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更新日:令和2(2020)年7月1日

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大規模酪農・繁殖肉牛経営でICTを活用した繁殖成績向上の取組

1.背景

海匝地域では畜産経営の多頭化・大規模化が進んでおり、1戸当たりの飼養頭数が増加しています。多頭化・大規模化は収益性向上が期待できる一方で、飼養頭数が増加したことによって、個体当たりの管理時間が短くなっています。このため、発情や分娩兆候を見逃し、長期未受胎牛の発生など、繁殖成績の低下が懸念されます。
そこで、ICTを活用した繁殖成績向上の取組を紹介します。

2.事例紹介

(1)24時間牛の状態を見守る~活動量計の活用~

牛の発情や病気といった異変を見逃さないために、牛舎内の見回りは重要な作業です。しかし、経営者・作業者が1日中牛舎内で、牛の細かな変化を見逃さないよう観察し続けるのは容易ではありません。そこで、牛の首や足首に装着する活動量計の活用が始まっています。活動量計は、牛の活動量を常に計測し、発情による活動量の増加や、病気による活動量の低下を見逃さず、スマートフォンやパソコンに知らせてくれます。

海匝地域のA牧場では、平成30年1月に活動量計を導入して、微弱な発情兆候の見逃しの減少に取り組み、獣医師から授精手技などの指導も受け、繁殖対象牛(未受胎・未授精牛)の割合を大きく減少させました。(写真1、図1)

 

写真1

写真1.A牧場で使われている活動量計

 

図1

図1.A牧場での繁殖対象牛の推移

(2)破水をお知らせ~分娩監視装置の活用~

牛の妊娠期間は概ね決まっていますが、早産・晩産や難産などが発生することがあり、分娩の介助や子牛の早期ケアが必要となることがあります。分娩事故を減少させるためには分娩に立ち会うことが理想的ですが、早朝・深夜に産気づくこともあります。そのため、温度センサーを内蔵した分娩監視装置が活用されています。
分娩監視装置を牛の体内に挿入すると、破水前後の体温変化を感知しスマートフォンやパソコンに知らせてくれます。
海匝地域のB牧場では授精日から分娩予定日を予測して分娩立ち合いに備えていますが、さらに加えて分娩監視装置を分娩予定日の数日前にセットし、確実に分娩に立ち会えるようにして、分娩事故を減らす取組を行っています。(写真2)

 

写真2

写真2.B牧場で使われている分娩監視装置

(3)牛群管理の電子化~電子台帳の活用~

電子台帳は、個体ごとの管理や飼養ステージごとの分類が自動で行われ、授精日から分娩予定日を、前回発情日から次回発情日を予測してくれます。また、上述の活動量計や酪農経営においては乳量計と連動することで、活動量や乳量などを自動で個体ごとに記録・確認できる機能があり、個体管理の集約化を図ることができます。

海匝地域のA牧場では活動量計と連動した電子台帳の活用により、電子台帳に蓄積されたデータを集計して、長期未受胎牛の淘汰や繁殖成績の集計・目標設定に活用し、繁殖成績の改善に取り組んでいます。

B牧場では、電子台帳で予測された分娩予定日からで逆算してワクチネーションや分娩監視装置をセットする予定日を決めています。さらには予定日を作業・個体別にカレンダー化することで、従業員や獣医師と作業予定を共有し、作業や個体管理の効率化を図っています。

C牧場では、活動量計と連動した電子台帳の機能により、異変を検知すると自動で「要確認牛」のリストが印刷されるようになっています。見回りと活動量計での二重チェックとして活用しており、発情や病気の見逃し防止に生かしています。(写真3)

 

写真3

写真3.C牧場での電子台帳の例

3.まとめ

繁殖成績の向上は酪農・繁殖肉牛経営において重要な課題です。ICTを活用した装置やソフトウェアが畜産分野でも活用できるようになってきています。特に、管理者が牛舎から離れていても牛の状態を把握できる装置は、人が牛舎にいない間の異変の見落としをカバーしてくれます。基本的な飼養管理技術の向上とセットで行うことが必要ですが、上手く活用すれば繁殖成績の改善に繋がるため、今後のさらなる導入と中小規模農場での活用方法の検討が課題となっています。

初掲載:令和2年7月
海匝農業事務所
匝瑳グループ
普及指導員野口航平
電話:0479-62-0334

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

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