ここから本文です。

更新日:令和4(2022)年5月16日

ページ番号:482674

2.太陽光発電に関する諸問題への対応

(1)自治体による太陽光発電に関する諸問題への対応

 電気事業については、国(経済産業省)の所管となっていますが、住民等の身近な生活環境や自然環境に関わるものが多いこと等から、市町村への問合せも多いと思います。

 当該自治体が所掌する関係法令等に反する事例であれば、それぞれの法令等に基づき対応が可能ですが、問題となる事例が所掌外である場合、事業者の情報等が把握できないことから、住民からの通報や苦情等に十分な対処ができないケースが少なくありません。

 一方、太陽光発電に関する問題は多岐にわたっており、一つの制度・仕組みで十分に対応できるとは限りません。そこで、それぞれの問題状況に応じた対処方法や考え方について、以下に記載します。

(2)事業者の発電事業の業務フローと国ガイドラインの概要

 事業者が太陽光発電事業を行う場合の典型的な事務手続きは、

 【企画立案】⇒【設計】⇒(FIT認定・電気事業届出)⇒【施工】⇒【運用・管理】⇒【撤去・処分】

という流れになります。

 基本的には国ガイドラインもこの流れに沿って、事業者の配慮事項等を定めています(なお、設計と施工の間に、FIT法による認定の取得及び電気事業法に基づく届出の手続きが行われますが、国ガイドラインには記載されていません)。

(3)国ガイドラインの活用

 太陽光発電事業は、気候変動への対応やエネルギーの分散確保などの政策目的を推進するため、FIT法に基づき「発電した電気を一定の価格での買い取ることを保証された」事業です。このため国は、事業者向けガイドラインを定め、地域との関係構築も含め「太陽光発電事業の適正な実施」を求めています。

 こうしたことから、地盤改変の施工時における土砂の崩落や騒音・反射光等生活環境被害など、トラブルの内容や因果関係が誰の目にも明らかな場合は、国のガイドラインに基づき、事業者に適切な対応をお願いしましょう。

 自治体独自の条例やガイドライン等があれば、根拠や基準が明らかとなるので、行政指導がしやすくなりますが、条例やガイドライン等がなければ、事業者への指導ができないというわけではありません。

(4)事業者情報の把握

 太陽光発電事業に係るトラブルについては、自治体に事業者に関する情報がないということが、対応に苦慮する要因のひとつとなっています。

 この点については、2017年のFIT法改正により、事業場における事業情報を記載した標識の掲示が義務化されました。現場に行けば、事業の内容と事業者の概要・連絡先が分かるようになっています。掲示がされていない場合は、FIT法違反となるので、国(経済産業省)に通報することが可能です。

新FIT制度に基づく標識、柵塀の設置義務に関するお知らせ(資源エネルギー庁)(PDF:504.1KB)

適切な柵塀設置の事例
画像をクリックすると拡大表示します(JPG:79.7KB)

   (↑ 新FIT制度に基づく標識、柵塀の設置義務に関するお知らせ(注意喚起)から抜粋) 

 また、「関係省庁・自治体向け申請・認定情報提供システム」が整備され、このシステムにより検索すれば、事業の内容と事業者の概要・連絡先が分かるようになっています。

【関係省庁・自治体向け申請・認定情報提供システム】

 条例や市町村独自のガイドラインにより事業者から事業情報の届出を提出させることとしている場合、本システムから未提出の事業者の連絡先を確認し、届出の提出を要請することが可能です。

 事業者は、施工前に必ずFIT法による認定の取得と電気事業法の届出を行います。定期的にシステムの情報を確認することで、施工前に事業情報を得ることが可能です。

 本システムでは、所在地、認定期日、規模など、様々な角度から事業者の情報を検索できます。また、検索した結果(複数事業者情報)を一括して表形式のデータに出力することも可能となっています。

 本システムの利用には登録が必要です。各自治体で本システムを利用する場合は、登録してログインID・パスワードを取得してください。詳細な登録・利用方法は、商工労働部産業振興課又は環境生活部温暖化対策推進課にお問合せください。

【お問合せ】

環境生活部温暖化対策推進課 043-223-4139

商工労働部産業振興課 043-223-2613

(5)関係法令等の確認

 事業者は、事業の企画段階で当該発電事業に関連する関係法令等を確認することになっています。関係法令等に関する照会が事業者から市町村に対し行われた段階で、市町村では事業(企画段階のもの)の存在を把握することが可能ですが、事業の進捗状況によっては、必ずしも環境部局等の太陽光発電担当部署に入るとは限りません。

 そのため、県では商工労働部産業振興課が、事業者に対するワンストップサービスとして関係法令等手続き一覧を県HPに掲載しています。市町村においても、当該市町村における関連可能性のある制度の一覧を示している事例があります。事業者に関係法令手続きの適切な実施を促し、事業者情報を効率的に収集する観点から、また、市町村の関係部局で情報共有を図る観点からも、このような対応が有意義であると考えられます。

(6)地域との関係構築

 国のガイドラインでは、発電事業者に対して「事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するよう努めること」とし、「コミュニケーションの方法については、計画初期段階から積極的に自治体と相談して、検討することが有益である」「地域住民に対して、どのような事業者が事業を行うかをよく理解してもらうためには説明会の開催が効果的である」としています。

 太陽光発電事業に関して、住民の間に不安の声があるようであれば、2(3)で示したとおり、国のガイドラインを示して、協力を要請することが可能です。

 また、事業者から住民説明について相談された場合、市町村には、地元自治会の紹介など、地区情報を提供することが求められます。

(7)環境影響評価

 太陽光発電事業は、従来、供用時における大気汚染物質の排出や騒音の発生が考えにくい等のため、環境影響評価の対象とされてきませんでした。しかし、全国各地で森林を大規模に伐採してパネルを設置するなど、環境への影響が懸念される事案が確認されたことから、国(環境省)において、太陽電池発電所(太陽光発電事業)を環境影響評価法の対象とするための政令改正が行われ、2020年4月1日から施行されました。

 今後は、出力40MW以上の太陽電池発電所は、環境影響評価法に基づく第1種事業として必ず対象となります。また、30MW以上の施設は、第2種事業として手続きを実施するかどうか判定を受けることとなります。

 また、県においても、太陽電池パネル等の水平投影面積について、自然公園等の区域内で実施される事業は10ha以上のもの、それ以外の事業は40ha以上のものを、太陽電池発電所(太陽光発電事業)として環境影響評価条例の対象とするための規則改正が行われ、2021年4月1日から施行されました。

 さらに、環境影響評価法及び条例の対象とならない規模の施設設置に際しても、事業者の自主的な環境配慮の取組みを促すため、環境省から環境配慮ガイドラインが示されています。環境配慮の検討ポイントが多く掲載されているので、参考にしてください。

(8)自然環境の保全

 2(7)で示したとおり、全国各地で森林を大規模に伐採してパネルを設置するメガソーラーなどの事業が多数発生したことから、自然環境や自然景観に与える影響を懸念する声が、全国各地で起こっています。

 県では、自然環境保全条例に基づく自然環境保全協定の締結を事業者に要請し、開発が実施される中でも、できる限り良好な自然環境が残されるような対応を求めています。

 自然公園法等に基づき地域指定を行うと、厳しい開発規制がかかりますので発電事業の実施は困難となります。この場合、土地所有者の同意が必要となります。また、補償が必要となる場合があります。

(9)景観への配慮

 景観への配慮については、景観法上、市町村が必要に応じて条例を定めて地域の景観を守ることとなっています。景観への配慮については、地域の実情に応じて、市町村がその権限の中で対処することが望ましいと考えられます。

 太陽光発電事業を景観条例の届出対象としている県内市町がありますので、参考としてください。(1(4)参照)

(10)土地改変に伴う懸念

 太陽光発電は、構造物を必要としないことから、原則として都市計画法の開発規制の対象となっていません。しかし、規模の大きい太陽光発電は、南側に開けた広い土地が必要であり、山や丘陵地の斜面を造成して設置する事例が見られ、こうした事例の中には、雨水等の排水(災害対策)に対する懸念が生じたり、土地改変の過程で斜面崩落が生じたものも存在します。

 2018年夏の西日本豪雨において斜面に設置されたパネルの崩落などが発生したことから、国において検討を行い、電気設備の技術基準の解釈において、土砂流出を防止する措置を講ずる義務規定が追加される等の改正が行われました。その後、2021年4月に太陽電池設備に特化した新たな技術基準が制定されました。

 また、森林を伐採する計画については、森林法に基づく開発許可手続きにおいて、千葉県林地開発許可審査基準に基づき審査が行われますが、今後、太陽光発電施設の設置に配慮した基準の設定について、見直しが行われました。 

【太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為に関する事項】

  1.  雨水等の排水施設に関する基準
  2.  太陽光発電施設を自然斜面に設置する場合の基準
  3.  残置森林等に関する基準

 現実に斜面崩落が発生した場合において、土砂等が崩落した先が道路であれば、道路管理者の責任で、事業者に土砂を排除させることが妥当です。崩落先が民有地である場合は、民法上の不法行為にあたると考えられます。このような場合であっても、国のガイドラインを活用して、事業者に対応を要請することは可能であると考えられます。

(11)施設の倒壊

 2018年夏の西日本豪雨などでは、斜面崩落等により発電施設が倒壊するなどの被害が発生しています。

 発電施設の安全性の確保は、電気事業法に基づき、国が事業者を指導することとなります。だだし、施設の敷地外において感電等の被害が発生しそうな状況がある場合であって、事業者が速やかに対応しない場合は、当該箇所に住民が近づかないような対策を施すなど、市町村が応急的な被害防止策を取ることが必要となる場合も考えられます。

(12)騒音・反射光等生活被害

 発電施設の設置工事に際し、騒音の被害が発生した場合は、国のガイドラインを活用し、住民への説明や対策の実施について、事業者へ協力を要請することが可能です。

 パワーコンディショナーの騒音や太陽光パネルの反射光については、できる限り施工前に住民とコミュニケーションを取って、予め適切な配慮がなされるようにすることが望ましいですが、設置後に結果として被害が生じた場合には、遮音・遮光壁の設置などの協力を事業者に要請するなどの対応を検討する必要となります。

(13)パネルの放置

 太陽光パネルの耐用年数は、20~30年と言われています。したがって、太陽光発電施設においては、継続的にパネルの置き換え(リプレース)が発生します。このため、発生したパネルの撤去及び処分(リサイクル、リユース、廃棄)を適切に行うことは、「持続可能な」再生可能エネルギーの利活用という観点から重要です。2030年代半ばから太陽光パネルの大量廃棄が始まると言われており、不法投棄は避けなければなりません。

 また、地域にとって最も困るのは、事業を終了した際に、事業者が倒産するなどして、太陽光パネルが放置されることです。一部のパネルには、鉛やセレンなど有害物質を含んでいるものもあると言われており、事業終了時には、設備が確実に撤去及び処分されることが必要です。

 買取価格による売電収入には廃棄費用等が含まれていることから、FIT法では、廃棄費用を積み立てるよう事業者に義務付けていますが、実際には積立てをしていない事業者も多数存在することから、国ではFIT法を改正し、廃棄費用を源泉徴収的に外部積立てする制度を導入することとしました。(1(2)参照)

 また、事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)<資源エネルギー庁>が2020年4月に改訂され、出力10kW以上の太陽光発電設備の場合、災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備え、火災保険や地震保険等に加入するように努めることとしていますので、太陽光発電事業やその敷地に関する届出等の際には、事業者に対して、当該保険への加入を呼びかけましょう。

「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」(資源エネルギー庁)外部サイトへのリンク

(14)その他

 問題が発生しているが所管官庁が分からない等の場合は、資源エネルギー庁が提供している「不適正情報提供フォーム」を利用して、国に情報提供することも可能です。

お問い合わせ

所属課室:環境生活部温暖化対策推進課企画調整班

電話番号:043-223-4645

ファックス番号:043-224-2330

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?