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更新日:令和4(2022)年9月1日

ページ番号:524637

病害虫防除で安定生産を目指しましょう!

米の収量は生育期間中の病害虫により影響を受け、減収することもあります。稲の生育期間中に発生する主な病気について理解し、適切な病害虫防除のポイントを抑えましょう。

1.「葉いもち

円形から楕円形(縦に長いひし形)の病斑で、縦に褐色の線が見られます。空気伝染性のカビによって引き起こされます。曇雨天が多いと多発し、多肥は発生を助長します。病徴が進展するとイネが萎縮し、ずりこみ症状を示します。いもち病は、葉、節、穂首、枝梗、籾など、根以外のすべての部位で発病します。

防除:葉いもちの発生初期に予防剤を散布し、その後も病勢が止まらない場合は数日空けもう一度散布します。すでに多発しているほ場では治療剤を散布しましょう。

葉いもちの病斑(JPG:45.9KB)

写真1.葉いもちの病斑

2.「穂いもち

穂首の節または枝梗などに、黒褐色の病斑が見られます。穂全体が白から灰白色を呈します。そして、そこから上部が枯死します。出穂期前後の低温多雨や、止め葉での葉いもちの発生、窒素過多により多発します。

防除:上位3葉に病斑があると出穂の時に感染するので、出穂前の防除を心がけましょう。穂ばらみ期に予防治療剤で葉いもち治療と止葉の発病予防をし、常発田では穂揃期にもう一度薬剤を散布しましょう。

穂いもちの症状

写真2.穂いもちの症状

 

3.「紋枯病

幼穂形成期頃から発生します。周辺部が褐色、内部が淡褐色の小判形の病斑が見られます。最初は田面に近い下部の葉鞘に病班ができ、上部に進展してきます。多発すると葉や穂が枯れ枯死します。また、茎が弱くなり倒伏しやすくなります。30度前後の高温及び多湿条件で風通しの悪いところで発生しやすく、前年発生したほ場では注意が必要です。多肥栽培や密植による過繁茂は発生を助長します。

防除:穂ばらみ期頃に薬剤を散布し、その後も病勢が止まらない場合は再度散布しましょう。耕種的防除として、中干しの徹底・畦畔の除草を行いましょう。

紋枯病の症状

写真3.紋枯病の症状

4.「ばか苗病

罹病株は葉鞘、節間が伸び徒長及び黄化し、その後枯死します。育苗期から発生します。枯死株からは胞子が飛び散り、周囲の籾を汚染します。特に、採種ほ場から70メートル以内にあるほ場で1株、あるいは70から200メートル以内にあるほ場で100株中6株以上の発生があると種子生産ができなくなりますので注意しましょう。

防除:種子籾の消毒の徹底。本田内で罹病株を発見した場合には抜き取るようにしましょう。抜き取った株は焼却か埋却処分します。

本田内で発生したばか苗病

写真4.本田内で発生したばか苗病

5.「稲こうじ病

収穫期近くになると籾に緑黄色から暗褐色のダンゴのようなかたまりができます。玄米に病粒が混入すると品質低下につながります(規格外になる)。発病籾のある穂では登熟歩合、千粒重が低下します。子のう胞子が穂ばらみ後期に葉鞘の隙間から、雨や露と一緒に流れ込むことで感染が起こります。そのため、出穂前の低温、日照不足、多雨で発生しやすくなります。また、窒素肥料の多肥栽培は発生を助長します。ほ場で越冬した菌糸が第一次感染源となることもあるため、前年度に多発したほ場では特に注意をしましょう。

防除:出穂の20から10日前に薬剤を散布しましょう。発生した場合には粗選機を通し、感染籾を除去しましょう。

稲こうじ病の発病籾

写真5.稲こうじ病の発病籾

6.「カメムシ類

成虫及びその幼虫が籾に口針を刺して吸汁し、その部分を変色させて着色米(斑点米)にして品質低下の原因となる害虫です。斑点米の原因となるカメムシにはクモヘリカメムシ、ホソハリカメムシなどがいます。また、近年問題となっているイネカメムシですが、吸汁は籾の下端(胚乳部)から行い、基部加害型の斑点米になるほか、不稔米を発生させることもあります。

クモヘリカメムシ
写真6.クモヘリカメムシ

ホソハリカメムシ
写真7.ホソハリカメムシ

イネカメムシ(PNG:545.6KB)
写真8.イネカメムシ
※画像をクリックすると大きな画像が表示されます。

防除:水田周辺にある雑草地は、カメムシ類の越冬地となる雑木林や藪から水田への移動経路となります。そのため、出穂2週間前までに畦畔や農道等の除草を徹底することは、カメムシ類の水田への侵入を抑制する効果があります。一方で、出穂期直前の除草は、雑草にいたカメムシ類を水田に追い出し、かえって加害を助長しますので注意しましょう。

イネカメムシの防除は斑点米カメムシより早い対応が必要とされるので、薬剤を出穂5から10日前に散布するようにしましょう。

防除のタイミングは、飛来のピークになる穂揃期ですが、発生程度が多い場合は、出穂後15日頃に追加で散布しましょう。なお、粉剤や液剤はカメムシに直接付着させないと効果がありませんので散布のタイミングが重要なポイントになります。

適切な防除を行うためにも、圃場の観察を行いましょう。

初掲載:令和4年7月
長生農業事務所
改良普及課西部グループ
普及指導員 佐川 健吾
電話番号:0475-22-1771

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