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更新日:令和5(2023)年11月30日
当院では、平成30年4月1日に院内多職種で構成する「てんかんセンター」を設置し、てんかん患者さんに対する包括的医療を開始しました。てんかん医療全般にわたる診断・治療・支援を視野に、患者さんの病状及び生活の質の改善を目的とする活動を行っています。
てんかんは、以下のように定義される疾患です。
さまざまな病因によって起こる慢性の脳疾患であり、大脳皮質神経細胞の過剰な放電に由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、それに多種多様な臨床症状ならびに検査所見をともなうもの
世界には5000万人のてんかん患者がいるとされ、日本のてんかん患者数も100万人(人口の約0.8%)と言われています。そして、その20%は抗てんかん薬治療を行っても発作コントロールが困難で、薬剤抵抗性あるいは難治性てんかんと言われます。薬剤抵抗性てんかんの患者さんに対しては外科的治療を考慮すべきなのですが、その事実を患者さんだけでなく多くの医療従事者も知りません。その背景には、「てんかん」がどの年代のどの人にも起こり得るコモンディジーズ(一般的な病気)であるにも関わらず、「てんかん」がどのような病気なのか正しく理解されていないという実状があります。さらに、てんかんの診断と治療には専門的知識が必要ですが、どの病院に専門医がいるのかわからないという声も聞かれます。てんかんは、発作を繰り返すことにより身体的・心理的・社会的な負担が大きく、医療者による薬物治療や外科治療だけなく、多職種による支援が必要です。このような目的でてんかんセンターを設立しました。
てんかんに関する冊子を作成しました。どうぞご活用ください。 てんかんと診断された方へと題しててんかんという疾患の説明とてんかん患者さん・ご家族と まわりの人に知って頂きたいこと等について、記載しております。 てんかんの外科治療についてと題して、外科治療可能なてんかん・外科治療に必要な検査・ 手術後の発作抑制について、記載しております。 |
令和元年房総半島台風・東日本台風及び10月25日の大雨により甚大な被害が発生しました。日頃から災害への備えは大変重要です。てんかんをお持ちの患者さんは「避難中に発作が起きた時にどうしよう」など多くの不安を抱えていることと思います。今回、てんかんをお持ちの患者さんに向けた「災害への備え」を作成しましたので是非ご活用下さい。 災害の備えと題して、日頃からの備え・災害避難時の注意・避難生活等について、記載しております。 |
地域医療連携室へお問い合わせください。現在、他の医療機関に通院している場合は、診療情報提供書(紹介状)が必要です。
てんかん外来
月曜日・水曜日・金曜日8時30分~11時00分、13時30分~15時00分完全予約制
てんかんは全年齢で発症する疾患であり原因は様々です。主なものを記載すると、
以下のようになります。
てんかん発作とその分類(日本てんかん協会)
1)てんかんの診断にはまず、発作に関する詳細な病歴聴取が必要です。当初てんかんと診断され当院に紹介されたものの、病歴からてんかんの診断に疑問が生じ、精査の結果てんかん以外の診断となる患者さんも少なくありません。てんかんと鑑別する疾患は、自律神経疾患、心臓循環器疾患、精神疾患、代謝性疾患、薬物・アルコール中毒など多岐にわたります。
2)てんかんの主な検査
脳波:通常外来で行います。頭皮上に16~21個の電極を装着し、大脳から発生する微弱な電位を記録します。外来脳波では通常、発作を起こしていない時(発作間欠期)の脳波しか記録できません。一方てんかんの確定診断に必要な発作時脳波は、入院をして長時間ビデオ脳波検査を行うことにより記録できます。発作症状をビデオで撮影し、発作に同期する脳波を記録します。発作時脳波記録はてんかんの診断確定や外科治療には非常に重要な検査であり、欠かすことはできません。
MRI:脳の構造を調べる検査です。大脳の微細な形成異常や、脳血管障害、腫瘍、外傷などてんかんの原因検索に有用です。血液検査:抗てんかん薬による臓器や血液への影響(副作用)の検索、抗てんかん薬の血中濃度測定による薬剤投与量の調節等を目的として行います。
MRI
てんかん治療の基本は抗てんかん薬による薬物療法です。患者さんの発作型に応じて適切な薬剤を選択します。通常単剤治療を原則としますが、発作が抑制できない場合は2剤以上の抗てんかん薬による多剤投与をする場合もあります。
適切な抗てんかん薬を2剤以上1年間使用しても、生活に支障のある発作が残存する場合、薬剤抵抗性てんかんと診断してんかん外科的手術を考慮します。患者さんそれぞれの発作型に合わせて適切な手術を計画します。生活に支障を来たすような神経脱落症状を出現させることなく、発作の消失~減少や発作重症度の軽減が得られる場合のみ、てんかん外科手術の適応となります。したがって、薬剤抵抗性てんかんのすべてに外科治療が行われるわけではありません。てんかんの外科的手術の対象となるてんかんは、発作型、焦点の部位、病変の有無から以下のように分類されます。
手術法は、大きく分けて以下の3つになりますが、個々の患者さんごとに組み合わせます。
病気やケガなどで、日常生活に支障があったり、今まで通り働くことが難しくなった場合などに一定の条件を満たしていれば受けられる制度です。
てんかんのある人が一定の障害状態にあることを証明するもので、福祉サービスの利用や各種減税制度の運用を可能にする証明でもあります。
指定された医療機関(原則1か所)の外来受診で医療費の減額が受けられる制度です。
家庭生活、社会生活、運転免許証、妊娠・出産などについての相談にも応じます。
A:多くの場合、あわてる必要はありません。病院での治療をしなくても5分ほどで落ち着く場合がほとんどです。ただし、普段認めない大きなけいれんが見られた場合や、けいれんが5分以上続く場合には、緊急の処置が必要となりますので、迷わず救急車を呼ぶようにして下さい。また、発作時に使用する薬が医師より処方されていれば、指示通り投与して下さい。
A:一般的にこどもなら小児科、思春期を過ぎたら神経内科・脳外科・精神科ですが、いずれの場合も、てんかん専門医あるいは神経、精神系の専門医のいる施設の受診をお勧めいたします。
A:以前はできませんでしたが、2002年の法改正により、てんかんの病状によっては運転免許の取得が可能となりました。