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更新日:令和7(2025)年6月4日
ページ番号:773146
令和7年1月31日(金曜日)
議事日程
議事日程(第4号)
令和7年1月31日(金曜日)午前10時開議
日程第1 議案第1号ないし議案第79号、報告第1号ないし報告第3号に対する質疑並びに一般質問
午前10時0分開議
○議長(瀧田敏幸君) これより本日の会議を開きます。
質疑並びに一般質問
○議長(瀧田敏幸君) 日程第1、議案第1号ないし第79号、報告第1号ないし第3号を一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。
順次発言を許します。通告順により加藤英雄君。
(加藤英雄君登壇、拍手)
知事は昨年末、3月の知事選挙への再出馬を表明しました。そこで、地方自治体の一番の役割である、住民の命と暮らしを守るという視点で、この4年間を振り返ってみたいと思います。
知事就任後の前半の2年間は、世界的なパンデミックであった新型コロナ感染症への対応へ全庁を挙げて力を集中してきた期間でした。後半は、2023年の茂原市を中心とした記録的豪雨による災害が発生し、2024年には冒頭から能登半島地震への支援に奔走し、この1年余り、災害対策が県政の焦眉の課題になってきたと言えます。言うならば、県民の命と暮らしを守るために千葉県はどうあるべきなのかが根本から問われた4年間であったと私は思います。
そこで、まず新型コロナ感染症への対応です。コロナウイルス感染症初確認から5年、感染大爆発が8回も起こり、千葉県の感染者は162万人、死者は5,987人と報道されています。感染ピーク時、入院できずに自宅療養を余儀なくされた人が続出しました。明らかに医療体制の脆弱さと病床不足を露呈したものになりました。公衆衛生の要であり、感染症対策の最前線に立たなければならない保健所は、連続的なパンク状態となり、県から延べ3万9,000人も動員したにもかかわらず、長時間労働は解消されず、混乱と疲弊した状態が続きました。いつ襲ってくるか分からない新たな感染症にどう備えるのか。コロナ禍の5年間は何を明らかにしたのか。1つは、保健所の弱体化と検査体制の脆弱さ、2つには、病床減らしを進めた結果、命を守る必要な医療が保障されない事態になったことだと私は見ていますが、知事の認識をお聞かせいただきたい。
2つには、災害対策の強化です。被災者を救済することはもちろん、被災地の復興は被災者の住宅、なりわいが再建し、人が戻ってこそ地域の復興と言えます。道路の復旧などは被災者の生活再建の手段にすぎません。
昨年2月、政府が能登地域の6市町に限定した臨時特例交付金最大300万円の追加支援を決定したときに、知事は、過去の災害の被災者は、なぜその支援を受けられなかったのか、持家という私有財産に多額の税金が注がれる、公平性、整合性を検討する必要があると、まるで疑義を唱えるかのような驚くべき発言をしています。知事は、私有財産に公費は投入すべきではないと今でも考えているのか、お答えください。
被災者に公的補償をと、阪神・淡路大震災被災者の粘り強い運動と世論の力で被災者生活再建支援法が創設されました。当初、住宅の再建には直接使えなかったものの、被災者と被災地の実態を背景にした運動で改善を重ね、最大300万円へと拡充してきました。千葉県でも東日本大震災の際に、住宅被害を受けたにもかかわらず、被災者生活再建支援法の支援を受けられなかった世帯へ最大300万円支給する被災者生活再建支援事業を創設し、住宅被害などへの支援を行っています。自然災害の被災者には何の責任もありません。私は文字どおり再建を支援するための拡充こそ急務だと考えます。支援金は被災住宅の再建を実質的に支援する水準まで引き上げることが必要だと思うが、知事の認識はどうか、お答えください。
次に、来年度予算案について伺います。
知事選挙が控えていることから骨格予算として編成され、その規模は約2兆1,000億円であり、同時に示された今年度の2月補正予算約1,120億円は当初予算と一体だとし、さらに、いわゆる肉づけとして留保されている予算は1,000億円前後と思われます。物価高騰が県民の暮らしや中小・小規模事業者のなりわいを直撃している今、県の予算は、何よりも県民や事業者の営業を支えることを優先すべきであると考えます。その立場から示された2月当初予算の組替えと、留保されている予算をどこに振り向けるのか、幾つかの提案を行います。
まず、当初予算案についてです。人件費等の義務的な経費や継続して推進していく事業などを計上したということですが、この中にも先送り、見直し、凍結すべきものがあります。その中心は不要不急な巨大開発や浪費型事業、立地企業補助金などです。道路ネットワーク事業の圏央道直轄事業負担金は、2024年度と比べ2.1倍の56億8,000万円が計上されており、2月補正分を含めると86億8,000万円の大幅増となっています。この86億8,000万円は、暮らしを後回しにしてまで進める緊急性は乏しく、先送りすべきです。
同様に、早期全線開通を目指している北千葉道路整備事業の県費負担分約13億2,000万円は、苦境にあえぐ県民の実態を見れば、急ぐ必要はなく、先送りあるいは凍結すべきです、併せてお答えいただきたい。
県内経済の活性化と雇用確保を図るとし、知事が肝煎りで進めているのが企業立地の促進です。県の将来を見据えるというなら、今、長引く消費不況の中で、地域経済を支え必死に頑張っている中小零細事業者が希望を持てる下支えにこそ、力を尽くすべきではありませんか。当初予算には賃貸を含む新規立地、再投資など10億3,000万円余を計上していますが、このような進出企業に至れり尽くせりの予算は先送り、凍結すべきです。
県施工の区画整理事業への一般会計からの繰入れ17億3,000万円も先送り、見直すよう求めます。それぞれお答えください。
幾つか指摘しましたが、これだけでも当初予算で127億6,000万円の財源がつくれます。
次に、留保されている、いわゆる肉づけ予算をどこに振り向けるのか。全体像はお手元に配付されている一覧表を御覧ください。ここでは、主なものについて具体的に提案します。
まず、県民の安心・安全を確保するための予算についてです。災害への対応として補正予算でもトイレカーの購入予算が計上されていますが、災害はいつ起こるか分からず早急な整備が必要です。トイレカーやトイレトレーラーは、少なくとも県内10か所の地域振興事務所に、まず配置すべきだと思うが、どうか。
交通安全対策として信号機の設置についてです。
2024年の交通事故死者数は、東京都、愛知県に次いでワーストスリーとなっています。県警には毎年300弱の設置要望が出されています。来年度、100基分の予算を計上し、県民の要求に応えるべきと思うが、どうか、それぞれお答えいただきたい。
次に、暮らしを支える社会保障に関わる予算の拡充についてです。
国民健康保険料の均等割は、現在、国の制度として未就学児までの軽減策が行われていますが、さらに20億8,000万円を追加し、14歳以下の均等割全額を免除すべきです。
子ども医療費助成も現行制度のまま31億円を追加し、通院を中学3年生まで無料にすべきです。
重度心身障害者(児)医療費助成制度については、20億4,000万円を追加し、精神障害2級も医療費助成の対象とすべきと考えるが、どうか。
あわせて、いわゆる被爆二世への医療費助成についてです。
東京都や神奈川県で行っているように、2,000万円を追加し、11の障害に伴う疾病治療を対象とした医療費助成を千葉県でも行うべきと考えるが、どうか、それぞれお答えください。
次に、社会保障を支える、いわゆるケアワーカーの処遇改善についてです。
今、訪問介護が危機的な状況となっています。訪問介護サービスに従事する職員、1人月1万円、年12万円の賃上げ支援に必要な予算は28億円です。実施すべきです。
また、看護師の確保も急務であり、現行の修学資金貸付事業の貸付額を倍にし、他県並みとするために、4億1,000万円の追加計上を求めます。
保育士処遇改善事業も24億9,000万円を追加し、現行の補助額1万円を2万円へ、倍化すべきです。
コロナ禍で浮き彫りになった保健所の体制強化のために、保健師を347人増員し、全国平均並みにするために必要な予算は約21億5,000万円です。追加計上すべきです。併せてお答えください。
次に、地域経済を支える県内中小企業への支援です。
物価高騰が長期化する中、中小企業では価格転嫁もままならず、大企業のように賃上げに踏み出せないでいるのが実態です。岩手県では昨年度より、中小企業の賃上げ支援事業を県独自に実施し、徳島県でも同様の事業を行っています。千葉県では約10万3,000社の小規模企業があります。その企業が月1人1万円、年12万円以上の賃上げを行った場合、県がその半額の6万円を支援する仕組みをつくり、1社10人まで最大60万円まで支給する制度をつくれば、小規模企業の1割、1万社を支援することができます。60億円で可能であり、小規模企業への賃上げ支援に千葉県も踏み出すべきと考えるが、どうか、お答えいただきたい。
教育費の負担軽減と施設整備についてです。
まず、60億円を追加計上し、県がようやく踏み出した学校給食費無償化を第2子まで拡充する。
私立高校の施設整備費への支援を約13億円上乗せして、年収350万世帯まで全額免除に踏み出し、約24億円の予算追加で、年収910万円世帯の私立高校の授業料を無料にすべきですが、どうか、それぞれお答えください。
さらに、特別支援学校の教室不足、狭隘化が深刻になる中、我が党は、児童生徒100人程度の特別支援学校を10校、新設すべきと提案しています。県立東葛の森特別支援学校の整備等を勘案し、5か年計画で、今年度まず2校を整備するのに必要な66億円を予算化し、特別支援学校の新設に踏み出すべきです。
最後に、千葉県は流域下水道の市町村負担金を値上げするとしており、それは利用者である住民負担へと転嫁されることは明らかです。生活に必要不可欠な上下水道の負担増など、断じて認められません。その立場から、来年度下水道の市町村負担の値上げ分約22億円を追加計上し、県民負担を抑えることが必要です。お答えください。
これら県民の暮らしを守り、願いに応えるために必要な予算額は、合計で約505億円です。これは当初予算の見直し減額分128億円と、留保されていると思われる約1,000億円を合わせた1,128億円の4割程度を振り向ければ実現可能な提案です。県民の願いを出発点に、福祉、教育、医療、安全を最優先に予算執行の基準を切り替えることが今ほど求められているときはありません。それが住民福祉の増進を一番の役割としている地方自治体の責務であることを強調しておきたいと思います。
次に、防災対策、とりわけ避難所の環境整備について伺います。
能登半島地震発生から1年、これまでの死者数は504人、このうち劣悪な避難環境で病気を悪化させたり、体調を崩して亡くなる、いわゆる災害関連死は276人と、既に2016年の熊本地震を上回っています。災害関連死の3割以上が避難所生活によるものとの報道もある中、避難所の環境を向上させることが被災者の命を救うことにつながります。
政府もこの間、能登半島地震を踏まえ、6月に防災基本計画を修正し、12月には避難所の生活環境確保の取組指針や生活支援、トイレに関するガイドラインなどを相次いで改定しています。さらに11月の総合経済対策にも、発災時のトイレ、食事、ベッドなど避難所環境の抜本的改善への取組強化が盛り込まれました。とりわけ改定された避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針には、トイレの確保、食事の質の確保、生活用水の確保において、国際的な最低基準であるスフィア基準が明確に位置づけられています。この国際基準とは、1997年に災害や紛争の被災者に対する人道支援活動のために策定された人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準とされているものです。被災者に劣悪な避難所での我慢を強いるのではなく、今後の生活の再建に希望を持ちながら生活できるよう、第1に、災害や紛争の影響を受けた人々は尊厳ある生活を営む権利があり、そのための保護と支援を受ける権利を有している、第2に、災害や紛争による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならないという2つの基本理念を掲げています。政府も位置づけを明確にした国際的な基準であるスフィア基準とその理念を、県の防災対策、被災者支援の根幹に据えるべきと思うが、どうか、お答えください。
県の災害時の緊急物資等に係る備蓄・物流の基本指針には、発災から3日間を想定した備蓄の在り方の基本的な考え方として、市町村の備蓄、調達は、「自助・共助により賄われる備蓄物資等を補完する目的で行われるもの」と自己責任が強調されています。しかし、災害時の備蓄、調達、供給は、第一義的に国、自治体の責任で行われるべきものではありませんか。そこで、国際基準、スフィアの理念に添った、災害時の備蓄の在り方として、公助の役割と自治体の責任を明確にすべきだと思いますが、お答えいただきたい。
県が示した地域防災計画の修正案には、避難所開設当初からパーティションや段ボールベッド等の簡易ベッドを設置するよう努めると明記されています。ということは、県内2,311の指定避難所には、収容される避難者分の必要な物資が既に備蓄されていなければならないと考えますが、県の見解はどうか、お答えください。
問題は、災害時125万人の避難者を収容するとしている県内の2,311の避難所ごとの備蓄の現状がどうなっているのかということです。そこで、避難所ごとの備蓄の現状について伺います。
まず、発災時に最低限必要となる3日分の水、食料と毛布などの備蓄についてです。想定収容人数分の備蓄がされている避難所数はどうか。水、食料、毛布などが避難所に全くない備蓄ゼロの避難所数はどうか。
次に、県の地域防災計画でも修正された間仕切り、パーティションの備蓄についてです。
パーティション、間仕切り等が想定収容人数・世帯数分確保されている避難所数はどうか。パーティション等が全く確保されていない避難所数はどうか。
さらに、この間、強調されている女性の視点を踏まえた避難所運営についてです。衣類、特に下着や生理用品が備蓄されている避難所数はどうか。更衣室が確保されている避難所はどの程度あるのか。洗濯物の物干し場所が事前に確保されている避難所はどの程度か。
トイレの環境整備については、改定された国の取組指針でも、男女の設置割合や想定避難者数に対応するトイレの数も示されています。県の地域防災計画でも「より快適なトイレの設置に配慮するよう努める」とされていますが、現状で、最低限、簡易トイレが確保されている避難所はどの程度か、それぞれ答弁を求めます。
さらに、避難所の環境整備で欠かせないのが空調機器の設置です。現状では県立学校の避難所になっている132の体育館で空調設置は1校だけでした。教育長は、空調設置は今後の課題としていましたが、やっと今回の補正予算、来年度予算で、設置に向けた費用が計上されましたが、まだほんの一部にしかすぎません。
そこで伺います。
いつまでに避難所体育館への空調設置を完了させるつもりなのか。
せめて3か年計画などで集中的に整備すべきと思うが、どうか、併せてお答えください。
次に、訪問介護事業、国民健康保険に関して伺います。
まず、訪問介護についてです。
東京商工リサーチの調査によれば、2024年全国の訪問介護事業者の倒産が過去最多を更新し、72件に達しています。県の調べでも、昨年度、訪問介護事業所は休止・廃止・失効数合わせて113の事業所が消えました。さらに事業所の休止は今年度21件で前年を上回る勢いとなっています。柏市内の事業所からは、募集してもヘルパーが来ない、松戸市からは、20人いたヘルパーが5人に減り、残った2人が80歳。高齢のヘルパーが無事帰るか心配などの声が寄せられています。睦沢町の高齢者からは、事業所が町に1か所だけで、隣町から来てもらったが、ヘルパーが足りず2回のサービスを1回で我慢している、希望する日時には受けられないなど深刻な訴えが届いています。県高齢者保健福祉計画では、「介護が必要になっても、自分らしく安心して暮らせる地域社会を」と掲げられていますが、事態は極めて深刻です。知事、県内でもヘルパー不足や必要な介護が受けられない事態が起っていることを御存じですか。こんなことがあってはならないと思うが、どうか。
原因と打開策についてどうお考えか、それぞれ見解を伺います。
この背景には、訪問介護報酬の削減や、介護従事者の処遇が劣悪なことが指摘されていますが、県として、まず実態を把握することが必要です。実際に昨年10月、社会保障推進千葉県協議会などが県内の訪問介護事業所に実施したアンケートでは、回答した129事業所のうち約6割が、収益悪化と答え、その理由の最多が、国の基本報酬引下げとなっています。また4割は、従業員が減った、5割が、人材確保見込みなしと答えるなど、まさに存続の危機と言えます。長野県が昨年行った訪問介護事業所実態調査では、65%の事業所が職員不足と回答するなど、同様の事態が起こっています。県として、早急に訪問介護事業所実態調査を実施し、県内の現状を把握すべきと思うが、どうか、お答えください。
その上で、緊急にやらなければならない1つは、介護職員の賃金の抜本的引上げと労働条件の改善です。2つとして、とりわけ深刻な訪問介護事業所の報酬の引上げと事業所の再建継続を応援することです。国は今年度の介護報酬改定で、訪問介護事業所の平均利益率は黒字だなどとして、基本報酬の引下げを行いました。しかし、国の調査でも訪問介護事業所の約4割が利益率ゼロ未満の赤字となっています。要介護者の自宅を1軒1軒回る地域の中小事業所は、収入も人手も足りず大赤字となっています。理不尽極まる報酬削減に、全国ホームヘルパー協議会等が連名で抗議し、日本医師会も懸念を表明しています。
そこで伺います。
訪問介護事業所の報酬削減は速やかに元に戻すよう国に求めるべきですが、どうか。
県として介護事業所の経営と事業継続へ、介護職員の賃金や待遇を保障する独自の支援策を実施すべきと思うが、どうか。
3つに、介護基盤が消滅の危機にある地域を支える特別措置を講じることです。全国では、訪問介護事業所が空白の自治体が増えています。県内では芝山町が事業所空白、睦沢、長南、神崎、白子町には1か所しかなく、勝浦市など1市5町が2か所、3か所までしかない自治体が13で全体の4分の1にも上ります。事業所からは、移動に往復1時間かかり赤字が増える、高齢者からは、慣れた事業所が休止しサービスを止めたなど深刻な訴えが寄せられるなど、介護事業所は消滅の危機に直面しています。事業者任せではなく、国費などで自治体に財政支援を行う仕組みを緊急に創設するなど、国に強く求めるべきと思うが、どうか、お答えください。
次に、国民健康保険についてです。
県の第2期国民健康保険運営方針の下、今何が起きているのか。私の住む柏市では、議会に、県の統一保険料に合わせるとして、今後6年間、保険料を毎年8,500円値上げするとの方針が示されました。年金暮らしの夫婦2人の場合、昨年は17万3,400円だった保険料が、今年は20万5,000円に、6年後には36万3,000円と、今の倍以上になります。知事、物価高騰が暮らしを困難にしている今、これが高齢者が払える保険料と言えるのか。暮らしを脅かす、こんな値上げがあってはならないと思うが、知事の見解を伺います。
国保加入者の多くは所得が低く、他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっている、いわゆる国保の構造的問題を抱え、市町村も運営に苦慮する事態となっています。市町村が今行っている努力の1つが法定外繰入れです。2021年度、159億6,000万円あった繰入れは、22年度には、国や県の圧力の結果、35億8,000万円にまで激減しました。しかし、23年度には84億6,000万円と2.4倍に再び増えています。県が繰入れの解消をと号令をかけているのに、法定外繰入れは増えている。この事態を県はどう見ているのか、お答えください。
そもそも、なぜ法定外繰入れを解消しなければならないのか。法的根拠がないことは県も認めています。唯一の根拠としているのが国の運営方針策定要領です。しかし、そこでも、解消することが重要と述べられているにすぎません。市町村では、憲法に基づき独自に国民健康保険条例、基金条例を整備しています。そこでは、必要があるときは国保基金に積立てができ、国保事業の経費に充てる場合、あるいは、国保の財政運営上必要とするときは、首長の判断で処分する、国保会計に投入することができるとされています。
そこで伺います。
自治体の条例制定権を定めた憲法の下で、条例によって自治体の判断で公費の繰入れを行うことは可能ではありませんか。
国民皆保険制度を維持し、公的扶助によって低所得者や困窮者を救済し、住民の最低限度の生活を保障するために行われている法定外繰入れは、地方自治体独自の権限に属するもので、当然、認められるべきものと思うが、どうか、それぞれお答えいただきたい。
そんな中、昨年10月、印旛郡市9自治体の首長連名で、第2期国保運営方針に関する緊急要望が知事に提出されています。そこでは、「大幅な保険税の引き上げは」、「社会的状況も踏まえると、大きな混乱を招くことが予測され」るとし、要望として、県は国保の「共同保険者であり、財政運営の責任主体として」、県「独自の財政措置を講じること」などの4項目が盛り込まれています。しかし、県は独自の財政支援については、被保険者以外の県民に負担を求めることになるから困難だとしています。なぜ被保険者とそれ以外の県民を対立的に描く必要があるのか。運営方針には、国保は「日本の社会保障制度の中核であ」り、「重要な基盤」と明記されています。そもそも社会保障とは、住民同士で支え合うものなどではありません。税の社会的再配分によって貧困、格差を是正するものであり、憲法25条に基づいて、国や地方自治体の責任で行わなければならない公的保障制度であると思うが、知事の認識はどうか、お答えください。
次に、県営水道の値上げについて伺います。
昨年9月定例県議会で熊谷知事が、突如として県営水道の料金値上げを打ち出し、12月議会で、必要な値上げ幅は23%程度であり、一般会計からの繰入れを実施して20%程度の値上げに抑えると答弁しました。実施時期については、2026年度を想定しているとしましたが、値上げ幅を抑えるといっても20%もの値上げは、県民生活に多大な影響を与えることは明らかです。しかも、その後の企業局からの聞き取りでは、今年5月頃に予定している千葉県水道事業運営審議会で議論を行って案をまとめ、同年度中に関係条例の改定など議会の議決を予定していると回答しました。前回の料金改定では、4月実施前年の12月県議会で条例改定を行っています。今年5月の審議会に改定案を諮り、仮に前回と同じ12月県議会で条例改正を行うとしたら、県民的議論は6か月程度しか保障されません。あまりにも性急過ぎるのではありませんか、お答えください。
そもそも今回の20%もの料金値上げは、あまりにも影響が大き過ぎます。昨年度の水道料金収入は648億円なので、20%の値上げは年130億円もの負担増となります。県営水道利用者は300万人で、県内人口の半分がその影響を受けます。しかも、県は、来年度から流域下水道の市町負担金を約22億円も増やそうとしており、これらも下水道利用者に転嫁されるのは明らかです。今、物価高が県民の暮らしを襲い、給料は上がらず、年金収入も実質目減りをしており、県民の暮らしは深刻です。政府が低所得世帯に3万円の給付金を支給しなければ乗り越えられないほどの状況です。毎日、3食、シリアル食と牛乳だけで過ごしている、1日2食に減らし、おかずも1品減らしているなどの声が聞こえてきています。しかも、昨年12月以前に1年以上滞納している県営水道利用者は3万259人もいます。値上げされれば、払えない人がさらに増えるのは明らかです。20%もの値上げを実施すれば、県民生活への影響は重大だと思うが、知事の認識はどうか、お答えいただきたい。
そもそも知事は値上げが必要な理由として、物価高や人件費の高騰などによる事業費が増大し、2026年度から始まる5か年の次期中期経営計画で赤字が見込まれることを挙げています。仮に23%の値上げが必要だとすると150億円程度の赤字を想定していることになります。企業局では、収益的収支が50億円の赤字、その他は資本的収支だとしていますが、内容については一切明らかにせず、来年度の審議会に提示すると繰り返すばかりです。民主主義の根幹である県民や水道利用者の理解と納得を得ることよりも、初めに値上げありきの問答無用、まさにトップダウンではありませんか。知事、こんな姿勢でいいのか。直ちに数的根拠を示すべきではありませんか、お答えください。
付け加えて言えば、企業局は、知事に20%値上げの根拠を示しており、それに基づいて議会で答弁したと話しています。ところが、その数字を明らかにするよう求めると、精査中であり、公表はできないと拒否しました。示せないようないいかげんな数字で議会答弁を行ったのかと重ねて聞くと、20%程度としており、おおむねこの範囲に入ると回答しています。こんな言葉遊びのようなふざけたやり方があるでしょうか。あまりにも誠意がなさ過ぎる、議会軽視そのものだと思うが、知事の認識をお聞かせいただきたい。
県民には料金値上げを押しつけようとしながら、一方で、県営水道はこれまで多額の無駄な支出を続けてきています。この10年間の1日最大給水量は2019年度で105万982立方メートルですが、2021年度に改定された長期施設整備方針では、1日最大給水量の推計値は113万4,600立方メートルで、8万立方メートルも多くなっています。必要施設能力に至っては127万6,800立方メートルとしており、22万立方メートルも多く施設を整備しようとしています。この理由について企業局は、災害や水質事故対策、施設の修繕対応などを挙げていますが、どのぐらいのゆとりが必要なのか、試算は一切やっていません。既に県営水道は過大な見通しの下に八ッ場ダムに参画し、北千葉水道企業団を通じて思川開発からの水も引き受けるとしています。八ッ場ダムも思川開発も無駄な公共事業として国民的批判が広がり、政権を揺るがすほどの事態となりました。こうした無駄遣いへの反省なしに、そのしわ寄せを県民に求めるのは許されないと思うが、どうか、お答えください。
水は人が生きていく上で絶対に欠かせないものであり、水道がなければ生活が成り立ちません。県営水道を利用しているあるそば屋さんは、そばをゆでたり食器を洗ったりするのに大量の水を使うため、水道料金は月に5万円、これが2割も上がったら店の経営に大きく響くと話しており、水を多く使う地域の業者に大打撃を与えます。どんな理由があろうとも、安価で安定した供給が求められており、県にはその責務があると考えますが、知事の認識はどうか。
知事、今回の値上げは中止を決断すべきではありませんか、はっきりとお答えいただきたい。
次に、教員未配置と教職員の処遇改善について伺います。
まず、教員未配置についてです。
今年度も月を追うごとに教員未配置が増加し、11月1日時点で、全体で376人となっています。11月1日時点で未配置全体の39%が特別支援学校で、107人となっており、未配置が4人以上という学校が14にも上り、10人も未配置になっている学校もあります。特別支援学校37校で未配置107人、この異常事態を教育長はどう見ているのか。特別支援学校の未配置解消のためにどんな対策を講じているのか、お答えいただきたい。
我が党は未配置が7人になっている特別支援学校でお話を伺ってきました。肢体不自由の生徒たち103人が学んでいる学校です。給食やトイレは当然介助が必要になり、自立活動のからだの時間には、マンツーマンで寄り添った指導が行われていました。この学校では、昨年10月には未配置が8人となっていました。産休や育休の代替教員が配置されなければ、学校ではその都度、指導体制を組み替えて、何とか現場のやりくり、教員たちの努力でカバーしていると話していました。今年度は年度当初から定数にも満たない教師集団でスタートせざるを得なかった実態も明らかになりました。教育長、一刻の放置も許されない事態だと思いませんか。緊急的な対応策が必要だと思うが、どうか、お答えください。
我が党は2022年に深刻な教員不足・未配置の解決を目指す提言を示しました。柱は2つで、1つは、定数内欠員をなくすために、採用数を大幅増員し、ゆとりある配置とすること、2つに、休暇等代替未配置をなくすために、県単定数分を年度当初から採用し、休暇等の申請と同時に、異動、代替配置を行うというものです。この間、県教委も年度ごとの採用試験の合格者数を増やしてきましたが、問題は年度が進むに従って増加する産休、育休、療養休暇の代替配置をどうするのかということです。
休暇代替について、昨年、文科省は、産休、育休の代替教員は臨時的任用講師としていたが、代替者が正規の教員である場合にも国庫負担の対象とする義務教育費国庫負担法の改正を打ち出し、来年度から計画的な正規教員の採用を促したいとしています。しかし、問題は正規教員の年度当初からの余裕ある配置がされていなければ、即時代替配置はできません。正規教員の代替配置をどのように進めるのか、お答えください。
県の会計年度任用職員の最長雇用期間は3年です。3年の有期雇用後、無期雇用、正規へと転換できる正規教員への道を広げる採用の仕組みをつくることが必要だと思いますが、教育長の認識を伺います。
県の責任で行わなければならないのは、療養休暇に入った教員の代替確保です。県単定数に組み込まれている療養休暇代替分の教員を年度当初からの採用、配置すべきとの我が党の要請に、教育長は、療養休暇代替は急遽配置することになるため、居住地区や担当教科等がばらばらであることから、年度当初からあらかじめ配置することは困難と答弁しています。しかし、小中学校の11月1日の未配置を見れば、その78%は小学校であり、担当教科に左右されることはありません。居住地域も考慮して、教育事務所ごとに学校に加配すれば、異動は可能ではありませんか。3週間の猶予期間もなく学校現場に直ちに配置できる。県単定数の年度当初からの採用、配置に踏み出すべきです。お答えいただきたい。
さらに、未配置数の多い学校現場の状況を勘案し、教員定数の中から県教委事務局に配属されている、教員免許を持っている充て指導主事を、期限を決めて派遣、配置するなどの緊急策も講じるべきではありませんか、お答えいただきたい。
かつて教員の受け持ち授業は1日4こまを基準に基礎定数が配置されていました。今は1日5こま、6こまが当たり前で、長時間勤務を余儀なくされています。1日4こまの原則で基礎定数を配置するよう、抜本的な定数改善を具体的に国に求めるべきだと思いますが、お答えください。
次に、フルタイムの再任用教諭の処遇改善についてです。
昨年9月、県教委は、教員給与の見直しに係る意見を人事委員会に提出し、給与上の措置、改善を求めています。来年度から臨時的任用講師の処遇については、1級講師から2級教諭へと近県同様に改善するとしたことは、一歩前進です。さらに、フルタイムの再任用教諭の給与改善も急務となっています。2022年度の定年退職時の平均給与月額46万1,000円に対し、再任用採用時、約31万3,000円と、在職時の67%まで大きくダウンしてしまいます。毎年500人から600人の方々が、フルタイム再任用として学校現場を支えています。県教委も認めているように、再任用教諭は、正規の教員と同様に、授業や学級担任、部活動に生徒指導と、学校運営の中心となる業務に従事しているのが現状です。
そこで伺います。再任用教諭に、経験ある力を発揮してもらうために、フルタイムで働けば正規の教諭と同等の給与水準を保障する処遇改善を行うべきではありませんか、お答えください。
以上で1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(瀧田敏幸君) 加藤英雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 共産党の加藤英雄議員の代表質問にお答えいたします。
まず、政治姿勢についてお答えいたします。
新たな感染症に関する御質問ですが、県では新型コロナウイルス感染症への対応において、感染症対策をオール千葉県で実施する体制を整えるとともに、臨時医療施設の設置による病床の確保など、感染状況に応じ県民の命を守るための対応を行ってまいりました。これらの経験等を踏まえ、新たな感染症に備えるために感染症予防計画等を改定し、あらかじめ医療機関などと協定を締結することにより、医療提供体制、検査体制等の確保に取り組むとともに、保健所の一部業務について、本庁で業務を集約して行うことにより、保健所における健康危機発生時の対応力の強化を図ることとしています。
被災者生活再建支援制度に関する御質問2問については関連いたしますので、一括してお答えいたします。自然災害により住家被害を受けた被災者に対しては生活再建に向けた支援が必要であると認識をしており、被害の程度に応じて法制度に基づき、適切に支援が実施されるべきものと考えています。県では、国の被災者生活再建支援制度が適用にならなかった被災者に対し、独自の支援策により対応しており、また、国の制度については適用範囲の見直しや適用条件の緩和など、全国知事会を通じて国に求めているところであり、引き続き様々な機会を通じて要望してまいります。
次に、避難所の環境整備についてお答えいたします。
スフィア基準を防災対策等の根幹に据えるべきとの御質問ですが、災害時の避難環境については、避難所への水の確保対策や発電機の整備、トイレの洋式化などの市町村の取組に対して財政支援を行ってきたところです。今回改定された国の指針では、スフィア基準に沿った良好な避難環境を確保することとされており、県としても避難所等における快適なトイレ環境やパーティション、簡易ベッドによる生活空間の確保、食事の質の向上などを市町村と連携して進めてまいります。
避難所への備蓄についての御質問ですが、各市町村における水や食料、毛布等の備蓄物資の保管については、市町村が設置をした備蓄倉庫や避難所等に併設された倉庫など、それぞれの事情を踏まえて備蓄をされているところです。避難所ごとの備蓄の在り方については、避難所の状況や地理的条件等を踏まえながら、適切な手法により対応するべきものと考えており、市町村の備蓄が不足する場合には、県の備蓄物資や協定等を活用し、避難所運営を支援することとしております。
次に、訪問介護事業及び国民健康保険についてお答えいたします。
訪問介護事業所の報酬についての御質問ですが、令和6年度に国が行った介護報酬改定では、訪問介護について処遇改善加算に係る加算率は、他のサービスに比べて高い水準が設定されていますが、基本報酬は引き下げられています。このため、県では全国知事会を通じて国に対し、訪問介護における基本報酬の引下げ等の影響を適切に検証し、必要に応じて介護報酬の臨時改定等の措置を講じるよう要望しております。
訪問介護に関する財政支援についての御質問ですが、介護保険制度における負担や給付の在り方等については、国が社会保障審議会の意見を聞いて定めているものと認識をしています。県では、全国知事会を通じて介護サービスの安定供給のために必要な措置を十分に講じた上で、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、適切な介護報酬の設定や保険料と国、地方の負担の在り方を含め、必要な制度の改善を図ることについて、国に対し要望しています。
社会保障としての国民健康保険制度についての御質問ですが、国民健康保険制度は日本の社会保障制度の中核である国民皆保険制度を支える重要な基盤であると認識をしています。このため、国民健康保険制度は国の責任の下、医療保険制度全体を改革する中で、持続可能な制度とすべきものであると考えており、県では、従来から医療保険制度間の公平と今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の確立を図るよう、国に対して要望しているところです。
最後に、県営水道の値上げについてお答えいたします。
水道料金の値上げが性急すぎるのではないかとの御質問ですが、県営水道においては次期中期経営計画期間中の早い段階で損益収支の赤字が見込まれることから、計画の開始時期である令和8年度に料金の値上げをすることを想定しています。一方、水道料金の値上げは県民生活や経済活動に大きな影響を与えることから、その時期については、令和7年度中に審議会や県議会でしっかりと議論をしていただいた上で最終的に判断をしてまいります。
水道料金の値上げによる県民生活への影響についての御質問ですが、水道料金の値上げ幅は県民生活などへの影響を考えると、可能な限り抑制をすることが望ましいと認識をしています。こうした中、現時点における次期中期経営計画期間中の収支見通しにおいては約23%の値上げが必要と見込んでいますが、交付税措置のある一般会計からの繰入れを行うことにより、値上げ幅を20%程度に抑えてまいりたいと考えています。
値上げありきと水の供給に対する県の責務、値上げの中止についての御質問3問については関連いたしますので、一括してお答えいたします。水道事業者の責務は平常時はもとより、災害などが発生した場合においても、安全な水を安定して供給していくことであると認識をしています。この責務を将来にわたり果たしていくためには、施設の強靱化を図るとともに、日々の施設や水質の管理を的確に行っていく必要がありますが、施設の老朽化が進み、資材価格や薬品費などが高騰する厳しい現状を踏まえると、水道料金の値上げは避けられないと考えています。
なお、水道に関する御質問全体を通じて申し上げます。昨今様々な物の値段が上がり、県民の皆様の家計の負担が増していることは私もよく承知をしております。一方で、水道事業は県民の命を支える欠くことのできないインフラであり、県として支出の削減やルール上可能な限りの財源措置を講じた上で、なお不足する収入については、水道料金として御負担いただくしかないと考えております。老朽化した水道管の更新が遅れると、平時でも漏水のリスクがあるほか、一たび自然災害が発生すれば、長期間に及ぶ断水など県民生活に深刻な影響を及ぼしかねません。こうした対策にしっかりと取り組み、将来にわたって安全を確保していくためにも、利用者の皆様に今回の値上げについて御理解いただけるよう丁寧に説明を尽くしてまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えいたします。
○議長(瀧田敏幸君) 副知事穴澤幸男君。
(説明者穴澤幸男君登壇)
○説明者(穴澤幸男君) 私からは、まず、2025年度予算への提案のうち2月補正を含む当初予算案についてお答えいたします。
圏央道直轄事業負担金に関する御質問ですが、圏央道はアクアラインと一体となって広域道路ネットワークを形成し、首都圏における交流、連携を強化するとともに、半島性を克服し県内を広く活性化させる大変重要な道路です。圏央道の整備により、移動時間の短縮による生産性の向上や県民生活の利便性が向上し、災害時における円滑な物資輸送や救命救急活動に寄与することから、一日も早い開通が必要と考えております。
北千葉道路の整備についての御質問ですが、北千葉道路は外環道と成田空港を最短で結び、首都圏の国際競争力を強化するとともに、災害時における緊急輸送道路として機能する大変重要な道路です。県としては、北千葉道路の整備により沿線地域の交通混雑の緩和や交通事故減少にも寄与し、県民の利便性向上や安全・安心につながることから、整備を推進していきたいと考えております。
県施行の土地区画整理事業への繰入金についての御質問ですが、県施行の土地区画整理事業については、東京湾アクアラインやつくばエクスプレスなどの交通ネットワークを生かした利便性の高いまちづくりを進める上で不可欠な事業であり、今後とも着実に推進していきたいと考えております。
次に、いわゆる肉づけ予算についての御質問ですが、まず、トイレカーを地域振興事務所に配置すべきとの御質問ですが、良好な避難環境を維持するため、快適なトイレを確保することが重要です。このため、県では新たに国の交付金を活用してトイレカーを6台配備することとしており、これと併せ、協定事業者からトイレカーや仮設トイレ等を調達し、必要な数量を確保することとしております。
私立高校の施設整備費についての御質問ですが、県では、経常費補助金や授業料減免補助、入学金軽減補助、奨学のための給付金など様々な支援を行っているところです。今後とも私立学校に通う生徒が安心して学ぶことができるよう、私学助成全体を一体的に運用しながら、保護者負担の軽減に努めてまいります。
私立高校の授業料についての御質問ですが、県としては、高校授業料に係る保護者の負担軽減は全国一律で実施されることが望ましいと考えていることから、国に対し就学支援金の拡充を要望しているところです。また、国の就学支援金に上乗せする形で実施している本県の授業料減免については、限られた財源の中で必要とする生徒、保護者に支援が届くよう制度の見直しを検討してまいります。
来年度の流域下水道事業における市町村負担に関する御質問ですが、汚水処理に係る経費は、原則として受益者が負担すべきとされており、流域下水道事業では流域関連市町に負担していただいております。昨今の電気料金をはじめとする物価上昇に伴い、市町が負担すべき経費が増えることとなりますが、引き続き省エネ運転や太陽光発電の導入など、さらなる経費削減に取り組んでまいります。
備蓄について、公助の役割を明確にすべきとの御質問ですが、災害の際、必要となる物資の備蓄については、県、市町村など公助により適切に実施されるべきと認識しております。このため、水や食料の確保に加え、トイレカーや簡易トイレなどによるトイレ環境、パーティション等を活用した良好な生活空間など、避難環境の確保に市町村と連携して取り組んでまいります。
市町村における備蓄のうち避難所での状況についての御質問にお答えします。なお、数値は全て令和6年11月1日時点のものとなります。
初めに、想定収容人数分の水について、3日分を備蓄している避難所は284か所、水の備蓄がない避難所は620か所、想定収容人数分の食料について、3日分を備蓄している避難所は318か所、食料の備蓄がない避難所は636か所、想定収容人数分の毛布について、備蓄している避難所は378か所、毛布の備蓄がない避難所は711か所となっております。
避難所におけるパーティション等の備蓄については、想定収容人数分を備蓄している避難所は121か所、備蓄していない避難所は1,157か所となっております。
避難所における下着や生理用品等の備蓄については、女性用の下着を備蓄している避難所は7か所、生理用品を備蓄している避難所は871か所、更衣室が確保されている避難所は1,027か所、事前に物干し場所を決めている避難所は473か所となっております。
避難所における簡易トイレなどの確保状況については、被災により施設のトイレが使えない、またはトイレが不足する場合などに備え、携帯トイレや簡易トイレの備蓄をしている避難所は1,642か所となっております。
次に、県営水道の値上げの根拠に関する2問の御質問は関連しますので、一括して答弁させていただきます。水道料金の値上げについては、使用者にしっかりと理解していただくためには、値上げの根拠をできる限り早くお示しする必要があると考えております。一方で、本来水道料金は口径や使用量ごとに決定するものですが、現時点における値上げ幅は総収入額に対するものであるとともに、いまだ物価の高騰が続いている中での試算値によるものです。今後は、令和6年度決算見込みなどを踏まえて精査した上で、口径や使用量に応じた最終的な改定案をまとめることとしており、値上げに係る根拠についても、これに併せてお示ししてまいります。
最後に、ダム等の水源開発事業への参画に係る御質問ですが、県営水道は水源の大部分を利根川水系に頼らざるを得ない状況である中、県民生活や経済活動を支えるため、八ッ場ダム事業などに参画し、必要な水量を確保してまいりました。水道事業者の責務として、平常時はもとより、災害や渇水、水質事故などが発生した場合においても安定的に水を供給するため、これまで確保した水源は必要不可欠なものであると考えております。
私からは以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 副知事黒野嘉之君。
(説明者黒野嘉之君登壇)
○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、立地企業補助金についての御質問にお答えいたします。
立地企業補助金は県内の新規立地や県内立地企業の再投資の促進を図り、雇用や税収の確保、地元企業との取引機会の創出につながるものであり、県内経済の活性化を図っていく上で必要な事業であることから、来年度当初予算案に計上したところです。
次に、国民健康保険料の均等割についての御質問ですが、国民健康保険制度は法に基づく全国統一の制度であり、制度設計に関わる事柄については国が責任を持って対応すべきものと考えております。このため、県では子供に係る均等割保険料軽減措置について、対象範囲の拡大等を図るよう国へ要望しているところです。
次に、子ども医療費助成事業についての御質問ですが、現行の子ども医療費助成制度は、子供の保健対策上及び保護者の経済的負担の軽減を図る観点から、支援の必要性の高い年齢をカバーしていると考えており、今後も持続可能な制度として安定的に維持運営していくことが重要であると考えております。
次に、重度障害者の医療費助成に係る対象者拡大についての御質問ですが、重度心身障害者(児)医療給付改善事業は、医療費の助成を通じて重度障害のある人の自立を支援する制度であり、精神障害については、身体障害及び知的障害との均衡を考慮した結果、障害の程度について、精神障害者保健福祉手帳1級を対象としたものです。本制度の対象者の検討については、関係団体の意見を伺いながら、実施主体である市町村と協議を行い、現行の制度としております。
次に、被爆二世への医療費助成に関する御質問ですが、県では、厚生労働省による被爆二世を対象とした調査事業を受託し、健康状況の実態把握と健康管理を目的とした健康診断を実施しております。この健診費用について、国の基準額に県独自の加算額を上乗せして支給しており、負担の軽減を図っているところです。今後とも本事業を実施し、被爆二世の健康状況の実態把握や健康管理とともに負担の軽減を図ってまいります。
次に、訪問介護サービスに従事する職員の賃上げへの支援についての御質問ですが、介護職員の処遇については、国が定めている介護報酬において改善が実施されるものであり、介護職員のさらなる処遇改善が図られるよう、引き続き国に要望してまいります。なお、県では、国の補正予算を活用して、介護職員等の緊急的な賃金の引上げや職場環境改善等を支援するための補助事業を実施する予定です。
次に、保健師等修学資金についての御質問ですが、本県の修学資金貸付額は、民間立の学校の場合、月額1万8,000円など、他県の制度と比べ低い額となっておりますが、より多くの学生が制度を活用できるよう、返還免除の要件として就業先の病院の規模等の制限を設けず、他県よりも利用しやすい制度設計としております。また、看護職員の確保がとりわけ困難となっている医療圏での就業を希望する学生を対象に、倍額の月額3万6,000円を貸し付ける地域特別貸付枠を設けております。
次に、保育士処遇改善事業に関する御質問ですが、県では、保育士の確保、定着の促進のためには給与の底上げが必要であるとの認識から、本事業を市町村と連携して実施しているところですが、保育士の処遇改善は、本来国において取り組むべきと考えていることから、これまで国に対し要望してきたところです。こうした中、国の補正予算において、人事院勧告等を踏まえ処遇改善が行われており、県においても2月補正予算案に所要額を計上しております。
次に、保健師の増員についての御質問ですが、地域保健に係る国の統計調査における令和4年度の千葉県の常勤保健師数1,090人のうち、943人は県内市町村の保健師であり、県の保健所の保健師は147人です。県の保健所の保健師については、令和元年度から6年度までの5年間に31名、約2割を増員しているところであり、今後とも必要に応じ保健師を増員し、保健所の体制強化に努めてまいります。
次に、中小企業の賃上げ支援に関する御質問ですが、中小企業が持続的に賃上げを行うためには、生産性の向上や適切な価格転嫁などにより賃上げの原資を確保できる環境を整備することが重要であると考えております。このため、県では生産性向上に資する設備投資への支援やワンストップでの相談対応などの伴走支援を充実しているほか、適切な価格転嫁に向け、国や関係団体と連携し、企業への働きかけを強化しているところです。
次に、訪問看護に関するヘルパー不足等の状況と、その原因、打開策については関連しますので、一括してお答えいたします。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるためには、地域において必要な介護サービスを提供できる体制を整備することが不可欠です。ヘルパーの不足等については、全産業平均と比べ賃金が低いこと、特有の知識、技術が求められることなどが要因と認識しております。このため、県では国の補正予算を活用して介護職員の処遇改善等に取り組むとともに、介護に携わる職員全体のさらなる処遇改善を国に要望しているほか、介護職員初任者研修に対する受講料の補助等を行っているところです。今後も訪問介護を含む介護人材の確保、育成や、介護サービス基盤の計画的な整備の促進に努めてまいります。
次に、訪問介護事業所の現状把握についての御質問ですが、介護施策を進めていく上で、介護事業所が抱えている様々な課題を把握することは重要と考えており、県としても、市町村や関係団体へのヒアリング等を通じて情報収集を行ってまいります。
次に、介護事業所の経営等への支援についての御質問ですが、県では、介護事業所において業務の効率化が図れるよう、業務改善に係る相談対応や伴走支援などを行っているところです。介護職員の処遇については、国が定めている介護報酬において改善が実施されるものであり、介護職員のさらなる処遇改善が図られるよう、引き続き国に要望してまいります。
次に、国民健康保険料についての御質問ですが、国民健康保険料は、賦課徴収の権限を有する市町村において、法令及び条例に基づき算定されているものであり、国保の安定的な財政運営等のため、被保険者の皆様に負担していただく必要があるものと認識しております。
最後に、国民健康保険の法定外繰入れに関する御質問3問については関連しますので、一括してお答えいたします。決算補填等を目的とした法定外繰入れは、保険給付と保険料負担の関係性が不明瞭となるとともに、被保険者以外の住民に負担を求めることとなるため、第2期千葉県国民健康保険運営方針においても、令和12年度までに解消することを目標としているところです。法定外繰入れを実施している市町においては、それぞれの実情に応じ赤字削減・解消計画を策定するなど、決算補填等を目的とした法定外繰入れの解消に向け取組を進めているものと考えております。
私からは以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 教育長冨塚昌子君。
(説明者冨塚昌子君登壇)
○説明者(冨塚昌子君) まず、給食費無償化についての御質問ですが、県教育委員会では、学校給食については本来国が制度を設計すべきと考えており、国の動向を注視しつつ、国に対し、財源を含め具体的な施策を示すことを検討するよう要望してまいります。
特別支援学校の新設についての御質問ですが、県教育委員会では、第3次県立特別支援学校整備計画の前期計画に基づき、新設校3校の設置と教室棟の増築など2校の整備を行っているところです。引き続き転用可能な校地、校舎の把握に努め、関係市町村等と連携、協力しながら、計画的に整備が着実に進むよう取り組んでまいります。
避難所になっている県立学校体育館への空調整備に係る2問については関連しますので、一括してお答えいたします。県立中学校及び特別支援学校については、国の空調設備整備臨時特例交付金を活用し、順次整備する予定です。高等学校は交付金の対象となっていませんが、地域や各学校の状況を勘案し、大規模災害時に避難所に使用される可能性の高い体育館を優先して整備を進める予定です。
特別支援学校の教員未配置に係る2問については関連しますので、一括してお答えいたします。県教育委員会では未配置解消に向け、さらなる工夫が必要であると認識しています。今年度は新たに退職した教員など、短時間であれば勤務できる非常勤講師の業務内容の拡充と、希望する学校への柔軟な配置を始めました。また、令和7年度に向けて採用者数を大幅に増やしたところであり、引き続き未配置の解消に一層努めてまいります。
正規教員の代替配置についての御質問ですが、昨年12月に国庫負担に関する政令が改正され、産育休等の取得者の代替に正規の教職員を充てられるようになったことから、次年度の募集数の決定に当たっては、こうした新しい要素も加味し、検討していく必要があると考えています。
正規教員への採用についての御質問ですが、採用選考においては、講師としての実績があり、一定の条件を満たす方に対して選考の一部を免除する講師等特例選考を設けており、今後も選考により優秀な人材の採用に努めてまいります。
県単定数の年度当初からの配置についての御質問ですが、教職員定数は国が措置することが基本であり、県単定数については国の定数が措置されない教職員について措置しているところです。療養休暇は年度途中に急遽発生するため、代替者をあらかじめ配置することは困難であり、今後も事由が発生した時点で確実に適任者を配置できるよう努めてまいります。
いわゆる充て指導主事についての御質問ですが、学校が直面する様々な課題への指導などに適切に対応するためには、学校での経験、専門性が必要であることから、教員出身者を指導主事に充てています。
定数改善についての御質問ですが、県教育委員会としては、国の加配による小学校専科指導教員に加え、県独自の非常勤講師等の配置を行い、教育の質の向上や教員の授業時数の軽減に努めているところです。
教職員定数の改善については、引き続き国に要望するとともに、外部人材の活用等により、教員の負担軽減に取り組んでまいります。
再任用教諭の処遇についての御質問ですが、再任用教諭も含めた職員の給与については、地方公務員法に定められた給与決定原則に基づき、人事委員会勧告にのっとった給料表や手当制度が適用されており、勧告により改定していくことが基本であると考えています。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 警察本部長宮沢忠孝君。
(説明者宮沢忠孝君登壇)
○説明者(宮沢忠孝君) 私からは予算に関する御質問のうち信号機の設置についてお答えいたします。
信号機の設置につきましては、来年度も引き続き警察庁が示す指針に基づき必要性の高い箇所に対して整備していくこととしております。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 加藤英雄君。
○加藤英雄君 それでは、再質問させていただきます。
まず、知事から答弁いただきました。能登の6市町への追加支援で、支援は必要だと一般論は述べられました。しかし、私有財産に多額の税金が注がれるというふうに記者会見で知事は言っているんです。そこで、仮に千葉県が災害に見舞われて、多くの県民が被災者になって困難に直面しているときに、追加支援という話が出たときにも、知事は、なぜ千葉県の被災者にだけ多額の税金が注がれるのかと言えますか。これは率直にお答えいただきたいというふうに思うんです。
知事、この議論というのは、30年前に行われているんですよ。それからもう議論は発展してきているんです。この知事の発言は撤回すべきだと思いますが、なさるかどうか、お答えください。
住宅、なりわいの再建が、なぜ公的助成が必要なのかということなんですが、これは阪神・淡路大震災から発展はしてきています。当時は、私有財産には公費は投入できないと切り捨てていたんです。それが、先ほども述べたように発展してきています。それはなぜかと言えば、住宅が再建されて、そして再びそこに人が住んで地域に戻ってくる、なりわいが再建されて営業が再開されれば活気を取り戻す、これは地域社会にとってなくてはならない存在なんですよ。だから、住宅やなりわいの再建は、地域社会をつくるという公共性がある、こういう視点で支援をしてきたというふうに思うんですが、県の認識、知事の認識はいかがでしょう。公共性のある支援だからこそ十分な支援が行き届くように、拡充が必要だというふうに私は1問でも述べましたが、同様の認識を知事はお持ちでしょうか、お答えください。
それから、いわゆる肉づけ予算についての基本的な考え方なんですが、予算編成のときには各部局からは通年での予算要求をしていただいています。肉づけ予算をどこにどう振り向けるのか、どこに使うのかというのは、予算編成権はすぐれて知事にある。知事の専権事項だと。ですから、新しい知事の裁量の範疇だという理解でよろしいのかどうか、お聞かせください。
それから、中小企業への賃上げ支援で、県は設備投資への助成、ワンストップの相談体制をやっていると答弁がありました。しかし、これはすぐに賃上げ支援には結びつかないんですよ。東京商工リサーチの千葉県の2024年度最賃アンケートでも示されているように、最低賃金の引上げを許容できない、受け入れられないという企業が千葉で18%あるんですよ。この事態を県当局はどう見ています。何が障害になっているというふうに見ているのか、お答えいただきたいというふうに思います。
このアンケートの中で、こういうふうに東京商工リサーチは言っています。中小企業も安定した賃上げを実施できるような支援策や環境整備が重要だ。では、県はこういう指摘に基づいて、これからどんな支援策を考えるのか。賃上げに踏み出すため、県が賃上げに踏み出せば県内経済を好転させるという県の姿勢を示すことにつながります。ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。
それから、避難所の環境整備についてですが、今年は阪神・淡路大震災から30年、能登半島地震から1年です。去年の能登半島地震後の避難所の様子を映し出した映像を思い出してみたんですが、体育館にブルーシートを敷いて雑魚寝、食事は配られるのがおにぎりやパンの1個。これは30年前とほとんど変わっていないんですよ。まずお聞きしたいのは、避難所の環境を抜本的に改善する動きにはならなかったのが、この30年だというふうに私は感じているんですが、県の答弁をお願いしたいと思います。
そこで、まず、スフィア基準に基づいて最低基準をしくことは必要なんですが、避難所の在り方の基本的な考え方として、被災者への支援は施しではなく、そこに行けば命が守られ、助かるんだということを公的に保障するものでなければならないというふうに私は思います。だから、公共の福祉という視点を据えて、国、自治体、この責任で被災者を守るという考え方に変えることが必要だというふうに思います。
そういう点からすると、県の防災対策も基本から見直す必要があると思います。備蓄物資の住民持参率、これは水、食料3日分、3割の住民が避難所に持ち込む。毛布は5割の住民が持ち込む。これは現実的じゃないし根拠のない想定なんですよ。これはやっぱり根本的に見直す必要があるというふうに思いますので、お答えいただきたいと思います。
それから、先ほどトイレのところで副知事から答弁がありました。企業などとの協定も結んでいる。確かにトイレについては4団体で協定を結んでいます。しかし、協定書には、県へどの程度供給するのかという数は全く示されていません。いざ県内で災害が発生したとき、県内にこれらの団体からトイレがどの程度供給されるのか示していただきたいというふうに思います。
それから、避難所ごとの備蓄の状況が報告ありました。約3割の避難所では、水、食料、毛布、全く備蓄されていないんですよ。これは能登と同じことが繰り返される。本当に危惧しています。この3分の1の避難所の備蓄ゼロ、この実態はどう見ているのか。市町村の責任だなどと言うつもりはないと思うんですが、現実をどう見て、どんな対策が必要なのかお答えいただきたいというふうに思います。
それから、訪問介護についてですが、第1問で述べたように、必要な介護が受けられない、我慢している、サービスをやめたなどの声は紹介しました。保険料を払っているのに必要な介護が受けられない、あるいは断念せざるを得ない、こういう事態が県内各地で起きています。まさに保険あって介護なしの現実が広がってきているというふうに私は見ているんですが、県の認識はどうか、お答えをいただきたいというふうに思います。
訪問介護事業所が空白になっている、あるいは1か所しかないというところは、自治体も本当に今苦慮しています。これは、我が党の長南町の議員が町当局の担当者から聞き取っていただいた資料です。訪問介護の基本報酬が下がったことについて、町としては非常に重要な問題であると考えている。在宅介護の基盤が崩れるおそれがある。訪問介護サービスの提供体制が弱体化することで利用者への影響も懸念される。高齢者と向き合っている自治体、こういう自治体の叫びをどういうふうに受け止めているのか、お答えいただきたいというふうに思います。
問題は、訪問介護事業所が増えているのは確かなんですけど、地域性なんです。この間、県内で増えた訪問介護事業所は、都市部なのか、郡部なのか、その辺のところを明らかにしていただきたいなというふうに思います。
国民健康保険について、法定外の繰入れの問題ですけども、被保険者以外に負担を求めることということ、また答弁をされました。改めてお聞きします。法定外繰入れをできないという法的な根拠はどこにありますか。それから、県が根拠にしている策定要領の中で、法定外繰入れは解消しなければならないというふうに書いてありますか、これを明確にお答えください。これは県内の市の条例なんです。国民健康保険事業基金条例なんですが、2条で積立て、必要があるときは予算の定めるところにより基金を積み立てることができる。処分、基金は国民健康保険事業に要する経費に充てる場合に限り処分できる。これは自治体の判断で、この条例に基づいて繰入れすることは可能ですね。できないと言うなら、その根拠を示していただきたいというふうに思います。
それから水道料金の値上げですが、いろいろ努力しても値上げが必要だという話を知事からされましたけど、今回の根拠を示さないようなやり方と、その後の企業局、県当局の対応について4点伺います。
1点目、知事は企業局から値上げの根拠になる資料を示されたのかどうか。示されたかどうかお答えください。
2点目、ならば、その資料を議会に公開すべきです。20%が妥当かどうかをチェックするのは議会の責任です。公開されるかどうか。
3点目、知事、20%の値上げと答弁しておきながら根拠が示されない。これで県民と議会へ説明責任を果たしたと言えると思っているのか、お答えください。
4点目、自らの主張は示すが、その根拠は明らかにしない。とにかく従え。こういうやり方があなたの政治手法なんでしょうか。こういうトップダウン的手法をこれからも行っていくのかどうか、明確な答弁を求め、2回目終わります。
○議長(瀧田敏幸君) 防災危機管理部長添谷進君。
○説明者(添谷 進君) 初めに、千葉県が被災した際の被災者支援についての考えについてお答えいたします。
千葉県において被災した際も、被害の程度に応じまして、法制度に基づいて適切な支援がなされるべきというふうに考えております。
次に、復興という公共の事態を踏まえて制度を拡充すべきだという御質問ですけれども、これについては、かねてより国に対して制度の拡充について求めているところでありますので、引き続き国に対して機を捉えて要望してまいりたいというふうに考えております。
それと、避難所の備蓄の関係で、持参率についての御指摘もございましたが、持参率につきましては、備蓄の数量等を計算する上で参考にしたのは確かでございますが、あくまでも食料の支援については、その状況に応じて適切に食料等の支援を公助の責任を持ってやっていくということにしておりますので、住民が備蓄を持参することを前提にした支援をしているということではございません。
その上で、あとトイレの協定についてでございますが、トイレの確保する数量につきましては、御指摘のとおり、あらかじめ協定に基づいて何台というのを定めているわけではございません。これは災害の状況に応じまして、最大限確保できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
それと、避難所の備蓄がゼロである状況についての認識についての御質問ですけれども、避難所にどう備蓄をするかということにつきましては、各市町村におきまして避難所の立地、あるいは輸送といった災害時のオペレーションも踏まえて、どう備蓄するかということを決めているところであります。全ての避難所に物資を置くかどうか、それについてはそれぞれの事情を踏まえて決めていくべきものというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 総務部長高梨みちえ君。
○説明者(高梨みちえ君) 6月補正の編成に関する御質問ですが、6月補正では、その時点の状況を踏まえ、県民サービスの向上や本県の将来の発展のために必要な予算を編成することになると考えております。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 商工労働部長野村宗作君。
○説明者(野村宗作君) 中小企業の賃上げ、何が障害になっているのか、また、県はどのような方向で、どのような施策をして支援をしていくのかという御質問でございますけれども、障害になっていること、これは企業によって様々あるかと思います。一例を申し上げれば、利益が上がっていない、利益が上がっていないので元手がないので上げようがないというようなお声も聞いておりますし、人件費を上げた場合に、そうしたことが価格転嫁が難しいというような声も聞いております。大事なことは、そういった様々な企業によって置かれている経営環境、これは異なっていると思いますが、そうした企業が持続的な成長の下で持続的な賃上げが実現できる経済環境をつくっていくことが大事だというふうに考えております。そのために、県としては生産性向上を図るための設備投資やリスキリングへの支援、あるいは個々の企業に応じた伴走支援の充実、価格転嫁の働きかけ、こういったことにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。
○説明者(岡田慎太郎君) まず、訪問介護事業所の関係でございますが、まず介護サービス提供の現状の県の認識ということでございます。訪問介護事業所については、新規に指定を受ける事業所がある一方で、休止や廃止となる事業所が増加していることや、事業所の少ない地域があることは承知しております。
それから、地域の状況に対する受け止めでございますが、県としては、地域において必要なサービスが提供されるよう、引き続き介護事業所の業務効率化に係る支援に取り組むとともに、介護人材の確保に向けて、国に対し介護職員のさらなる処遇改善を要望してまいります。
そして、訪問介護事業所の増えているのは都市部なのかどうなのかというお話ですけども、増えているのは都市部ということで、町村部は少ないというところが多いというふうに認識しております。
それから、国民健康保険の関係でございます。法定外繰入れの関係で、条例で定めれば可能なのかというようなことでございます。法定外繰入れにつきましては、法令上禁止する規定はございませんが、決算補填等を目的とした法定外繰入れにつきましては、保険給付と保険料負担の関係性が不明瞭になるとともに、被保険者以外の住民に負担を求めることとなるため、解消、削減を図る必要があると考えております。
そして、法定外繰入れについて、決算補填等を目的とした法定外繰入れにつきましては、国が定める都道府県国保運営方針策定要領において計画的な解消が重要であるとされております。県としては法定外繰入れを実施している市町が、県国保運営方針やそれぞれの実情を踏まえながら策定した赤字削減・解消計画などに従い、決算補填等目的の法定外繰入れの解消に向け取組を進めているものと考えております。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 企業局長三神彰君。
○説明者(三神 彰君) 水道料金に関する御質問でございます。20%程度という値上げ幅につきましては、現時点の様々な基礎数値、推計値に基づいて算定、試算をしたものでございまして、当然、協議の中で知事には示した上で協議をしているところでございます。議会で昨年の段階で申し上げましたのは、県として、県営水道として料金値上げが避けられないということ、また、20%程度というこの値上げの規模感についても、早くお示しをすべきという判断の下で申し上げたところでございます。ただ、実際の値上げの影響額、詳細の影響額につきましては、個々の利用者に応じます口径ですとか利用量に応じて異なってくるものでございまして、影響が大きいだけに、非常に関心の高い事項でもございますので、その辺、口径、使用量についての料金体系についても現在検討しておりますけれども、これが固まった段階で、また、直近の令和6年度の決算のめどがついた段階で、その数値を踏まえて、より確度の高いものにした上でお示しをすべきというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(瀧田敏幸君) 加藤英雄君。
○加藤英雄君 知事、昨日、知事は何回か、4年間議会と切磋琢磨をしてきたというふうに答えられました。なのに、あなたが記者会見で発言したことに対して私は再質問をしたのに、なぜ答弁に立たないんですか。これが切磋琢磨ですか。私たちは、強権的とも言えるような今回のやり方を広く県民に知らせて、県政を変えるために力を尽くしていくことを述べて、質問を終わります。
○議長(瀧田敏幸君) 暫時休憩します。
午前11時38分休憩
午後1時0分開議
○副議長(實川 隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により河野俊紀君。
(河野俊紀君登壇、拍手)
○河野俊紀君 千葉市美浜区選出、立憲民主党の河野俊紀です。今日も支持者の方が傍聴に来てくださっています。知事はじめ執行部の皆様、どうぞよろしく明快なる御答弁をお願いします。
それでは、通告順に従い、多少早口になりますけれども、質問いたします。
最初に、認知症対策についてです。
千葉県の高齢化率は、最新の国勢調査によると、県全体で27.6%、そのうち独り暮らしの高齢者は30万人に上っています。私の地域千葉市美浜区も高齢化率26.7%、また、独り暮らしの高齢者は8,740人に上ります。孤立した独り暮らしでの認知症発症リスクは、家族、友人と交流し、社会参加もしている人と比べ、実に1.6倍高いと1月26日の千葉日報にも掲載されていました。確かに認知症の方は、千葉市高齢者保健福祉推進計画によると、市全体で2万3,000人を超え、美浜区でも2,948人もおられます。
そんな中、地域の助け合いも希薄になる一方で、NHK放送文化研究所の調査によれば、近隣においても、形式的な付き合いを望む人が増え、頼れる人がいない状況になっている、子供は遠方に住み、親子であっても関わりたくない、迷惑をかけたくないという方が多くなっているとか、さらに、認知症を抱える家族においても、地域とのつながりが希薄で周りに迷惑をかけたくないという方が多くなっているという調査報告が出ています。この頼るべき人間関係が消えていく時代の中、認知症になると、家族共々、生活の様々な困難が発生し、それでいて、誰にも言えず相談できず、追い詰められた状態になっていきます。2025年には認知症の方は全国で700万人、つまり高齢者の5人に1人になり、それゆえ国は、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が令和6年1月1日に施行されました。その中においては、「認知症の人又は家族等が孤立することのないよう」、「必要な施策を講ずるものとする」との記載があります。
そこで伺います。県はこの基本法を受け、認知症の方やその家族を支援するため、どのように取り組んでいるのか。
次、地域の方からも、認知症高齢者の行方不明への対処と、行方不明の早期発見への具体的施策をという要望、意見が日々届きます。県はこのことにさらに具体的に対処すべきであります。例えば認知症高齢者の方が行方不明になった場合に、関係機関に捜査協力を要請する仕組みとか、GPSなどの位置情報システムの購入費助成策の充実等が必要です。
そこで伺います。認知症高齢者の行方不明時の早期発見に向けて、県は助成策とかの充実等も含め、どのように取り組んでいくのか。
次に、デジタル教育についてお聞きします。
昨年の10月22日付読売新聞の記事に、世界に先駆けて2006年に1人1台端末を支給し、紙の教材からデジタル教材へ移行していた北欧のスウェーデンにおいて、学力の低下が顕著となり、紙の教材に戻るという決定がなされたとありました。他のメディアも、スウェーデンはデジタル画面で教科書を読んでも集中力が続かず、記憶力も散漫になり、学力も向上せず、子供の視力も最悪となり、令和6年7月から紙の教科書の再配布を法律で義務づけたと報道しています。また、オンライン雑誌「クーリエ・ジャポン」の記事によれば、スウェーデン以外のヨーロッパにおいても同様の議論があり、ドイツやオランダでも、学校へ持ち込むデジタル機器について大幅な制限がなされていると報じられています。さらに、国連のユネスコが、スマートフォンなどを過度に使用すると、精神状態に悪影響を及ぼし、成績も下がるとして、世界的に学校での使用を禁止すべきとの呼びかけをしています。
また、国内でも生徒たちが、調べてレポートを作る授業がよくあるけれど、みんなコピペしているから―コピペとはコピーして貼り付けることです。コピペしているから、すぐ課題が終わる。その間にゲームをやったり、好きなことを調べたりしているとの悲惨な状況も出ています。さらに日本でも多くの脳科学者が、紙に書いたメモを思い出すときをMRIで観察すると、脳の視覚や記憶、そして言語をつかさどる領域に血流が多く巡っていく。つまり、紙に書いたり、紙を読む教育は、視覚、触覚、嗅覚などの脳の神経細胞を活性化し、そうしたリアルな脳への多様な情報が記憶を定着させ、後で思い出すきっかけとなり、集中力を育むと語っています。
そこでお聞きします。
スウェーデンのような、かつて保育園でも子供にタブレット端末を使用させるほどのデジタル先進国だった国が方針の転換を行いましたが、それは様々な方面から分析し、そして政策変更の結論に至ったと思うが、デジタル教育の負の側面について、県教育委員会としてどのくらい理解しているのか。
次、デジタル教育だけではなく、従来型の教育のよさを改めて認識を深め、それを生かした指導を充実すべきと思うが、今後どのように進めていくのか、
次に、文化財についてお聞きします。
文化財は、歴史の中で生まれ、育まれ、守り伝えられてきた貴重な国民の財産です。その適切な保存、活用は極めて重要とされています。この保存、活用の方法として、文化財そのものを撮影し、高精細画像でデジタル画像化して保存、公開することも行われています。世界遺産でもあり、かつて良質な石炭を掘り、日本の近代化を支えた長崎市の端島、通称軍艦島は、現地に行かなくても体験できる3D映像の立体シアターを長崎市内につくっています。また、ある地域では団地の1棟を記念館として残し、そこに様々な暮らしぶりが分かる当時の部屋とか、商店街の写真、日常生活の道具類を置いているところもあります。私の住む千葉市美浜区は、かつては遠浅の浜辺が続き、貝やカニ、魚の漁場として、また海水浴や潮干狩り等のにぎわいを見せていました。やがて高度経済成長期に遠浅の浜辺は埋め立てられ、広大な新たな土地が出現し、そこには住宅団地、学校、商業施設、オフィスビル、ホテル、球場等が建てられ、何もなかった浜辺は、今や15万人が暮らす都市に変わりました。このような大規模な浜辺の風景や暮らしの変貌は、今までの日本の歴史には例がなく、日本の高度経済成長期の歴史の記憶として、また、開発というものの歴史的証拠として、過去とその変遷の経過を何らかの形で保存し、後世の人に伝えるべきと考えます。
そして今、かつてこの地域から都内などに会社通勤し、遅くまで働き、高度成長を支えた多くの方々は高齢者となっています。ひたすら働き、子育てに追われ、四角いコンクリートの団地で時を過ごした人々は、神社仏閣一つもない、祭りや伝統芸能もない人工の画一的な空間で年老いて暮らしています。
最近、町を歩く多くの高齢者の方々を見ると、そこに行けば、時をまたいで、ああそうだったよなとみんなで思い出すもの、当時、各地区にあった商店街の風景、団地の部屋の内部や生活の道具類の展示、盆踊りの映像でも音声でも、何か生き抜いたあかしを共有できるものがあっていいのではないかと思わずにはいられません。
またさらに、よく言われることですが、認知症の進む高齢者にとって、最近の記憶は忘れても昔の記憶は保っており、昔の懐かしい写真やビデオを見、使っていた道具に触れ、思い出を語ることによって、脳が刺激され活性化でき、認知症の進行を遅らせ、精神的にも安定すると言われています。写真、映像資料は文化財として歴史的価値を見いだし残すだけではなく、高齢者の福祉にも結びつき、次の世代に残していくものだと思います。
そこでお聞きします。埋立て前の海辺の歴史や埋立て後である高度経済成長期の歴史を文化財として残すことはできないかと思うが、どうか。
南海トラフ地震についてお聞きします。
昨年8月に日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、史上初めて南海トラフ地震臨時情報が発表されました。史上初ということもあり、対応に苦慮した自治体や、想定しなかった課題に直面した自治体もありました。現在それらを踏まえて、国においても臨時情報制度の見直しを行っていると聞いています。本県においても、本事例により防災対応上、課題や支障が生じたのであれば、早急に計画やマニュアル等へ反映すべきと考えます。
そこで伺います。南海トラフ地震臨時情報の発表に際し、県はどのような対応を取ったのか。また、今回の経験を踏まえ、県の南海トラフ地震防災対策推進計画を見直す予定はあるのか。
関連して次、南海トラフ地震臨時情報制度は、発表から一定期間経過後に、その呼びかけを終了することになっています。昨年8月のときも、1週間経過後に政府による呼びかけが終了しました。この1週間という期間設定には、地質の動きなどの科学的な根拠ではなく、臨時情報による住民のストレスの限界で設定されています。これでは、呼びかけ終了宣言と同時に、実際は大地震への危険が高まっていても、県民は、後発地震発生の危険は去ったと、もう大丈夫という認識を当然持ち、防災意識の低下が懸念されます。
そこで伺います。南海トラフ地震臨時情報に伴う特別な注意の呼びかけの終了が、県民等に対し誤った認識を与えないよう、県としてはどのように対処していくのか。
次に、南海トラフ地震をはじめ海溝型巨大地震は、数百キロも離れた地点で長周期地震動を発生させます。5秒、10秒とか周期の長い振動ゆえ、高層ビルとか巨大建築、石油タンクの液体、さらに地盤の地層さえ、それが持つ固有周期と共振して長時間大きく揺れます。一般に、地盤の堆積層が厚くなると長周期地震動の増幅が大きくなると言われ、石油コンビナートが立地する市原市から君津市の周辺では、基盤岩の上に上総層群という厚い堆積層が分布しており、その厚さは5,000メートルに及ぶとされています。一方、堆積層の上には国内最大級の石油コンビナートがあり、市川市から君津市までの広範囲にわたり、鉄鋼業、製油所、石油化学などのプラントが多数立地し、石油や高圧ガスを大量に貯蔵し取り扱っています。特に石油タンクは長周期により液面揺動―スロッシングのことですね。スロッシングを引き起こし、石油タンクの屋根などが破損し、火花が散って、20年前の北海道の十勝地震でもあったように火災が起きます。コンビナートは大地震があれば爆発、大規模火災となる危険が大いにあります。
そこで伺います。本県周辺の地下地質構造を踏まえ、石油コンビナートにおける長周期地震動対策については、県は今後どのように取り組んでいくのか。
次に、国民保護についてお聞きします。
2022年10月17日、衆議院予算委員会で我が党の幹事長が、国民保護について、国がもっと主導権を持って地方自治体にしっかりやってもらえるような仕組みを再構築すべきではないか、2004年に国民保護法ができて、二十数年後にやっと大阪や東京の地下鉄駅がシェルターに指定されたが、今頃そういうことを始めてきたというのは問題がある、国がリーダーシップを発揮できる仕組みに変えるべきだと強く訴えています。さらに、ちょうど1週間前、石破首相の施政方針演説の中で、シェルターの確保を着実かつ早急に進め、国民保護の取組を強化すると明言していました。しかし、国民保護の現実は、千葉県においても、令和6年及び令和7年度国の施策に対する重点提案・要望に、爆破テロや化学物質の散布などの訓練をしているが、武力攻撃を想定した被害想定がない、県独自では武力攻撃の被害想定など作成できない。―当たり前です。国から当然入るべき情報とその対処方法が示されねば、準備も訓練もできないという、要望というより、一体どうするんだと訴え続けている状況です。
そこでお聞きします。千葉県国民保護計画において、武力攻撃事態の被害想定や武力攻撃事態に対処するための訓練についてはどのように記述されているのか。
次、昨年12月9日、海外から日本に向けて弾道ミサイルが発射されたことを想定した住民避難訓練が千葉県長柄町で行われました。そこでは地元の住民も参加し、また、小学校で先生がヘルメット、小学生らが防災頭巾をかぶり、机の下に身を潜めたと聞いています。
そこでお聞きします。千葉県長柄町で行われた弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練はどのようなものだったのか。また、核兵器、生物兵器、化学兵器などに対する訓練についてはどのように考えているのか。
さらに関連の質問をします。
毎年度行っている国の施策に対する重点提案・要望において、今回特にCBRNE、つまり毒ガス、細菌兵器、汚い放射能爆弾、核爆弾などの苛酷な攻撃ですが、そのCBRNEを想定した地下シェルターなどの避難施設については、「求められる仕様や機能等が示されていない」と訴えています。
議長の許しを得て配付しています資料(1)は、令和4年の9月議会より緊急一時地下避難施設の拡大を言い続けてきましたが、経過と今の千葉県の最新の状態です。放射能を除去する地下核シェルターとなると、いまだにほぼゼロです。いかに口では国民保護とうたっていても、実際の苛酷な攻撃に対しては、避難できる地下避難施設はゼロに近いということです。
そこでお聞きします。被害想定もないのに避難施設の設計もできるはずがないと思うが、このことについては県はどのように考えているのか。
次、低軌道衛星の災害時通信についてお聞きします。
赤道上空約3万6,000キロの軌道上に衛星を打ち上げ、地球の自転と同じ周回周期を持たせると、地球上からは赤道上空に静止しているように見えます。今までの通信衛星は、この静止衛星と通信をしていました。当然、通信時間も長く、遅く、衛星が見えない山や建物の陰では通信が途絶えます。一方、低軌道衛星のスターリンク等は、1回のロケット発射で100機の小型衛星を打ち上げられ、既にスターリンクは3,000、5,000という衛星を地上から500キロ離れたぐらいのところに打ち上げ、たくさんの衛星がチームになって連携、協調する衛星コンステレーション、つまり星座の衛星が地球を帯状に囲んで通信局の集合体をつくっています。低軌道衛星との通信は、その衛星群とリンクしながら通信をする手法で、戦時下のウクライナで、まずその優れた性能が実証されました。今、机上に議長の許しを得て配付資料(2)を置いていますが、3年前から防災の常任委員会で、新しい衛星通信をと訴え、その後、議会の調査政策室に全国調査をかけてもらいました。その最新の結果です。多くの自治体でスターリンクを使い、東京はじめ神奈川の各自治体でも検証し、高速、低遅延―遅れのないことです。低遅延の通信かつカバーエリアが広い等の優位性を認め、使っています。能登半島でも閉ざされた孤立部落の通信にも使われました。
そこでお聞きします。スターリンクをはじめとする低軌道衛星通信の導入について、県はどのように考えているか。
最後に、危機管理体制についてお聞きします。
東日本大震災当時の行政の動きもそうでしたが、能登半島地震の初期においても、混乱する情報の中、誰が全体を統括し指揮命令をするのか分からず、県の危機管理責任者は、消防、警察、自衛隊、道路建設業者などに対して、自分は実動機関の調整、指揮する立場ではないと堂々と言っていました。それぞれの組織が別々に作業をして、情報の集約ができず、たまりかねた自衛隊が、1月2日夕刻になって、消防、警察、自衛隊、道路担当行政など各機関が1つの地図の前に集まって、地図を見ながら、通れた道路や部隊の状況など、僅かな情報でも共有しようと訴え、それでやっと情報の共有が始まったと聞きます。それはNHKの報道特集でも放映されました。大規模災害時の緊急の救出救助の初動対応を迅速に行うためには、混乱の中、統括して指示していく体制が必要です。
これも議会の調査政策室に数年にわたり全国調査をかけ、まとめていただき、議長の許しを得て資料(3)を机上に配付していますが、見ていただくと分かるように、防災危機管理部のトップは、他県の特に災害の多いところは既に横並びの部長職ではなく、一段上位にした体制を取っています。
そこでお聞きいたします。平時より各部署を統括し、警察、消防、自衛隊等と連携を図って統括し指示を出していくためには、千葉県も例えば副知事級をトップとした危機管理体制が必要と思うが、どうか。
以上で1回目の質問を終わります。(拍手)
○副議長(實川 隆君) 河野俊紀君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 立憲民主党の河野俊紀議員の御質問にお答えいたします。
まず、認知症対策についてお答えいたします。
認知症の方やその家族への支援についての御質問ですが、県内の認知症高齢者の数は、令和2年の約30万人から令和22年には約47万人に増加することが見込まれており、認知症基本法の目的である認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らせる社会を実現するためにも、地域における支援体制を構築することが今後さらに重要となります。このため、県では認知症の方や家族を支えるためにちば認知症相談コールセンターを設置し、認知症介護の専門家や経験者による生活相談支援を実施するとともに、認知症サポーターがチームを組んで見守りや傾聴ボランティア活動を行う仕組みづくりなどを行っております。また、かかりつけ医に対し、適切な認知症診療等についての研修を実施するなど、地域で認知症の方を支える人材を育成しており、今後も認知症の方やその家族が安心して暮らせる地域社会づくりに取り組んでまいります。
次に、南海トラフ地震についてお答えいたします。
南海トラフ地震臨時情報への対応等についての御質問ですが、県では、巨大地震注意の発表を受け情報収集体制を取り、24時間体制で警戒に当たるとともに、備蓄物資について改めて搬出手順の確認を行い、市町村や協定締結機関等との連絡体制を確保いたしました。さらに、SNSやホームページ、市町村の防災行政無線等の手段を活用し、食料品の備蓄など、日頃からの地震への備えや非常持ち出し品の用意といった、すぐに避難できる準備を再度確認するよう広く呼びかけたところです。また、県の南海トラフ地震防災対策推進計画については、今回の事例に関する国の検証結果や他自治体の動向を踏まえながら、必要な見直しを図ってまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。
○副議長(實川 隆君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。
(説明者岡田慎太郎君登壇)
○説明者(岡田慎太郎君) 認知症高齢者の行方不明時の取組についての御質問ですが、県では、認知症等による行方不明者を早期に発見するため、市町村や警察、自治会などの関係機関と徘徊・見守りSOSネットワークを構築し、捜索の協力依頼や保護した高齢者の身元照会を迅速に行う体制を整備しています。また、介護保険制度の地域支援事業を通じて、GPSや高齢者の衣服等に貼り付けるQRコード※などを活用した早期発見の取組等を行う市町村に経費を助成しており、実施する市町村は、昨年度の33市町から今年度は37市町に増加しているところです。今後も市町村や関係機関と連携し、認知症等による行方不明者の早期発見に取り組んでまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 教育長冨塚昌子君。
(説明者冨塚昌子君登壇)
○説明者(冨塚昌子君) 初めにデジタル教育の負の側面についての御質問にお答えいたします。
今年度の全国学力・学習状況調査において、ICT機器を活用して自分の考えを分かりやすく伝えることができるとの設問に対し否定的な回答が約2割あるなど、ICTへの苦手意識を持つ児童生徒も存在しています。また、パソコンだけで学ぶなどICTの活用方法によっては、健康面では視力低下を引き起こしたり、学力面では思考力や表現力、想像力が育ちにくいこと、医学的には脳の発達が阻害される例があるという研究結果もあると承知しています。さらに、海外の事例として、スウェーデンでは、児童生徒の集中力や学習成績の悪影響への懸念から、校内でのスマートフォン利用を禁止し、紙の教科書に戻す動きもあることなどから、子供の発達段階や健康面への影響について情報収集したいと考えております。
従来型の教育のよさを生かした指導についての御質問ですが、これまで我が国の学校は、学習指導だけでなく生徒指導の面でも主要な役割を担ってきました。教師が様々な場面を通じて子供たちの状況を総合的に把握して指導を行うことで、子供たちの知・徳・体を一体で育む日本型学校教育は諸外国から高く評価されています。一方で、ICTには児童生徒が一人一人の理解度に応じて学べる、また各自の考えを即時に共有できるなどのメリットがあることから、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に推進するためには、これまでの実践とICTとのベストミックスを図ることが重要です。県教育委員会では、ICTを活用しながら、これまでの実践を生かして授業を再構築できるよう、研修や各種会議を通じて思考し表現する力を高める実践モデルプログラムを周知するなど、教員の指導力を高め、授業改善を進めてまいります。
最後に、埋立地に係る歴史に関する御質問ですが、地域の人々の生活の記録や記憶を文化財として残し、後世に伝えていくことは大変重要であると認識しています。国では、平成8年度に築50年を経過した歴史的建造物を文化財として緩やかに保護する登録制度が設けられ、その後、美術工芸品等も登録対象に加えられました。県内では、千葉県水道局千葉高架水槽や小湊鉄道駅舎等が登録されています。県教育委員会においても、令和4年度に新たに文化財の登録制度を設けており、今後は人々の生活文化に係る資料等についても登録対象とすることを視野に入れ、地域の資産として様々な活用を検討しながら、次の世代へ伝えてまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 防災危機管理部長添谷進君。
(説明者添谷 進君登壇)
○説明者(添谷 進君) 初めに南海トラフ地震臨時情報の呼びかけ終了後の対応についての御質問にお答えいたします。
国による特別な注意の呼びかけが終了した後も、大規模地震発生の可能性がなくなったわけではないため、日頃からの地震への備えを引き続き実施していただくよう呼びかけを行ったところです。今後、呼びかけが終了しても大規模地震の発生の可能性があることを十分に周知するため、臨時情報の制度や取るべき行動等について、具体的で分かりやすい広報に努めてまいります。
次に、長周期地震動対策についての御質問にお答えいたします。平成13年度から16年度にかけて県が実施した調査では、石油コンビナートのある県中央部の東京湾岸地域において、周期が10秒程度の長周期地震動が大きくなる特性があることを確認しております。県では、長周期地震動によりタンク内の石油等の液体が揺れ動くスロッシング対策として、千葉県石油コンビナート等防災計画に基づき、大型タンクの構造強化などを事業者に求めており、その対象となるタンクは全て国の技術基準を満たしております。また、来年度から南海トラフ地震などが石油コンビナート区域に及ぼす影響についてのアセスメント調査を改めて実施することとしており、その結果を踏まえ、さらなる対策の強化を図ってまいります。
次に、国民保護計画上の想定や訓練に関する御質問ですが、本県の計画においては、武力攻撃事態に際しての被害想定は定めておりませんが、外国による着陸や上陸、ゲリラや特殊部隊による攻撃、ミサイル攻撃、航空攻撃の4つのパターンについて、それぞれの特徴と留意点を記載しております。また、訓練については、市町村、国、関係機関と共同して実施し、対処能力の向上を図ることや、様々な事態や場所を具体的に想定して行うことを定めているところです。
次に、住民避難訓練等についての御質問にお答えいたします。昨年12月に長柄町で行われた住民避難訓練は、弾道ミサイルが本県の上空を通過した想定で、安全の確保など住民が取るべき行動を確認、体験することを目的に、国、市町村と共同で実施をしたものでございます。また、様々な兵器を想定した訓練については、今後、他の都道府県での訓練も参考に検討してまいります。
次に、被害想定に応じた避難施設についての御質問ですが、県では、これまで弾道ミサイル等による被害を軽減するための緊急一時避難施設の指定を進めてきたところですが、安全保障環境が厳しい中において、国民保護法に定められた避難施設の確保をさらに進める必要があると認識をしております。この中で、より深刻な攻撃を想定した避難施設の在り方については、国において調査検討を進めた上で、整備方針を定めるべきものと考えております。
次に、衛星通信の活用についての御質問です。通信衛星による高速で安定した通信を確保できるスターリンクは、災害時に通常の通信手段が途絶した場合に有効であると認識をしております。能登半島地震においては、被災者や救助活動従事者の情報収集や連絡手段として、携帯電話事業者が避難所等に設置したスターリンクが活用され、改めてその有用性が認識をされたところです。現在、国や事業者では、スターリンクを活用した基地局の強靱化の検討を進めており、今後こうした動向を踏まえながら、災害時の通信強化に取り組んでまいります。
最後に、危機管理体制についての御質問ですが、災害時に警察、消防、自衛隊等の関係機関と協力し迅速な初動対応を行うため、平時から関係機関の職員やOBを部内に配置しており、定期的な会議の開催、各種訓練の実施を通じ連携体制を確保しております。また、災害対策本部設置時には、知事を本部長とする全庁体制で災害対応に当たるほか、各機関から派遣されたリエゾンを通じ、各部隊の活動場所や規模、必要な資機材や装備等を調整し、速やかに救助活動等を展開することとしております。今後も警察、消防、自衛隊等の関係機関と連携しながら、全庁的な体制の下で迅速な災害対応に取り組んでまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 河野俊紀君。
○河野俊紀君 知事はじめ執行部の皆様ありがとうございました。2回目の要望、質問をいたします。
まず、デジタル教育についてですが、一見手っ取り早く理解や学びが進むと見えるデジタル教育は、本来、非効率で、試行錯誤の繰り返しで身につける人間の思考力、記憶力を高めるのに果たして寄与するものか疑問が残ります。また、デジタルの操作が苦手でついていけず焦る子もいると聞き、授業がより画一的になる中で、追い詰められたりしないか、注意深く観察することが必要だと思います。
さらに、デジタル教育では、教材がソフトウェアとして民間企業より販売されます。ソフトの取扱い、マニュアルの説明、また実際の教室での運用サポーターなど、それらを含めたパッケージとして、企業は教育ソフトを商品として売り、学校の先生方もそれを評価して購入していかねばなりません。そういった教育の商品化と企業の販売、それによるプレゼンテーションなど、学校の先生方がなじむものか気になるところです。
要望となりますが、県教育委員会が県の子供たちにデジタル教育を推進していくのであれば、デジタル教育の負の側面をしっかり見詰め、認識し、他国の動き、事例も詳細に調査して取り組んでいただくこと、それを要望します。
危機管理体制についても要望します。昨年、自民党の高橋議員も、様々な関係機関が対応するあらゆる危機事案に対して、司令塔の明確化と組織体制の見直しをと強く訴えられておられましたが、私もそう思います。混乱する災害の初動に対しては、皆仲よく手をつないで連帯して進もうでは、じっとして動かないと同じです。形の上でも統括、指示、命令する体制が必要です。そのためには、平時からその自覚でやっていかねばなりません。千葉市も熊谷市長時代に下地をつくられたかもしれませんが、神谷市長になってすぐに危機管理監を今までの部長級から上位の局長級に上げ、平時、災害時問わず市長と直接やり取りし、かつ全体に指示できる体制を取っています。ぜひ配付資料(3)にある先進的な県を訪問し、彼らの体制を調査、研究することを要望します。
国民保護について、再質問と要望をいたします。長柄町で行われた弾道ミサイルを想定した住民避難訓練は、ガスマスクもなく、防災頭巾というものを生徒に装着させて行った。また、毒ガスか細菌兵器か放射能物質の汚い爆弾か爆発だけか、何のミサイルかも分からず、被爆する範囲も想定せず、挙げ句の果ては、着弾せず通過して太平洋にぽちゃんと落ちることを想定した訓練であったという。これは武力衝突事態を想定する国民保護の訓練と言えるのですか。これは再質問といたします。お答えください。
○副議長(實川 隆君) 防災危機管理部長添谷進君。
○説明者(添谷 進君) 住民避難訓練に関する御質問にお答えいたします。
弾道ミサイルの上空通過など一定の危険が及ぶ場合に備えまして、その際に取るべき行動を確認、体験しておくことは重要であると認識をしております。今回の訓練は、その周知を図る意味で有意義なものと考えておりまして、今後も国等と調整しまして訓練の充実に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 河野俊紀君。
○河野俊紀君 部長、いろんな項目を挙げるのはよく分かりますけれども、被爆の範囲とか定量的な話でこれからの訓練はぜひやっていただきたいと思います。
国民保護について要望いたしますが、もっと現実の脅威を考えて訓練してほしいと思います。例えばです。昨年12月31日のイギリス経済紙のフィナンシャル・タイムズが、ロシア軍は10年前より日本と韓国の攻撃目標を策定し、そこには茨城県の東海村の原子力施設や関門トンネルのインフラなどが攻撃対象に含まれていると報道しました。テレビやネットで見られた方も多いと思います。このことは千葉県にとって驚くべきことです。東海村の東海第二原発からこの千葉県庁まで直線距離で115キロしか離れていません。秒速6メートルの東風が吹けば、5時間20分で県庁は東海原発の上空と同じ環境になります。東海第二原発の使用済核燃料にミサイルが被弾すれば、千葉県の上空は5時間後に放射性プルームで覆われ、地上は死に土地になります。どうやって逃げるのですか。そういう避難訓練こそ現実的な国民保護避難訓練ではないですか。さらに、国民保護の進まない原因と、啓発するにはどうすればいいかも考えてほしいと思います。
ロシアがウクライナで初期より執拗に原発を狙っていますが、今年の1月6日に極超音速弾道ミサイルを日本海に向けて発射した北朝鮮も同じです。彼らは、日本は通常ミサイル1発を原発に打ち込めば、それで戦争は終わる、軍事的に考える必要もない国と彼らの労働新聞に昔から述べられていました。まさにそのとおりです。
配付資料の(1)を再度見てください。人口100%近くカバーする核シェルターを持つ普通の国に比べ、日本は核シェルターはほぼゼロです。あるのは他国の善意を信じていれば世界は平和という意識の枠、意識のフレームワークだけです。80年間そのままなんです。この意識の下、真っ当な国民保護計画は進みません。行政も、これは国がやるべきだ、これは地方の仕事だと言い合い、その掛け合いを見て、国民は、県民は、何か国民保護を真剣にやっている、安全だと勘違いするんです。実は何も進んでいないんです。
世界大戦の戦間80年という時期になりました。それも終わりかけていると言われています。他国のように放射能フィルター換気つきの地下核シェルターまでとはいかなくても、国民保護への啓発、周知、推進を重ねて強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(實川 隆君) 次に、木名瀬訓光君。
(木名瀬訓光君登壇、拍手)
○木名瀬訓光君 皆さん、こんにちは。野田市選出、自由民主党、木名瀬訓光でございます。本定例県議会において登壇の機会を与えてくださいました会派の先輩・同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。
それでは、通告に従い質問させていただきます。
最初に、青少年の健全育成について質問いたします。
青少年相談員は、地域社会における青少年健全育成の推進を図るため、昭和38年10月に当時の友納千葉県知事の肝煎りで設置した千葉県独自の制度であり、私も平成22年から31年まで県連絡協議会会長を務めました。令和5年度には60周年を迎え、これまでに延べ9万名以上の方が青少年相談員として活躍されてきた大変歴史のある制度であります。情報化、グローバル化など、制度発足当時と令和の現在では青少年を取り巻く環境は大きく変わりましたが、現在も地域における青少年健全育成のリーダーとして重要な役割を果たしております。
しかしながら、少子化による学校数の減少や地域のつながりの希薄化などにより、市町村の実情に応じて定めている青少年相談員の定数と、定数に対する委嘱者数の充足率が共に減ってきていると聞いています。私が会長に就任した平成22年度は、定数4,332名に対し、委嘱者数は約4,300名と99%の充足率でした。今年4月から始まる第22期の定数は4,000名を下回り3,973名とのことですが、市町村が相談員の確保に苦慮する中、今後の活動に影響が出てくることが懸念されるところです。
そこで伺います。青少年相談員の近年の委嘱状況はどうか。また、青少年相談員の確保に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。
情報化社会の進展とともに、スマートフォンの普及や学校における1人1台端末の配備等により、青少年がインターネットを利用する機会が飛躍的に増加しています。こども家庭庁が実施した調査によると、青少年の98.7%がインターネットを利用しているとのことです。このように、青少年のインターネットの利用が拡大している中、青少年がSNS等をめぐるトラブルや犯罪に巻き込まれる事案も増えており、昨年4月にはSNSで使用した写真をめぐりトラブルに巻き込まれた女子高生が殺害されるという大変痛ましい事件がありました。何とか防ぐ手だてがなかったのかと思うと心が痛みます。県では、SNS等の書き込みを監視し、不適切な書き込みを発見したときは指導につなげるネットパトロールを平成23年から実施しており、令和2年度からは専門業者に委託していると聞いています。このように、県では青少年のネット被害防止対策を着実に進めてきたところですが、ネット上に流通する犯罪や薬物に誘う有害情報は、数えると切りがありません。
一方、昨年6月議会では、我が党の松崎太洋議員の質問に対し、令和5年度からトラブルに巻き込まれるおそれがある個人情報の流出等について、問題事案の早期発見と迅速な指導に役立てるため、指導対象の範囲を拡大したとの答弁があり、これにより今年度の状況はどうなっているのか気になるところであります。
そこで伺います。令和6年度のネットパトロールの実施状況はどうか。
続いて、防災について質問します。
大規模災害により、電気や水道等の生活に必要なインフラ施設に甚大な被害が発生している中で、避難生活が長期化することは、災害関連死を招く大きな要因の1つと考えられます。甚大な被害により、余儀なく長期の避難生活を強いられた能登半島地震においては、東日本大震災以降の災害で、災害関連死が最も多い状況となっていることが報じられたところです。石川県では、生活環境の改善や災害関連死の防止のため、県内外の旅館やホテルなどを2次避難所として確保するほか、配慮が必要な高齢者や妊婦の方などを対象に、2次避難所へ移動するまでの一時的な受入先として、金沢市内などに1.5次避難所を開設するなどの対応を行っていたところです。大規模災害時においては、被災地以外への避難は大変有効ですが、災害で救われた命を守るためにも、早い段階で1.5次・2次避難の必要性を判断することが求められています。
そこで伺います。県では、大規模災害時の2次避難への対応について、どのように取り組んでいるのか。
次に、消防団についてです。
消防団は地域との密着性を生かしながら、消火を中心とした活動を積極的に行うとともに、平時においても、火災予防の啓発や住民指導などの役割を担う、地域住民から頼られる存在であります。近年は災害が大規模化、頻発化しており、毎年のように豪雨災害が発生し、救助活動や排水作業などにおいても消防団が活躍しています。また、発生が危惧されている首都直下地震などの大規模地震発生時においては、消防団の特性を生かした迅速な出場による消火活動や、常備消防との連携による延焼阻止活動など、その役割はふだんの活動以上に多岐にわたることが考えられます。
しかしながら、近年、訓練機会の減少などもあり、消火をはじめとする消防団活動について、団員の技術力の低下が懸念されています。
そこで伺います。消防団員の技術力の維持向上に向けた県の取組はどうか。
続いて、認知症について質問します。
県の高齢者保健福祉計画によると、認知症の高齢者は、2030年には40万人に増えると推計されており、認知症の方や家族への支援は重要な課題となっています。一方で、65歳未満で発症する若年性認知症は、高齢者の認知症と比べて人数は少ないのですが、働き盛りの年代で発症するため、本人だけではなく、その家族の生活への影響も大きく、また社会的な理解が乏しいことから、就労や社会参加などにおいて、より一層の理解促進と支援が必要と考えています。若年性認知症の方を含む認知症の方の中には、外出の機会が減ることで病状が悪化してしまう場合もあると聞いています。若年性認知症の方が生き生きと暮らしていくためには、その声を尊重し、本人の特性や希望、特技や経験を生かした社会参加につながるよう、適切な支援を行うことが必要ではないでしょうか。
そこで伺います。若年性認知症の方の社会参加を促進すべきと思うが、どうか。
続いて、児童相談所について質問します。
本県の児童相談所では、限られた人員で数多くの虐待案件に対応しており、中には困難事例も少なくないと聞いており、職員一人一人の負担が増大していることは想像に難くありません。県では、児童相談所の人材確保にいろいろと取り組んでいますが、職員の業務負担が過大な状況が続けば、せっかく本県に就職しても体調を崩して休んでしまったり、退職や転職をしてしまったりするのではないかと危惧しています。虐待案件に対しては丁寧に対応する必要があると思いますが、業務の内容によっては、ICTを活用するなど効率化を図り、負担を軽減させていくべきと考えています。
そこで伺います。県は、児童相談所の業務効率化についてどのように取り組んでいくのか。
続いて、県立学校の老朽化対策について質問します。
県立学校は、千葉県県有建物長寿命化計画に基づき、老朽化した建物の大規模改修が進められていますが、この計画では、毎年5校程度に着手していくとのことで、大規模改修の順番待ちで相当時間が経過してしまう学校もあります。私の地元では、校舎や体育館の雨漏り、消防用設備や浄化槽設備の老朽化など、対応が必要な学校があると聞いています。県教育委員会は、毎年、学校から施設整備の要望調査を行って対応していると伺いましたが、老朽化対策は待ったなしの課題です。特に大規模改修の順番がなかなか回ってこない学校の老朽化対策に必要な予算を確保して、生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、しっかり対策を進めたいと思っています。
そこで伺います。大規模改修が当面実施されない学校の老朽化対策にどのように対応するのか。
続いて、自主防犯活動について質問します。
犯罪の取締りは警察の仕事であり、また、犯罪の抑止として警察や自治体がSNS等を活用して様々な広報啓発活動を実施していることは承知していますが、地域の犯罪防止には、その地域に住む方々が防犯意識を高め、自主防犯活動を断続的に行うことが効果的です。県警の統計によりますと、県内の刑法犯認知件数は、平成14年をピークに減少傾向にあります。これは自主防犯活動が大きく貢献しているものと思いますが、一方で、闇バイトによる連続強盗事件など凶悪な犯罪が発生しています。今後も犯罪が起きにくい地域にしていくためには、自主防犯活動の活性化が必要であり、県警の支援は重要と考えています。
そこで伺います。自主防犯団体の把握状況はどうか。また、県警では同団体に対してどのような支援を行っているのか。
また、私は昨年末に行われた野田市の防犯パトロールに参加しましたが、その際、自主防犯団体の方々の高齢化が進んでいることを改めて実感するとともに、こうした取組を維持していけるのかと危惧したところです。
そこで伺います。自主防犯団体に関する課題について、どのように認識しているか。また、課題に対してどのような取組を行っているのか。
最後に、道路整備について質問します。
まずは千葉北西連絡道路の整備についてです。
国道16号は首都圏の環状道路であるとともに、県北西地域を縦断する唯一の幹線道路として、交通量が非常に多く、特に野田市駅入口交差点から柏市の大島田交差点付近では慢性的な交通渋滞が発生しており、地域の日常生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼしております。令和元年東日本台風では、柏市から我孫子市にまたがる田中調節池内の市道が通行止めとなり、並行する国道16号に交通が集中し、交通機能が麻痺したところであります。災害時における道路ネットワークの多重性、代替性の確保は極めて重要です。千葉北西連絡道路は、国道16号の交通円滑化のほか、地域経済の活性化や災害対応に資するものであり、早期の具体化が必要であります。
昨年2月に、国、県、沿線市で構成する地元検討会が設立され、計画段階評価におけるルート、構造の検討が進められておりますが、現在の取組状況が気になるところです。
そこでお伺いいたします。千葉北西連絡道路の取組状況はどうか。
次に、野田橋周辺の交通円滑化についてです。
県境橋梁は、交通の円滑化や災害時の輸送経路等において非常に重要な役割を担っており、昨年の12月議会の我が党の代表質問においても、県境橋梁の整備を取り上げたところです。私の地元である野田市は、江戸川や利根川を隔てて埼玉県、茨城県と接しているため、県内外からの交通により県境橋梁を通ることが多く、特に県道越谷野田線の江戸川に架かる野田橋の周辺では交通が集中し、慢性的に渋滞が発生している状態です。さらに、千葉県側では、流山市の大規模な物流施設が相次いで稼働し、また、埼玉県側では、今年の春頃に県道越谷野田線と交差する国道4号東埼玉道路の一部区間が開通予定となっています。今後、一層の交通量の増加が見込まれますので、野田橋周辺の交通円滑化対策として、野田橋の架け替えを含む県道越谷野田線の4車線化が急務であると考えています。
そこで伺います。野田橋周辺の交通円滑化に向けた取組状況はどうか。
次に、都市計画道路今上木野崎線についてです。
今上木野崎線は、江戸川に架かる玉葉橋とつながる県道松戸野田線を起点として国道16号と交差し、県道我孫子関宿線に至る野田市の外郭環状道路の一部を構成する大変重要な道路です。起点側はみずきの街の区画整理事業などにより整備が完了しています。しかし、東側区間は未整備となっており、東武野田線梅郷駅周辺では、現道の幅員が狭く、また踏切もあるため、慢性的な渋滞が発生しています。このため、東武野田線とアンダーパスで立体交差するバイパス事業が県において進められており、この今上木野崎線が整備されることで、歩行者や自転車の安全につながる通行空間が確保されるとともに、交通の転換による現道の渋滞緩和が期待されます。
そこで伺います。都市計画道路今上木野崎線の進捗状況はどうか。
次に、県道我孫子関宿線についてです。
県道我孫子関宿線は野田市を南北に結び、国道16号を補完し、さらには利根川を渡る下総利根大橋を経由することで、茨城県との交通を担う重要な道路です。この道路は、他県からの大型車を含む交通量が多いにもかかわらず、道路幅員が狭く、歩道が未整備のため、車両同士が擦れ違う際に歩行者との接触の可能性が高く、危険な状態となっています。現在、県では道路の拡幅事業を着実に進めているところですが、未整備区間のうち、特に木間ケ瀬中学校付近は交通の利便性向上のほか、通学する生徒など歩行者の安全や沿線の快適な生活環境の確保を早急に図る必要があり、車道と歩道の分離について、地元から一日も早い完成が望まれています。
そこで伺います。県道我孫子関宿線野田市木間ケ瀬地先の現道拡幅事業の進捗状況はどうか。
以上で1回目の質問とします。知事はじめ執行部の皆様には明快で前向きな答弁をよろしくお願いします。(拍手)
○副議長(實川 隆君) 木名瀬訓光君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。
(知事熊谷俊人君登壇)
○知事(熊谷俊人君) 自民党の木名瀬訓光議員の御質問にお答えいたします。
まず、防災についてお答えいたします。
2次避難への対応についての御質問ですが、災害発生時に電気、水道などインフラの復旧の遅れにより避難の長期化が見込まれる場合、良好な避難環境を確保するため、広域的な避難も検討する必要があります。このため、県では旅館、ホテルの事業者の組合と協定を締結し、高齢者や障害者など配慮を必要とする被災者に宿泊施設を避難所として提供することとしております。さらに、能登半島地震において実績を有する民間事業者と広域的な避難所の開設、運営や避難者の輸送等に関し連携、協力して行う協定を新たに締結したところであり、いわゆる2次避難の迅速な判断や円滑な実施により、良好な避難環境を確保してまいります。
次に、児童相談所の業務効率化についての御質問にお答えいたします。
県では、児童虐待相談対応件数が高止まりの状況にあることから、安全確認業務の一部を民間事業者に委託をする児童安全確認民間協力員事業や、相談者との通話内容のテキスト化、相談内容に応じたマニュアルの自動表示などを行う音声マイニングシステムの導入により、児童相談所の業務効率化を進めているところです。来年度からはタブレットを試験導入し、現場での手書き記録メモのテキスト化などに活用するとともに、夜間勤務のある一時保護所職員の複雑な勤務シフトを自動作成するツールを導入するなど、一層の業務の効率化に取り組むこととしています。今後も児童相談所職員の業務の効率化、負担軽減を推進することで、相談業務の質の向上やケース検討の充実などを図ってまいります。
私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。
○副議長(實川 隆君) 環境生活部長井上容子君。
(説明者井上容子君登壇)
○説明者(井上容子君) 青少年の健全育成について、初めに青少年相談員の委嘱状況と確保に向けた取組についてお答えいたします。
県では、3年を任期として青少年相談員を配置しており、近年の委嘱者数と定数に対する充足率は、平成28年度が4,258人で99.9%、令和元年度が4,042人で97.0%、令和4年度が3,827人で94.3%と定数の確保が難しくなってきています。相談員は地域の青少年健全育成のリーダー的存在として、スポーツ大会や野外活動等を企画、運営し、昨年度は延べ13万人を超える青少年が参加しており、多様な世代や地域の人と交流する実体験を通じて、青少年の豊かな人間関係や社会生活の形成などにつなげています。こうした相談員の魅力を発信するため、市町村と連携しながら、SNSやチラシ等で制度や活動の周知啓発を図っているところであり、引き続き青少年相談員の確保に努めてまいります。
次に、令和6年度のネットパトロールの実施状況についての御質問ですが、県では、青少年がインターネット上のトラブルの被害者にも加害者にもならないよう、専門的な知見やノウハウ、AI等の最新技術を持つ事業者に委託して、県内全ての中学校、高校、特別支援学校等630校を対象に、ネットパトロールを実施しています。令和6年度は12月末現在で、自分自身の個人情報の公開など895人の問題のある書き込みが発見され、前年同期の852人と比較すると増加しています。そのうち指導等が必要な暴力、問題行動や他人の個人情報の公開等、特に問題のある書き込みは82人から48人に減少しています。ネットパトロールの実施結果は、県教育委員会や市町村を通じて各学校に提供するとともに、特に問題のある書き込みについては、速やかに学校等に連絡し、指導などにつなげているところです。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 防災危機管理部長添谷進君。
(説明者添谷 進君登壇)
○説明者(添谷 進君) 消防団員の技術力の維持向上についての御質問にお答えをいたします。
消防団員が火災や大規模災害時、迅速かつ的確に対応するためには、消火や救出救助など活動に必要な技術を習得しておくことが重要です。県では、消防団員の技術向上に向け、新たに県内各地で消防団が行っている訓練の動画をウェブ上で紹介し、実践的な訓練方法の共有を図るほか、消防学校の訓練設備を活用し、火災や大規模災害などの現場を想定した訓練も実施することとしております。また、消防団員が災害対応を的確に行えるよう、市町村に対し資機材の操作に習熟するための訓練の実施を働きかけるなど、団員の技術力の維持向上の取組を促進してまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。
(説明者岡田慎太郎君登壇)
○説明者(岡田慎太郎君) 若年性認知症についての御質問にお答えします。
65歳未満で発症する若年性認知症の方は、体力や意欲があり、自身の経験や能力を生かして社会で活躍したいと考えている方も多くいらっしゃいます。県では、本人の特性や興味に応じた社会参加につながるよう、若年性認知症の方が自身の趣味や特技について語り合い、その内容を踏まえてボランティア等の活動につなげるモデル事業に今年度から取り組んでいます。今後も若年性認知症の方の意思を尊重しながら、本人が希望を持って暮らし続けられるよう支援してまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 教育長冨塚昌子君。
(説明者冨塚昌子君登壇)
○説明者(冨塚昌子君) 県立学校の老朽化対策についての御質問にお答えいたします。
県立学校は昭和40年代から50年代に建築した建物が多く、現在、計画的に大規模改修工事を進めているものの、雨漏りや電気・水道設備の老朽化などには早期の対策が必要です。そのため、大規模改修が当面予定されていない建物については、屋上防水等改修工事を実施しています。さらに、部分的な外壁の修繕などの予算について、学校からの要望に迅速かつ柔軟に対応するため、令和7年度当初予算案では6年度より8億円増額し、22億円を計上しているところです。引き続き児童生徒が安心して学ぶことができる教育環境の整備に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 警察本部長宮沢忠孝君。
(説明者宮沢忠孝君登壇)
○説明者(宮沢忠孝君) 私からは自主防犯活動についてお答えいたします。
まず、自主防犯団体の把握状況等に関する御質問ですが、県警で把握している自主防犯団体は、令和6年12月末現在3,090団体、その構成員は15万5,210人であり、前年と比べ80団体、9,516人減少しております。県内の治安を維持するためには、警察活動のほか、地域住民の方々による防犯パトロールなど自主防犯活動の活性化を図ることが重要であることから、県警では、自主防犯団体に対して、犯罪発生情報のタイムリーな提供や合同パトロールの実施等の支援を行っております。
次に、自主防犯団体の課題等に関する御質問ですが、県警では、自主防犯団体の構成員の高齢化や後継者の不在が課題であると認識しております。こうした課題の解決に向け、県警では、県や市町村などの関係機関・団体と連携して、幅広い世代に対し自主防犯活動への参加を促しているほか、日常生活を通じた負担の少ない活動を提案するなどの働きかけを行っております。今後も自主防犯活動が持続可能なものとなるよう、県や市町村などの関係機関と連携を図りながら、活動の支援に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 県土整備部長四童子隆君。
(説明者四童子隆君登壇)
○説明者(四童子隆君) 私からは道路整備についての御質問にお答えします。
まず、千葉北西連絡道路についての御質問ですが、千葉北西連絡道路は国道16号などの交通円滑化や、県内外との交流、連携を強化し、企業の集積、産業の活性化を図るとともに、災害時における多重性、代替性を確保する重要な道路です。昨年7月には千葉北西連絡道路の最新の情報をお知らせするポータルサイトを開設したほか、10月から12月にかけて野田市役所など県内11か所においてパネル展を開催したところであり、今後、地域の皆様の意見把握を行うオープンハウスを実施するとともに、企業ヒアリングなども予定しております。引き続き国や沿線市と連携し、計画の早期具体化に向け積極的に取り組んでまいります。
次に、野田橋周辺の交通の円滑化についての御質問ですが、東葛飾地域と埼玉県東部地域を結ぶ野田橋やその周辺では、交通が集中し、朝夕を中心に激しい渋滞が発生している状況です。これまでに交通課題の把握や、今後の周辺道路の整備状況を踏まえた交通量推計などを行うとともに、野田橋を含め4車線化が必要な区間や短期対策の検討を進めてまいりました。現在、埼玉県や野田市と連携し、交差点の右折レーン延伸などの短期対策の検討を進めるとともに、4車線化につきましては、県道越谷野田線の野田橋交差点から野田市中野台交差点までの概略設計を実施しているところです。引き続き関係機関と連携しながら、早期の事業化が図られるよう計画的に取り組んでまいります。
次に、都市計画道路今上木野崎線の進捗状況についての御質問ですが、今上木野崎線では、東武野田線梅郷駅周辺の交通渋滞の緩和を図るため、野田市道山崎野田線から国道16号までの0.7キロメートル区間で東武野田線との立体交差を含むバイパス整備を進めております。現在、用地の取得率は約8割で、今年度は立体交差部について過年度に締結した覚書に基づき、東武鉄道がアンダーパスの設計を実施しており、県におきましては、工事に必要な進入路整備に着手する予定です。引き続き地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、残る用地の取得に努めるとともに、野田市と東武鉄道と連携して事業を推進してまいります。
最後に、県道我孫子関宿線の現道拡幅事業の進捗状況についての御質問ですが、当該路線の野田市木間ケ瀬地先では、幅員が狭く歩道もないことから、円滑な交通と通学児童等の安全を確保するため、2.5キロメートルの現道拡幅を進めているところです。これまでに木間ケ瀬小学校から我孫子市側の0.9キロメートルが完成し、現在これに続く木間ケ瀬中学校までの0.6キロメートルについて優先的に事業を進めており、用地取得率は約7割となっております。今年度はまとまった用地が確保できた箇所におきまして埋蔵文化財調査を実施するとともに、工事着手に向けて施工計画の検討を行っているところです。今後とも地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、残る用地の取得を進め、事業の推進に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 木名瀬訓光君。
○木名瀬訓光君 知事はじめ執行部の皆様には丁寧な御答弁ありがとうございました。それでは、何点か再質問と要望をいたします。
初めに、青少年の健全育成については要望と再質問をいたします。青少年相談員は、地域における青少年健全育成の担い手として、貴重な体験の機会をつくる重要な役割を担っていることから、県においても引き続き市町村と連携し、青少年相談員の確保と支援の充実に努めていただくよう要望いたします。
また、青少年がインターネットをめぐるトラブルの被害者にも加害者にもならないために、ネットパトロールを行うだけでなく、不適切な書き込みそのものを行わないよう、インターネットの適正利用について周知、啓発を進める必要があると考えます。
そこで伺います。インターネットの適正な利用について、県は今後どのように啓発を行っていくのか。
続きまして、防災について要望します。能登半島地震では、1月23日現在で災害関連死が288名となり、直接死の227名を上回っております。避難所が飽和状態で、十分な支援物資も届かない中、災害関連死を防ぐためには、2次避難は有効な手段と考えていますが、一方で、被災者にとって地元を離れることへの戸惑いや仕事が続けられなくなるなどの不安により、ちゅうちょする人も多いと聞いています。県においては、被災者の気持ちに寄り添い、災害から救われた命を守るため、必要な支援が迅速かつ着実に行われるよう取組を進めていただくことを要望いたします。
それから、消防団についてです。消防団が平常時に訓練を重ねることは、火災や災害時の円滑な活動につながるだけではなく、消防団員同士の結束力を高め、士気の高揚を図るものとなります。消防団員の士気高揚も非常に重要と考えていますので、県においても、消防団員の士気が高まり、高いモチベーションの下、活動できるよう、訓練機会の提供のほか、消防団に対する社会的な理解のさらなる促進に向け、取組を進めていただくよう要望いたします。
続きまして、認知症対策について要望します。昨年12月に策定された国の認知症施策推進基本計画では、「認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間等とつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができる」という新しい認知症観が示されたところです。この認知症観に基づき、認知症になっても積極的に社会に参加し、活躍できる環境づくりや支援に引き続き取り組んでいただくよう要望いたします。
続きまして、児童相談所について要望します。依然として児童相談所の対応件数は高い水準にありますので、職員の負担が軽減されますよう、引き続き業務効率化などに取り組むことを要望いたします。
続きまして、県立学校の老朽化対策について要望します。予算が大幅に増加されたことは高く評価しています。大規模改修は計画的に行う必要がありますが、校舎の老朽化が進む中、必要な修繕が迅速かつ柔軟に実施できるよう、今後もしっかりと予算を確保していただくよう要望いたします。
続きまして、自主防犯活動について再質問します。答弁にありました犯罪発生情報のタイムリーな提供や合同パトロールなどの支援などは、まさに県警にしかできない、ありがたい支援であります。また、自主防犯団体が円滑に活動を継続していくためには、そういったソフト面の支援とともに、防犯パトロールなどの活動に当たっては、様々な資機材等が必要となりますので、ハード面での支援も重要と考えています。
そこで伺います。自主防犯団体が円滑に活動を行えるよう、防犯パトロール資機材等の整備について支援が必要と考えるが、どうか。
最後に、道路整備について要望いたします。まず、千葉北西連絡道路については、引き続き地元の機運が高まるよう情報発信に努めるとともに、国や関係市と連携しつつ、県として積極的な役割を果たし、計画の具体化を強力に進めていただくよう要望いたします。
次に、野田橋についてですが、私が顧問を務める浦和野田線整備促進期成同盟会では、毎年、野田橋の4車線化による交通の円滑化について千葉県に要望をしており、今年度は穴澤副知事に要望書をお渡しすることができました。答弁では、右折レーン延伸などの短期対策の検討に加え、4車線化の概略設計を実施しているとのことですが、地元の強い気持ちをしっかりと受け止めていただき、早期事業化に向けてスピード感を持って取り組んでいただくよう強く要望いたします。
次に、今上木野崎線については、アンダーパスの設計の実施や進入路整備の着手など、整備事業が着実に進められていることが確認できました。引き続き一日でも早い開通に向けて事業を進めていただくよう要望いたします。
次に、我孫子関宿線については、用地取得率が約7割とのことで、かなり進んでいるということが確認できました。引き続き着実に残りの用地の取得を進めるとともに、早期に工事着手していただくよう要望いたします。
以上で2回目の質問と要望といたします。
○副議長(實川 隆君) 環境生活部長井上容子君。
○説明者(井上容子君) インターネットの適正利用に係る啓発に関する御質問ですが、県では、学校等に職員を派遣して行う講演会を年間70回程度開催しているほか、今年度は新たに家庭でのルールづくりを促進するための保護者向け啓発動画を作成し、周知啓発に努めているところです。さらに、来年度は専門家による最新の事例等を踏まえた講演会も開催することとしており、引き続き市町村、関係機関と連携し、インターネット適正利用に係る啓発に取り組んでまいります。
次に、自主防犯団体への支援に関する御質問ですが、県では2月補正予算案において、青パト車両や防犯ベストなど、防犯パトロールに使用する資機材等の購入支援を行う事業を計上しており、自主防犯団体の活動の一層の促進を図ってまいります。
以上でございます。
○副議長(實川 隆君) 木名瀬訓光君。
○木名瀬訓光君 御答弁ありがとうございました。最後に要望します。
まず、青少年の健全育成についてですが、インターネットは大変便利なものですが、使い方を誤ると犯罪に巻き込まれるなど、大きなリスクも伴います。青少年が正しく理解し、賢く利用できるよう、インターネットの適正利用に向けて、さらなる周知、啓発に取り組んでいただくよう要望いたします。
最後に、自主防犯活動についてですが、犯罪が多様化、巧妙化する中、地域の方々の防犯パトロールなどの自主防犯活動は、地域の安全を守るために大変重要なものです。県警及び県には、今後とも自主防犯活動を持続可能なものとするために、それぞれソフト面、ハード面における御支援をよろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(實川 隆君) 以上をもって本日の日程は終了しました。
2月3日は定刻より会議を開きます。
これにて散会します。
午後2時26分散会
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