ここから本文です。

更新日:令和3(2021)年7月14日

ページ番号:7449

海匝地域における自給飼料増産の取組

~飼料作物への堆肥利用の推進~

1.はじめに

海匝地域は県内有数の畜産地域であり、各畜種の共通課題が家畜ふん堆肥の流通拡大です。そこで、当地域では堆肥の有効活用を目的に、養豚農家、酪農家、コントラクターが畜種を超えて連携して自給飼料生産に取り組みました。ここでは、その事例について紹介します。

2.地域課題の背景

畜産経営では、家畜ふん堆肥の利用や流通先の確保が課題となっていました。

養豚農家では、耕種農家への堆肥利用の推進とともに、養豚農家自ら新たに農地を取得し、その農地を耕種農家に貸して堆肥を利用してもらう事例が見られました。しかし、耕種農家戸数の減少等により、新たな堆肥利用先や、養豚農家が取得した農地の借受先の確保が困難となっていました。

酪農・肉用牛農家では、自分たちが中心となりコントラクターを設立し、自給飼料を生産することで堆肥利用を行っていました。自給飼料は、裁断型ロールベールを活用することでデントコーンサイレージの品質も安定し、利用者からはさらなる自給飼料の増産の要望があがっていました。

3.コントラクターが養豚農家と連携してデントコーン生産

(1)課題の共有化

デントコーンサイレージの増産を求める酪農家の要望に応えるために、コントラクターは農地の確保が課題となっていました。また、養豚農家では、所有する農地の有効活用を模索していました。

この酪農家、コントラクター、養豚農家の三者の課題を、関係者の働きかけで共有することができ、養豚農家の所有する農地で、コントラクターがデントコーン生産に取り組むという新たな体系が始まりました。

(2)デントコーン生産の推進

養豚農家が所有する農地で、豚ぷん堆肥を活用したデントコーン生産は、平成27年度から始まりました。

養豚農家は農地の有効活用と堆肥利用の拡大、コントラクターは自給飼料の増産、酪農家は自給飼料の利用量が増加でき、三者にとって有益な取組となっています。

(3)生産面積の拡大

平成27年度に養豚農家1戸との連携から始まった取組は、平成30年度には6戸の養豚農家と連携する取組となり、生産面積は0.2ヘクタールから6.0ヘクタールまで拡大しました。生産されたデントコーンは管内の酪農家で利用が拡大しています。

デントコーン栽培面積

グラフ1.デントコーン栽培面積

 

4.連携した取組の効果

(1)畜種を超えた堆肥の利用体系の構築

養豚農家、酪農家、コントラクターの三者の交流が図られ、お互いの課題が共有され、新たな堆肥の利用体系が確立されました。また、情報交換も図られるようになり、これからの堆肥利用や自給飼料生産の拡大についても議論できるようになりました。

(2)農地の有効活用

畜産農家は農地の有効活用についての意識が向上しました。空いている農地があれば飼料作物の栽培を行いたいとの意見が、畜産農家から出てきています。

また、耕作放棄地の利用など、地域環境の保全・維持についても意欲的に検討されるようになりました。

デントコーン生育風景

写真1.デントコーン生育風景

デントコーン収穫風景

写真2.デントコーン収穫風景

5.終わりに

本事例では、畜種を超えた連携により、新たな自給飼料生産の体系が確立されています。今後、この取組をさらに普及・拡大をするためには、地域の情報共有、農地の確保が必要です。また、耕作放棄地対策や農地中間管理事業等の施策を活用した農地集積についても関係機関との連携を図り、組織的に取り組める体制づくりが課題となります。

初掲載:平成30年7月

海匝農業事務所改良普及課

普及指導員

小池広明

電話:0479-62-0334

 

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?