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更新日:令和7(2025)年9月2日

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令和7年6月定例県議会(6月3日) 会議録(速報版)

令和7年6月招集 千葉県定例県議会会議録(第2号)

令和7年6月3日(火曜日)

 議事日程

議事日程(第2号)

 令和7年6月3日(火曜日)午前10時開議

日程第1 議案第1号ないし議案第22号、諮問第1号、報告第1号及び報告第2号に対する質疑並びに一般質問

       

 午前10時開議

○議長(瀧田敏幸君) これより本日の会議を開きます。

     

 議長の報告

○議長(瀧田敏幸君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告を申し上げます。

 最初に、議長の出席要求に対する出席者について変更があり、本日、選挙管理委員会委員長菊地秀樹君が出席しますので、御了承願います。

 次に、議案第7号について、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めましたところ、適当と認めますとの回答がありましたので、御報告いたします。

       

 質疑並びに一般質問

○議長(瀧田敏幸君) 日程第1、議案第1号ないし第22号、諮問第1号、報告第1号及び第2号を一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。

 順次発言を許します。通告順により岩井泰憲君。

 (岩井泰憲君登壇、拍手)

○岩井泰憲君 印旛郡栄町・印西市選挙区から選出の自由民主党の岩井泰憲でございます。本日、登壇の機会をくださった先輩・同僚議員の皆様方に心より感謝を申し上げたいと思います。

 冒頭ではありますが、今朝方に本県出身の元野球選手である長嶋茂雄氏が亡くなられたとの一報に接しました。野球界、スポーツ界における功績は多大なものであり、衷心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 さて、さきの知事選挙で、熊谷知事は多くの県民から信任を受けて、引き続き県政のかじ取りを任されることとなりました。今議会は選挙後初めての定例会となりますが、2期目を迎えた熊谷知事がどのような方向を目指していくのか、皆さんが注目していると思います。自由民主党を代表して、各施策についてしっかり議論をしてまいりたいと考えております。

 それでは、早速ですが、通告に従い質問に移りたいと思います。

 初めに、知事の政治姿勢について伺います。

 まず、官製談合防止法等違反事件についてです。

 先日、昨年度の県土整備部の事案に続いて、県職員が入札情報漏えいの疑いで書類送検されたことは、県政に対する県民の信頼を大きく損ねるものであり、大変遺憾であります。県においては、これから事件の詳細をしっかりと調査した上で、県としての対応を考えることとなると思いますが、毎年のようにこのような事件が発生していることは、県のコンプライアンス対策が有効に機能しているのか、甚だ疑問であります。

 そこで伺います。県として、今回の事件をどのように受け止め、今後どのように検証していく考えであるのか。

 次に、新たな総合計画について伺います。

 新総合計画については、このたび具体的な取組の方向性等を取りまとめた計画素案が示されました。知事は、選挙で今後の政策として県民に示した8つのビジョンを実現するため、本県が有する様々な力を結集し、直面する諸課題にいち早く対応し、挑戦することで大きな成果に結びつけていけるよう、新たな総合計画を策定すると表明しています。総合計画は、中長期を見据えた本県の政策の基本的な方向と、今後4年間で重点的に取り組む施策を県民に示す重要な計画です。我が国や本県を取り巻く激甚化する災害や人口減少をはじめ、様々な課題に適切に対応していくためにも、県としてどのような考えで施策を展開しようとしているのか、我が党としても責任を持って確認し、必要な意見を述べていかなければならないと考えております。

 そこで伺います。総合計画素案は、どのような考えに基づいて作成したのか。

 次に、行財政改革計画について伺います。

 本県の行財政を取り巻く状況は、少子高齢化の進展による労働力人口の減少や社会保障費の増加など、厳しい状況が続くことが予想されます。このような状況の中でも総合計画を着実に進めていくためには、引き続き行財政改革に取り組み、安定した行財政基盤を確立していく必要があります。県では、今後、新たな総合計画の策定と合わせて行財政改革計画を改訂すると聞いております。

 そこで伺います。行財政改革計画の改訂により、どのような改革に取り組んでいくのか。

 次に、高校教育の充実についてです。

 本年2月に我が自由民主党、公明党、日本維新の会の3党で合意された高校授業料の無償化については、国の就学支援金において、本年4月から所得制限が撤廃され、公立高校では実質無償化となり、私立高校では年収910万円以上の世帯にも年間11万8,800円が支給されることとなりました。さらに来年4月からは、私立高校に通う生徒について、世帯の所得にかかわらず、私立高校授業料の全国平均である45万7,000円に支給額を引き上げることが検討されています。この就学支援金の拡充により、住んでいる地域や世帯の所得にかかわらず手厚い支援を受けられることとなるため、生徒たちの進学先の選択肢が大きく広がることが期待されます。一方で、公立高校から私立高校への生徒の流出が懸念されるなど、高校教育を取り巻く環境は大きく変化することが予想されます。千葉県が今後も持続的に発展していくためには、中学校卒業者のほとんどが進学している高校での教育の充実は不可欠です。今こそ、この環境の変化をチャンスと捉え、本県の高校教育のさらなる充実を図るべきと考えます。

 そこで伺います。高校授業料の無償化を受け、知事は高校教育の充実についてどのように考えるのか。

 次に、本県の産業用地整備についてです。

 県内各地に将来の県経済を牽引するエリアを創出していくことは重要であり、我が党も特に重要視している取組であることから、代表質問でも幾度となく取り上げてまいりました。熊谷知事の就任以降、県は、成田空港のさらなる機能強化や広域的な幹線道路ネットワークの整備の進展を踏まえ、将来を見据えた産業拠点の整備に向けた検討を進めるとともに、立地企業補助金の拡充など、新たな投資を呼び込める環境づくりを進めてきたと認識しています。

 こうした中、今後の産業拠点形成に向けては、企業を呼び込む先となる産業用地の確保が重要となることを踏まえ、知事の手腕を発揮して産業用地の整備を着実に進めていただきたいと考えます。

 そこで伺います。県として、新たな産業用地の整備をどう促進していくのか。

 次に、財政問題について伺います。

 まず、令和7年度6月補正予算について伺います。

 今回の補正予算は、知事選挙を控えて骨格予算として編成された当初予算に続いて、政策的な判断を要する事業や新規・拡充事業などから成る肉づけ予算となります。本県では、社会基盤の整備や医療、福祉など、県民の暮らしに直結する課題はまだまだ山積しており、知事におかれては、今後の予算編成において、まずは選挙で掲げた公約を一つ一つ着実に実現していくことが求められています。

 そのような中、今回の6月補正予算は、熊谷県政2期目のスタートとなる予算案となり、知事の掲げる様々な政策の方向性について確認したいと思います。

 そこで伺います。令和7年度6月補正予算は、どのような方針の下で何に重点を置いて編成したのか。

 続いて、令和6年度の一般会計の決算見込みについてです。

 令和6年度は社会保障費や人件費などが引き続き増加している中、1月に大量発生した鳥インフルエンザなどにも対応しなければなりませんでした。2月補正予算の編成後も、さらなる経費節減に努めてこられたものと思いますが、その後の令和6年度の決算収支の状況が気になるところであります。

 そこで伺います。令和6年度の一般会計の決算見込みはどうか。

 県庁舎等の再整備についてお伺いします。

 県庁舎敷地内の5棟の建物は、本庁舎が約30年、中庁舎が60年、議会棟が50年を経過するなど、大規模改修や建て替えが必要な時期を迎えています。県庁舎などには県民の生命や財産を守るため、県政の司令塔として、災害発生時においても十分にその機能を発揮できることが求められます。加えて行政課題や県民ニーズが多様化している中で、時代の変化に対応し、行政サービスの維持向上を図っていくためには効率的な執務環境の整備なども必要と考えます。

 こうした中、県では、県庁舎などの再整備に向けて調査、検討を行っていますが、こうした課題や求められる機能を踏まえてどのように対応していくのでしょうか。

 そこで伺います。再整備に向けた県庁舎等の在り方について、どのように考えているのか。

 次に、公文書管理についてです。

 本県の公文書管理については、昨年度、歴史公文書の可能性のある一部の文書の所在が不明となっている問題を契機に関心が高まり、12月議会では、公文書管理条例制定を求める請願が全会一致で採択されたところです。知事自身も県政ビジョンにおいて、デジタル化を踏まえた公文書管理条例の制定に向けて検討を進めることを表明し、また2月の我が党の代表質問に対しても、執行部より検討する旨の答弁もあり、条例制定に向けた機運が高まっているように思います。しかしながら、先行して公文書管理条例を制定している団体では、条例は基本的な枠組みだけを規定するのが一般的であり、職員が日々の公文書業務を行っていくためには、文書管理規定などの様々なルールの見直しや、デジタル化に対応した新たな公文書管理の仕組みなどについても併せて検討を進めていく必要があると思いますし、むしろそのことに時間がかかるのではないかと思います。

 そこで伺います。条例制定も含めた公文書管理の在り方の検討について、今後どのように進めていくのか。

 次に、成田空港について伺います。

 まず、国家戦略特区についてです。

 国家戦略特区は、世界で一番ビジネスしやすい環境をつくることを目的に地域を限定し、大胆な規制、制度の緩和を行うものであり、国内最大の貿易港である成田空港を有し、あらゆる産業分野が全国トップクラスの我が県において、この制度を活用することにより、さらなる民間投資を呼び込むことができると考えております。

 昨年7月、我が党の成田国際空港推進議員連盟も同席し、知事と空港周辺9市町が岸田首相に対し、特区の活用も含む成田空港を核とした物流・産業拠点の形成等に関する要望を行いました。その際、首相から、国家プロジェクトとして成田空港を核とした国際航空物流拠点としての機能強化がしっかり図られるよう特区諮問会議を開催し、特区活用も含めしっかり対応を行っていきたいとの発言をいただきました。さらに、翌月の諮問会議で、首相から各省庁に特区の活用も含めた検討指示があったところです。こうした経緯を踏まえ、現在、区域拡大による全県域での特区活用に向け積極的に取り組んでいると聞いております。

 そこで伺います。国家戦略特区の活用に向けた現在の取組状況はどうか。

 次に、機能強化に係る用地確保についてです。

 第3滑走路の新設など、成田空港のさらなる機能強化については、先月25日に着工式典が開催され、いよいよ滑走路整備の本格工事が始まることとなりました。この成田空港のさらなる機能強化は、200回を超える住民説明会を経て、平成30年3月に国、県、空港周辺9市町、空港会社の四者協議会において合意されたものであり、その合意に際しては地元市町の苦渋の決断がありました。このことを我々は心に深く刻み、令和11年3月末とされている第3滑走路等の供用に向けて、しっかりと取り組んでいかなければなりません。

 ただ、機能強化に係る用地確保の取組はまだまだ道半ばであります。今年4月、空港会社が発表した3月末時点の用地確保率は83%にとどまっています。このさらなる機能強化により必要となる全体面積は約1,100ヘクタールという、従来の成田空港の面積に匹敵するような、とてつもない大きさであり、令和11年3月末の供用目標に向けては、県をはじめとする関係者の積極的な協力が不可欠です。

 そこで伺います。成田空港の機能強化に必要となる用地確保に対する県の取組方針はどうか。

 次に、防災対策についてです。

 大地震が発生したときに被害を最小限にとどめるためには日頃からの備えが必要です。高台への早期避難や家屋の耐震化、食料品等の備蓄や防災訓練への参加など、これらの防災意識を県民の皆さん一人一人に持っていただくことが重要です。

 先日、国から南海トラフ地震の被害想定が発表され、その対策に注目が集まっています。南海トラフ地震は国難級の大災害をもたらすものですが、本県の周辺は複雑なプレート構造となっており、関東大震災を引き起こした相模トラフなど、本県付近での大規模な地震についても、その被害を想定し、十分な注意を払っていくことが必要です。県が現在実施している地震被害想定調査では、平成28年度に公表された前回調査で想定した千葉県北西部直下地震のほか、県南部や東部の大きな地震についても被害を想定し、令和8年度に結果を公表すると聞いています。この調査結果を活用し、防災・減災対策を着実に進めていくことが重要です。

 そこで伺います。地震被害想定調査ではどのような地震を想定し、今後の防災対策にどう生かしていくのか。

 次に、防災DXについてです。

 災害が頻発、激甚化する中、発災直後から迅速に状況を把握し、必要な支援へとつなげる体制づくりは自治体にとって喫緊の課題です。一方で、膨大な業務が発生する被災自治体では、限られた職員で多くの業務を同時にこなすことが求められる中、従来の人手中心の体制では対応に限界があると考えます。

 こうした課題を踏まえ、近年は防災の分野でもデジタルの力を活用する取組が全国的に進められています。令和6年の能登半島地震では、地元以外の自治体がオンラインで被災自治体の後方支援を行うなど、新たな支援の形も注目されました。今後は災害現場でデジタル技術を活用し、必要な情報を迅速に把握、共有できる防災DXの考え方を取り入れるとともに、平時からその仕組みを整備しておくことが重要です。

 そこで伺います。県では防災DXの推進に向け、どのように取り組んでいくのか。

 次に、児童虐待防止についてです。

 先月28日に松戸市で生後4か月の幼い赤ちゃんが亡くなり、母親が逮捕されるという大変痛ましい事件が発生しました。この世に生を受けて僅か4か月の幼い命が失われたことは受け入れ難いことであり、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

 思い返せば、本県では、平成31年1月に野田市で10歳の女の子が虐待を受けて亡くなる事案が、また、令和5年の7月にも船橋市でゼロ歳の男の子が亡くなる虐待死亡事案が発生しております。我が党では、これらの事案が起きるたびに千葉県子どもを虐待から守る条例を改正するなど、このような痛ましい事案が二度と起きないような体制づくりを執行部に強く求め、力を注いできました。にもかかわらず、またこうして幼い命が失われたことは大変残念であり、今回の事案を重く受け止めております。

 新聞報道によると、今回の事案は、所管の柏児童相談所が母親からの電話相談の一報を受け、ネグレクトとして対応を開始した矢先に発生したとされており、防ぐことができなかったのか、真摯に検証を行う必要があると考えます。また、児童相談所の体制強化にも、より一層取り組む必要があると思います。

 そこでお伺いいたします。松戸市で発生した児童の死亡事案を受け、今後、県はどのように対応し、再発防止にどのように取り組んでいくのか。

 次に、ギャンブル等依存症対策について伺います。

 多くの人が競馬などの公営競技やパチンコ等を趣味として楽しんでいる一方で、これらギャンブル等に過度にのめり込み、日常生活または社会生活に支障が生じるギャンブル等依存症が社会問題となっています。近年はスマートフォンの普及などを背景に、インターネットを介したギャンブルが主流となる中で、違法であるオンラインカジノが問題となるなど、ギャンブル等依存症を取り巻く環境が大きく変化しているところであり、こうした変化に対応した効果的な対策を行っていく必要があると考えます。県では、千葉県ギャンブル等依存症対策推進計画について、本年4月に中間見直しを行ったと承知していますが、今後どのような対策を行っていくのか、気になるところであります。

 そこで伺います。千葉県ギャンブル等依存症対策推進計画の中間見直しを踏まえ、今後どのような施策を展開していくのか。

 次に、若者支援について伺います。

 本年4月に公表された厚生労働省の人口動態統計の概要によれば、令和6年の全国の日本人の出生数が初めて70万人を切ると見込まれるなど、急速に少子化が進行し、人口減少はまさに喫緊の課題であります。本県においても、令和5年の合計特殊出生率は1.14となり、全国の1.20を下回るなど、極めて厳しい状況となっています。少子化の要因の1つに未婚化があり、若い世代の婚姻数は減少傾向にあって、結婚を望んでいるにもかかわらず、出会いがない、出会い方が分からないという声も多く聞かれます。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、過去には若い世代のサークル活動や様々なイベントが自粛を余儀なくされるなど、人との交流が減少し、若い世代の多くの方が将来の結婚につながる貴重な出会いの機会を奪われたのではないかと考えます。

 こうした中、県では、若者の仲間づくりを支援していくとのことでありますが、今まさに若者が出会い、新たな仲間をつくる機会を創出していくことが極めて重要であると考えます。

 そこで伺います。県は、若者の仲間づくりの支援にどのように取り組んでいくのか。

 次に、防犯対策について伺います。

 電話de詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、強盗殺人など、様々な犯罪に関与する匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウに代表される新たな犯罪形態への対策強化は喫緊の課題であります。県では、誰もが安全で安心して暮らせる犯罪の起こりにくいまちづくりを推進するため、防犯カメラの設置促進や、自主防犯団体が防犯パトロールを行う上で必要となる資機材の整備の支援といったハード面での取組を進めているものと承知しております。一方で、本格的な人口減少社会の到来や高齢化のさらなる進行により、地域における防犯活動の中心である自主防犯団体の中には、活動の縮小を余儀なくされている団体も多くなっているなど、防犯の担い手不足が大変懸念されるところです。地域防犯力の向上を図るためには、より幅広い人材に地域の防犯を担ってもらうことが重要であり、ソフト面での取組の強化も必要であると考えます。

 そこで伺います。地域防犯力の向上に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。

 次に、ローンオフェンダー対策についてです。

 近年、特定のテロ組織等と関わりのないままに過激化した個人、いわゆるローンオフェンダーが新たな脅威となっています。令和4年7月には、奈良県において街頭演説中の安倍元首相に対する銃撃事件が発生したほか、令和5年4月には、和歌山県において演説を予定していた岸田前首相に向けて爆発物が投てきされるなど、要人や聴衆が危険にさらされる事件が発生しております。さらに、本年3月の千葉県知事選挙期間中、候補者のうちの1人が都内においてなたで切りつけられ、負傷する事件が発生したところです。

 このような情勢の中、今月、松戸市内において第36回全国「みどりの愛護」のつどいが開催されるほか、来月には第27回参議院議員通常選挙が予定されており、これらの事件を引き起こす蓋然性があると認められる者に対する対策の強化が急務となっているところです。

 そこで伺います。昨今、特定のテロ組織等と関わりのないローンオフェンダーがテロ等違法行為を敢行することが懸念されるが、県警では、対策をどのように推進していくのか。

 次に、環境問題についてです。

 有機フッ素化合物のうち、人への健康影響が指摘されているPFOSとPFOAについて、柏市と白井市の市境を流れる金山落では、継続して暫定指針値を超過しており、周辺で市が実施した地下水調査でも非常に高い値が広範囲で確認されたことから、我が党においても、これまで何度も県の取組について質問をしてきたところです。県では、金山落におけるPFOS等の超過原因を把握するため様々な調査を実施し、本年3月には下総航空基地の排水が金山落での超過原因の1つであるとの見解を示し、基地に対し対策を求めたと承知しています。原因究明の調査が一歩前進したところではありますが、地下水汚染については原因の特定には至っていないと聞いており、地域住民の不安はいまだ拭えず、さらなる取組が必要と考えます。

 そこで伺います。金山落とその周辺で検出されているPFOS及びPFOAについて、今後どのように対応していくのか。

 次に、一般廃棄物処理に係る長期広域化等計画についてです。

 この計画については昨年9月議会での代表質問でも取り上げ、市町村が行う一般廃棄物処理は厳しい財政状況の中、人口減少に伴うごみ排出量の減少などへの対応が求められており、県民生活にも影響が出ないように、持続可能な適正処理を確保できる体制の構築が不可欠であることを指摘し、ごみ処理の広域化、集約化に向けた県の主体的な取組が重要であるとして質問を行ったところです。これに対し県からは、一般廃棄物処理の広域化、集約化に計画的に取り組むため、県と市町村等で課題や将来に向けた認識の共有を図った上で、排出量予測に基づき具体的な広域化の方向性などについて検討し、令和8年度末を目途に一般廃棄物処理の長期広域化等計画を策定するとの答弁がありましたが、その後の計画策定の進捗状況が気になるところであります。

 そこで伺います。一般廃棄物処理に係る長期広域化等計画の策定に向けて、どのように取り組んでいくのか。

 次に、芸術祭についてであります。

 千葉県誕生150周年記念事業は、令和5年6月から1年間にわたり、県内各地において開催されました。これらの記念事業の経済波及効果は約171億円を超えたほか、県内外から多くの方の参加があり、事業全体を通じた来場者数は230万人を超えるなど、地域の活性化に大きく貢献しました。また、開催効果についてのイベント参加者アンケート調査結果では、地域の魅力を再発見することで郷土への誇りを高め、千葉県への愛着が深まったとの回答が73%と最も多いことから、経済的効果にとどまらず、県民が地域への誇りと愛着を醸成する大変意義のある事業だったのではないでしょうか。特に百年後芸術祭では、100年先の未来を見据え、本県の豊かな自然環境や東京との近接性といった地理的特性を生かしつつ、歴史や伝統文化と現代アート、エンターテインメントを融合させることで、本県ならではの新たな文化芸術創造の足がかりとなったと思います。こうした取組を一過性のものに終わらせず、今後の地域づくりに生かしていくことが求められると考えます。

 そこでお伺いいたします。千葉県誕生150周年事業で実施された百年後芸術祭のような取組を今後も続けていくべきと思うが、どうか。

 次に、県内経済の活性化について伺います。

 県内経済は全体として緩やかに回復しているものの、さきに発動された米国の関税措置により先行きの不透明感が増しており、今後、幅広い業種、企業に影響が出てくることが懸念されます。

 こうした中、県では、これまで中小企業者等向けの相談窓口の開設や資金繰り等の相談に対するきめ細やかな対応の要請、また、現在利用できる県や国の支援策等をまとめたホームページの立ち上げなど、様々な対応を図っていただいているところでありますが、引き続き米国の動向や企業の状況をしっかりと注視し、必要とあらば迅速かつ柔軟な支援策を講じていただきたいと思います。

 さて、本県経済は、素材・エネルギー産業が集積する日本最大級の京葉臨海コンビナートや、県内企業の99%を占める中小企業によって支えられ、発展してきました。しかしながら、コンビナートでは、新興国との競争激化やカーボンニュートラルへの対応など、厳しい事業環境にさらされており、また中小企業においても、物価高への対応や深刻化する人手不足など、様々な経営課題を抱えています。

 こうした中、今後の県内経済の活性化に向けて、これまでにない新たな技術やサービスを提供し、急成長を遂げることができるスタートアップへの期待が寄せられています。国では、2022年をスタートアップ創出元年と宣言し、スタートアップへの投資額を5年で10倍にすることなどを目標に掲げています。本県としても、雇用の創出や関連企業との取引拡大など、地域経済の好循環を生み出すことが期待されるスタートアップの育成と振興にしっかりと取り組んでいくべきと考えます。

 そこで伺います。スタートアップの育成と振興に向け、今後、県ではどのように支援していくのか。

 次に、県内経済の活性化のうち、観光振興について伺います。

 本年3月下旬に県が公表した観光入り込み動向の調査結果によれば、令和5年の県内の観光消費額は約1兆8,000億円となり、前年と比べ約20%の増加、コロナ前の令和元年と比べても8%増加し、平成22年の調査開始以来、過去最高額となりました。さらに、今後は成田空港の機能強化や圏央道の全線開通などにより、観光産業も一層の飛躍が期待されるところであり、需要をしっかりと取り込み、県全体の底上げを図っていくため、県内観光地の魅力向上につながる施策をソフト、ハードの両面から積極的に進めていく必要があると考えます。

 熊谷知事も自身の県政ビジョンにおいて、これからの4年間で観光地の魅力向上などに大胆に予算を投入していくとの決意を表明されており、早速、今回の6月補正には、千葉の自然を生かした観光地づくりを促進するための実証事業として2億5,000万円の予算が計上されています。我が会派としても、こうした取組が今後どのように展開され、県内各地域で芽吹いていくのか、大いに気になるところです。

 そこで伺います。魅力ある観光地域づくりに向け、今後どのように取り組んでいくのか。

 次に、幕張新都心の活性化について伺います。

 幕張新都心は、幕張メッセをはじめ国際的な企業、教育・研究施設、商業施設など、職、住、学、遊の複合機能が集積した、産業と文化の発信拠点として発展してきました。この幕張新都心が今後も千葉県全体の活性化を牽引していく拠点として持続的に成長し続けていくためには、これまで官民の協力の下に築き上げられてきた幕張新都心の機能や町並みを維持、向上していくことが重要と考えます。

 そうした中、幕張新都心のシンボルであり、共に発展してきた幕張メッセについては、開業から四半世紀以上が経過し、近年は経年による施設の老朽化に加え、開業当時はなかった東京ビッグサイトやパシフィコ横浜など競合施設との競争が激化するなど、取り巻く環境は厳しいものがあると聞いています。こうした競合施設との激しい誘致競争に打ち勝つためには、まずは施設自体の魅力を維持、向上していくことが何より重要と考えます。施設は開設から30年以上が経過し、老朽化への対応を図るため、計画的に大規模改修を行っていると伺っておりますが、イベントへの影響にも配慮しながら、最近の施設利用者のニーズを踏まえつつ改修を進める必要があると考えます。

 そこで伺います。老朽化が進む幕張メッセの改修について、県はどのように取り組んでいくのか。

 一方、幕張新都心のもう1つのシンボルである千葉マリンスタジアムも既に建築から30年以上が経過し、老朽化が進んでいます。このため千葉市では、再整備の在り方について調査、検討を行い、先月、千葉マリンスタジアム再整備に係る基本構想案の骨子を公表しました。この中では、幕張豊砂駅に近い幕張メッセ駐車場の一部を候補地として、新たなスタジアムの建設を目指すこととされています。これが実現すれば幕張新都心の新たなシンボルとして、さらなるにぎわいの創出が期待されますが、一方で、移転先を幕張メッセの駐車場とすることで様々な課題も懸念されるところです。

 そこで伺います。千葉市のマリンスタジアム再整備の構想案を受けて、県として、どのように対応していくのか。

 次に、農林水産業の振興について伺います。

 初めに、持続可能な水田農業についてです。

 昨年の夏は、一部スーパーの店頭から米がなくなる令和の米騒動と報道され、令和6年産が出回る10月以降には価格も落ち着くと見られておりましたが、小売価格はその後も上昇し、高止まりをしています。米価の高騰を受け、国はこれまでに31万トンの政府備蓄米を売り渡したところですが、5月26日には、さらなる米価の早期引下げを目的として、随意契約による売渡しに切り替えました。稲作農家にとっては、米価の上昇は喜ばしいことですが、急激な価格の上昇は消費が鈍ることも懸念され、政府による備蓄米の放出により米価が落ち着くことを期待しています。今年は米価高を背景に主食用米の生産を増やす農家が多いと聞いていますが、気候変動による生産の不安定化や担い手の減少が進む中、将来にわたって消費者へ安定して米を供給していくためには、稲作農家の経営が安定し、持続可能な水田農業を実現していくことが重要ではないでしょうか。

 そこで伺います。県では、持続可能な水田農業の実現に向け、どのように取り組んでいくのか。

 次に、鳥インフルエンザについて伺います。

 令和6年度においては、県内では17例の鳥インフルエンザが確認され、特に1月12日から2月1日の短期間のうちに、海匝地域で15例が連続して発生し、約332万羽の鶏が殺処分されるに至りました。この連続発生で処分された鶏は、県内で飼われている鶏の約20%にも及びます。また、連続発生で防疫措置が長引くことにより、発生農場周辺の養鶏場や卵を選別、梱包する業者、飼料運搬業者等の関連業者にも大きな経済的損失が生じています。このように、一たび鳥インフルエンザが発生すると、発生農場だけでなく、地域経済への影響は甚大であると考えます。さらに、この病気は最新型の設備を有する養鶏場でも発生を防げず、また、本県以外にも短い期間で連続発生した例があると聞いています。

 そこで伺います。

 令和6年度の鳥インフルエンザの連続発生を受けて、県はどのように発生予防に取り組んでいくのか。

 また、今後、鳥インフルエンザが発生した際にはどう対応するのか。

 次に、海業の振興について伺います。

 本県は三方を海に囲まれ、新鮮な水産物をはじめ海や海岸線などの豊かな自然、景観、多くの道の駅や歴史と文化を学べる博物館、釣りやサーフィンといった海洋レジャーなど、魅力的な地域資源に恵まれています。一方、漁村地域では、人口減少や高齢化などにより活力が低下しており、これらの地域資源を最大限に活用した海業を推進することが求められています。そして、実際に幾つかの地域では関係者による検討が始まっているところです。

 このような中、令和6年2月議会での我が党の代表質問及び昨年度の一般質問に対して、県では海業を推進していくため基本構想を策定するとともに、各地域の取組を支援していくとの答弁がありました。

 そこで伺います。海業の推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。

 県土整備政策について伺います。

 まず、道路についてですが、高速道路をはじめとする広域的な幹線道路ネットワークは、人や地域を相互につなぐ人、物、情報の移動を支援する極めて重要な社会基盤です。令和6年能登半島地震では、道路の寸断により孤立集落が発生しており、半島地域を有する我が県においても、ミッシングリンクの解消などを図り、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組む必要があります。

 県内の広域幹線道路に目を向けると、圏央道は大栄ジャンクションから松尾横芝インターチェンジ間が県内で唯一未開通となっており、成田-羽田空港間の連携強化や、さらなる企業立地の進展、観光振興を図るためにも、一日も早い全線開通が期待されています。北千葉道路については外環道と接続し、都心と成田空港を最短で結び、沿線地域はもとより、首都圏への大きな整備効果をもたらすことから一日も早い全線開通が期待されるところです。さらに、湾岸部や北西部の渋滞の解消や産業のさらなる活性化のためにも新湾岸道路や千葉北西連絡道路の早期具体化が必要であると考えます。

 そこで伺います。広域的な幹線道路ネットワークの充実強化に向け、どのように取り組んでいくのか。

 次に、広域的な幹線道路にアクセスする道路や県北西部の道路整備について伺います。

 圏央道の整備が進められる中、県内各地域では、企業立地の進展や観光の振興、防災力の向上に大きな期待を寄せているところです。このため、広域的な幹線道路と県内各地域を結ぶ銚子連絡道路や長生グリーンライン、国道356号などのアクセス道路の整備を強力に進める必要があります。また、県北西部では東京に近接し、県人口の約5割が居住するなど、人口や商工業の集積が進む一方で、幹線道路では交通渋滞が深刻化しており、市民生活や経済活動に大きな影響をもたらしています。県北西部の交通の円滑化を図り、県内外や成田空港への人や物の流れを一層活発にすることは本県のさらなる発展に寄与するものであり、大変重要です。

 そこで伺います。広域的な幹線道路から県内各地域へアクセスする道路や、渋滞が深刻化している県北西部の道路整備にどのように取り組んでいくのか。

 次に、県境橋梁について伺います。

 本県の隣接都県との県境では、限られた橋梁に交通が集中し、慢性的な渋滞が発生しており、県境橋梁の整備は、交通の円滑化や災害時における代替性、多重性を確保するという点でも非常に重要です。埼玉県三郷市から本県の流山市、柏市を経由し、茨城県つくば市を結ぶ都市軸道路では、埼玉県境の三郷流山橋が令和5年11月に供用されており、今後、茨城県境に建設する利根川渡河橋の整備によって構築される3県を結ぶ新たな道路ネットワークは、交通混雑の緩和だけでなく、各県のさらなる発展に寄与するものと期待をしているところです。

 また、東京都境において事業中の旧江戸川に架かる(仮称)押切・湊橋の早期整備が必要であるほか、埼玉県境においては、野田橋周辺で依然として渋滞が発生していることから抜本的な対策が必要と考えています。

 そこで伺います。隣接都県との交流、連携の強化に向け、県境橋梁の整備について、どのように取り組んでいくのか。

 次に、盛土対策について伺います。

 令和3年7月に静岡県熱海市において、大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことなどを契機に、危険な盛土等を包括的に規制する宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法が令和5年5月に施行されました。近年、自然災害が激甚化、頻発化している中で、盛土等による災害から県民の生命、財産を守っていく取組が非常に重要となっているため、昨年6月に我が党の代表質問で取り上げ、執行部からは、本年5月までに規制区域を指定することや、県民や事業者に丁寧に法の周知を図っていくとの答弁がありましたが、盛土による災害の発生を防止するためにはしっかりと法を運用していくことが不可欠と考えております。

 そこで伺います。盛土規制法を適正に運用していくため、県はどのように取り組んでいくのか。

 次に、県営水道料金の改定についてです。

 県営水道は、給水人口約300万人を抱える全国でも屈指の水道事業体として、多くの県民の生活や事業者の経済活動を支える重要なインフラを提供しているところですが、多くの施設が昭和30年代以降に集中して整備され、一斉に老朽化が進む中、昨年1月の能登半島地震における被害や、今年1月の八潮市における道路陥没事故などが発生したことを考えれば、本県においても同様な災害や事故が発生することが心配されるところです。

 こうした状況の中、昨年の9月議会において、施設の更新・耐震化を着実に進めていくため、必要な財務基盤をどのように確保していくのかと質問したところ、健全な財務基盤を確保していくためには料金の値上げは避けられないとの答弁がありました。一方で、住民の暮らしや経済活動の基盤となる水道料金の値上げについては、家庭や企業にとって大きな負担となることから、我が党においては、施設の更新や耐震化をしっかりと進めながらも、値上げ幅を抑制するため、あらゆる方策に取り組むよう、様々な機会を通じて要望してきたところであります。これを受け、昨年の12月議会において、どの程度の料金の値上げが必要になると考えているのかと質問したところ、約23%の改定が必要となりますが、一般会計からの繰入れを行うこととし、値上げ幅を20%程度に抑えてまいりたいとの答弁がありました。

 そうした中、先週に開催された千葉県水道事業運営審議会において、県から、令和8年度から5年間の値上げ幅を18.6%とする料金改定案が示されたところですが、どのような試算に基づいて今回の値上げ幅になったのか、気になるところであります。

 そこで伺います。県営水道の料金引上げについて、審議会で示した改定案はどのような検討に基づくものなのか。また、今後、料金引上げに向けてどのように取り組んでいくのか。

 次に、教育問題について伺います。

 知事の政治姿勢でも言及したところですが、高校授業料の無償化は少子化が進む中でもあり、県立高校への影響が非常に懸念されるところです。そうした中にあっても、県立高校が魅力ある学びの場として選ばれるためには、それぞれの学校が特色ある学びを展開して、子供たちの可能性や能力を引き出していくことが重要と考えます。また、不登校やいじめ、貧困など、子供たちの抱える事情や高校に求められる取組も多様化しており、県立高校にはこうしたニーズに的確に対応していくことが求められています。

 これに対し、県教育委員会では県立高校改革推進プランに基づき、今後の県立高校の活性化に向けた取組や統合、再編などを内容とする第2次実施プログラム(案)を公表しました。県立高校の活性化を確実に進めていくためには、県立高校に求められる役割を認識し、魅力化に取り組んでいく必要があります。

 そこで伺います。県教育委員会では、県立高校の役割をどう考え、魅力向上にどのように取り組んでいくのか。

 次に、特別支援学校の過密解消についてお伺いをいたします。

 近年、特別支援教育に対する期待や信頼感の高まりから、全国的に特別支援学校の児童生徒数が増加しています。さらに、千葉県の東葛飾・葛南地域など、人口が増加している地域では、過密化に伴う特別支援学校の教室不足がより深刻な問題となっています。現在、教室の合同使用や特別教室等の転用により対応せざるを得ない状況にあり、障害のある子供たちが適切な教育を受けられるよう、過密解消に早急に取り組むべきであります。県教育委員会では、これまでも計画的に新設校や分校の設置、増築等の整備を行ってきており、今回の6月補正予算でも新たな学校の整備に向けた事業費を計上しています。今後も続くと思われる特別支援学校の過密状況にどのように対応していくのか、大変懸念するところです。

 そこで伺います。特別支援学校の過密解消に向けてどのように取り組んでいくのか。

 次に、不登校児童生徒の支援について伺います。

 不登校児童生徒数は依然として増加傾向にあり、令和5年度では全国の小中学校で約35万人と、前年度より約5万人増加し、また、本県においても公立小中学校で1万4,300人と、前年度より2,218人増加しています。千葉県では、議員発議により、全国に先駆けて千葉県不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例を制定したところであり、県では、条例に基づく基本方針を策定して不登校児童生徒の支援に取り組んでいます。その1つが、中学生を対象に昨年度から開始したオンライン授業配信「エデュオプちば」であり、これまで学びたくても学べなかった生徒たちが自分のペースで学習に取り組むことができることから大変好評と伺っています。さらに、今回の6月補正予算でも新規事業が計上されていますが、県教育委員会には、多様な教育機会を確保するため、児童生徒や保護者の要望も踏まえ、さらなる支援策を講じていくことが求められています。

 そこで伺います。不登校児童生徒への支援について、どのように取り組んでいくのか。

 以上で1問目の質問といたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(瀧田敏幸君) 岩井泰憲君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 答弁に先立ちまして、本日、長嶋茂雄氏の突然の訃報に接し、心より哀悼の意を表します。

 長嶋茂雄氏はミスタープロ野球と呼ばれ、プロ野球が国民的スポーツになる原動力となった最大の功労者であり、千葉県民のみならず、国民から今もなお愛される存在でした。佐倉市出身で、平成25年には県民栄誉賞も受賞された同氏の功績は計り知れず、多くの国民に夢と希望を与えてくださいました。心からの感謝とともに、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

 それでは、自民党の岩井泰憲議員の代表質問にお答えをいたします。

 まず、政治姿勢についてお答えをいたします。

 官製談合防止法等違反事件についての御質問ですが、令和6年1月の県土整備部の事案発生に続き今回再び事案が発生したことは、県民の皆様の県政に対する信頼を大きく損ねるものであり、大変申し訳なく思います。本件の捜査が終了し、送検され、県としても調査が可能となったことから、今後速やかに今回の事案が発生した背景、原因などについて職員から聞き取り調査を実施するなど、事実関係を詳細に確認してまいりますが、今回は若手職員が当事者となっていることから、職場内教育など組織としての対応についてもしっかりと調査する必要があると考えています。このような調査結果を踏まえ、これまでのコンプライアンスの取組を検証し、このような事件を二度と起こさないよう再発防止の徹底を図り、県民の皆様の信頼回復に努めてまいります。

 総合計画素案の作成に関する御質問ですが、私は令和3年の知事就任後、徹底した現場主義の下で県政の課題を把握するとともに、新しい千葉の時代を切り開いていくため、総合計画を策定し、これまで各種施策を推進してきました。この間の第2の開港とも言うべき成田空港の機能拡張や道路ネットワークの整備、進展などを通じ、本県の広域的な拠点としての優位性がさらに高まり、県内の活力がより一層向上する好機を迎えています。一方、本格的な人口減少社会の到来や自然災害の頻発化、激甚化、高齢化のさらなる進行など、我が国全体が抱える課題にも直面をしております。また、社会経済のグローバル化、デジタル化の進展や新型コロナウイルス感染症の経験などを経て、人々の価値観やライフスタイルは大きく変わりつつあります。このように本県を取り巻く社会経済環境が変化をする中、本県の活力をさらに高めていくため、こうした課題にいち早く対応し、挑戦することで県民の命と暮らしを守るとともに、豊かなライフスタイルを実現できる県づくりを加速させていきたいと考えています。

 新たな総合計画の実施期間となる今後4年間は、成田空港における第3滑走路の新設や圏央道の県内区間全線開通がいよいよ最終局面を迎えるなど、本県にとって、さらなる飛躍に向けた絶好の機会であり、これらによる効果を県内全域へと波及させ、県全体の発展につなげていくことが重要です。このため新計画の素案については、これまでの取組の成果を生かしつつ、さきの選挙において県民の皆様にお示しをした県政ビジョンを踏まえ、おおむね10年後を見据えた課題意識や本県の目指す姿を示すとともに、その実現に向け、新しい千葉の未来を共につくっていくとの考えの下、作成をいたしました。引き続き県議会の皆様をはじめ県民や市町村、有識者の皆様からの様々な御意見を伺い、英知を結集しながら、本年9月議会に計画案をお諮りするべく取り組んでまいります。

 高校教育の充実についての御質問ですが、情報化や技術革新の進展など社会構造が大きく急激に変化をしている中、千葉県の未来を担う人材を育てる教育は県の最重要施策の1つと考えており、今般の授業料無償化を踏まえた高等教育のさらなる充実は喫緊の課題と認識をしています。県では、これまで世界で活躍できる人材育成、ICTの利活用や産業界等と連携をしたキャリア教育など、教育内容の充実に取り組んできたほか、教員の確保や資質の向上、安全・安心な教育環境の整備に加え、経済的、家庭的理由などの様々な困難に対する支援など、高校教育施策の充実に幅広く取り組んできたところです。引き続き国による支援制度拡充の動向を注視しつつ、県としても、子供たちが社会の変化を前向きに受け止め、未来を切り開いていけるよう、教育分野だけでなく、経済・福祉分野と連携をするなど、全庁を挙げて時代に即した高等教育の実現に戦略的に取り組んでまいります。

 新たな産業用地の整備の促進についての御質問ですが、県では、県経済を牽引していくことが期待される地域について、企業の立地動向や集積を図ることが望ましい産業分野などの調査、検討を進めてきたところです。これらの調査等において、企業等からは、成田空港の機能拡張や圏央道をはじめとする道路ネットワークの整備、進展など、本県のポテンシャルの向上に期待する声が多く、立地ニーズは高まっており、これらに応えるため、産業用地の整備が急務となっています。

 こうした中、これまで県では、市町村が民間開発事業者と連携をして行う可能性調査や、インフラ整備に対し補助金を交付するなどにより支援をしてきましたが、今後はより大規模かつスピーディーな産業用地整備を行っていくことが必要と考えています。このため、民間開発事業者等とのさらなる連携や県の関与をより強めていくことなども含めて、産業用地整備を加速化できる新たな手法を検討してまいります。

 次に、財政問題についてお答えをいたします。

 令和7年度6月補正についての御質問ですが、2期目の最初の予算案として、これまで各分野の関係者の皆様や職員と練り上げてきた施策について、県民や市町村、企業の意見なども踏まえながら、さらに前進させていくとの思いで編成をいたしました。そのため、今後の4年間を見据え、産業振興や道路ネットワークの整備など、本県の発展に不可欠な事業や教育環境の充実、子供、若者の支援などに重点的に予算を配分しています。具体的には北千葉道路をはじめ、来年度開通する圏央道のアクセス道路の整備、若者のキャリアアップのための相談窓口の設置や仲間づくりの支援、スタートアップ支援や中小企業の従業員の奨学金返還への助成、養老渓谷温泉郷での魅力ある観光地づくりの促進、新規就農者や企業の農業参入への助成、特別支援学校の新設や私立学校の支援の充実などに予算を計上いたしました。

 次に、成田空港についてお答えいたします。

 国家戦略特区の活用についての御質問ですが、成田空港における滑走路新設をはじめとした拡張事業や圏央道、北千葉道路など広域道路ネットワークの整備が進む中、千葉県、さらには首都圏全体の国際競争力を高めるため、本県のポテンシャルを生かして民間投資を呼び込む環境づくりを進めることが重要です。このため県では、東京圏国家戦略特区区域の千葉県全域への拡大を目指し、国際航空物流における人材確保やEU向け水産物輸出手続の迅速化など、様々な規制改革項目の提案を重ねてきたところであり、現在、その実現に向け、国のワーキンググループなどにおいて着実に議論が進められているものと認識をしています。今後、早期の区域拡大に向けて、民間企業、市町村、関係団体等との連携をさらに深めながら、成田空港の拡張を契機とした国際的なビジネス拠点の形成や新産業の創出に取り組んでまいります。

 成田空港の機能強化に係る用地確保についての御質問ですが、第3滑走路の新設を含む成田空港の拡張事業は第2の開港とも言うべき大規模なものであり、先月、本格着工を迎えたことは非常に大きな意義があります。拡張事業を実施合意してからこれまでの、空港会社など関係者の皆様の努力に敬意を表するとともに、地権者をはじめとする地域の皆様の御協力にも感謝を申し上げます。

 今年4月、空港会社が掲げる令和11年3月の第3滑走路等の供用開始に向けて、国土交通大臣から空港会社に対し、用地確保の具体的方策を検討する場として、成田空港滑走路新増設推進協議会を設置するよう指示があり、県に対しても国及び空港会社から協力依頼がありました。拡張事業の早期実現は、我が国の産業競争力の強化と空港を核とした地域づくりに不可欠であることから、県としては推進協議会に参画をするとともに、埋蔵文化財調査の迅速化をはじめ、空港会社が用地確保に注力できる環境整備に取り組んでまいります。

 次に、防災対策についてお答えいたします。

 地震被害想定調査についての御質問ですが、本県は地震防災対策を効果的に推進するため、本県に影響を与える可能性のある地震について、人的・物的被害や避難者数、ライフラインへの影響などの具体的な被害を想定する調査を約10年置きに実施をしているところです。今回の調査では、前回調査で想定をした千葉県北西部直下地震のほかに、房総半島周辺の複雑なプレート形状に起因をした地震発生リスクに関する最新の知見を踏まえ、大正12年に発生した地震と同規模の関東地震及び房総半島東方沖地震の2つを新たに加えることといたしました。今後、調査結果がまとまり次第、地域防災計画や地震防災戦略、備蓄に関する計画などの見直しを進めるとともに、地震や津波に対する県民の防災意識の向上を図ることで県民の防災・減災対策の強化に努めてまいります。

 次に、若者の仲間づくりの支援についての御質問にお答えをいたします。

 少子化が進む中、希望する誰もが結婚できる環境を整えていくことが重要であるため、県ではメタバースを活用した婚活支援や、市町村が実施する結婚支援事業への補助などに取り組んできたところです。こうした取組に加え、新たな少子化対策を検討するために昨年度実施した若者を対象とする意識調査では、単なる婚活支援ではない出会いの機会を求める声が多く上がりました。あわせて、県の若手職員によるプロジェクトチームにおいて検討を重ねた結果から、共通の趣味や関心をきっかけとした、気軽に参加できる出会いの場の創出に取り組むこととし、6月補正予算に若者の仲間づくり支援事業を計上したものです。今後、市町村や県内の企業などと連携をして、スポーツや文化芸術等の趣味や関心を通して若者が集まる機会を創出し、若者の出会いや、互いに支え合える仲間づくりを県全体で応援する機運の醸成を図ってまいります。

 次に、芸術祭についてお答えをいたします。

 百年後芸術祭のような取組に関する御質問ですが、千葉県誕生150周年記念事業で生まれた多様な主体や市町村の広域連携による取組を財産として引き継ぎ、本県ならではの文化芸術として発展させていくためには、こうした取組を継続的に実施していくことが重要であると認識をしています。このため県では、県と複数の市町村が連携して行う芸術祭を3年に一度開催することとし、現在、市原市、木更津市、大多喜町の3市町が来年度の開催に向けて準備に取り組んでいるほか、その他の地域においても実施の検討が進められているところです。この芸術祭を通じて新たな文化の潮流が生まれ、千葉の強みを生かした文化芸術が創造、発信されるよう取り組むとともに、今後のインバウンド需要を見据え、千葉のブランド価値の創出向上につなげてまいります。

 次に、県内経済の活性化についてお答えいたします。

 魅力ある観光地域づくりについての御質問ですが、本県は海や温泉など豊かな観光資源を有しており、これまで県では、地域資源を活用したコンテンツ開発への支援などを通じて観光地の魅力向上を図ってきたところですが、今後は現在検討している宿泊税の活用も視野に、より大胆な施策を展開していきたいと考えています。そこで、この6月補正予算では、まずは国の交付金を活用し、地域特性を踏まえたブランディングやコンテンツ造成、観光客の利便性向上など、魅力的な観光地づくりに県が主体的に取り組んでいくことといたしました。具体的には市原市、大多喜町の2市町にまたがり、白湯、黒湯の2つの泉質が楽しめる養老渓谷温泉郷において、地元市町のほか、民間事業者などと連携をしながら、ナイトタイムコンテンツの創出や交通利便性の向上に向けた実証等を進めていきたいと考えています。今後も海や温泉などを生かした観光地づくりに多様な主体と協働しつつ能動的に関わっていくこととし、高付加価値コンテンツの整備や民間資本の積極的な呼び込みなどを通じて、将来にわたって選ばれる観光地を形成し、地域経済の活性化につなげてまいります。

 次に、幕張新都心の活性化についてお答えいたします。

 千葉市のマリンスタジアム再整備についての御質問ですが、千葉市が公表したマリンスタジアムの再整備案は、幕張豊砂駅に近接する場所としたことで大型商業施設や幕張メッセとの相乗効果、若年世代の誘客、回遊性の向上など、様々な効果により幕張新都心の活性化、ひいては県経済の発展への寄与が期待できるものと考えています。この実現に向けては、周辺道路の交通混雑や幕張メッセへの影響など検討すべきこともありますが、県としても、スタジアムの再整備がより広域的な活性化につながるよう、今後、幕張メッセをはじめとする地域の関係者とともに、課題解決に向けて前向きに千葉市と協議、調整を進めてまいります。

 次に、農林水産業の振興についてお答えいたします。

 持続可能な水田農業についての御質問ですが、稲作農家が安心して米生産に取り組み、将来にわたり消費者に米を安定的に供給していくためには、需給バランスを適切に維持し、米価の安定を図るとともに、収益性の高い水田農業への転換を進めていく必要があります。そこで県では、国が示す米の需給見通しや県産米の在庫量を踏まえ、毎年、主食用米の生産目安を設定し、需要に応じた米生産を進めるとともに、担い手への農地の集積、集約化による生産規模の拡大やコスト低減を図るための機械等の導入を支援しているところです。さらに、作業が大幅に省力化できるスマート農業技術や、高温下でも食味や収量性に優れた品種の導入、普及を進めるなど、より一層の生産性の向上を図ることにより、持続可能な水田農業の実現に向けて取り組んでまいります。

 次に、県土整備政策についてお答えいたします。

 広域的な幹線道路ネットワークについての御質問ですが、圏央道や北千葉道路などの広域的な幹線道路ネットワークの整備は、半島性を克服し、県内を広く活性化させる上で大変重要です。圏央道の大栄-横芝間では、令和8年度までの確実な開通に向け、国に最大限協力をしていくほか、成田空港及び周辺地域を結ぶ新たなインターチェンジの早期の事業化に向け取り組んでまいります。また、北千葉道路では、県が施行する成田市区間において橋梁工事などの整備を進めていくほか、国が施行する市川-松戸間において用地取得に着手されたところであり、未事業化となっている市川-船橋間については、引き続き早期事業化を国に働きかけてまいります。さらに新湾岸道路では、先月、第2回有識者会議が開催され、道路計画の必要性を確認し、概略ルート案などが示されたところであり、千葉北西連絡道路では、現在、沿線地域への情報提供や意見把握を行うオープンハウスなどを開催しているところです。引き続き国や関係機関と連携をし、広域的な幹線道路ネットワークの充実強化に向け全力で取り組んでまいります。

 盛土規制法の適正な運用に向けた取組についての御質問ですが、盛土等による災害から県民の生命、財産を守っていくためには、盛土規制法を適正に運用していくことが重要であり、県では、5月26日から県全域を宅地造成等工事規制区域に指定し、一定規模以上の盛土等を対象とした規制を開始したところです。また、法の適正な運用を図るため、盛土規制を所掌する宅地安全課を新設し、地域振興事務所と連携した機動的できめ細かい対応を可能とする体制を整備したほか、隣接する都県市と広域的に連携して、事例の共有や運用上の課題などについて研究していくこととしております。このほか、盛土等が行われた土地を安全に保つ責務は事業者だけではなく土地所有者にも及ぶことから、ホームページ、パンフレット等により積極的に制度の周知を図っています。今後も近隣都県市、警察等の関係機関や地元市町村と密接に連携をし、盛土規制法の適正な運用に向けた取組を進めてまいります。

 最後に、県営水道についてお答えをいたします。

 水道料金の引上げに関する御質問ですが、今般、県営水道における令和8年度から令和12年度までの収支見通しについて、令和6年度決算見込みを踏まえ、動力費や修繕費などの経費に係る最新の価格動向を加味して改めて算出をしたところ、23.7%の水道料金の引上げが必要と見込まれました。一方で、一般会計から上水道事業会計への繰出金については、国において、水道事業の防災対策強化の観点から増額となるような基準の見直しが行われ、これに基づき上限額まで繰り出すことで、引上げ幅を18.6%まで抑えてまいりたいと考えています。このような内容の料金改定案について、先週開催された水道事業運営審議会に諮問したところであり、今後は審議会の中に設置をされた学識経験者から成る部会において、専門的な見地から水需要の見通しや、浄・給水場や管路の更新・耐震化の考え方、具体的な料金体系などについて議論を深めてまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

○議長(瀧田敏幸君) 副知事高梨みちえ君。

 (説明者高梨みちえ君登壇)

○説明者(高梨みちえ君) 私からは、まず、行財政改革計画の改訂についての御質問にお答えいたします。

 少子高齢化や人口減少、人材の流動化等が進み、本県においても人材不足が深刻化している中、総合計画に掲げられる施策を着実に推進するとともに、多様化する県民ニーズに対応していくためには、県庁全体の生産性を一層高めていく必要があります。そこで、新規採用職員等への支援や共通事務の集約化、窓口業務の見直しといった、業務の効率化による柔軟で機能的な行政経営の推進、多様な人材が良好な職場環境で意欲的に活躍するためのウエルビーイングの向上、日々進展するデジタル技術やオープンデータを活用して県民サービスの向上を図る新たな行政スタイルの構築、自主財源の確保や事務事業の不断の見直しによる持続可能な財政構造の確立、広域課題に対する市町村との連携、協働の強化などに戦略的に取り組んでいけるよう、行財政改革計画の改訂作業を進めてまいります。

 次に、財政問題について、令和6年度の一般会計の決算見込みについての御質問にお答えいたします。

 令和6年度の年間収支は、2月補正予算段階で財政調整基金を108億円活用することで収支が均衡する見込みとなっていました。その後、歳入面では、税収が想定ほど伸びなかった一方、歳出面では、人件費や社会保障費、税関係交付金等の確定に伴う不用額が生じたことなどから190億円程度の収支改善を見込める状況となりました。これを受け、財政調整基金については、今後の財政需要に備えるため取崩しは行わないこととし、その結果、令和6年度の収支は、現時点では80億円程度の黒字を確保できる見込みとなっています。

 なお、最終的な決算見込みは今後精査の上、8月上旬頃にお示しできるものと考えています。

 次に、再整備に向けた県庁舎の在り方についてお答えいたします。

 県庁舎は、県民の暮らしを守り支えるため、広域的な防災拠点としての機能を確保するとともに、県行政の拠点としてふさわしい機能を備える必要があります。このため再整備に当たっては、災害時でも業務を継続できる強靱性と、職員がその能力を十分に発揮し、質の高い行政サービスを提供できる機能性を確保するほか、将来を見据え、様々な利用を可能とする柔軟性やライフサイクルコストなどの経済性も考慮しながら長期間効率的に使用できる庁舎とすることが重要です。今後、議会や県民の皆様、外部有識者等の意見も伺いながら、県庁舎等の再整備に向けて、8年度末を目途に基本構想や基本計画の策定に取り組んでまいります。

 次に、公文書管理についてお答えいたします。

 公文書管理の在り方の検討についての御質問ですが、公文書は県の歴史的事実や行政活動が記録されたものであることから、県として適正かつ効率的に管理するとともに、県民共有の知的資源として適切に保存、利用され、将来の世代に確実に引き継がれていくことが必要だと考えています。このため県では、デジタル化等の時代の変化に対応した公文書管理の在り方について検討を進めることとしており、今年度は知事部局や公営企業、行政委員会等で構成する庁内の検討組織を立ち上げ、各所属における公文書管理の現状や課題、効率的、効果的な管理の在り方に向けて検討すべき項目などを整理することとしています。また、公文書のデジタル化や管理手法の変更に伴う関係規定の大幅な見直しが見込まれることから、その影響を精査するほか、有識者からの意見も伺いながら、条例制定を含めた公文書管理の在り方について検討を進めてまいります。

 次に、防災対策についてお答えいたします。

 防災DXの推進に向けた取組についての御質問ですが、地震や台風などの災害発生時には被災状況の把握や被災者への支援等を迅速かつ的確に行うことが必要であり、そのためには防災分野におけるDXの推進が有効であると考えています。このため県では、地震や津波の被害を予測するシステムの導入や、現地の状況を把握するためのドローンの配備に加え、SNSに投稿された情報をAIを用いて収集、分析を行うシステムを導入するなど、災害対応に資するデジタル技術を積極的に活用しています。また、市町村に対しては、防災業務のデジタル化に対し地域防災力充実・強化補助金を拡充するとともに、デジタル技術を活用した避難所運営に関する研修の実施などにより支援を行っているところです。さらに、国の総合防災情報システムとの連携により国、県、市町村間の情報共有の円滑化を図るほか、市町村での罹災証明発行業務等を迅速に行えるよう被災者支援システムの全県導入を進めるなど、防災分野におけるDXを一層推進してまいります。

 次に、松戸市における児童の死亡事案についての御質問にお答えいたします。

 県では、今回の事案について、虐待により児童が死亡した痛ましい重大事案と認識しており、大変重く受け止めています。このため、学識経験者や弁護士などの専門家で構成する児童虐待死亡事例等検証委員会において、本事案における柏児童相談所の対応等について分析、検証する必要があると考えており、速やかに検証を開始すべく準備を進めているところです。あわせて、現在進めている児童相談所職員の採用活動の強化などの人材の確保、育成や電話対応への支援等を行う音声マイニングシステムの導入をはじめとした業務改善など、児童相談所の体制強化に向けた取組を着実に実施することにより、貴い命が二度と失われることがないよう、虐待防止対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、ギャンブル等依存症対策についてお答えいたします。

 本年4月の千葉県ギャンブル等依存症対策推進計画の中間見直しでは、ギャンブル等依存症に関する相談件数の急増や、若年層を中心にインターネットを介したギャンブルへの依存が広がっていることに対応するため、相談支援体制の充実、若年層に向けた効果的な啓発の推進、自助グループの活動に対する支援の強化などに重点的に取り組むこととしています。具体的には、専門家による相談日を大幅に増やすなど相談支援体制を強化したほか、警察や教育と連携してオンラインカジノの違法性を周知しているところであり、今後は依存症に関する正しい知識が若年層に確実に届くよう啓発動画を作成し、学校等で活用するとともに、著名人を起用した体験に基づく講演会を開催するなど、より効果的な啓発を推進してまいります。さらに、依存症からの回復に効果的な自助グループが取り組むミーティング活動や、伴走型の相談支援に対して助成するなど、依存症を抱える本人やその家族に対する支援の一層の充実を図ってまいります。

 次に、防犯対策についてお答えいたします。

 地域防犯力の向上に向けた取組についての御質問ですが、犯罪の不安がない安全・安心な社会を実現するためには、県民一人一人が防犯意識を持ち、県民、自主防犯団体、事業者などが一体となって防犯対策に取り組むことが重要です。そのため県では、防犯カメラ設置等のハード面での取組に加え、自主防犯団体や大学生等が行うボランティア活動を支援するとともに、県民自身が犬の散歩やジョギングなどの際に周囲の様子に目を配ることにより、地域の安全を守るプラス防犯の取組を推進しています。さらに今年度からは、事業者が地域において業務活動を行いながら、不審者情報や犯罪発生の通報等に御協力いただく「プラス防犯協力事業者登録制度」を設け、先月14団体に登録証を交付しました。今後は協力事業者の活動を県民に広く周知するとともに、様々な関係団体と連携しながら、多様な目により地域防犯力の向上を図り、県民が安心して暮らせる千葉県づくりに取り組んでまいります。

 次に、環境問題についてお答えいたします。

 金山落周辺におけるPFOS等への対応に関する御質問ですが、県では、金山落のPFOS等の超過原因について、周辺市とともに調査を進めてきたところであり、下総航空基地の排水で高濃度のPFOS等が検出されたことなどから、その排水が超過原因の1つであるとして、基地に対し、排水口での流出防止対策や検出原因の調査等の実施を依頼しました。基地からは、流出防止対策とその効果検証に向け準備を進めているほか、排水口でPFOS等が検出された原因の調査についても適切に対応するとの回答があったことから、進捗状況をしっかりと確認してまいります。また、地下水汚染については、県は技術的助言や財政的支援を行い、周辺市と連携して地下水の流れを調べるなど、原因特定に向けた調査を進めており、引き続き県民の不安の払拭と健康被害の未然防止に努めてまいります。

 一般廃棄物の長期広域化等計画の策定についての御質問ですが、県では、一般廃棄物の持続可能な適正処理の確保に向けた2050年度までの長期広域化等計画の策定に当たり、市町村の意向を確認しながら進めることが重要との有識者の意見を踏まえ、市町村の施設整備に係る意向等の基礎調査を行うとともに、ごみ排出量の将来予測を行ってきました。本年度は広域化、集約化を協議するブロック区割りについて、市町村に県の考え方を提示したところであり、今後、ブロックごとに設置する協議会において廃棄物の処理体制等の検討を行い、計画骨子案の策定を目指してまいります。広域化、集約化に当たっては、既存施設の整備時期が異なることや、ブロック内での施設の規模、数の調整など様々な課題があることから、引き続き有識者の御意見を伺うとともに、市町村の意向を丁寧に確認しながら計画策定に向けて取り組んでまいります。

 次に、県土整備政策についてお答えします。

 アクセス道路や県北西部の道路整備についての御質問ですが、広域的な幹線道路の整備効果を全県に広げていくため、アクセス道路の整備は重要と考えています。銚子連絡道路の匝瑳市から旭市間では用地の取得に向けた準備を進めており、長生グリーンラインの広域農道から一宮町までの区間では道路の予備設計を進め、今年度中に地元説明会を開催する予定です。また、国道356号では、香取小見川バイパスなど2か所の設計等を行うとともに改良工事を進めるほか、他の国道においてもバイパス整備などを推進してまいります。さらに、人口が集中し、渋滞が深刻化している県北西部については、沿線市や国などとも連携し、県道船橋我孫子線等の整備に取り組み、渋滞による損失時間の解消など、道路ネットワークのサービスレベルの向上に努めてまいります。

 最後に県境橋梁の整備についての御質問ですが、隣接する都県との交流、連携を強化し、地域経済の活性化や防災力の向上を図るためには県境橋梁の整備が重要と認識しています。都市軸道路の利根川渡河橋については、本年1月、千葉県、茨城県両知事及び沿線関係者の方々とともに国土交通大臣に事業化を要望し、今年度からの新規事業として採択されました。事業の実施に当たっては、現地調査や関係者調整を重点的に行い、適切な執行管理やコストマネジメントに取り組んでまいります。また、東京都との県境橋梁となる(仮称)押切・湊橋については、今年度から用地取得に着手するとともに橋梁設計を進め、埼玉県との県境橋梁である野田橋周辺については、交通混雑の緩和に向けて、4車線化に向けた道路設計などを進めてまいります。引き続き隣接都県と連携しながら、県境橋梁の整備推進に努めてまいります。

 私からは以上でございます。

○議長(瀧田敏幸君) 副知事黒野嘉之君。

 (説明者黒野嘉之君登壇)

○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、県内経済の活性化についてお答えいたします。

 スタートアップの育成と振興に向けた県の支援についての御質問ですが、深刻化する人手不足やエネルギー原材料価格の高騰など、県内企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、革新的な技術やサービスの提供などにより新たな市場を切り開くスタートアップの育成と振興は、本県経済の持続的な発展を図る上で重要と考えております。一方、多くのスタートアップは創業から間もないこともあり、資金調達や販路確保、自社の強みを最大限に生かすための連携先企業の発掘など、自社の技術ノウハウのみでは対応が難しい課題を抱えております。そこで県では、スタートアップと大企業、投資家、研究機関等が定期的に集うコミュニティーを形成し、多様な主体の連携を図ることで新たな価値の創出を促進するなど、スタートアップの成長につながる支援に取り組んでまいります。

 次に、幕張新都心の活性化に関し、老朽化が進む幕張メッセの改修についての御質問ですが、幕張新都心のさらなる活性化に向けては、地域の中核施設である幕張メッセの機能を維持しながら、コンベンション施設としての魅力を高めていくことが重要と考えております。このため県では、平成28年度から15年間の計画で大規模改修を実施しており、これまでエレベーターの増設やトイレのリニューアル、電気設備の更新など、機能強化や老朽化対策を進めてきたところです。今年度は施設利用者からの要望の多い展示ホール内のWi-Fi整備を継続していくほか、さびが進み、雨漏りのおそれがある北ホールの屋根の張り替え工事に着手する予定です。県としては、今後も幕張メッセが幕張新都心の活性化を牽引する施設であり続けられるよう、イベントに配慮しながら施設の改修を実施し、施設の魅力向上や利用促進に取り組んでまいります。

 次に、鳥インフルエンザの発生予防についての御質問ですが、令和7年1月から2月にかけて発生した鳥インフルエンザについては、国の飼養衛生管理基準を上回る対策を実施していた養鶏業者においても発生が確認され、発生予防に向けたさらなる取組を進める必要があると認識しております。このため県では、今後、疫学調査結果を踏まえた効果的な対策について、発生地域の養鶏業者を交えて検討会を開催するほか、国の専門家や有識者などを招いて発生予防に関する最新の知見に基づく研修会を実施いたします。さらに養鶏業者に対し、発生予防に効果が見込まれる先進的な資機材の導入経費を新たに支援することとし、より一層の発生予防対策に取り組んでまいります。

 次に、鳥インフルエンザが発生した際の対応についての御質問ですが、本県は全国有数の養鶏県であり、一たび発生すれば、養鶏業界のみならず、市場にも大きな影響を及ぼすことから、発生時には早期にウイルスの封じ込めを行い、周辺への蔓延を防ぐことが重要です。このため県では、養鶏業者へ早期発見、早期通報の徹底を改めて指導するとともに、迅速な封じ込めのため、一度に大量処分が可能な鶏の移動用ケージ等を新たに導入するほか、この資機材を実際に使用した防疫演習を実施いたします。さらに、今年度新設した東部家畜保健衛生所に防疫対応に特化した防疫企画課を設け、鳥インフルエンザなどが発生した際には現地対策本部の主軸として機能させるなど、家畜防疫の対応強化に取り組んでまいります。

 最後に、海業の推進に向けた今後の取組についての御質問ですが、海や漁村の地域資源を活用し、にぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待される海業の取組は、漁村地域の活性化を図る上で重要と認識しております。そこで県では、学識経験者や漁業代表者から成る検討会を設置し、県内4地域ごとに、漁業の実態や自然環境などの特色に合わせて目指す姿を示した千葉県海業推進基本構想を本年5月に策定したところです。今後は県内各地において研修会を開催し、基本構想の理念を共有するとともに、それぞれの地域が個性や魅力を生かした海業を計画的に推進できるよう、地元関係者などによる協議会の運営や専門家の派遣に要する経費を助成するなど、各地域の活動を支援してまいります。

 私からは以上です。

○議長(瀧田敏幸君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、県立高校の役割と魅力向上についての御質問ですが、県立高校には、公立ならではの役割として、住む地域にかかわらず学びの場を提供することに加え、社会環境の変化や地域のニーズなどに幅広く柔軟に対応することにより、千葉県、国、国際社会で活躍できる人材を育成することが求められています。このため、5月に公表した第2次実施プログラム(案)においては、地域と連携、協働する小規模校の活性化、水産や工業など職業系専門高校の学びの魅力化、多様なニーズに応える新しい学校づくり、進学指導や理数教育の強化などを改革の柱として、高校の統合や学科の再編、施設設備の充実などを掲げたところです。今後はパブリックコメントや関係団体との意見交換などを行った上で本年秋に決定する予定であり、本プログラムを着実に実施することにより、活力と魅力ある県立高校づくりを進めてまいります。

 次に、特別支援学校の過密解消についての御質問ですが、特別支援学校は教室不足や施設の狭隘化の解消が課題となっていることから、県教育委員会では、第3次県立特別支援学校整備計画に基づき、現在3校の新設及び2校の増築等を進めています。また、整備計画では、状況に応じて必要な対応を検討するとしており、さらなる特別支援学校整備のために活用可能な校地、校舎の調査を進めてきたところ、過密状況の著しい東葛飾地域で流山市に適地が見つかったことから新たな学校を設置することとし、6月補正予算案に設計にかかる費用を計上しました。今後は児童生徒数の最新の見込みなどを踏まえた整備計画の見直しを行うこととしており、引き続き特別支援学校の過密解消に努めてまいります。

 最後に不登校児童生徒への支援についての御質問ですが、様々な要因で不登校となった児童生徒が自分に合った学びを選択しながら将来の社会的自立を目指すことができるよう、多様な教育機会を確保することは大変重要であると認識しています。そこで県教育委員会では、昨年度、中学生を対象に開始したオンライン授業配信を、今年度は小学4年生から6年生も対象にするとともに、新たに仮想空間であるメタバース上で児童生徒が交流や相談などを行える場を設置することとしたところです。さらに、関係者との意見交換や昨年度実施したモデル事業を踏まえ、学習や体験活動などの学びの場を提供するフリースクールについて、当該活動経費の一部を補助する制度を設けることとしました。引き続き関係機関と連携し、事業の効果を検証しながら、不登校児童生徒の支援のさらなる充実に取り組んでまいります。

 以上でございます。

○議長(瀧田敏幸君) 警察本部長青山彩子君。

 (説明者青山彩子君登壇)

○説明者(青山彩子君) 私からは防犯対策についてお答えいたします。

 ローンオフェンダー対策に関する御質問ですが、近年、特定のテロ組織等と関わりを持つことなく、社会に対する不満を抱く個人が過激化し、違法行為を敢行する事例が見受けられ、ローンオフェンダーが新たな脅威となっていると認識しています。ローンオフェンダーの中には、違法行為を敢行する前に爆発物や銃砲等、あるいは、それらの原材料を注文、購入、所持するなど、違法行為を敢行するに当たって必要な準備行為のほか、危害をほのめかす場合など、前兆を示す動向が存在します。県警では、職務質問や事件捜査、インターネット上の情報収集等、警察の各部門による日常的な業務において、これら前兆に関する情報を的確に把握することとしています。収集した情報は警備部門に置く司令塔で集約し、警察の総合力を発揮した未然防止活動等の対策を推進してまいります。

 以上でございます。

○議長(瀧田敏幸君) 岩井泰憲君。

○岩井泰憲君 御答弁ありがとうございました。それでは、再質問及び要望を申し上げてまいりたいと思います。

 まず、知事の政治姿勢についてです。

 官製談合防止法等違反事件について、まずは今回の事案が発生した背景、そして原因などをしっかり確認していただき、その上で、このような事件を二度と起こさないよう、再発防止の徹底を図っていただくよう要望したいと思います。

 次に、総合計画について再質問いたします。

 本県の将来を見据えると、計画の実施期間となるこの4年間が、将来の発展に向け、極めて重要な時期であるということが大変よく分かりました。中でも、先ほど知事は、成田空港の拡張事業について、その効果を県内全域に波及させていくと答弁をされましたが、これを実現していくことこそが、本県のさらなる発展には不可欠であるというふうに思います。

 そこで伺います。総合計画素案では、成田空港の拡張事業による効果をどのように全県に波及させていくこととしているのか。

 次に、本県の産業用地の整備について要望したいと思います。

 今後ますます高まるであろう立地ニーズに対応するためにも、産業用地の確保は喫緊の課題であります。現在、市町村や民間事業者と連携して産業用地の確保を進めているとのことでありますが、今後は県がより主体的に取組を進めていくよう要望いたします。

 次に、財政問題について再質問いたします。

 国においては、先月27日に米国関税措置を受けた緊急対応パッケージの一環として予備費3,881億円の支出を閣議決定し、電気、ガス料金への支援を国が実施するほか、地方においては、LPガスや特別高圧電力の料金支援などを実施するため、重点支援地方交付金1,000億円の増額が措置されました。

 そこで伺いたいと思いますが、国の予備費支出を受け、県ではどのように対応していくのか。

 続いて、公文書管理についてです。

 公文書管理に関しては、今年度、庁内の検討組織を立ち上げ、現状の課題、また今後のデジタル化も踏まえて、関係規定の精査の必要性や有識者の意見も聞きながら、条例制定を含めた検討を進めていくとのことであります。執行部におかれましては、随時、議会にも検討状況を御説明いただくようお願いしたいと思います。また、公文書管理についてはその重要性を踏まえ、管理状況の公表といったことも今後の検討の中に入れていただくよう、これは要望したいと思います。

 国家戦略特区について要望いたします。

 先ほどの答弁で、国家戦略特区の活用に向けて国に提案を重ねるなど、積極的に取り組まれているということを大変よく理解しました。成田空港の機能強化に向けて、本県の全域で産業の立地環境が向上するこの機会を最大限生かすため、一日も早い特区の区域拡大が実現されるよう期待しています。その上で、区域拡大が実現した暁には、国内外からの投資を呼び込める環境づくりに向けて特区の積極活用を図っていただくとともに、その活用に当たりましては、民間企業はもとより、地域からの声を酌み取ることも重要でありますので、県内市町村ともしっかり連携をしながら取り組んでいただくよう要望いたします。

 次に、防災対策について要望します。

 答弁にあった被災者支援システムについては、本年度は22市町村が導入予定とのことでありますが、費用負担の面でまだシステム導入をちゅうちょしている市町村もあると聞いています。全県導入を進めるに当たっては、市町村の意見を丁寧に聞きながら、さらなる支援について検討していただくよう要望いたします。

 次に、農林水産業の振興について要望します。

 今後、各地域での海業の検討に当たっては、県が協力していただけるとのこと、大変心強く思います。海業の推進については、多くの地区で期待が高まっています。また、各地域の具体的な計画には食堂や直売所などの施設整備も含まれると予想されますので、ソフト面だけでなく、ハード面についても、国の補助なども活用しながら支援いただきますよう要望します。

 次に、県土整備政策について要望いたします。

 埼玉県、千葉県、茨城県を結ぶ都市軸道路は地域間の連携強化を図る上で重要であり、都市軸道路の利根川渡河橋については、早期の工事着手に向けてしっかり取り組んでいただくよう要望いたします。

 次に、水道料金の改定についてです。

 水道料金の検討状況については分かりました。必要な施設の更新や耐震化はしっかりと進めていかなければなりません。一方で、我が党の主張を取り入れていただき、料金の引上げ幅については、昨年度に試算した20%から若干下がり18.6%となったことは評価ができるところです。具体的な料金体系等の改定案については、引き続き審議会の場で議論されるとのことでありますが、いずれにしても、引上げにより、一般家庭や事業者への影響は少なからずありますので、十分な理解が得られるよう、議論の内容について迅速かつ十分な情報提供と丁寧な説明に努めていただくよう要望いたします。

 教育問題について再質問いたします。

 先ほどの答弁でも触れられた第2次実施プログラム(案)では、都市部における3組6校の高校の統合が盛り込まれています。中学校卒業者数が減少する中、活力ある教育活動の維持のために適正規模、適正配置を図るということであるとしても、統合は地域にとっても大変大きな出来事であり、様々な思いもあると思います。そこで、統合に当たっては将来を見据え、より魅力的で選ばれる高校を目指してほしいと強く願うところです。

 そこで伺います。第2次実施プログラム(案)における統合では、どのような高校を目指していくのか。

 以上で2回目となります。どうぞよろしくお願いいたします。

○議長(瀧田敏幸君) 知事熊谷俊人君。

○知事(熊谷俊人君) 2回目の御質問にお答えいたします。

 成田空港の拡張事業の効果を全県にどう波及させていくのかとの御質問ですが、今後予定をされている圏央道の県内区間全線開通によりまして、成田空港と県内外を結ぶ広域的な幹線道路ネットワークが一層強化をされ、本県の拠点性がさらに高まることにより、産業の集積や雇用の創出が加速していくことが期待をされます。このため国家戦略特区の活用など、民間投資を呼び込む環境づくりや、成田空港と各地を結ぶ幹線道路ネットワークへのアクセス道路などの充実を図るとともに、県内各地域の特性や強みを最大限に生かして、人、物、財の流れをさらに大きくすることで、こうした効果を全県に波及させてまいります。

○議長(瀧田敏幸君) 副知事高梨みちえ君。

○説明者(高梨みちえ君) 国の予備費支出への県の対応についての御質問ですが、国では、米国の関税措置を受けた緊急支援パッケージの一環として予備支出を決定し、先月27日に本県に対して重点支援地方交付金約19億円を配分する旨の通知がありました。現在、今議会に補正予算案を追加提案できるように検討しているところです。

 以上でございます。

○議長(瀧田敏幸君) 教育長杉野可愛君。

○説明者(杉野可愛君) 統合により、どのような高校を目指すのかとの御質問ですが、統合に当たっては、これまでの各学校の学びを継承しつつ、近年多様化する社会や子供たちのニーズに応える特色ある高校づくりを進めていくこととしております。具体的には、不登校生徒の支援のためのコース設置やデジタルコンテンツ制作など、生徒の興味、関心に応じた多様な科目の設定、定時制と通信制の併設など、魅力ある学びの場をつくってまいります。

 以上でございます。

○議長(瀧田敏幸君) 岩井泰憲君。

○岩井泰憲君 御答弁ありがとうございました。

 新たな総合計画については、将来にわたって活力ある千葉県づくりに向け、しっかりと検討を進めていただくよう要望いたします。

 財政問題について要望します。県内中小企業からも、米国の関税措置の影響を懸念する声を聞いております。ぜひそうした声を踏まえた取組を検討し、迅速に支援していただきますよう要望します。

 教育問題についてです。このたびの統合や学科の再編などによる県立高校の目指す姿を示していただきました。この取組により、県立高校のさらなる魅力化に全力を挙げて取り組んでいただけるよう要望します。

 国では高校無償化を踏まえ、公立高校などへの支援の拡充を行う方針を示しており、先日、石破首相から発言のあった公立併願制もその1つであると考えられます。県教育委員会としても、国の動向を注視しつつ、統合や学科の再編の実施に当たってはパブリックコメントや地元への説明など、丁寧に進めていただくことも併せて要望いたします。

 以上で私の代表質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○議長(瀧田敏幸君) 暫時休憩します。

 午前11時45分休憩

        

 午後1時開議

○副議長(實川 隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により菊岡たづ子君。

 (菊岡たづ子君登壇、拍手)

○菊岡たづ子君 皆様、こんにちは。立憲民主党、市原市選出の菊岡たづ子でございます。本日は、県議会議員になってから初めての代表質問をさせていただく機会をいただきました。ありがとうございます。全ての方々に感謝申し上げます。

 本日、長嶋茂雄さんがお亡くなりになりました。長嶋茂雄さんのプロ野球選手としての活躍は、スポーツの振興や国民の機運の上昇に尽力された功績はあまりにも偉大です。そして、2004年に発症した脳梗塞、それでも懸命にリハビリに取り組み、体に後遺症が残ってからも国民の前に立つ、そのお姿を見せてくださった勇気に感動せずにいられませんでした。どのようなときにも自分に挑戦し打ち勝つその姿、永久に不滅です。心より御冥福をお祈り申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 まずは、知事の政治姿勢の新たな総合計画について伺います。

 熊谷知事は、さきの知事選において、1期目の4年間の流れを止めることなく、災害や犯罪に万全の態勢で備え、全世代に目配りした支援で県民の暮らしを支え、雇用と経済がさらに飛躍する千葉県づくりを目指していくことなどを公約に掲げられました。また、当選後は、これまで培ってきた県の職員との信頼関係を基盤とし、2期目はフルスロットルで政策を遂行していくことができるともコメントされています。

 このたび県が公表した新たな総合計画の素案では、県経済の発展に向けた様々な施策に加え、県民の命と暮らしを守る防災対策をはじめ、県民一人一人がその人らしく活躍することができる社会づくりなど、県民に寄り添った県民目線の施策を展開していくこととされています。今後の4年間、知事のリーダーシップの下、こうした県民に寄り添った施策がどのように充実、実行されていくのか、我が会派としても大いに注目しているところです。

 そこで伺いますが、総合計画の素案を踏まえ、今後4年間、県民に寄り添った施策にどのように取り組む考えなのか。

 また、本県は東京に隣接し、商工業の発達した地域や、海や山などの豊かな自然を生かした観光業や農林水産業が盛んな地域など、各地域で様々な特性や魅力を有する一方で様々な課題があると考えられます。例えば県北西部の東葛・湾岸ゾーンでは、人、物の流れのボトルネックになる慢性的な交通渋滞が生じています。また、本県全体のポテンシャルを十分に発揮させるためには、平常時、災害時を問わない安定した人、物の流れを確保する道路ネットワークの充実強化が必要です。今回示された総合計画素案では、この地域の持つ様々な特性により県内を6つのゾーンに設定し、県づくりの方向性を示すこととしていると伺っています。

 そこで伺いますが、総合計画素案では県づくりの方向性を示しているが、どのように取り組んでいくのか。

 次に、幕張新都心のグランドデザインについて伺います。

 この件は、会派の代表質問や会派所属議員の一般質問等でも繰り返しお伺いしているところです。幕張新都心は、国内最大級のコンベンション施設である幕張メッセをはじめ、業務研究機能や質の高い住宅、教育機関、宿泊・商業施設など、職、住、学、遊の複合機能が集積をした活力ある町として発展してきました。直近では、千葉市からZOZOマリンスタジアムの老朽化に伴う幕張メッセ駐車場への移転構想骨子が発表され、近年では京葉線幕張豊砂駅の開業、メルセデス・ベンツ日本の本社移転等の新たな動きもある中、その価値をさらに高めていくためには、県は地元市や地域のステークホルダーとエリアマネジメントの視点を持って緊密に連携していくことが必要です。このため、県市間の幅広い情報共有と総合的な協議の場として設置をした元気な幕張新都心をつくる県市連絡会議など、様々な機会を活用して連携を深め、本県のみならず、首都圏の発展をリードする町として成長していけるように取り組んでいかなければなりません。

 そこで伺いますが、幕張新都心の活性化について、県は今後どのように取り組んでいくのか。

 次に、職員の不祥事についてです。

 去る令和7年5月29日に企業局職員2名が官製談合防止法違反、公契約関係競売等妨害事件の被疑者として千葉地方検察庁に書類送検された事実が県からも発表されました。県では、過去にも同様の事案が重ねて発生しており、令和6年6月には北千葉道路建設事務所の元所長及び県土整備部道路整備課の元班長が千葉地裁において有罪判決を言い渡され、両名の懲役1年6か月、執行猶予3年の刑が確定をしています。平成29年の東葛土木での官製談合事件、令和6年の汚職事件のいずれも入札情報を知り得る職員が入札情報を建設会社に漏えいしたなど、同様の犯行態様となっており、県における対策が十分なものだったのか、疑問視せざるを得ません。

 そこで伺いますが、今回の官製談合防止法違反、公契約関係競売等妨害事件の詳細はどのようなものか。

 また、過去の不正対策で防止できなかった理由をどう考えているのか。

 次は、県庁舎等の再整備についてです。

 この件については平成30年頃から会派の議員が提案を行っているところですが、ようやく軌道に乗ってきた状況となっています。中庁舎や議会棟など、県庁舎等の建物は古いもので約60年を経過しています。今後、建て替えなどの検討が必要な時期を迎えることから、県では以前から庁内で検討してきたと承知していますが、令和5年度からは、さらに事業者への調査委託も活用するなど、より具体的な検討を行っているところです。今年度からは整備方針などを示した基本構想等を策定していくとのことですが、これまでどのような検討をされたのか気になるところです。また、県庁舎等は長期間にわたり使用することから、必要な機能を発揮し続けられるよう、将来を見据えた再整備の検討が重要であると考えます。

 そこで2点伺いますが、県庁舎等の再整備に向けて、これまでの検討状況はどうか。また、今後どのように進めていくのか。

 将来を見据えた再整備が重要だと思うが、どうか。

 次に、市町村DX推進への取組について伺います。

 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の取組では、地方公共団体が人的・財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を可能とすることを目指しています。これに伴い各地方公共団体で取り組まれているが、人材不足などの都合により、進捗が順調な自治体とそうでない自治体が出てきています。千葉県においても遅れの発生が懸念されており、令和6年12月、国の標準化に関する基本方針が改定されたところですが、スムーズな移行を行うために、県としても一層取り組んでいく必要があると考えます。

 そこで2点伺いますが、県内市町村における基幹業務システム標準化の進捗状況はどうか。また、県はどのような支援を行っているのか。

 そして、市町村のDXを進めるため、県はどのような取組を行っているのか。

 次は、選挙ポスターについてです。

 選挙ポスターに、他人や政党の名誉を傷つけ、品位を損なう内容の記載を禁止することや、営利目的で使用することなどの禁止を盛り込んだ公職選挙法の改正案が衆参両院で可決されました。4月2日に公布され、5月2日に法律は施行されました。また、SNSで選挙に関する偽情報の拡散、当選の意思のない候補者がほかの候補者を応援する、いわゆる2馬力と呼ばれる状況に必要な措置を講じると、可決された改正案の附則に明記されました。我が党も法案の審議の中で様々に議論し、与野党共同提出となって可決されました。その審議の中で、これまでポスターの記載内容については公選法上規制がなかったが、今回新たに設けられた。このことは、これまでと大きな違いがあり、その中で行われた議論といったものを都道府県選管等に周知することによって広めていきたいと、与野党の審議委員が互いに確認する議論もあったと聞いています。

 そこで2点伺いますが、5月2日に施行された公職選挙法の改正はどのようなものか。

 また、今回の法改正はどのような理由で行われたのか。

 次は、外国人活躍・多文化共生推進プランについてです。

 県では、これまでの多文化共生推進プランを改訂し、新たに外国人活躍・多文化共生推進プランを策定しました。その内容は、県多様性尊重条例の施行や国の育成就労制度の創設などを踏まえ、これまでの日本語教育の充実や多文化共生意識の醸成に加え、外国人材の確保や定着など、労働力不足への働き手としての外国人の活躍を支援する方向を示しました。しかし、特定技能分野の追加や一定要件の下で転籍が可能となる育成就労制度の創設などから、賃金水準の高い大都市圏への外国人の集中的な流入が予想され、県内での地域住民との摩擦も懸念されます。

 そこで2点伺いますが、今回のプランにおいて、外国人の活躍と共生をどのように位置づけているのか。

 また、在留外国人が地域社会から孤立しないためにどのような施策を検討しているのか。

 次は、避難所の環境改善についてです。

 国においては、令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループの報告書や、スフィア基準等を踏まえ、自治体に対して通知している避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針、避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを改訂しました。それらでは、トイレの確保・管理としてトイレカー、トイレトレーラーの確保等、食事の質の確保としてキッチンカーの活用や飲食業協同組合による調理人の派遣等、生活空間の確保としてパーティションや段ボールベッドを避難所の開設時に設置する等、生活用水の確保として仮設風呂の資機材の備蓄等を追記するとともに、炊き出し設備のモデルパターン、飲食業協同組合との協定のモデル例なども示しています。

 これらに対応するため、国の令和6年度補正予算で新設された新しい地方経済・生活環境創生交付金地域防災緊急整備型について、自治体が避難所の生活環境改善や防災、減災に必要な車両や資機材を整備する際に使用できるものとされ、本県でも2月議会の補正予算で地域防災緊急整備事業として、1億2,000万円でトイレカー6台、簡易ベッド1,000台、パーティション500セットが措置されました。しかし、県内市町村における当該交付金の活用状況を見ると、2月補正予算ということで時間的な制約から活用市町村が少なく、また、トイレトレーラーにはある広域的なトイレカーの連携・応援体制がないことなど、課題があると考えられます。

 そこで3点伺いますが、県内市町村における新しい地方経済・生活環境創生交付金地域防災緊急整備型の活用状況はどうか。

 また、今後の当該交付金の在り方について、県はどう考えるのか。

 そして、トイレカー、パーティション、ベッド等の広域的な活用について、県はどう考えるか。

 次は、介護、医療の人材確保についてです。

 県は今年5月、新たな福祉人材確保・定着推進方針を策定し、業務改善等の視点を含めて総合的な取組を進めるとしています。特に介護現場では、サービスの需要増に職員数の増加が追いつかず、令和8年度には約1万1,000人、令和22年度には約2万8,000人の不足が見込まれています。人手不足を補う点でも、介護現場の業務改善や効率化を進め、限られた人員でサービスの質を確保する必要があります。また、介護人材の定着の点でも職場環境の整備や負担軽減を進めるための業務改善は大変重要です。

 そこで伺いますが、介護現場における業務改善に向けて、県はどのように支援しているのか。また、今後どのように支援していくのか。

 特に介護施設等では、外国人の介護職員が年々増加し、そのマンパワーに支えられている現状があります。県内にある12の介護福祉士養成施設においては、令和6年度の入学者387人の約64%、248人が海外からの留学生であり、ネパール、ベトナムからが多くを占めています。今後、介護人材の需給ギャップを改善する上でも外国人介護人材の確保、定着を着実に進めていく必要があります。

 そこで伺いますが、外国人介護人材の定着に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。

 次は、若手医師の確保についてです。

 国の医師需給計画によれば、人口減少に伴い、令和11年頃には医師の需給は均衡すると推計され、将来的には減少局面にあると見込まれています。一方、本県では、依然として全国38位の医師少数県になっています。医学部の臨時定員増という対策が進められ、医師少数県における若手医師の地域偏在も縮小傾向にあるとのことですが、本県における地域の医療ニーズに対応するためにも、若手医師の確保と定着は依然として大きな課題です。

 そこで伺いますが、臨床研修修了者の県内定着率はどうか。また、県は若手医師の定着促進のため、今後どのような支援を行っていくのか。

 次は、障害者グループホームサービスの質の確保についてです。

 障害のある方であっても、地域でその人らしく暮らせるよう、グループホームの需要が高まっています。一方で障害福祉サービスを提供する事業者が増えており、その質の確保が重要な課題となっています。令和6年には、組織的に食材料費を過大徴収していたグループホームの事業者がいわゆる連座制の適用を受けました。その事業所は、徴収額に見合わない食事内容を利用者に提供したという報道がありました。また、グループホームは運営が見えづらいという課題があり、令和7年度からは事業所と地域の連携による利用者と地域との関係づくり、地域の人への施設等や利用者に関する理解の促進、サービスの透明性、質の確保、利用者の権利擁護を目的に、外部の目を入れた会議体、地域連携推進会議の設置が義務づけられました。

 そこで伺いますが、障害者グループホーム利用者へのサービスの質を確保するため、県としてはどのように取り組んでいくのか。

 次に、地球温暖化対策についてです。

 まず初めに、今定例県議会に新規事業として提出されたペロブスカイト太陽電池を県有施設にモデル的に設置するということについてですが、このペロブスカイト太陽電池を広範に普及させるためには、現在のところ、耐久性の課題や鉛を含む材料の環境リスク、また、エネルギー変換効率のばらつきといった課題があるとのことです。しかしながら、それらの課題を解決したならば、これは将来的に再生可能エネルギーの主力技術になり得る可能性もあります。

 それでは、まず伺いますが、県はペロブスカイト太陽電池に対し、どのような将来展望を持っているのか。

 次は、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画の区域施策編の策定状況についてです。

 この策定状況を関東において比較しますと、東京都は79%、神奈川県76%、栃木県76%、埼玉県68%、茨城県57%、群馬県34%であるのに対し、千葉県は46%で、関東では下から2番目という策定率です。また、関東における地方公共団体の2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明についても、栃木県は100%、茨城県84%、埼玉県83%、神奈川県82%、東京都79%、群馬県56%であるのに対し、千葉県は65%で、やはり関東では下から2番目という表明率でした。

 そこで2点伺いますが、千葉県地球温暖化対策実行計画では、2030年度までに2013年度比で温室効果ガスの40%削減を目標としているが、目標達成に向けて市町村とどのように連携していくのか。

 県内自治体における地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定や、2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の進捗に対して、県はどのように考えているのか。また、今後どのように取り組んでいくのか。

 次は、千葉県経済の活性化に向けた企業立地の促進についてです。

 本県経済の活性化のためには、成田空港周辺における国際物流や脱炭素、デジタル技術に関連する分野など、今後成長が見込まれる産業の集積を図ることが重要です。本県では、今後、圏央道の全線開通や北千葉道路の整備、成田空港の機能強化等により広域的な拠点性が飛躍的に高まることから、これらのポテンシャルを最大限に活用して企業誘致に積極的に取り組まれています。本年度予算では、将来を見据えた産業の誘致を図るため制度を大幅に改正し、支援を拡充されました。

 そこで2点伺いますが、大幅に見直した補助金を活用し、今後、企業立地をどのように進めていくのか。

 また、本県に誘致した企業に対して、どのようにフォローアップしていくのか。

 次は、ミドル世代への支援についてです。

 就職活動の時期には経済情勢の悪化により希望する仕事に就けなかった、いわゆる就職氷河期世代のうち、国が令和元年度に示した推計値によると、不安定就労や無職の人は全国で約93万人となり、この世代の約5%、県内では約5万6,000人で約6%に及んでいます。このような方たちは、キャリア形成が不完全で職に就けない、また早期に離職してしまうといったミスマッチが生じています。就職氷河期世代の方々も50代となり、将来の人生設計の不安を払拭することが必要となってきていますし、同時に生産年齢人口の減少に伴う働き手不足解消のため、学び直しとキャリア形成支援は大変重要です。県では従来、就職氷河期世代を対象とする支援を行ってきましたが、今般の補正予算では、ミドル世代に対象を広げた支援策が盛り込まれていると伺っています。

 そこで伺いますが、県がこれまで行ってきた就職氷河期世代への支援実績はどうか。また、今回新たに実施するミドル世代活躍支援事業はどのようなものか。

 次は、林野火災対策についてです。

 なお、報道等では森林火災、山林火災、山火事等と称していますが、以下、林野庁が使用している林野火災を用いて質問します。

 今年に入り、岩手県大船渡市、愛媛県今治市、宮崎市、岡山市などで林野火災が発生し、大きく報道されました。我が会派では網中議員の声かけにより、有志議員で大船渡市の林野火災現場を視察いたしました。大船渡市の例では、焼失面積3,370ヘクタール、これは東京ドーム720個、大船渡市の面積の約10%に相当し、死者1名、住家被害102棟が生じるなど、大規模な林野火災となりました。気候変動等の影響もあり、お隣の韓国でも3月に大規模な林野火災が発生し、焼失面積約4万8,000ヘクタール、死者は30名に上り、歴史的な寺院、住宅、工場など、およそ4,000件の建造物が焼失したとのことです。

 林野庁の統計によれば、林野火災は昭和49年の年間約8,200件をピークに減少傾向となっているものの、令和元年からの5年間の平均を見ると、年間で約1,200件の林野火災が発生している状況です。林野火災の発生の時期を見ると、約7割は冬から春にかけて集中して発生しており、その原因として大気が乾燥していること、乾燥した落ち葉が堆積していること、風が強いことなどが挙げられます。そして発生した林野火災のうち、原因が明らかになっているものを原因順に並べると、たき火が全体の約30%を占めており、次いで火入れ、疑いを含む放火、たばこ、火遊びの順になっています。

 そこで伺いますが、本県におけるここ3年間の林野火災の発生状況とその原因及び全国順位はどうか。

 また、森林法第21条の規定による火入れに関する市町村条例等の制定状況及び当該条例等に基づく許可制度の運用状況はどうか。また、当該条例等未制定の市町村に対し、県はどのように対応するのか。

 また、消防法第23条に規定されている一定区域におけるたき火、喫煙の制限について、県内市町村では、実態として、条例を制定して、その制限をしている市町村はない状況となっています。しかし、乾燥した落ち葉が堆積した冬季の林野におけるたき火等については、飛び火等によって林野火災の原因となる可能性もあり、実効的な予防対策が必要と考えます。そして、発生してしまった林野火災を早期に消火するためには消防職員、消防機材の強化、充実のほか、ほかの消防本部との広域的かつ有機的な連携などが強く求められます。また、県の地域防災計画において、林野火災についての記載があるものの、その内容は陳腐化、形骸化していると思われる箇所も多い状況となっています。

 現在、国においては、総務省消防庁と林野庁が共同で大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催しており、これには青柳防災危機管理部長が委員として参加していることからも、その知見を踏まえた県の対応が求められます。

 そこで伺いますが、林野火災の予防、林野火災に対する消防力の強化、地域防災計画の見直し等について、県は今後どのように対応するのか。

 次は、荒廃農地対策についてです。

 昨今の食料や農業生産資材の価格高騰をはじめ、気候変動による食料生産や国際情勢の不安定化等により、近年の世界及び我が国の食をめぐる情勢が大きく変化している状況を踏まえますと、本県における食料自給率の向上に向けた取組はますます重要なものとなっています。しかしながら、国内の人口全体が減少局面を迎えている中、農業経営体や基幹的農業従事者も減少が進んでいるなど、農業経営を取り巻く環境は厳しさを増しており、それに伴い、耕作放棄により荒廃し、雑草が生い茂り、鳥獣のすみかになっている荒廃農地の増加が課題となっています。これまで荒廃農地の発生防止や解消に向けて様々な補助事業が用意されてきましたが、事業要件が厳しく実際の活用が難しいなど、荒廃農地の減少にはつながっていないのではないでしょうか。

 私の地元の市原市においても、荒廃農地を解消しようという意欲をお持ちの幾つかの団体が事業を活用してはいるものの、県内で最も荒廃農地が多くなっている状況です。また、国では農地の適切な利用の確保を図るため、令和5年度から農業経営基盤強化促進法に基づく地域計画の策定を全国で進めておりますが、地域関係者の調整がつかず、計画策定につながっていない地域もあり、十分な荒廃農地の解消に向けた取組にはつながっていないと感じています。

 そこで伺いますが、食料自給率の向上のため、県は荒廃農地対策にどのように取り組んでいくのか。

 次は、農福連携についてお伺いいたします。

 私の地元市原市を含めて、今後、農村地域では人口減少、高齢化が進行することが見込まれる中で、これからは農家だけでなく、多様な人々の活躍を通じた地域農業の維持が重要と考えます。その中でも私が着目している取組が農業と福祉の連携、いわゆる農福連携です。農福連携は、様々な障害のある方々が農業の人手不足を補うというだけでなく、社会で生活していく上での居場所づくりにもなり得る、とても重要な取組です。しかし、実際に取り組むに当たっては、例えば農業者側では、障害者が実際にどのような作業をどれくらいのペースで行うことができるのか、また、作業を委託する際の手続が分からない等の声がある一方、福祉事業所側も、農業の現場はどのようなところなのか、障害者が作業に対応できるのかなどの不安を抱えており、どうしても最初の一歩をちゅうちょしてしまうことが多いように思われます。そのため、今後さらに農福連携の取組を進めるためには、まず、実際の農福連携の事例を多くの方に知ってもらい、関心を持った農家や福祉事業所の橋渡しを行うなどの支援が必要と考えます。

 そこで伺いますが、農福連携の取組を推進するため、県はどのように取り組むのか。

 次は、公共工事の建設費高騰についてです。

 建設費の高騰は世界的に、そして日本国内でも大きな課題となっています。高騰の主な要因としては、新興国の経済成長やインフラ投資などにより、鉄鋼、木材、セメントなどの主要な建設資材の需要が世界的に増加傾向にあること、また、新型コロナウイルス感染症などによるサプライチェーンの混乱や地政学的なリスク、資源価格の上昇などが供給を不安定にしていること、為替レートの変動や人手不足を背景にした賃金の上昇、またエネルギー価格の高騰など、複合的な要因が絡み合っています。この建設費の高騰は様々な方面に影響を及ぼしています。新築住宅の価格が高騰し、マイホームの取得が困難になる人や、工場やオフィスビルなどの建設コストが増加し、企業の設備投資意欲を減退させる可能性もあります。また、採算性の悪化により不動産開発プロジェクトが延期や中止になることもあり、経済活動にも大きな影響が出ています。

 今後の日本における建設費高騰の見通しについては、世界経済の動向、資材価格の変動、人手不足の解消策、政府の政策など、多くの不確定要素があり、予測は難しい状況でありますが、当面は建設費の高止まりが続く可能性が高いと見られています。

 その中で、公共工事についても同様の状況であり、公共工事で造られた道路、鉄道、港湾、空港などの交通インフラは、人や物の円滑な移動を支え、経済活動の基盤です。また、老朽化した公共施設や設備の建て替えや敷設替えをし、県民の命や生活を守らなければなりません。また、建設業界を中心に多くの雇用を生み出し、社会の発展と国民生活の向上に不可欠な役割を果たすとともに、地域経済の活性化に貢献をしています。これからもこの公共工事は、インフラの維持管理や更新も含め、必ず行っていかなければならないものであり、建設費の高騰の時代にいかに対応し、予算を確保していくかが大変重要になります。

 そこで2点伺いますが、建設コストの上昇を踏まえ、どのように契約に対応させているのか。

 また、建設コストの上昇に応じた予算の確保が重要となるが、どのように対応していくのか。

 次は、教育現場のDX推進についてです。

 社会全体でデジタル化が進む中、教育分野でも授業や学校事務などにおいて、デジタル技術を活用した様々な取組が行われています。子供たちをめぐる社会環境や家庭環境も多様化し、画一的ではなく、一人一人に合わせた指導が求められます。対話的で深い学びを実現するためにも、デジタル技術を効果的に活用した授業展開が望まれるところです。

 そうした中、県は6月補正予算において、県立高校などに電子黒板を導入する事業を計上しました。電子黒板は既に他の自治体でも導入されている実績があり、従来の授業にはない、学びを切り開いていくことが期待されますが、県は電子黒板をはじめとしたデジタル技術を活用した教育について、どのように進めていく考えなのか、大変関心があるところです。

 そこで伺いますが、県立高校において、デジタル技術を活用した教育の推進にどのように取り組んでいくのか。

 また、様々な理由で不登校となってしまった児童生徒への支援について、ICTを活用した取組は効果的であると考えられます。既に県はオンライン授業配信「エデュオプちば」に取り組んでおり、こうした取組は評価するところですが、誰ともつながらず、家に引き籠もっている児童生徒が増加しているのではないかと考えられますので、学習だけでなく、人と交流する場所や居場所を確保していくことも必要であり、その取組の拡大を期待するところです。

 そこで伺いますが、ICTを活用した不登校児童生徒の支援にどのように取り組んでいくのか。

 次は、新年度におけるいじめに対する平時からの備えについてです。

 昨年発表された文科省の調査によると、令和5年度のいじめの認知件数は73万件を超えており、過去最多となりました。子供たちをいじめから守り、平時からいじめ防止対策に備える必要があるのは明らかです。教職員が多忙な中にあっても、子供たちの命を守るために、全ての教職員がいじめに対する対応について熟知していただくよう取り組む必要があります。

 文科省において、令和7年3月6日通知において、全ての教職員がいじめ防止対策推進法、いじめの防止等のための基本的な方針、いじめの重大事態の調査に関するガイドライン及び生徒指導提要を理解していることが必要であるとし、年度初めの職員会議や教員研修等において理解を深めるよう通知しています。また同様に、年間の教育活動全体を通じて、いじめの防止に資する多様な取組が体系的、計画的に行われるよう、またアンケートやいじめの通報、情報共有、適切な対処等の在り方についてマニュアルを定めること、入学時や各年度の開始時に児童生徒、保護者、関係機関等に説明することとしています。全ての教職員が平時からいじめ防止に備え、理解を深めるために、県教委はどのような対応をしているのでしょうか。

 そこで伺います。県教育委員会は、令和7年3月6日付の文部科学省通知に即して、どのような取組を行っているのか。

 次に、県立高校におけるいじめ重大事態の認知と懲戒処分についてです。

 いじめの深刻な人権侵害が多数起こっている中で、高等学校においては、加害生徒への懲戒は教育上の必要を考え、慎重に、かつ適切に行われるのが望ましいと考えます。一方、学校教育法第11条において、「教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。」としています。本県における懲戒処分の状況を見ますと、過去12年間で5件、そのうち退学処分は2件と聞いています。懲戒処分が大変まれな状況にあるようです。性犯罪、具体的には児童ポルノや児童買春、脅迫の刑法犯であり、学校教育法施行規則第26条の退学の要件に当たる生徒としての本分に反した者に該当すると考えられる事案においても、懲戒自体がなかった例があると聞いています。デジタル性犯罪の増加等が青少年でも増加すると懸念されている今、教育現場での対応が気になるところです。

 そこで伺いますが、県立高校でのいじめ重大事態の認知と退学等の懲戒処分の決定はどのように行われるのか。

 次の質問は手話を使いながら伺っていこうと思っています。聞こえにくい子供たちへの支援について伺います。

 小学生であったり、中学生であったりが通える千葉県内の聾学校は県立の聾学校1つと、もう1つは筑波大学附属聴覚特別支援学校です。そして、聾の学校には寄宿舎があるのですが、自分の家から遠いために、その子それぞれ通うことは難しい状況となっています。補聴器や人工内耳などを使って、それぞれのおうちのある地域の学校に通っている場合もあります。聞こえ方はその子それぞれでレベルもいろいろなので、状況や、その環境によっては通うことが難しく、また、地域にある学校の活動に参加するのが難しい状況もあります。聞こえにくいと一言で言っても、聾者であったり、中途障害とか難聴者と症状は様々です。学校の中で差別されることを恐れて、症状を自分は軽いんだと言ってしまったり、また、聞こえるようにうそをついている場合もあります。保護者や子供たちはとても不安だったり、悲しかったり、つらい思いでいます。なので、子供たちと一緒に保護者への支援も必要です。

 そこで伺います。小学生や中学生、地域の学校に通っている子供たちに対して、どのような指導や支援を行っているのでしょうか。

 次は、匿名・流動型犯罪グループの取締りについてです。

 知事は4月の臨時議会で、「匿名・流動型犯罪グループに代表される新たな犯罪形態への対策強化や、特殊詐欺、サイバー犯罪の撲滅に向けて捜査に必要なシステムの強化を図るとともに、犯罪抑止につながる防犯カメラ等の設置を推進し、暮らしの安全・安心を実感していただけるよう取り組んでまいります」と述べられました。

 御承知のとおり、昨年は匿名・流動型犯罪グループによる凶悪な強盗等の事件が多発したことから、今年1月に警察庁は、捜査員が架空の身分証を作成し、雇われたふりをする仮装身分捜査の実施に向け、都道府県警に実施要領を通達しています。また、本県は、本年度からサイバー空間での対処能力を強化し、匿名・流動型犯罪グループに対し戦略的に取締りを強化するために、警察官の定員を1万2,076人から37人増員し、1万2,113人にするとしています。

 そこで2点伺います。

 匿名・流動型犯罪グループによる闇バイト強盗などの新たな犯罪形態への対策の強化をどのように進めているのか。

 また、特殊詐欺やサイバー空間を悪用した犯罪に対する具体的な取組と、県民の暮らしの安全・安心を守る意気込みはどうか。

 以上で1回目の質問となります。明快な答弁をお願いします。(拍手)

○副議長(實川 隆君) 菊岡たづ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 立憲民主党の菊岡たづ子議員の代表質問にお答えをいたします。

 まず、政治姿勢についてお答えをします。

 総合計画素案を踏まえた施策についての御質問ですが、新たな総合計画の素案では、まず防災対策があらゆる政策の土台であることから、これまでの災害の経験を生かしつつ、防災対策には終わりがないとの認識の下で、頻発化、激甚化する災害への対応を着実に進め、県民の命と暮らしをしっかりと守ってまいります。また、人口減少やグローバル化、技術革新など、社会環境の変化に伴う様々な課題に的確に対応するため、多様性の尊重が社会の活力や創造性の向上につながることから、誰もが参加し、活躍できる社会づくりを進めていきたいと考えています。このほか、超高齢化時代に対応し、医療、福祉の充実を図るとともに、教育環境の整備や子育て世代の支援、さらには若者支援など、県民の暮らしに密接に関わる重要な施策について、これまで以上に取り組み、本県のさらなる発展につなげてまいります。

 総合計画素案における県づくりの方向性についての御質問ですが、総合計画素案では、成田空港の拡張事業や圏央道の県内区間全線開通などの効果を全県に波及させ、それぞれの特性や強みを生かした地域の活性化につなげるため、県づくりの方向性を示したところです。このうち、道路については広域的な幹線道路ネットワークやアクセスする道路の充実強化に努め、特に渋滞が深刻化している県北西部において、これらを含めた国県道全体の道路整備を加速してまいります。こうした取組により、県内外からの人、物、財の流れをより大きくし、企業立地や農林水産業のさらなる振興、観光地づくりによる誘客などを促進するとともに、交流人口、移住・2地域居住の増加などにつなげ、地域の持つポテンシャルを最大限に生かした地域振興に取り組んでまいります。

 幕張新都心の活性化についての御質問ですが、幕張新都心は平成元年の幕張メッセ開設以来、複合機能の集積により発展してきましたが、千葉市ではおおむね20年から30年後の将来を見据えた幕張新都心まちづくり将来構想を令和4年に策定したところであり、県においても多様な関係者とともに、この地域のまちづくりに協力をしているところです。また、第2の町開きとも言える幕張豊砂駅の開業を受けて、市では本年5月に幕張新都心の新たなまちづくりの拠点を目指し、千葉マリンスタジアム再整備構想案の骨子を公表するなど、活力あるまちづくりに向けて動き出したところです。県としても、幕張新都心に多くの土地を保有するステークホルダーとして今後も市と緊密に連携をしながら、県と市の適切な役割分担の下で幕張新都心の魅力向上やさらなる活性化に取り組んでまいります。

 次に、市町村のDXを進めるための取組についての御質問にお答えをいたします。

 人口減少社会においても、市町村が地域の実情に即した住民サービスを維持しつつ新たなサービスを迅速に展開していくためには、行政のDXを進め、持続可能な行政運営を確立することが重要です。このため県では、千葉県DX推進戦略に基づき、市町村のDXが着実に進むよう、県と市町村の連絡調整会議などによる情報共有や、民間の専門人材も活用したオンラインでの相談助言など、市町村に寄り添った支援を行ってきたところです。本年度からは、新たに民間の専門人材の現地派遣や職員向けオンライン研修の共同調達などを行うこととしており、今後とも全ての市町村において円滑にDXが推進されるよう支援をしてまいります。

 次に、外国人活躍・多文化共生推進プランについてお答えをいたします。

 プランにおける外国人の活躍と共生に関する御質問ですが、県内では、成田空港の拡張事業や育成就労制度の創設などにより今後も外国人の増加が見込まれることから、新しいプランでは国籍や文化的背景などにかかわらず、一人一人が個人として尊重され、働き手や地域の担い手として、その人らしく活躍できる社会の実現を目指すことで本県の活力の向上を図っていくことといたしました。具体的には求職者と企業とのマッチングに向けた合同企業説明会や、留学生等を対象とした就労定着のための講座等の開催などを通し、外国人の県内での就職、活躍を支援することとしています。また、外国人の活躍のためには、地域において共生に向けた意識が浸透していくことが大切であり、県民向けに国際理解を促進するセミナーを開催するほか、市町村の特色ある取組事例を横展開するなど、市町村と連携をして意識醸成の取組を進めてまいります。

 次に、避難所の環境改善についてお答えをいたします。

 トイレカー等の広域的な活用についての御質問ですが、大規模災害時には多くの避難所が設置をされるほか、電気や水道などライフライン施設が被害を受けることで避難生活が長期化する場合があることから、県や市町村が保有する資機材等を広域的に活用し、相互に支援することが重要と認識をしています。このため県では、県内外で大きな被害を受けた被災地に対しては、今年度導入予定のトイレカーやパーティションなどのほか、民間事業者との協定も活用して避難生活に必要な資機材を提供するなど、避難所における良好な生活環境の確保に努めることとしています。また、市町村間においても、相互応援協定などに基づき広域的に資機材が活用されているところであり、引き続き必要な物資を的確に被災地に届けられるよう、県としても市町村と連携して取り組んでまいります。

 次に、介護、医療の人材確保についてお答えいたします。

 臨床研修修了者の県内定着率と若手医師の定着促進に関する御質問ですが、臨床研修修了者の県内定着率はここ数年、おおむね横ばいで推移をしており、令和6年3月末の研修修了後に県内で働いている医師の割合は53.1%と約半数にとどまっています。本県の医療体制の構築に当たって、若手の医師が県内で研鑽を積み、長期に定着をすることは重要であり、県では千葉県医師キャリアアップ・就職支援センターを設置し、県内の大学、医療機関と連携をして、医師のキャリア形成に寄り添った定着支援を行っています。また、地域に根差した医療を志す医師らによる草の根の取組を支援することも医師の定着に有効と考えられることから、県全体の若者施策も踏まえ、新たに若手医師等のグループによる学習活動への支援にかかる経費を6月補正予算に計上したところであり、スキルアップとともに地域での交流や仲間づくりを促進することで、さらなる若手医師の確保、定着に努めてまいります。

 次に、グループホームの質の確保についての御質問にお答えをいたします。

 近年、障害者グループホームが増加をする中、障害のある方が地域で安心して暮らせるよう、利用者の多様な障害特性等に応じた支援の質の確保、向上を図っていく重要性が増しております。そのため県では、グループホームに対し、訪問による運営指導において、個別支援計画の策定状況等を確認しているほか、県内12か所に配置をした本県独自のグループホーム等支援ワーカーによる相談対応や、研修会の開催などを通じて支援の質の向上を図っています。また、本年度からサービスの透明性、質の確保等を図るため、自治会などの地域の関係者や利用者家族等を構成員とする地域連携推進会議の定期的な開催がグループホームに義務づけられ、地域との交流や内部見学が行われることから、県としても、運営指導の中でその状況を確認することとしています。これらの取組を通じて、今後も利用者へのサービスの質の確保向上を図ってまいります。

 次に、地球温暖化対策についてお答えいたします。

 ペロブスカイト太陽電池の将来展望についての御質問ですが、軽量で柔軟な特性を持つペロブスカイト太陽電池については、日本発の技術として、国を挙げて社会実装に向けた取組が進められており、主要な原料であるヨウ素の世界有数の生産量を誇る本県としても、導入を積極的に進めることが重要と考えています。県も参加をしているペロブスカイト太陽電池の導入拡大などに向けた官民協議会が昨年11月に策定をした次世代型太陽電池戦略では、耐久性など性能面の課題の克服や、量産化によりシリコン太陽電池に比肩する発電コストを実現していくことや、我が国のグリーントランスフォーメーションの牽引役となることを期待するとしております。県では、県有施設への率先導入を図るためのモデル事業を6月補正予算に計上しており、この事業を契機として、再生可能エネルギーの一層の普及拡大とヨウ素産業をはじめとする本県産業の振興にもつなげていきたいと考えております。

 最後に、企業立地についてお答えをいたします。

 補助金を活用した企業立地の進め方についての御質問ですが、成田空港の機能強化や圏央道の県内区間全線開通などにより、本県の広域的な拠点としての優位性が高まる中、県内各地域の特性に応じたきめ細やかな支援を行い、将来の本県経済を担う有望な企業や投資を呼び込むことが重要であると考えています。このため、特定の地域、産業への補助金の上乗せなど大幅な見直しを行ったところであり、この新たな補助制度を最大限に活用し、企業訪問や不動産事業者、金融機関等との連携を一層強化しながら企業ニーズの発掘に取り組んでおります。また、企業誘致セミナー等において、私自らがトップセールスを行い、本県の魅力や立地優位性を積極的に発信するとともに、各地域にふさわしい企業の誘致を戦略的に進めてまいります。企業から選ばれる千葉県の実現を目指し、さらなる企業誘致と投資の呼び込みを図り、県内経済の活性化と雇用の創出に全力で取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

○副議長(實川 隆君) 副知事高梨みちえ君。

 (説明者高梨みちえ君登壇)

○説明者(高梨みちえ君) 私からは、まず、企業局職員の不祥事案についてお答えいたします。

 今回の事案は、企業局職員2名が令和5年に執行された市川市内の配水管整備工事に係る一般競争入札に関し、事業者の従業員に対して設計金額1億9,930万9,000円を教示したとして、官製談合防止法等違反の疑いで千葉地方検察庁に書類送致されたものです。本件の捜査が終了し送検され、県としても調査が可能となったことから、今後、県において、今回の事案が発生した背景、原因などについて職員から聞き取り調査を実施するなど、事実関係を詳細に確認してまいります。

 なお、本年3月からは外部の者からの働きかけの記録制度を創設し、また、4月からは飲食の届出制度の対象範囲を拡大するなどコンプライアンスの取組を強化しているところであり、引き続き取組の徹底を図り、県民の皆様の信頼回復に努めてまいります。

 次に、県庁舎等の再整備についてお答えいたします。

 県庁舎等の再整備に向けての検討状況についての御質問ですが、県では、県庁舎敷地内にある築年数が異なる5棟の建物について調査委託などを活用しながら、将来を見据え、一体的かつ効率的な再整備に向けた検討を行っています。具体的には、老朽化の状況や県庁舎等が抱える課題の把握などを行い、各建物の整備の方向性を整理するとともに、庁舎に求められる機能、利便性や費用対効果など、様々な観点から検討を進めてきたところです。今後、建物の規模や配置場所、整備スケジュールなどを整理し、議会や県民の皆様、外部有識者等の意見も伺いながら、令和8年度末を目途に再整備に係る基本構想、基本計画を策定してまいります。

 将来を見据えた県庁舎等の再整備に関する御質問ですが、県庁舎等の再整備については、長寿命化計画における目標使用年数である80年の使用を想定して庁舎の在り方を検討することとしています。このため検討に当たっては、行政ニーズの変化等に的確に対応するため、執務空間の変更や臨時的なスペースの確保など、様々な用途への転用を可能にする柔軟性を確保するとともに、施設、設備のメンテナンスや省エネルギー化などの維持管理コストの低減などを考慮する必要があると考えています。引き続き将来を見据え、県行政の拠点としてふさわしい県庁舎等の再整備について検討を進めてまいります。

 次に、市町村DX推進への取組についてお答えいたします。

 市町村のシステム標準化の進捗状況等についての御質問ですが、市町村では、国の方針に基づき、戸籍や税などの基幹業務に係るシステムの標準化に取り組んでいるところであり、本年1月時点では、県内54市町村の計1,100システムのうち、1,022システムが期限とされた令和7年度末までに移行が完了する見込みです。具体的には、39市町村は全システムで移行完了予定であるものの、残る15市町の78システムについて、事業者の人的資源不足や事業撤退などにより期限内の移行が難しい状況と聞いています。県としては、引き続き民間の専門人材を活用した技術的助言などを行うとともに、国の財政支援を活用しながら、市町村がシステム標準化を円滑かつ早期に進められるよう支援してまいります。

 次に、避難所の環境改善についてお答えいたします。

 新しい地方経済・生活環境創生交付金の活用状況に関する御質問ですが、この交付金のうち、地域防災緊急整備型については、避難所における生活環境の改善をはじめ、県や市町村が実施する防災、減災に関する取組について支援することを目的としています。これを受け、県内では20市町がトイレカーやマンホールトイレなど、快適なトイレ環境の確保や、簡易ベッドや非常用発電機の購入などに交付金を活用し、避難所環境の改善に取り組んでいるところです。

 なお、県においても、今年度、この交付金を活用して、トイレカーやパーティション等の導入を予定しており、引き続き市町村と連携して、避難所における生活環境の向上を図ってまいります。

 今後の国の交付金の在り方についての御質問ですが、今回の交付金は、避難所における生活環境の改善をはじめ防災、減災に必要な車両や資機材の購入などが対象とされ、県や市町村の防災力向上の取組に大きく寄与するものと考えています。一方で、令和8年度以降の当該交付金の継続の方向性や支援対象の見直し、拡充等については、現時点で国から方針が示されていない状況です。避難所の環境改善については、短期間で完了するものではなく、継続的に取り組むべきものであることや自治体の財政負担も大きいことから、県としては、交付金制度の継続や補助率の引上げ等について、様々な機会を通じて国に要望してまいります。

 次に、介護、医療の人材確保についてお答えいたします。

 介護現場の業務改善についての御質問ですが、介護現場における業務改善は喫緊の課題であり、県では介護事業所の業務改善を総合的に支援するため介護ロボットやICTの導入など、介護現場の業務改善の取組に関する相談にワンストップで対応し、アドバイザーの派遣や研修などを行う介護業務効率アップセンターを昨年4月に設置いたしました。昨年度、センターでは167事業所からの相談に対応し、そのうち希望のあった63事業所には伴走型支援や研修を実施しました。また、センターで助言を受けた事業所を含め、延べ524事業所に対し、県において介護ロボット等の導入経費の補助を行ったところです。さらに、今年度は新たに地域を牽引するモデル介護事業所を養成し、業務改善のノウハウの普及を図るとともに、介護助手の効果的な活用等、タスクシフトに関する研修を実施するなど、一層の業務改善が進むよう取り組んでまいります。

 外国人介護人材の定着に向けた取組についての御質問ですが、高齢化が進行し介護人材の不足が見込まれる中、増加する介護ニーズに的確に対応するためには、介護福祉施設等における外国人介護人材の定着を図ることが重要です。このため県では、令和元年度に千葉県外国人介護人材支援センターを設置し、日本語、英語、ベトナム語で対応できる相談員が外国人介護職員や外国人受入れ施設等からの業務や生活上の相談に応じているほか、受入れ施設の管理者向け研修会や外国人介護職員等の交流会などを実施し、定着に結びつくよう支援しています。また、近年のネパール人の留学生や介護職員の増加を踏まえ、今年度はネパール語に対応できる相談員の増員を予定しており、引き続き外国人介護人材の状況を把握しながら、定着に向けた支援を実施してまいります。

 次に、地球温暖化対策についてお答えします。

 千葉県地球温暖化対策実行計画での市町村との連携についての御質問ですが、県では、2030年度の温室効果ガス排出量40%削減の目標達成に向けて、県民、事業者、行政など、あらゆる主体と協働して各種施策に取り組んでいるところです。地域の実情を知る市町村との連携については、家庭向けの脱炭素化設備補助事業や、各種イベントでの温暖化対策の啓発を協働して実施するほか、PPAモデルによる太陽光発電設備の導入など、先進的、優良な取組を紹介する市町村説明会を定期的に開催しています。今後も説明会における意見交換などにより市町村の主体的な取組を促すとともに、目標達成に向けて市町村と連携した取組を進めてまいります。

 地球温暖化対策に係る県内自治体の計画策定等についての御質問ですが、地球温暖化対策実行計画(区域施策編)については、令和6年度に新たに6市が策定し、昨年度末時点で29市町において策定済みとなり、また、35市町において二酸化炭素排出実質ゼロ表明が行われています。計画策定・ゼロ表明の進捗については、今年度も5市町が計画の策定を予定しているなど着実に進展していますが、特に町村での取組が進んでいないことから、県として一層の支援をする必要があると考えています。引き続き市町村説明会における脱炭素化の必要性の周知や先進事例の紹介とともに、計画策定に関する技術的助言などにより、今後、策定等に取り組む市町村を後押ししてまいります。

 次に、林野火災対策についてお答えいたします。

 林野火災の発生状況や原因などに関する御質問ですが、消防庁が公表している消防統計によると、本県における林野火災の発生状況については、令和3年は80件で全国1位、令和4年は59件で全国4位、令和5年は83件で全国1位となっています。また、発生原因については、いずれの年においても、たき火と森林法の許可に基づき雑草等を焼却する火入れが上位を占めており、発生件数の5割を超えています。

 林野火災の予防や消防力の強化、地域防災計画に関する御質問ですが、林野火災は一たび発生すると、気象状況などにより大規模な火災となるおそれがあることから、県では、地域防災計画において火災の発生予防や応急対策について定めています。具体的な取組としては、林野火災のおそれが高まる時期に「県民だより」やFMラジオなどによる火災予防の啓発活動を実施しているほか、昨年5月には、林野火災を想定した消防や自衛隊のヘリコプターによる消火訓練を実施するなど、関係機関との連携強化を図っているところです。今後ともSNSを活用した火災予防の啓発や、市町村が行う消防車両や資機材の整備を支援するとともに、国による大船渡市での林野火災の検証状況なども踏まえ、必要に応じて地域防災計画を見直すなど、林野火災の予防と対応力強化に取り組んでまいります。

 次に、公共工事の建設費高騰についてお答えいたします。

 建設コストの上昇を踏まえた契約への対応についての御質問ですが、県では、建設工事の予定価格算出に当たって使用する建設資材の単価を毎月最新の調査に基づく価格に設定しており、これにより建設コストの上昇に対応しています。また、契約後に建設資材や労務費の価格が上昇し、工事価格に変動があった場合は適切な物価、賃金水準となるよう、建設工事請負契約書に基づくスライド条項の適用により変更契約の対応をしています。引き続き建設業関係団体等に対し、スライド条項の運用について周知を図るなど、建設コストの上昇を踏まえた適正な契約となるよう取り組んでまいります。

 最後に、建設コストの上昇に応じた予算の確保についての御質問ですが、自然災害から県民の生命、財産を守り、県民生活の利便性向上や県内経済の活性化につながる道路や河川、港湾、下水道などの社会資本整備は大変重要であると認識しています。こうした社会資本整備に係る事業費については、最新の資材価格や労務単価を踏まえ、事業の推進に必要な予算を計上しているところです。本県の将来の発展に向けた社会資本整備が着実に進むよう、引き続き資材価格等の動向を注視しながら必要な予算を確保してまいります。

 私からは以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 副知事黒野嘉之君。

 (説明者黒野嘉之君登壇)

○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、外国人が孤立しないための施策についての御質問についてお答えいたします。

 外国人が孤立せず、地域の一員として暮らしていくためには、日常生活に必要な日本語や生活ルール等を習得することが重要であり、県では、市町村が行う地域日本語教育への支援やボランティアの育成などに取り組んできたところです。また、今年度は新たに日本語教育を受ける機会が乏しく、日本語が全く分からないなど、地域で孤立しがちな外国人配偶者等に対し、オンラインによる基礎的な日本語教育に加え、生活ルール等に関するオリエンテーションを対面で行うなどの支援を実施することとしております。こうした取組により、外国人の方が地域とのつながりを持つきっかけづくりを進め、孤立防止に努めてまいります。

 次に、本県に誘致した企業に対するフォローアップについての御質問ですが、本県に立地した企業が地域に根づき、安定的かつ継続的に事業展開していくことは、県経済の持続的な発展にとって重要であると認識しております。そこで、従来の工場拡張のための再投資や正規雇用者の創出に向けた支援等に加えまして、人材定着に向けた支援を強化するため、従業員への福利厚生に対する補助メニューを新設したほか、既に立地した企業を積極的に訪問し、新たな補助制度等の情報提供や企業ニーズの把握に努めるなど、継続的なフォローアップを行っているところです。今後とも立地企業に対する幅広い投資や人材確保など、多方面において積極的な情報共有の上、適時適切な支援を行い、本県への定着とさらなる企業の成長を図ってまいります。

 次に、就職氷河期世代への支援実績とミドル世代活躍支援事業についての御質問ですが、就職氷河期世代の支援については、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行っていくことが重要であると考えております。そこで県では、専用の相談窓口の設置や就職支援講座などを行い、約2,000名の利用のうち約650名の就職が決まったところです。一方、希望する職業が見つからない方や職場でのコミュニケーションに不安を抱き就労に至らない方、今後の収入や生活に不安を抱えている方なども多いことから、引き続き寄り添った支援を行うことが必要であると考えております。このため県では、就職氷河期世代を含めたミドル世代に対し専属のコーディネーターを配置し、相談から就職先の紹介、職場定着まで一貫した支援を行うとともに、新たに将来を見据えたライフプランセミナー等も実施することとしたところです。今後もそれぞれの悩みや課題などを丁寧に聞き取りながら、ミドル世代の方が安定した就労や、より充実した生活を送れるよう、きめ細やかな支援を行ってまいります。

 次に、森林法に基づく火入れについての御質問ですが、森林法に基づく火入れは、害虫駆除等を目的として森林や周辺の雑草等を面的に焼却する行為であり、これを実施する場合は市町村の条例等に基づく許可を受け、その指示に従って実施しなければならないとされております。本県においては、39市町村が火入れに関する条例や規則を制定し、その目的や方法、防火対策などを審査した上で許可しており、直近の件数は県全体で年間約200件程度となっております。県としては、条例等未制定の15市町の状況を確認しながら、必要に応じて条例等の制定を促していくなど、引き続き林野火災対策に取り組んでまいります。

 次に、荒廃農地対策の取組についての御質問ですが、高齢化の進展などによる農業者の減少により、県内では農地の荒廃が進んでおり、病害虫の発生や景観の悪化など、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがあることから、食料自給率の向上の観点も踏まえ必要な対策を進めていくことが重要です。このため県では、荒廃農地の抑制と解消に向け、担い手による遊休農地の再生利用や簡易な基盤整備事業等を支援するとともに、地域ぐるみで行う農地の保全活動に対して助成を行っているところです。また、今後行われる地域農業の協議の場に積極的に参画しながら農地の集積を推進するとともに、担い手不在の地域においては、農業に参入する企業も含めた新たな担い手のマッチングなどを進めることにより荒廃農地対策に取り組んでまいります。

 最後に農福連携の取組推進についての御質問ですが、農福連携は深刻化する労働力不足の補完や農作業体系の改善が期待できるとともに、障害者の就労機会の拡大や収入増加につながるものであり、その取組は年々広がっているところです。県では、農業者と福祉事業所をマッチングするお試しノウフクなどを実施してきたところですが、今年度からは農福連携が円滑に進むよう、農業現場における障害者就労に関する具体的なアドバイスができる人材を育成し、農福連携をさらに拡大してまいります。昨年11月には、本県において農福連携全国フォーラムが開催されたところであり、高まりつつある機運を継続させるため、県独自の取組として新たにちば農福連携フォーラムを開催することとしており、これにより農福連携の輪をさらに広げ、本県農業の活性化と障害者の就労促進に努めてまいります。

 私からは以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) 教育問題についてお答えいたします。

 初めに、県立高校のデジタル技術を活用した教育についての御質問ですが、県教育委員会ではICT教育を充実させるため、その効果的な活用手法等を提案する専門人材をこれまで県立高校8校に配置していたところ、今年度は16校に増やし、デジタル技術を活用した授業改善などに努めているところです。また、生徒の学習状況の共有や相互のやり取りなどが可能で、授業の質の向上が期待できる電子黒板機能付プロジェクターを新たに県立高校2校に設置し、実際の授業を通じて、よりよい活用方法や導入効果などについて検証することとしています。今後も各高校でのネットワーク環境の高速化に加えて、先進校における好事例の紹介や教員への研修機会の充実など、デジタル技術を活用した教育のさらなる推進に取り組んでまいります。

 次に、ICTを活用した不登校児童生徒の支援に関する御質問ですが、県教育委員会では、昨年度に開始した不登校の生徒に向けたオンライン授業配信「エデュオプちば」において定期的にアンケート調査を実施しており、生徒からは学習だけでなく、オンライン上で人と交流する場を設けてほしいとの意見が多数ありました。そのため、新たに仮想空間であるメタバースを活用し、自分の分身となるアバターを通じて、他の児童生徒や相談員とのコミュニケーションを図ることができる場を設け、安心して人と関わることのできる居場所づくりに取り組むこととしました。今後はこれらの取組に加え、SNSを活用した相談なども引き続き行い、誰一人取り残されない支援の充実に努めてまいります。

 次に、文部科学省通知を踏まえたいじめ防止の取組に関する御質問ですが、県教育委員会では、いじめの定義や重大事態の対処方法などを全教職員が理解し、学校としていじめ対策ができているかについて、チェックリストで確認することなどを求めた文部科学省の通知を令和7年3月12日付で県立学校及び市町村教育委員会に周知しました。さらに県立学校に対しては、4月に同通知の内容を改めて確認するよう連絡したところであり、現在、通知を踏まえた取組状況についての調査を行っているところです。また、県教育委員会では、いじめ重大事態調査員が学校を訪問し、いじめへの対処についての指導助言を行っており、現在実施している調査の結果も踏まえて、さらなる取組の徹底を図ってまいります。

 次に、県立高校でのいじめ重大事態の認知と退学等の懲戒処分の決定に関する御質問ですが、県立高校ではいじめ重大事態の疑いが生じた時点で、各学校に設置しているいじめ対策組織を活用していじめの態様や被害状況等を精査した上で、必要に応じ県教育委員会とも協議しながら、当該事案が重大事態に当たるか否かを判断します。

 なお、生徒や保護者からいじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、重大事態が発生したものと判断します。生徒への懲戒のうち、退学、停学、訓告の処分は、学校教育法等に基づき、校長が当該生徒をはじめ関係者から必要な情報を収集し、事実関係の確認をした上で行うことになっています。

 最後に、聞こえにくさがある児童生徒についての御質問ですが、小中学校においては、聞こえにくさの状態に応じて通常の学級で座席の配置に配慮するなどのほか、難聴特別支援学級や通級指導教室を設け、音声の聞き取りや発音を身につける学習などの指導や支援を行っています。そこで県教育委員会では、県立特別支援学校の持つ知見を生かし、通級指導教室へ専門性の高い教員を派遣するとともに、教職員研修の実施や特別支援教育コーディネーターが学習環境や指導方法の助言を行うなど、小中学校の教職員の専門性向上を図っています。引き続き市町村教育委員会や医療、福祉等の関係機関とも連携し、聴覚障害教育の推進に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 警察本部長青山彩子君。

 (説明者青山彩子君登壇)

○説明者(青山彩子君) 私からは匿名・流動型犯罪グループの取締りについてお答えいたします。

 まず、匿名・流動型犯罪グループによる新たな犯罪形態への対策強化に関する御質問ですが、匿名・流動型犯罪グループは、いわゆる闇バイト強盗、特殊詐欺、組織的窃盗・盗品流通事犯、組織的な犯罪収益関連事犯に至るまで、様々な犯罪に深く関与している実態が認められます。したがって、県警では、部門や罪種にこだわることなく、警察の総合力を発揮できる部門横断的な体制を構築するとともに、同グループの中核的人物等の取締りを行うための事件検挙体制のほか、犯罪手口や資金源等の活動実態を明らかにするための実態解明及び犯罪収益解明の体制を強化し、あらゆる法令を駆使した戦略的な取締りを推進しております。

 次に、特殊詐欺やサイバー空間を悪用した犯罪等への具体的取組に関する御質問ですが、特殊詐欺やサイバー空間を悪用した犯罪への対策は、犯行に秘匿性の高い通信アプリが利用されている現状を踏まえ高度な解析機器を整備するとともに、人材の育成を推進しております。また、国際電話の着信ブロックの普及に向けた取組を一層強力に推進するとともに、若い世代の被害が増加していることから、幅広い年齢層に対する注意喚起を強化しているところです。さらに、金融機関との詐欺等の対策高度化のための連携協定や、産学官とのサイバーセキュリティパートナーシップ協定の枠組みを活用し防犯意識の向上を図るなど、官民一体となった対策を推進しております。引き続き県民が安全・安心を実感できる暮らしの実現に向けて、組織一丸となった取組を推進してまいります。

 以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 選挙管理委員会委員長菊地秀樹君。

 (説明者菊地秀樹君登壇)

○説明者(菊地秀樹君) 私からは選挙ポスターについてお答えいたします。

 公職選挙法の改正内容についての御質問でございますけれども、今回の法改正では、ポスター掲示場に掲示する個人演説会用ポスター及び選挙運動用ポスターには、ポスターを使用する公職の候補者の氏名を選挙人に見やすいように記載しなければならないこと、他人もしくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ、もしくは善良な風俗を害し、または特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等、いやしくもポスター掲示場に掲示されるポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならないこと、ポスター掲示場に掲示したポスターその他の文書図画において、特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をした者は100万円以下の罰金に処すること、この3つの規定が新設されました。また、附則において、選挙に関するインターネット等の利用の状況、公職の候補者間の公平の確保の状況、その他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられるものとされております。

 次に、法改正の理由についての御質問でございますけれども、本年2月20日の衆議院政治改革に関する特別委員会では、令和6年7月の東京都知事選挙において、ポスター掲示場に品位を著しく欠く者や、選挙と関係のない営業宣伝用と思われるものなど、選挙運動のために使用するとは言い難いポスターが掲示される問題が生じたことに鑑み、選挙の適正な実施の確保に資するための措置を講ずるものと説明されたと承知しております。県選挙管理委員会といたしましては、法改正の内容、趣旨について、立候補予定者説明会などを通じて候補者に対し周知してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 菊岡たづ子君。

○菊岡たづ子君 御答弁ありがとうございました。では、いただいた御答弁に基づいて2回目の質問と要望をいたします。

 まず、外国人活躍・多文化共生推進プランについては要望いたします。

 今日では労働力不足の解決策として外国人の活躍が求められています。しかし、外国人活躍とは、本来、外国人がその人らしく活躍することで社会が共に発展していくことであり、労働力の確保だけではありません。今後はより専門的な日本語教育やスキルアップ支援の充実を求めるとともに、ライフステージに合わせた外国人への総合的な支援プランの策定を望むものです。

 外国人介護人材の確保については再質問いたします。

 千葉県では、令和元年度から千葉県留学生受入プログラムを開始し、在留資格介護を取得し、介護福祉士として県内介護施設で就労することを目指すベトナム人留学生と、受け入れる介護施設を一体的に支援してきました。また、千葉県社会福祉協議会に設置された外国人介護人材支援センターでは、外国人介護職員の受入れや定着に向けた相談支援、研修会や交流会等が行われていますが、県としてのさらなる取組も求められるところです。

 そこで伺いますが、さらなる外国人介護人材の確保に向け、県独自の取組を実施すべきと思うが、どうか。

 次に、若手医師の定着促進については要望です。

 今議会での補正予算において、新たに若手医師地域定着促進事業が盛り込まれたことは、県から若手医師への大きな期待が込められたメッセージだと受け取りました。地域医療を支える仲間との交流が図られ、千葉県への愛着がさらに深まることを期待しております。

 国においては、医学部地域枠設定のための臨時定員増について、令和9年度以降の見直しを検討する方針が示されています。若手医師の増加にもつながるこの暫定措置を一律に終了してしまうことに対して、本県の地域医療対策協議会においても懸念が示されています。県としても、この地域医療対策協議会における協議の結果を尊重し、臨時定員増について、恒久定員内の地域枠の設置を要件とすることなく、地域枠の申請ができるよう、国に求めていると聞いています。引き続き国への粘り強い働きかけ、県内の若手医師の定着促進に向けて御尽力いただくように強く要望いたします。

 次は、障害者グループホームサービスの質の確保についてですが、これは再質問です。

 今、御答弁いただいたとおり、障害者グループホーム利用者へのサービスの質の確保、向上は重要だと思います。また、利用者へのサービスの質の確保と合わせ、グループホーム自体への支援も必要だと考えています。県の独自の取組であるグループホーム等支援ワーカーは、支援を受けた事業所からは大変参考になったと高い評価の声があります。現在、様々な分野からの事業参入が増えており、まだまだ支援ワーカーの認知が十分でないと感じています。

 そこで伺いますが、障害者グループホーム等支援ワーカーの活用について、さらに周知していくべきだと思うが、どうか。

 ペロブスカイト太陽電池については要望です。

 この太陽電池の主原料となるヨウ素の生産量の世界シェアの約4分の1を占めるのが我が国です。そして、我が国のヨウ素生産量の約80%を占めるのが本県です。そのことから我が会派は、いずれ本県がペロブスカイト太陽電池の研究・開発拠点を積極的に整備し、また、この技術に係る関連産業を誘致するなどにより、県経済が大いに発展することを期待しています。

 次に、地球温暖化対策については再質問です。

 県は、地球温暖化対策市町村説明会を開催するなどして県内自治体の計画策定を促していくとのことですが、環境分野専門職員が不在もしくは不足している県内自治体への支援について、県は今後どのように取り組むのか。

 荒廃農地対策については要望です。

 市原市内では、市民団体が里山保全や荒廃農地の解消を行う動きもありますが、国の補助事業は採択要件が厳しく、活用が難しい状況です。県は、さらに幅広い地域や多様な主体が補助事業を活用し、荒廃農地の解消に取り組めるよう、事業要件の緩和を国へ働きかけるとともに、県の単独事業として新設することも検討するよう要望いたします。

 教育問題については要望です。

 電子黒板機能付プロジェクターというハードを設置するだけでなく、授業改善につながる活用方法を研究し、これから全県に設置を拡大していくときには研究成果が生かされる事業となることを要望いたします。

 また、メタバースやICTを活用しながらも、不登校を生まないためにどう予防するのか。子供たちのシグナルをキャッチし、引き続き一人一人に寄り添った支援を要望いたします。

 2回目、以上です。

○副議長(實川 隆君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

○説明者(岡田慎太郎君) 外国人介護人材の確保に向けた県独自の取組についての御質問ですが、県では、介護職への就業を目指すベトナム人留学生等を支援する留学生受入プログラムを令和元年度から実施しています。また、国家戦略特区制度を活用して、本プログラム参加者については、必要な介護技術の習得などの要件を満たせば、介護福祉士の資格を取得しなくても長期的に業務に従事できる制度の提案を行い、国において議論いただいているところです。引き続き外国人介護人材の状況を踏まえ、確保対策に取り組んでまいります。

 次に、グループホーム等支援ワーカーの活用に関する御質問ですが、県では事業者に対し、事業所の新規指定申請の相談の際に、障害者グループホーム等支援ワーカーの業務として、開設支援相談やその他の相談が可能であることを説明するとともに、全ての事業所を対象として毎年開催する説明会において支援ワーカーの活動内容の紹介などを行っており、さらなる活用が図られるよう、引き続き周知してまいります。

 以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 環境生活部長井上容子君。

○説明者(井上容子君) 地球温暖化対策に係る今後の自治体への支援についての御質問ですが、計画策定については、特に町村において進んでいないことから、まずは計画未策定の団体における課題や個別の事情などを丁寧に伺いながら必要な支援を検討してまいります。

 以上でございます。

○副議長(實川 隆君) 菊岡たづ子君。

○菊岡たづ子君 ありがとうございました。障害者グループホームの質の確保、向上が図られるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 これで私の今回の質問は終わりますが、知事が1期目のときから千葉県内の首長や各種団体と意見を交換し、また、職員の声を聞きながら県政運営をされていることは県民からも高い評価となっているものと思います。これからも県民目線で災害や犯罪に万全の態勢で備え、全世代に目配りした視点で県民の暮らしを支え、雇用と経済がさらに飛躍する千葉県づくりを目指していくことなどを心から期待を申し上げます。

 最後になりますので、もう1回手話で話したいと思います。千葉県の中にも、もちろん当然ですが、赤ちゃんがいます。そして妊産婦もいて、男性がいて、女性がいて、高齢者もいます。その中で日本以外の外国の方もたくさんいますので、どんな人たちであっても幸せだなと考えられる、そんな千葉県をつくり上げていただきますよう心からお願いを申し上げ、今回の質問を終わりといたします。ありがとうございました。

○副議長(實川 隆君) 以上をもって本日の日程は終了しました。

 明日4日は定刻より会議を開きます。

 これにて散会します。

 午後2時34分散会   

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所属課室:議会事務局政務調査課議会広報班

電話番号:043-223-2523

ファックス番号:043-222-4073

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