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更新日:令和2(2020)年7月1日

既存の施設を活用した地域での籾米SGSの取組

1.背景

輸入飼料価格の高騰と米価の低迷を背景に、平成27年度から野田市内で、地元の営農組合と酪農家が連携して水田を活用した自給飼料の生産と乳牛への給与が始まりました。

水田作飼料の1つに未乾燥の生籾をサイレージ化した籾米ソフトグレインサイレージ(以下、籾米SGSと記す)があります。籾米SGSは食用米生産に必要な乾燥や籾すり等が不要のため収穫後の手間が少なく、破砕を含むサイレージ加工の労力と経費は必要となるものの、市販配合飼料や輸入トウモロコシ等の濃厚飼料より安価な飼料となるため、水稲農家では省力化やコスト削減が図られ、酪農家では飼料費低減効果が期待できます。

平成27、28年度に野田市内で籾米SGSの生産と乳牛への給与を試験的に取り組みましたので、ご紹介します。

2.籾米SGSの調製作業と酪農家での給与試験

(1)籾米SGSの調製作業

平成27、28年度のサイレージ用籾の栽培は水田営農組合が担当し、栽培面積と籾米SGSの調製重量は、27年度は1.2haで9,435kg、28年度は11.5haで74,183kgでした。籾米SGSの調製には、野田市堆肥センターが所有する籾殻破砕機「植繊機(SM-23-55S)」(神鋼造機株式会社)を利用しました。収穫した生籾を植繊機に投入し、乳酸菌を添加しながら破砕調製を行いました。調製した籾米約500kgをポリ袋を内装した1立方メートルのフレコンバッグに入れ、簡易空気抜き弁を内袋に貼付し密封して2ヶ月以上貯蔵し、サイレージ化しました。調製作業では、簡易ストックヤードの設置、植繊機への生籾の投入方法、乳酸菌の添加方法、フレコンバッグの枠場の改良等、各作業工程について試行錯誤を繰り返し最適な方法を検討した結果、植繊機での調製作業体系が確立できました(写真1,2,3,4)。調製作業は、堆肥センターを管理する株式会社野田自然共生ファームの職員4名が行い、1時間当たり3tの籾米SGS(500kgフレコンバッグ6袋分)が調製できました。

籾米投入

写真1.籾米を植繊機へ投入

籾米粉砕

写真2.植繊機での籾米破砕の様子

フレコン充填

写真3.フレコンバックへの充填

密封貯蔵

写真4.密封して貯蔵している様子

(2)籾殻破砕機「植繊機」で調製した籾米SGSの品質について

植繊機による籾米SGSの破砕調製では、27年度は籾殻牛ふん堆肥用の籾殻破砕で用いられている22mm目のスクリーンを使用し、2mm以下の粒度が46.7%でした。28年度はより細かい粒度にするため18mm目のスクリーンを使用し、2mm以下の粒度が72.4%でした。調製した籾米SGSは酪農家で問題なく給与でき、飼料としての有効性が確認できました。

平成27、28年度に生産された籾米SGSの乾物中の飼料成分値を表1に、発酵品質を表2に示しました。飼料成分値は、27年度は一般的に示されている成分値と比べ可消化養分総量(以下、TDNと記す。)は低く、中性デタージェント繊維(以下、NDFと記す。)は高い値を示しました。この原因として、千粒重が軽かったことから米粒が籾殻の割合に比べ小さかったと考えられました。水稲の成熟時期に夜温が高いと、米粒が小さくなり千粒重が軽くなる傾向があるとされ、そのような生籾から生産されたサイレージは、TDNが低く、NDFが高くなると考えられました。28年度は一般的に示されている成分値とほぼ同等でした。

発酵品質については、いずれもpHが適正に低下しており、全体的に良好な発酵臭で、腐敗すると増加するアンモニア態窒素も低水準でした。Vスコア(サイレージ品種評価法の一種)は全品種100点であり、乳牛への給与にあたっては、十分に良質なサイレージでした。

表1.籾米SGSの飼料成分値

飼料成分値

 

表2.籾米SGSの発酵品質

発酵品質

(3)酪農家での籾米SGSの給与試験と飼料費低減効果

籾米SGSについて研修会等で情報提供を行い、興味を示した市内酪農家3戸で4ヵ月間の長期給与試験に取り組みました。各飼養管理の概要は以下に示したとおりです(写真5,6,7)。

【酪農家の飼養管理の概要】

〈A酪農家〉成牛頭数45頭規模、TMR給与、フリーストール牛舎

〈B酪農家〉成牛頭数50頭規模、分離給与(自家配合)、対尻式つなぎ牛舎

〈C酪農家〉成牛頭数45頭規模、分離給与、対尻式つなぎ牛舎

A農家の給与

写真5.籾米SGSを混合したTMRを給与している様子〈A酪農家〉

B農家の給与

写真6.籾米SGSを混合した自給配合を給与している様子〈B酪農家〉

C農家の給与

写真7.単味で籾米SGSを給与している様子〈C酪農家〉

3戸の酪農家の飼料設計(原物中)と飼料成分値(乾物中)は、表3のとおりであり、TDNの値が同等になるよう設計しました。飼料成分値は、日本標準飼料成分表の値を使用しました。

表3.A,B,C酪農家の飼料設計(現物中)及び飼料成分値(観物中)

農家の飼料設計

長期給与試験では、乳牛での嗜好性、採食性ともに概ね良好で、乳量、乳質、繁殖性に影響がなく消化器系の疾病はみられませんでした。

以上の試験結果から、原料の生籾を水稲農家から15円/kgで買い取り、調製経費等10円/kgを上乗せした25円/kg(原物価格)で籾米SGSの値段を設定すれば、水稲農家にとっては省力化やコスト削減が図れ、酪農家にとっては飼料費低減効果が期待できました。

籾米SGSを原物価格25円/kgで、市販配合飼料や圧ぺん大麦などの濃厚飼料と代替した場合、1日1頭当たり約30円の飼料費低減につながりました。

試験給与した酪農家からは、乳量に影響がなく飼料費低減につながるなら今後も使い続けたいとの意見が聞かれました。また、給餌の作業性については、籾米SGSは水分含量が低く扱いやすい飼料であったというのが、共通の意見でした。

3.今後の課題

これまでの取組により、地域での籾米SGSの生産体系が確立でき、籾米SGSの飼料としての有効性も確認できました。

来年度から、水稲農家、酪農家、関係機関と連携を図りながら、籾米SGSの試験結果について情報提供を行い、地域内での定着を目指します。

初掲載:平成29年7月

東葛飾農業事務所改良普及課

普及指導員

佐野実乃里

電話:04-7162-6151

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

内線:2912

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