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更新日:令和4(2022)年9月22日
ページ番号:18967
平成14年3月
千葉県総務部総務課行政改革推進室
目次
本県は、財政再建団体へ転落する危機に直面しています。その最大の原因は、バブル崩壊後の長期不況が続き、県税収入が激減し、財政が極度に悪化しているからです。また、大都市圏の財政安定化に十分配慮されていない現行の地方税財政制度も、この悪化に拍車をかける一因となっています。
しかし、右肩上がりの経済成長が終わったことを明確に認識し、これまでの拡大型の行政システムを転換させることに遅れをとってきたことも今日の財政危機を招いた大きな要因の一つであったことを率直に認めざるをえません。税収の豊富な時代の県政を全般的に総点検して、全庁をあげて、みずから積極的に改革に乗り出すという気構えと責任感も十分であったとはいえません。税収の豊富な時代の県政を全般的に総点検して、全庁をあげて、みずから積極的に改革に乗り出すという気構えと責任感も十分であったとはいえません。
本県では、これまでにも「千葉県新行政改革大綱」などを定め、行政運営全般にわたり見直しに取り組んできましたが、残念ながらそのスピードや成果について、自信をもって県民に対し説明責任を全うし得る状態に至っているとはいえません。行財政の隅々まで点検し、スピードを上げてその改革の実績を県民に示さなければならないと考えます。
個性豊かで活力に満ちた21世紀の千葉県を築いていくためには、組織構造、行政運営システム、職員の意識、予算編成などにわたって、いわば県政の構造改革を断行していく必要があります。
このような改革には、県政担当者はもとより、県内市町村及び広く県民の皆さんにも、なんらかの痛みが伴うものとなることは避けられません。ここに改めて、本県の行財政システム改革に関する「指針」を提示して、改革にかける決意を表明し、県民の皆さんの理解と協力を訴えるものです。県は、この指針に基づき、すみやかに具体的な行動計画(なにを、いつまでに、どのようにするか)を作成し、それらを確実に実行していきます。
改革にあたっては、生活者であり納税者でもある県民の視点に立って、県政のあらゆる分野の総点検が不可欠です。なによりも、右肩上がりの経済成長が終わったことを再確認し、あれもこれもという施策拡大型の行政システムを、あれかこれかといった施策精選型の行政システムへと転換させる必要があります。それには、県民が県政に対して、なにを本当は求めているかをもう一度問い直し、行政運営全般の刷新を断行しなければなりません。
21世紀を迎え、わが国は歴史的転換のただ中にあります。中央集権から、地方が主体性を発揮し、県民一人ひとりが地域の主役となる分権の時代を迎えています。こうしたなかで、主体的な県政運営を行い、県民が誇りと自信をもち、経済的にも文化的にも自立した千葉県をめざし、本県の多様な可能性を活かし、時代の要請に応える迅速で的確な施策を展開し、県民の幸せを最大限に追求していかなければなりません。
このように、県民と県政が、千葉の歴史と地域の特性に根ざして、地方自治の基本原則である自己決定・自己責任を貫いていこうとする意志と政策指向を「千葉主権」と呼ぶことができます。変化の著しい時代の中で「千葉主権」の確立は、これからの県政の運営に揺るぎない機軸となるものと考えます。
一方で自治体の自己決定・自己責任の拡充を促す分権改革が進みつつありますが、他方で長引く不況により税収が落ち込み、国と自治体の財政は悪化の一途を辿っています。本県財政も、公債費や社会保障費等の義務的経費が累増するなかで、財政再建団体へ転落する危機に直面しています。この点でも県政改革は「待ったなし」といわなければなりません。
今後の県政が、変貌する社会経済情勢や県民ニーズを的確にとらえ、県民一人ひとりの幸せを確保し、地域の自立と発展の実現に向け、各種の新たな施策を展開していくためには、どうしても財政面での対応力を回復しなければならないのです。それには、これまでのやり方や施策を再調整する程度ではとても追いつきません。これまでも県が取り組んできた改善・改革の手をゆるめることなく、さらにスピードを上げ、行政システムと財政構造の徹底した改革を実行していく必要があります。
こうした基本的な考え方のもとに、
という3本柱の改革を進めることにします。そのために、次の4つの視点を設定し、全庁をあげて、強い決意のもとに取り組んでいきます。
本格的な分権時代を迎え、これまで国に依存しがちであった政策や事務事業の執行方法を見直し、県が、地域の実情とニーズに応じ自らの判断と責任において企画、調整、実施、評価し、「千葉主権」にふさわしい政策展開を行っていきます。
これまで県が行うべきものとされてきた事務についても、必要性や行政効率の乏しいものはもちろん、市町村の事務と重複するもの、NPOや民間企業に委ねるべきものについても廃止・縮小し、対等・協力の関係を確立していくという観点に立って、広域自治体としての役割を明確にし、民間と協働して新たな公共社会を築いていきます。
県政情報を県民に積極的に公表・提供していくとともに、県民の多様な意見を把握・吸収し、県民と県政との相互理解と協働を図りながら、公正で透明性の高い県政を実現し、21世紀型千葉デモクラシーともいうべき県政運営の姿を明らかにしていきます。
職員の一人ひとりが、常に県民の視点に立って物事を考え、可能な限り現地現場で施策や事業の必要性とその成果を確かめながら、最少の資源(財源、人手、時間など)の投入によって最大限の効果を達成していくよう、その意欲と能力を発揮し、迅速かつ効率のよい公務の遂行に徹していきます。
この指針に基づく行動計画の期間を、平成14年度から16年度までの3か年とします。また、この期間に取り組む内容を行動計画によって具体的に明らかにし、できることから直ちに取りかかり、その進捗状況を毎年点検し、県民の皆さんに公表していきます。
(1)民間能力の活用
「民間でできることは、できるだけ民間にゆだねる」という原則のもとに、NPOなどとの協働や民間委託等により行政サービスの向上や経費の削減等が見込まれる事務事業については、民間能力の積極的な活用を図ります。また、民間の資金、技術、経営ノウハウを活用して効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るため、PFI手法についてもその導入について具体的な研究を進めます。
(2)組織・機構の再編・整備
(1)本庁・出先機関
本庁については、地方分権の進展に対応し、国、市町村、民間との明確な役割分担のもとで、新たな時代の要請に応え得る簡素で効率的な体制をつくります。
出先機関については、それぞれの地域の多様な県民ニーズに迅速かつ的確に応答し、県民の利便性の向上と事務の迅速化を一層推進します。そのため、特に県民が来庁して申請等を行わなければならない事務を出先機関に委譲していきます。
教育委員会の所管する教育機関についても、県民二一ズの変化、市町村や民間の施設整備の状況等を踏まえ、廃止や統合を含め、そのあり方を検討します。
(2)公営企業
―水道局―
水需要の停滞や給水人口の伸びの鈍化などにより、料金収入が伸び悩んでいるほか、基幹施設を含め老朽化した施設が増加しています。そこで、計画事業の緊急性、必要性を精査するとともに、中長期的な視野から、県直営の見直しを含め新たな経営戦略を立て、より効率的な事業運営を図っていきます。
―血清研究所―
平成14年9月末の組織及び事業の廃止に向け、必要な調整・手続を行います。
―企業庁―
事業を取り巻く社会経済情勢が大きく変化し、土地需要が低迷する中で、その財務状況は厳しさを増しています。そこで、土地造成整備事業を中心に、採算性の観点から事業の廃止も含め、事業内容や組織の見直しに取り組んでいきます。
(3)附属機関等
審議会、協議会などの附属機関等について、廃止・統合、委員構成の見直し、公開、委員の一般公募等を推進していきます。
(3)公社等外郭団体の抜本的見直し
公社等外郭団体については、以下の視点に重点を置き、事業内容、組織、経営状態等を徹底的に吟味し、その存廃も含め必要な措置を講じます。
なお、経営内容を正確に把握するため、その経営調査に当たっては公認会計士等専門家のノウハウを活用することとします。
(1)業務運営の適正化
県からの財政支援のあり方を再検討しつつ、公社等外郭団体の経営状況と課題の把握に努め、適切な指導を行います。
また、事業の必要性について、見直しを行うとともに、将来の事業展開の可能性等についても把握し、必要な指導を行います。
(2)内部管理の適正化
職員の給与等の適正化を図るため、現状を調査・分析するとともに、その適正な水準等についても検討し、必要な指導を行います。県からの職員の派遣、退職者の再就職のあり方についても、経営の適正化、人材の活用という観点から見直しを行います。
(3)情報公開の推進
公社等外郭団体の事業活動の透明性向上を図るため、千葉県情報公開条例に基づき、資本金等に占める県の出資割合が25パーセント以上で、かつ、県の出資順位が第1位の出資法人は、県の情報公開制度に準じた制度を導入することとし、平成14年4月1日から実施するよう必要な指導を行います。
(4)定員管理の適正化
新たな定員適正化計画を平成14年度のできるだけ早い時期に策定し、事務事業や組織の見直し、民間委託、非常勤職員、情報通信技術の活用などにより、時代の変化に対応した適正な定員管理に努めます。
なお、千葉県はいわゆる団塊の世代を中心とした年齢構成に偏りがあることから、これらの職員の大量退職と新規学卒者の減少等を踏まえ、また、再任用制度の運用をも考慮に入れつつ、計画的な採用を行っていきます。
(1)開かれた県政と県民参加の推進
県民一人ひとりが地域の主役となる「千葉主権」の確立をめざし、徹底した情報公開と、県政のさまざまな段階と場面での政策提言型のデモクラシー(千葉モデル)の実現に取り組みます。
(2)窓口業務等行政サービスの向上
現場主義に基づく意識改革をはじめ、接遇の向上、縦割り主義的な対応の是正等、県民との接点における職員の応接の改善に努めるとともに、手続の簡素化・効率化、インターネットを活用した行政の情報化等、県民の利便性の向上を図っていきます。
特に、県民や本県を訪れたすべての人々が迅速かつ快適に窓口サービスを受けられるよう、各部門や職員自ら常に創意工夫を図り、さまざまな角度から窓口等行政サービスの向上に努めます。
(3)事務事業の評価と見直し
(1)事務事業の整理合理化
すべての事務事業について、再度その意義を確認のうえ、廃止、縮小、他事業との統合等、思い切った整理合理化を進めます。すでに計画し、または着手している事務事業であっても必要性や効果等を十分検討・評価して推進のあり方を判断していきます。また、県民ニーズを的確に把握し、緊急度や優先度を重視した事務事業の選択や民間能力の活用に努めます。そのため県民も参加した形での政策評価システムを導入していきます。
(2)行政手続の改善
仕事の進め方全般について、その前提となる制度や慣行を含め抜本的な見直しを行い、県民サービスの向上と事務執行の効率化・迅速化を図ります。
許認可事務等については、規制の緩和・廃止について検討するとともに、添付書類の削減、押印の廃止、手続の電子化等、事務手続を簡素化します。
(4)市町村への事務権限の移譲
市町村が、住民の意向を反映させながら多様な行政を展開していくためには、県と市町村の役割分担に沿った事務配分の見直しを行い、住民の利便性の向上や市町村の自主・自立性の強化等を図っていく必要があります。
このため、県が担うべき広域行政に属するもの等を除いた住民に身近な事務は、住民に身近な市町村へ積極的に移譲していくものとします。移譲に際しては、財源と執行体制の確保について十分留意します。
(5)人事システムの転換―年功序列から能力・実績重視へ―
新たな行政システムの構築には、職員一人ひとりの意欲や能力と経験が最大限に活かされる総合的な人事システムの構築が不可欠です。そのためには、これまでどちらかといえば年功序列的であった人事システムをあらゆる角度から見直し、民間企業や国の動向もふまえながら、職務と能力・実績をより重視した採用、異動、研修等の行える人事システムへと転換します。
具体的には、採用における年齢制限の緩和や細分化された職種区分の見直し、人材開発型の研修と目標管理の推進、庁内公募制を含めた柔軟な人事配置、複線型昇進制度の活用をふまえた厳正な昇任管理、適切な退職管理、そしてこれらの運用の基本となる客観的で公平な人事評価の制度を整備していきます。
この総合的な人事システムの構築にあたっては、職員の要望、外部意見を十分ふまえるとともに、情報開示に努め、新たな人事システム全体の運用をチェックする組織の設置を検討します。
給与制度についても、こうした人事システムの一環として、職員の職務と能力・実績に応じた運用を行っていきます。
このような人事システムの転換を通じて、県の行政組織の能力・活力を向上させていくことはもちろん、組織を支える職員一人ひとりの職業人としての満足度を高めていきます。
財政再建団体への転落は自治の放棄ともいうべき事態であり、なんとしても避けなければなりません。そのうえで、今後の県政が、県民のニーズに的確に応えていくためには、財政の徹底した見直しと合理化を図り、財政面での対応力を回復させていくことが不可欠です。
このため、以下の観点に立ち、財政構造の改革に取り組み、健全な財政基盤の確立を図っていきます。
(1)歳出の効率的・重点的な配分
限りある財源を有効に活用するために、事務事業の一層の整理合理化を図るとともに、すべての事務事業費を一律に削減する、従来のシーリング方式にとらわれず、一つひとつの事務事業の緊急度、重要度、効果、将来の財政負担等を総合的に吟味して、優先順位をつけて、財源の効率的・重点的な配分を行います。
(2)補助金の見直し
自立的な民間活動の促進、地方分権の推進、NPO活動の拡充などの社会情勢の変化に合わせて、既存補助金の抜本的な見直しを行います。
(3)中長期的視点に立った県債残高のコントロール
県債残高の適正規模、県債発行方法の多様化及び長期的視点からの県債発行額の抑制方策などについて、検討、研究を行います。
(4)各種財務諸表の作成
多様な財政分析を可能にするとともに行政の透明性の一層の向上を図るために、普通会計にとどまらず対象範囲を拡大してバランスシートを作成するほか、行政コスト計算書など各種財務諸表を作成し、公表します。
(5)歳入の確保
歳入の根幹である県税収の確保に引き続き努めるとともに、住民負担の公平確保の観点と、受益者負担の原則に基づき、県民の理解を得ながら、使用料・手数料について定期的に見直しを行います。
また、未利用県有地の積極的な処分をはじめ、自主財源の確保方策について、あらゆる方面から検討を加えていきます。
(6)税財政制度の改善
分権型社会にふさわしい地方税財源の確保と強化に向けて、引き続き大都市圏の財政安定化にも配慮した税財政制度の確立を国に強く働きかけていきます。また、直轄事業負担金制度のあり方の見直しを求めていきます。
県では、平成11年12月に策定した「財政健全化プログラム」の計画期間が平成14年度で終了しますが、財政環境はより一層厳しさを増しており、県財政は危機にあります。この危機を乗り切るため、具体的な財政運営の方針となる新たな行動計画を平成14年度半ばまでに策定します。
この指針に基づき、県は、すみやかに「行財政システム改革行動計画」を作成していきますが、それを待たずに前倒しできるものは直ちに着手していきます。行動計画作成に際しては、なにを、いつまでに、どのようにするのか、それらが分かるように、実施期間を明示したスケジュール一覧表をつくります。また、実施部門の計画責任を問いうるように、できるだけ数値を明記するよう努力をします。
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