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更新日:平成29(2017)年11月21日

茎葉型イネWCSの飼料特性について

千葉県内の稲発酵粗飼料(以下、イネWCS)の作付面積は拡大しており、平成28年度では千haを上回っています。

一方、面積の拡大に伴ってイネWCSの収穫時期の分散の必要性や、酪農家が籾の少ない品種を求めるなど新たな課題も生じています。

このような中、近年、従来の茎葉型専用品種と比べて、穂やモミの割合が低く、茎葉部の糖含量と繊維の消化性が高いという特徴を持った高糖分高消化性イネ「たちすずか」の作付面積が増えています。

たちすずかは、その特性からエネルギー要求量が高い搾乳牛の飼料として適していると考えられることから、今回、実際に搾乳牛に給与して、その飼料特性を検討してみました。

1試験方法

飼養試験は、ホルスタイン種初産搾乳牛6頭を2頭ずつの3区に分け、たちすずか、リーフスターおよび食用品種のイネWCSをそれぞれ乾物として25%含む3種類の混合飼料(表1)を順次給与する3×3のラテン方格法で行いました。

供試したイネWCSは、いずれも汎用型収穫機を用いて県内で収穫調製されたもので、それぞれの収穫日は、たちすずかは平成27年10月23日、リーフスターは10月9日~10月25日、食用品種は7月26日~7月30日で、熟期はたちすずかおよびリーフスターは糊熟期から黄熟期、食用品種は乳熟期でした。

混合飼料

 

2試験結果

(1)イネWCSの成分および発酵品質について

給与したイネWCSのNDFとデンプンの含量(乾物%)は、たちすずか(NDF:54.0、デンプン:13.6)、リーフスター(53.7、16.6)、食用品種(59.5、12.1)となり、NDFは食用品種、デンプンはリーフスターがやや高くなりました(表2)。発酵品質(pH、Vスコア)は、それぞれたちすずか(3.8、94.5)、リーフスター(3.8、94.9)、食用品種(4.0、77.8)となり、食用品種でpHが高く、Vスコアが低い傾向を示しました。(表2)。

成分及び発酵品質

(2)飼料摂取量および乳生産性について

飼料摂取量(乾物キログラム)は、たちすずか区22.0、リーフスター区22.0、食用品種区21.4となり、乳生産についても、乳量(キログラム)、乳脂率(%)、乳蛋白率(%)がそれぞれたちすずか区(26.9、4.07、3.42)、リーフスター区(26.1、4.15、3.45)、食用品種区(25.4、4.05、3.47)となり差はありませんでした。

(3)第一胃内容液および血液性状について

第一胃内容液性状は、経口で採取した胃液のpHはそれぞれ6.5前後となり、発酵産物である揮発性脂肪酸の組成にも差はありませんでした。

血液性状については、測定したすべての項目で正常値の範囲内にあり区間に差も見られませんでしたが、尿素窒素(デシリッター中のミリグラム)がたちすずか区19.9、リーフスター区19.5、食用品種区18.7となり3区ともやや高い値を示しました。

(4)飼料の消化率について

乾物、NDF、ADFの消化率に差はありませんでしたが、デンプンの消化率がたちすずか区で他の区に比べ高い値を示しました(P<0.01)(表3)。

飼料の物理性の指標となるRVI(粗飼料評価指数)は、たちすずか区37.6、リーフスター区36.6、食用品種区35.3となり、反芻刺激効果は同等でした。

飼料の消化率

 

3まとめ

今回の試験では、たちすずか、リーフスターおよび食用品種のイネWCSを乾物中に25%含む混合飼料を泌乳中後期牛に給与しましたが、飼料摂取量、乳生産性には差がなく、血液・胃液性状も正常値の範囲内にあったことから泌乳中後期牛に給与する飼料に25%(乾物)程度のイネWCSを混合しても問題がないことがわかりました。

一方、発酵品質では、食用品種のpHが高くVスコアも低い値を示しましたが、これは乳熟期に収穫したことで水分が高かったことが影響したと考えられました。

次に、飼料の消化性では、たちすずかのデンプン消化性が他の品種よりも高い値を示しましたが、これはたちすずかのデンプンが籾ではなく茎葉中に蓄積されていることによる影響と考えられました。しかしながら、繊維(NDF)の消化性については、今回の試験では3品種に差はなく、今後さらに検討が必要と考えられました。

今回の試験では、泌乳中後期のルーメン発酵が安定した泌乳牛により飼養試験を行いましたが、今後は、エネルギー要求量が高く第一胃内発酵が不安定な時期にある泌乳前期牛を用いて、たちすずかの給与試験を実施する予定です。

なお、本試験は農林水産省の委託を受けて(国)農研機構畜産研究部門が中核機関となり共同研究として実施しました。

 

初掲載:平成29年11月

畜産総合研究センター乳牛肉牛研究室

電話:043-445-4511

村中洋美

(現所属:山武農業事務所企画振興課)

 

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