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ホーム > しごと・産業・観光 > 農林水産業 > 農業・畜産業 > 普及・技術 > 千葉県農業改良普及情報ネットワーク > フィールドノート履歴一覧 > フィールドノート履歴一覧(畑作) > 土壌改善で大豆の湿害・乾燥障害の両方を回避できるほ場作り
更新日:令和8(2026)年4月16日
ページ番号:842073
大豆の栽培においては、土壌水分がその生育に大きな影響を与えます。大豆は一般的に湿害を受けやすい作物と言われていますが、近年は夏季の高温少雨条件により、乾燥障害を引き起こすほ場も多く見受けられます。大豆の安定生産を実現するためには、湿害と乾燥障害について、それぞれの発生要因に基づく対策が求められます。
千葉県における大豆の播種時期は概ね6月下旬から7月下旬ですが、この時期は梅雨時期と重なり、降雨が多い傾向にあります。大豆は種皮が薄く吸水性が高いため、播種時期に土壌水分が高くなると、急激な吸水によって種子が膨張し、砕けてしまいます。また、播種後の大雨によってほ場が冠水すると、種子が酸欠状態になって十分な発芽ができず、出芽率が大きく低下します。
生育期間中に土壌水分が高くなると、酸素不足によって根の伸長が阻害されるとともに、根粒菌の機能が低下し、初期生育の停滞が引き起こされます。外観の症状としては、葉の黄化、萎凋症状が特徴で、ひどい場合は斑点細菌病などの病気を誘発します。

写真1.大豆の湿害
湿害を回避するためには、ほ場の排水対策を徹底することが最も重要です。ほ場の排水対策には、表面排水と透水性の改善が挙げられます。大雨後にたまった水の排水には、予め明渠を施工しておくことが効果的です。施工時のポイントは畝間やほ場内の明渠よりも深い額縁明渠を掘り、それらをつなぐこと、また額縁明渠からの排水先を確保することが挙げられ、水を外に排出する流れを作ることが重要です。
土壌の透水性の改善には、暗渠施工やサブソイラ等による耕盤層の破砕、堆肥やバーミキュライト等の施用による土壌改良が効果的です。ただし、堆肥等の効果が現れるまでには数年間の施用が必要であることに注意してください。
地下水位が高い等の理由で額縁明渠の排水先確保が難しい場合には、これまでの対策と併せて高畝栽培を行うことで、物理的に地下水位や降雨後の表面水との距離を取ることも重要な対策となります。
大豆の出芽に適した土壌水分は50から60パーセントとされています。千葉県の大豆の播種時期は梅雨時期にあたりますが、近年は降雨がほとんどない年もあり、砂質土壌を中心に土壌水分不足によって種子が十分に吸水できず出芽不良となることがあります。
生育期間における乾燥障害は主に開花期以降に発生します。開花期に乾燥条件となると、受精不良で着莢数が低下する、開花期以降は子実肥大が進まず空莢が増加するといった障害が発生し、収量が大きく減少します。
乾燥障害を回避するためにはかん水が最も効果的ですが、水源がなくかん水が難しい場合はほ場の保水性を高めることが重要です。具体的には、サブソイラ等による耕盤層の破砕、堆肥等の施用による土壌改良が効果的です。サブソイラ施工は一般的には排水対策で行うことが多いですが、耕盤層を破砕することで乾燥時は下層土から上層の作土層に水分が供給されやすくなります。堆肥等は土壌の透水性だけでなく保水性を高める効果があります。
播種時の乾燥が予想される場合は、降雨を待って播種する、耕うん直後に播種する、播種深度を通常より深い6センチメートル(通常は3センチメートル)程度に設定し、しっかり鎮圧するといった対策が挙げられます。土壌表面を鎮圧することで毛細管現象により土壌中の水分が上昇し、種子が水分を得られやすくなります。また、堆肥等を施用している肥沃なほ場では、表層が乾燥していても土壌中には水分が保持されていることが多く、耕うん時に地表へ引き上げた水分を利用して出芽を促すことが重要です。
君津地域では、令和5年夏季の高温少雨の影響で大豆の収量が大幅に減少しました。これを受け、土壌硬度調査を実施し、硬いほ場を中心にサブソイラ施工を行いました。その結果、湿害、乾燥障害に強いほ場となり、翌年の栽培では出芽率の安定・収量向上につながりました。

写真2.サブソイラ施工の様子

写真3.同ほ場におけるサブソイラ施工前後の出芽の様子(写真左:令和5年、写真右:令和6年)
近年は夏季の異常気象が続いており、湿害・乾燥障害いずれのリスクも高まっています。これらの発生原因は相反するものとなっていますが、対策については共通する点が多く、土壌中の透水性を確保することが重要です。また、ほ場の立地条件や土性によってもそれぞれの発生リスクは変わってきますので、これまでの栽培実績をもとに対策を検討ください。
初掲載:令和8年2月
君津農業事務所
改良普及課 南部グループ
普及指導員 富澤 和紀
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