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更新日:令和3(2021)年6月16日

ページ番号:3628

身近な衛生動物:マダニについて

私たちの身の回りに入り、身近な動物や、昆虫たちの中には、人間に病気を引き起こすものも少なくありません。

今回は、その中のマダニと日本紅斑熱についてお話しします。

マダニとは

マダニは、ダニ類の中では大型で吸血性のダニです(写真1)。

広く山野に生息しており、千葉県では南部の丘陵に特に多く見られ、本来自然動物である、シカやイノシシ、タヌキなどに寄生して吸血して生活しています。
マダニは、草むらの中で葉の裏や茎の先といったところで、寄生する動物を待ち構えています。
そのため、昨今のアウトドアブームを受け、人が草むらに入った際に、吸血されることがあります。

吸血したマダニの体は、何倍にも膨れ上がります(写真2)。

もし、吸血しているマダニを見つけた場合は、そのまま医療機関を受診して外科的に除去してもらってください。
無理に取ろうとすると体の一部が皮膚に残り、化膿したりする場合があります。

また、マダニの種類によっては感染症を媒介することが知られています。

今回お話しする日本紅斑熱は、千葉県内でも年間に数件の報告があり、特に注意が必要な疾患です。

マダニ

(写真1)

 

吸血したマダニ

(写真2)

 

 

千葉県衛生研究所ウイルス・昆虫医科学研究室撮影

予防策等

山に入るときは、なるべく皮膚を露出しないよう長袖、長ズボンを着用しましょう。

さらに、マダニのつきにくい織りの細かい衣類がおすすめです。

また、帰宅したら服を着替えて、お風呂に入り、よく体を洗いましょう。

日本紅斑熱について

1984年に徳島県ではじめて患者の報告がありました。
国内での症例数、届出のあった都道府県の数は、ともに増加傾向にあります。
千葉県内では、安房、夷隅地区等の房総半島南部で発生がみられます。

症状は

高熱と発疹、そして原因となるダニの刺し口が臨床症状の特徴として知られています。
潜伏期間は、2~8日程度です。
診断が遅れると、重症化することがあるため注意が必要とされており、感染症法において全数報告の対象疾患となっています。

感染原因は

一般の細菌より小さいリケッチアという微生物の一種(Rickettsia japonica)が、人に感染することで発症します。
人に対しては、リケッチアに感染したマダニにより媒介されていることが分かっています。
リケッチアはマダニにおいて経卵感染することや、シカなどの保菌する動物の存在により、感染が拡大していると考えられています。

このように日本紅斑熱の感染は、マダニの活動に強く依存するため、マダニの活動が活発となる春~秋に多く患者がみられます。

発生状況

衛生研究所では、医療機関からの報告や、送付された患者検体の検査により、県内での発生状況を把握するとともに、情報発信に努めています。

発生状況は、千葉県感染症情報センターホームページをご覧ください。

検体は、原則として、ペア血清(感染初期と回復期に採血)を使い、R.japonica YH株を用いた間接蛍光抗体法で抗体の有無を検査します。感染初期の血清でIgM抗体価が40倍以上検出されるか、ペア血清で4倍の抗体価の上昇が認められると陽性と判定します。また、マダニ等に刺された時に形成される痂皮(かさぶた)から、R.japonicaの遺伝子を検出するPCR法も併せて行っています。

間接蛍光抗体法(IF法)

スライドグラスに固定された抗原(R.japonica YH株)に、血清(抗体)を反応させることで、抗原抗体反応を起こさせます。次に、蛍光色素(FITC)で標識した抗ヒト抗体と反応させ、蛍光顕微鏡下で観察します。

【陰性】

蛍光抗体法写真(陰性)

【陽性】

蛍光抗体法写真(陽性)

千葉県衛生研究所ウイルス・昆虫医科学研究室撮影

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部千葉県衛生研究所ウイルス・昆虫医科学研究室

電話番号:043-266-6723

ファックス番号:043-265-5544

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