品 商標イメージ_房総ポーク
長生 第4252187号 長生農業協同組合 うるしの実、未加工のコルク、やしの葉、釣り用餌、果実、野菜、糖料作物、種子類、木、草、芝、ドライフラワー、苗、苗木、花、牧草、盆栽、生花の花輪 商標イメージ_長生
長生\ながいき 第5669352号 長生農業協同組合

清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース

商標イメージ_長生ながいき
かずさ\牛乳 第4286182号 古谷乳業株式会社 牛乳 商標イメージ_かずさ牛乳
ミネラル\にんじん 第4426614号 丸朝園芸農業協同組合、幸陽紙業株式会社 にんじん 商標イメージ_ミネラルにんじん
ホワイトボール 第4609081号 個人 かぶ 商標イメージ_ホワイトボール
どらまめ 第4729239号 栄町 枝豆 商標イメージ_どらまめ
小糸在来 第4903986号 君津市農業協同組合 大豆、枝豆 (標準文字なのでイメージデータはない)
小糸在来 第5411371号 君津市農業協同組合 菓子及びパン、調味料、香辛料、穀物の加工品、ぎょうざ、サンドイッチ、しゅうまい、すし、たこ焼き、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ、米、脱穀済みのえん麦、脱穀済みの大麦、食用粉類 (標準文字なのでイメージデータはない)
九十九里海っ子 第5066510号 山武郡市農業協同組合 生花の花輪、ホップ、食用魚介類(生きているものに限る。)、海藻類、野菜、糖料作物、果実、麦芽、飼料、種子類、木、草、芝、ドライフラワー、苗、苗木、花、牧草、盆栽、獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。)、蚕種、種繭、種卵、うるしの実、未加工のコルク、やしの葉 (標準文字なのでイメージデータはない)
そうさ\匝瑳の舞 第5130957号 個人 みそ、米、食用粉類、もち、あられ、せんべい、だんご、パン、蒸し菓子、こうじ、酒かす 商標イメージ_匝瑳の舞
恋トマト\恋とまと 第5182477号 長生農業協同組合 トマト 商標イメージ_恋トマト恋とまと
§はな\みち 第5232259号 個人 木、苗、苗木、花 商標イメージ_はなみち
鴨川七里 第5278811号 個人 冷凍野菜、油揚げ、凍り豆腐、豆乳、豆腐、納豆、豆
野菜(「茶の葉」を除く。)、種子類
(標準文字なのでイメージデータはない)
いちかわ∞市川のなし\JAいちかわ 第5389902号 市川市農業協同組合 千葉県市川市及びその周辺地域産の梨 商標イメージ_市川のなしJA

(注1)この表では権利者のうち個人名については「個人」と表記したが、特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム」では公開されている。

(注2)商標には文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものなどの多様なタイプがある。上表の「商標」欄に記載している商標のうちには「特許情報プラットフォーム」の定める特殊記号(\、§、∞等)を付しているものがある。なお「\」は「商標が2段又は2行以上にわたる場合の段区切り」、「§」は「文字を普通の表記ではなく図案化してあるものの、その商標から一応判読できるもの」、「∞」は「商標が2以上の部分に分離されている場合の分離」をそれぞれ意味する。

(2)地域団体商標

ア.制度概要(特許庁)

特許庁(地域団体商標制度について)のページへ外部サイトへのリンク

イ.地域団体商標登録案件紹介(特許庁)

特許庁(地域団体商標登録案件紹介)のページへ外部サイトへのリンク

ウ.千葉県内の登録事例(平成27年8月26日現在)

商標一覧
商標 登録番号 権利者 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 イメージ
房州びわ 第5029823号 安房農業協同組合 千葉県南房総地域産のびわ 地域団体商標イメージ_房州びわ
八街産落花生 第5040365号 八街落花生商工協同組合 千葉県八街市及びその周辺地域産の渋付き落花生、千葉県八街市及びその周辺地域産の煎った落花生 (標準文字なのでイメージデータはない)
市川のなし 第5066922号 市川市農業協同組合 千葉県市川市及びその周辺地域産の梨 地域団体商標イメージ_市川のなし
市川の梨 第5066923号 市川市農業協同組合 千葉県市川市及びその周辺地域産の梨 地域団体商標イメージ_市川の梨
富里スイカ 第5069140号 富里市農業協同組合 富里市産のスイカ (標準文字なのでイメージデータはない)
矢切ねぎ 第5096123号 とうかつ中央農業協同組合 千葉県松戸市矢切産のねぎ 地域団体商標イメージ_矢切ねぎ
安房菜の花 第5329454号 安房農業協同組合 千葉県鴨川市・南房総市・館山市・鋸南町(安房地域)産の食用の菜の花 (標準文字なのでイメージデータはない)
船橋にんじん 第5551869号 市川市農業協同組合 千葉県船橋市産のにんじん (標準文字なのでイメージデータはない)
しろいの梨 第5663492号 西印旛農業協同組合 千葉県白井市産の梨 (標準文字なのでイメージデータはない)
船橋のなし 第5717347号 市川市農業協同組合 千葉県船橋市及びその周辺地域産の梨 (標準文字なのでイメージデータはない)

エ.平成24年度商標出願動向調査報告書(概要)

地域団体商標に係る登録後の活用状況調査(平成25年2月、特許庁)外部サイトへのリンク

(3)地理的表示保護制度

ア.制度概要(農林水産省)

農林水産省(地理的表示GI保護制度)のページへ外部サイトへのリンク

イ.登録申請の公示等情報

平成27年8月26日現在で登録されているものはない。農林水産省は、申請の受付後に形式的な審査を経たものについては、その申請内容を公示している。

農林水産省(登録申請の公示情報)のページへ外部サイトへのリンク

(4)商号

商号は、「自然人の場合は登記は任意」であるが、「会社は登記が必須」。

ア.商業・法人登記申請(法務局)

法務局(商業・法人登記申請手続)のページへ外部サイトへのリンク

イ.オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について(法務省)

法務省(オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について)のページへ外部サイトへのリンク

(5)品種登録

ア.品種登録ホームページ(農林水産省)

制度の概要解説、及び登録状況データベースの機能を有する。

農林水産省品種登録ホームページ外部サイトへのリンク

(6)特許情報プラットフォームJ-PlatPat(独立行政法人工業所有権情報・研修館)

特許庁の管轄する「特許・実用新案、意匠、商標」について検索できる。

特許情報プラットフォームJ-Platpat外部サイトへのリンク

(7)権利取得関係料金

ア.特許庁

産業財産権関係料金一覧(2016年4月1日時点)外部サイトへのリンク

イ.地理的表示保護制度

特定農林水産物等審査要領(農林水産省)外部サイトへのリンク

ウ.品種登録

出願料・登録料・手数料一覧(農林水産省品種登録ホームページ)外部サイトへのリンク

エ.商号登記

登録免許税の税額表(平成29年4月1日現在法令等)外部サイトへのリンク

オ.弁理士

日本弁理士会外部サイトへのリンク

(8)支援機関

ア.千葉県知財総合支援窓口

一般社団法人千葉県発明協会外部サイトへのリンク

イ.一般社団法人発明推進協会

一般社団法人発明推進協会外部サイトへのリンク

ウ.日本弁理士会外部サイトへのリンク

日本弁理士会外部サイトへのリンク

(9)日本の法制度以外の取組み例

ア.地域食品ブランド表示基準制度「本場の本物」

「本場の本物」ホームページ外部サイトへのリンク

イ.ブランド京野菜(京のブランド産品)(京都府)

京都府ホームページ(ブランド京野菜)のページ外部サイトへのリンク

ウ.おいしい伝統 熟成ヨーロッパ

地理的表示の歴史の長い「パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ、パルマハム、ポートワイン、及びドウロワイン」について、ヨーロッパの地理的表示制度の理解向上を図っている。

(10)千葉県内の農産物における知的財産権活用例

権利者自身がインターネット・ホームページ上で「知的財産権である旨を宣言・明示している」事例。

(11)各種資料

ア.知的財産・地域ブランド情報

知的財産・地域ブランド情報(農林水産省)外部サイトへのリンク

イ.戦略的知的財産活用マニュアル

戦略的知的財産活用マニュアル(農林水産省、平成26年4月)外部サイトへのリンク

ウ.EK-SYSTEM

一般社団法人全国農業改良普及支援協会が運営する農業改良普及組織専用のネットワーク。

普及指導における知的財産権については、以下のような調査報告、及びeラーニング教材を掲載している。

(ア)報告書・事例集・マニュアル等
  • 普及組織における知的財産への取組のあり方(平成19年度)
  • 普及組織における知的財産への取組と活用事例(平成19年度)
  • 普及組織による育成者権取扱いマニュアル(平成20年度)
  • 普及組織による商標・地域団体商標活用事例集(平成21年度)
  • 普及組織による商標・地域団体商標活用事例集(平成21年度)
(イ)eラーニング
  • 知的財産権コース「知的財産権を活用した普及指導活動の進め方」

初掲載日:平成27年9月1日
担い手支援課専門普及指導室
主席普及指導員
熊谷一秀
(電話:043-223-2911)

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?