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更新日:令和6(2024)年2月26日

ページ番号:313644

県立高等学校再編計画(全文)

平成14年11月20日決定

(計画年度:平成14年度~平成23年度)

はじめに計画策定にあたって計画の基本的な考え方再編計画の概要参考資料

 はじめに

近年、高等学校教育を取り巻く環境は、価値観の多様化、国際化・高度情報化や少子高齢化の進展、経済のグローバル化・技術革新など著しく変化してきており、また、中学校卒業者数は平成元年3月をピークに減少に転じ、この傾向は今後も続くことが見込まれています。

このような状況に対応し、望ましい県立高等学校の将来計画を策定するため、「千葉県高等学校将来計画協議会」(H10.11~H12.1)において協議を重ね、平成12年2月に「本県県立高等学校の在り方について」の報告をいただきました。

県教育委員会は、この報告を受け、県立高等学校の再編について具体的な計画を策定するため、「県立高等学校再編計画策定懇談会」(H12.7~H14.2)において様々な意見をいただきながら、検討を進めてきました。平成13年9月には、それまでの協議を踏まえた「再編計画(案)」を懇談会に提示するとともに、平成13年12月、県内6会場において「県民の意見を聴く会」を開催し、再編計画(案)に対し、直接県民の皆さんからも意見をいただきました。

平成14年7月には、「県立高等学校再編計画(最終案)」を公表し、関係団体等との意見交換、電子メール等による県民からの意見募集、県主催の説明会や地域で開催された集会等での意見交換を経て、このたび「県立高等学校再編計画」を策定する運びとなりました。県立高等学校の再編を推進するに当たっては、学校はもとより市町村教育委員会やその他の関係機関等との協議・調整が不可欠であり、その円滑な推進に向けて一層の連携を図りながら、新しい時代にふさわしい千葉の教育を創造していく必要があります。

また、各高等学校においては教職員一人一人が、この計画の趣旨を理解するとともに、地域の特性や生徒の実態等を踏まえた自校の教育課題を明確にし、開かれた学校づくりを進めるとともに、特色ある学校づくりに積極的に取り組んでいかなければなりません。なお、この計画は県立高等学校を対象としていますが、市立高等学校の設置者とも将来構想等について、協議・調整を進めてまいります。さらに、私立高等学校とはこれまで協調しながら千葉県教育の充実を図ってきましたが、今後とも互いに切磋琢磨しつつ、その質的な向上に努めてまいりたいと考えております。

今回、本計画とあわせて策定した「実施プログラム」は第1期の内容であり、今後第2期以降の計画を順次発表することとしています。第1期分のみならず、第2期以降の計画についても、皆さんのご意見をいただいて、魅力ある高等学校づくりを進めてまいります。

 計画策定にあたって

計画の趣旨

「県民一人一人が、生涯を通して『学ぶ喜び』を感じながら『次代をひらく力』を培うことのできる学習環境の実現」を基本理念とした千葉県教育長期ビジョンでは、住民相互の交流を大切にする「地域コミュニティづくり」、児童・生徒に豊かな人間性を育む「学校教育環境づくり」、そして人生の楽しみや喜びを得られる「県民の学習環境づくり」の3つを基本目標としている。
そこで、県立高等学校再編計画では、

  • 「生徒がその個性を最大限に生かせ、夢の実現に一役買ってくれる学校」
  • 「生徒や教職員が生き生きと活動して、元気のある学校」
  • 「地域の人が集い、地域に愛される学校」

を基本的コンセプトとして策定した。

計画の目標年次

社会の変化が著しいことを踏まえ、平成14年度を初年度とし、10年後の平成23年度末(平成24年:2012年春)を目標年次に、段階的に実施する。

計画の性格

この計画は、長期的な視点に立った今後の県立高等学校の在り方を示すとともに、それを実現するための県立高等学校再編計画とその具体計画を示すものであり、また、社会状況や財政状況等を勘案しながら推進するものである。

なお、具体計画については、当再編計画と同時に第1期実施プログラムを策定したところであり、第2期以降の計画についても、今後、順次公表する予定である。

 計画の基本的な考え方

学校を取り巻く状況

現代社会は、グローバル化、少子・高齢化の進展をはじめとして大きく変化している。最近では科学技術の分野など、様々な分野で競争が激化してきており、個性と創造性に富んだ組織と人材を育成する仕組みづくりとともに、独創性と多様性を発揮し得る社会の実現が求められている。
こうした状況の中で、新たなる経済社会の基盤づくりが急務となっており、旧態依然としたシステムを大きく変革し、結果平等から機会平等へ、画一性から個性重視へ、横並びから自由な選択へ、行き過ぎた保護から適度な競争への転換などが必要であると指摘されている。
また最近では、人々の心にも変化が見られ、例えば、これまで当たり前だった、社会のために尽くす心が軽視され、自分中心の考えやエゴがまかり通ることもしばしば見られる。こうした大人の心の変化は、子どもの心にも影響をもたらしている。

県立高等学校の現状

中学校卒業者数の減少と学校数

生徒の減少

県内の国公私立中学校卒業者数は、平成元年3月(97,786人)をピークに減少期に入り、平成14年3月(60,647人)はピーク時の62.0%にまで減少した。
さらに、平成24年3月(55,000人程度)にはピーク時の約56%に当たる数となる。

学校規模と生徒数

県立高等学校数は、昭和50年度には84校であったが、進学率と生徒数の増加に合わせて新設を行い、平成元年度には144校となった。その後、平成8年度の幕張3校の統合を経て、平成14年度現在142校である。

中学校卒業者数の減少は、1校当たりの学級数・生徒数の減少をもたらすことになり、生徒の科目選択幅を狭くしたり、学校行事や部活動においても円滑な運営の妨げになるなど、より個性を伸ばす教育を目指す学校にとって、生徒の学習活動や運営面に大きな影響を及ぼすと懸念されるところである。

中学校卒業者数と県立高校数

年月

中卒者数

進学率

県立高校数

昭和40年3月

59,441人

67.0%

62校

昭和50年3月

49,934人

90.9%

84校

昭和60年3月

85,920人

94.7%

141校

平成元年3月

97,786人

94.3%

144校

平成10年3月

69,283人

96.4%

142校

平成14年3月

60,647人

96.8%

142校

学校数の推移の図

生徒の多様化

本県の高等学校教育は社会の変化や県民の要請に対応しつつ普及・発展し、中学校卒業者の高等学校進学率を基準に見ると、平成6年度以降97%弱で推移している。これに伴い、高等学校で学ぶ生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等はますます多様化している。
しかし、生徒の高校選択については、普通科指向が強く、「入りたい学校」よりも「入れる学校」を選ぶ傾向が見受けられる。
さらに、生徒の「生きる力」の不足が顕在化するとともに、各方面から「学力低下」が指摘されており、次代をひらく力を培うことのできる学習環境の実現が求められている。
今後は、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を果たしながら一体となって教育力を高めるとともに、生徒一人一人がその個性を生かし、生き生きと夢を持って高校生活が送れるような教育環境を整備していかなければならないのは言うまでもなく、そのためには、これまでの高等学校教育の仕組みの大幅な見直し、様々な制度の有効活用を進める必要がある。

生涯学習社会の進展

日本人の平均寿命は、男性78.0歳、女性84.9歳である(平成13年度)。平均寿命の伸びに伴い、県民一人一人が、心豊かに充実した生活を送っていくために、生涯にわたって自ら学び、自己を高め、さらに学んだ成果を社会で生かす生涯学習社会の実現が求められている。
今後は、県民一人一人が、いつでも、どこでも、自分の志向に合わせて、自由に学ぶ「生涯学習スタイル」が定着し、発展することが予想される。
これまでも地域の高等学校が生涯学習振興の一翼を担い、県民の期待に応えてきた面はあったが、今後も一層高等学校を地域により開かれたものとし、県民の学習ニーズに応える方策を採る必要がある。
県教育委員会としても、教育長期ビジョンにおいて、「ちばのすべてがキャンパス(学舎)」「県民一人一人が学習と教育の担い手」を方針として、人々の学習を支えるシステムを形成していくこととしており、県立高等学校が地域においての生涯学習を積極的に担っていけるような環境づくりを進めていかなければならない。

県立高等学校の課題

こうした状況の中で、これからの教育においては、自らが問題を発見し、考え、判断し、解決に向け行動できる人材、生命の尊さがわかる心・他人への思いやりの心・正義感などの豊かな人間性を持った人材の育成を図っていかなければならない。
また、子どもたちが基礎・基本を身につけるとともに、高い学力を持ち、常に知的好奇心を持ってチャレンジできる環境づくりを行い、創造性・独創性のある人材を育てていくことが極めて重要であり、このことが本県の次代を担うリーダーの育成につながるものと考える。
特に高等学校教育においては、生徒数の減少への対応、開かれた学校づくりをはじめ、画一的・形式的平等教育からの脱皮、基礎・基本の確実な定着、学力向上への取組、創造力の伸長、目的意識の低い(モラトリアム)生徒や倫理観の不足した生徒への対応など、多くの課題が山積している。それらの課題に対応するために、生徒一人一人がそれぞれの興味や関心を持って生き生きと学び、21世紀を夢と希望を持って力強く生きていけるよう、個性を一層重んじた、多様な選択ができる柔軟な仕組みを持った高等学校づくりを進めなければならない。
それには、各高等学校がそれぞれ特色化・個性化を図るとともに、学校が保護者をはじめ広く県民から信頼を得るためにも、地域コミュニティ形成に積極的に関わり、家庭・地域の人たちと連携・協力しながら、一体となって教育を進め、一層魅力ある高等学校づくりを進める必要がある。

目指すべき県立高等学校像

これからの県立高等学校は、次に掲げる基本的コンセプトにより、教育活動を展開していくものである。
このコンセプトは、再編対象となる学校だけでなく、すべての学校が目指すべきであり、その実現が、生徒のみならず県民にとっても魅力のある高等学校となるものである。
また、魅力ある高等学校づくりに当たっては、各学校が自ら何をなすべきかを十分考え、それぞれの主体性を発揮しながら、あらゆる実践を重ね、実現に向けて強く推進していくものとする。

生徒がその個性を最大限に生かせ、夢の実現に一役買ってくれる学校

  • 基礎・基本の確実な定着、学力の向上、創造力の伸長等を目指し、多様な学習活動を行う。
  • 学校選択や教科・科目選択の幅の拡大を図り、生徒一人一人の能力・適性や進路希望等に対応できる高等学校づくりを行う。
  • 高い学力に裏付けられた思考力・実践力などを持ち、高い志をもって社会的責任を果たせる、次代のリーダーの育成を行う。
  • 学習意欲のある生徒をいつでも高等学校に受入れられるよう、「やり直し」のきく柔軟な学校システムを構築する。

生徒や教職員が生き生きと活動して、元気のある学校

  • 生徒が自ら学び考え、わかるできる喜びを実感できるとともに、教職員も働きがいを感じ、自信と誇りや意欲を持って教育活動に当たる学校づくりを行う。
  • 各学校が自らの創意工夫により切磋琢磨し、生徒が主体性を持って学校生活を送ることができる環境づくりを行う。

地域の人が集い、地域に愛される学校

  • 地域や家庭とともに教育を進めていくために、県民に信頼され、身近で愛されるよう開かれた学校づくりを進める。
  • 県民の生涯学習ニーズに応えられる、「地域の学習センター」としての役割を果たす学校づくりを進める。
  • 学校の教育力を地域へ提供する。

再編の方向性

こうした課題に対応するため、高等学校の再編の方向性として7点掲げる。

学校規模や配置の適正化

生徒が多くの友人・教師との触れ合いや、お互いの切磋琢磨により、生きる力を育んでいくために、学校規模の確保や配置の適正化を図る。

「やり直しのきくシステム」の構築

社会の中で生きていくための基礎・基本を重視するとともに、学習意欲のある生徒をいつでも高等学校に受入れられるよう、「やり直し」のきく柔軟な学校システムを構築する。

学校の再編・学科の再構成

県民のニーズや社会の一層の変化に対応するため、既設校の単位制高等学校や中高一貫教育校等への転換、既設学科の総合学科への転換など、学校再編及び学科再構成を行う。

選択幅の拡大

柔軟な教育課程の編成、高校間連携や様々な機関(大学、生涯学習施設等)との連携を図り、教科・科目の選択幅の拡大とともに、より一層の学力向上を図る。

開かれた学校づくり

地域や家庭とともに教育を進めて行くために、県民に信頼され、身近で愛されるよう開かれた学校づくりを進めるとともに、県民の生涯学習ニーズに応えられるよう、地域の学習センターとしての学校づくりを行う。また、小・中学校、盲・聾・養護学校と連携し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を行う。

施設・設備の有効活用

再編に当たっては、財政的なバランスを考慮しながら、一部の施設・設備の新設をする一方で、既設の施設・設備の有効活用を図るなどの工夫を行う。

入学者選抜方法の工夫と改善

入学者選抜について、生徒の多様な能力・適性、意欲・関心、努力の成果、活動経験等の優れた面を評価し、受検機会の複数化、高等学校が自校にふさわしい者を選抜するなどの工夫・改善を行う。なお、中高一貫教育校等の入学者選抜の在り方などについては、必要に応じて検討する。

再編後の県立高等学校

 再編計画の概要

魅力ある高等学校の設置

単位制高校

全日制高校については、総合学科だけではなく、普通科や一部の専門学科を含め、16校程度設置する。なお、定時制の課程及び通信制の課程は、原則として単位制とする。

単位制高校について

単位制高校とは、学年の区分がなく、生徒が自らの興味・関心や進路希望等に応じて履修する科目を選択し、修得単位数の合計が、卒業に必要な単位数を満たせば、卒業できるシステムの高校で、修業年限は、全日制の課程においては3年、定時制の課程及び通信制の課程においては3年以上である。

具体的内容
  • 各学校ごとに地域や生徒の状況に応じて、学科、教科・科目及び選択幅等について十分な検討を行い、特色ある教育課程を編成する。特に、普通科においては、生徒が学力を高めるために、習熟度別学習やティーム・ティーチング等、積極的に学習に取り組めるよう工夫する。
  • 前期と後期ごとに単位認定を行う2学期制の導入を考慮するとともに、春季の入学・卒業のほかに、秋季の入学・卒業の積極的導入を図る。
  • 学校間連携を進めるとともに、大学での学修等、学校外での学修の単位認定制度などを活用する。
  • ガイダンス機能の充実を図り、生徒が自ら考え、適切な履修計画を作成できるようにする。
  • 定時制・通信制にあっては、定通併修制度や通信制協力校制度を活用するとともに、科目履修生の受入れ等、多様な教育の機会が確保できるよう配慮する。
配置
全日制の課程
  • いわゆる「伝統校」「新設校」にかかわらず、県内の配置バランスを考慮して、総合学科だけでなく、普通科や一部専門学科においても、単位制を導入する。
定時制の課程
  • 定時制の課程は原則として単位制とする。なお、一部全日制高校の課程を転換し、午前部、午後部、夜間部からなる、三部制定時制高校とし、3校程度設置する。
通信制の課程
  • 通信制独立校を第1学区に1校設置する。

総合学科の設置

総合学科については、既設校の再編により、全県的なバランスを考慮しながら、各学区に1校程度を目標に、計9校程度設置する。

総合学科について

総合学科とは、普通科目と専門科目を幅広く開設し、生徒が自らの興味・関心や進路希望等に応じて、主体的に科目を選択しながら学習できる単位制の学科である。

具体的内容
  • 総合学科内に設置する選択学習の系列については、基礎・基本の充実を重視しつつ、進学、資格取得を十分考慮し、系統的な学習ができるよう工夫する。
  • 特色を持った系列を設置するに当たっては、各学校の現在ある学科・コースの成果を継承して、多様な科目選択を可能にするよう配慮する。
  • 原則履修科目「産業社会と人間」の指導や生徒一人一人の科目履修・進路に関するガイダンスの充実を図る。
  • 前期と後期の単位認定を行う2学期制を導入する。
  • 地域の特性を生かした学校外における学修の単位認定制度を活用する。
配置
  • 普通科の設置比率の高い学区では、一部の普通科高校を総合学科高校に転換する。
  • 普通科の設置比率の低い学区では、一部の専門高校を総合学科高校に転換する。

中高一貫教育校

6年間一貫の中等教育学校を2校程度、市町村立中学校と接続した連携型一貫校を2校程度設置する。なお、設置に当たっては、既設の全日制高校を転換することを原則とする。

中高一貫教育校について

中高一貫教育校は、中学校と高校の6年間を通して、高校入試の影響を受けずに、ゆとりの中で、生徒一人一人の個性をより重視した教育を行う学校である。
中等教育学校は、一つの学校として6年間を通して一体的・系統的に学ぶ学校であり、前期課程(3年)と後期課程(3年)に区分されている。
連携型一貫校は、市町村立中学校と県立高校が教育内容での連携や、教職員・生徒間交流等の連携を深める形で接続する学校である。
併設型一貫校は、高校と中学校を併設して、6年間を通して学ぶ学校である。

具体的内容
中等教育学校
  • 6年間を通して生徒の個性や能力の一層の伸長を図るため、例えば、自然科学等の特色ある教育内容の展開を工夫する。
  • 本県らしい中等教育学校の実現を目指し、大幅に弾力化した教育課程を編成し、小集団での学習の充実や習熟度別学習などの多彩な学習活動を展開する。

連携型中高一貫校
  • 地域の特性を生かした中学校・高等学校の系統的な学習、異学年での体験学習や学校行事等を通して、生徒や教職員間の交流を促進する。
  • 高等学校での設置学科については、既設学科の成果を踏まえ、地域の特性を生かした学科とする。
配置
中等教育学校・併設型中高一貫校
  • 中等教育学校については、「研究会議」等で設置に向けた研究・検討を進める。
  • 併設型中高一貫校についても、「研究会議」等で研究を進める。
  • 設置地域・数については、県内のバランスを考慮しながら、2校程度とする。
連携型中高一貫校
  • 県では、関係市町村と連携しながら連携型一貫校を2校程度設置する。
  • 連携型一貫校については、市町村等からの要望等を踏まえ、今後も設置の検討を行う。

(仮称)総合技術高校

学校や学科の統合により、例えば農業科と工業科など複数の学科を併置し、専門学科の枠を越えた学習も可能とする「(仮称)総合技術高校」を2校程度設置する。

(仮称)総合技術高校について

(仮称)総合技術高校は、複数の職業系専門学科(農業科・工業科・商業科などのいわゆる大学科)を併置し、学科の枠を越えた学習も可能にすることで専門分野の学習に深みと幅を与え、生徒の興味・関心や学習希望・進路希望などの多様化に対応することを目的とする。

具体的内容
  • 地域の特色や学校の専門性を生かした基幹的な学科(生産技術科・機械科などのいわゆる小学科)を設置する。
  • 学科によってはさらに専門的な分野についての類型を設定する。例えば、建設科の中に土木類型と建設類型などを設定する。
  • 生徒各自の適性に合った学科などを、主体的に選択できる募集方法や教育課程とする。例えば、大学科ごとに一括募集(くくり募集)を行い、十分なガイダンスのもと、専門学科・類型を選択することが考えられる。
  • 専門科目の系統的な学習や、国家資格認定の取得などを可能とする学科・類型などを設置する。例えば、前期・後期の2学期制とすることで、1年後期など早期から専門科目を設定する。
  • 普通教科・科目とともに専門教科・科目についても、学科を越えて選択できる科目を設定することで、幅広い学習を可能とする。
  • 専門高校としての施設・設備、人材を生かし、他の高校・小中学校や県民に開かれた学校づくりを進める。

「芸術科」の設置

音楽、美術、工芸、書道の従来からある芸術科目だけでなく、演劇や古典芸能などを含めた芸術分野の中から選択して専門的に学習する「芸術科」を、2校程度に設置する。

芸術科について

「芸術科」では、情操教育の充実を図るとともに、豊かな創造力を備え、将来、芸術分野において活躍し、文化活動の一層の活性化に資する人材の育成を行うことを目標とする。

具体的内容
  • 普通科と芸術科の併置とするが、学科の枠を越えた選択学習を可能とする。また、複数の類型を置き、生徒の興味により他の類型の科目も選択できるようにする。
  • 芸術系大学・専門学校等への進学や、将来の芸術関係での活動に重点を置いた学習指導及び進路指導を行う。
  • 学習意欲を喚起するような学校設定教科・科目を設けたり、生徒の才能を伸長するための学習機会を提供する。
  • 国内や県内に伝わる伝承技術等に関する科目を設置し、継承者を講師として招くなど、地域文化の伝承や地域社会との交流を図る。
  • 県内の文化財、文化施設、社会教育施設等の活用や、関係団体・大学等との連携などを積極的に進めるとともに、地域に開かれた学校づくりを進める。
配置
  • 既設1校に美術と工芸の類型を設置し、音楽等他の類型の設置についてはさらに検討する。

「情報科」の設置

コンピュータの構造、文書処理や表計算などの基本的な知識や利用技術だけでなく、例えば美術や音楽などの創造的な表現力の要素も取り入れ、情報機器を最大限に活用した教育内容を持つ「情報科」を、2校程度に設置する。

情報科について

新しい専門学科「情報科」では、インターネット時代に代表される、映像・画像・音楽などが融合した情報内容(いわゆるコンテンツ)の制作など、既存の「工業」や「商業」の枠を越えて、多様な情報機器・媒体を活用できる技術者や、新たな産業領域の形成に貢献できるような、高度情報通信社会を支える人材を育成することを目標とする。
なお、指導に当たっては、著作権や情報モラル等について十分理解させるとともに、仮想現実(バーチャルリアリティ)の空間に埋没することのないよう、体験的学習を重視した教育活動を行う。

具体的内容
  • 情報科は、普通科や、他の専門学科などと併置する。
  • 情報分野に興味・関心を持つ生徒に、情報を扱う上での基礎的・基本的内容を学習する機会を提供する。
  • 映像・画像や音楽など、多様で複合的な情報機器・手段を駆使した実習等を通じて、創造的で豊かな感性を育む場を用意する。
  • 学科の枠を越えた選択学習も可能な教育課程を編成する。

女子校の共学化

男女共同参画社会の進展を踏まえ、原則として女子校を共学化する。

具体的内容
  • 共学化により、普通系学科比率の低い地域において、男子生徒の学校選択肢の拡大を図り、さらに、学校の活性化と魅力ある高等学校づくりを推進する。
  • 女子校13校のうち11校程度を共学化し、残る2校程度については、女子校に進学を希望する生徒に配慮し、学区を県内全域とするなどして存続する。なお、今後の志願者の動向等によっては、必要に応じて共学化を行う。
  • 共学化に当たっては、必要に応じて学校の統合あるいは学科再構成を行い、一部の学校は単位制への転換を行う。
  • これまでの女子校としての成果を十分踏まえるとともに、選択幅の広い教育課程の編成や多様な学習活動を展開する。
  • 共学化に当たっては、既設の施設設備を活用しつつ必要な整備を行うが、校地の拡張は原則として行わないものとする。

国際高校の充実

外国人子女や帰国子女の受入れの拡大を図る一方、コミュニケーション能力にたけ、外国人と協同して創造的な仕事ができ、かつ、日本文化の発信役となるような真の国際人が育成されるよう、教育内容及び方法のさらなる充実を図る。

具体的内容
  • 単位制を導入し、外国人子女や帰国子女の受入れや、海外の学校と連携しての留学を一層促進するとともに、異年齢集団での授業の展開を図る。
  • 英語自体が学習目的ではなく、英語を手段として他の科目を学べるよう、英語以外の教科を英語で展開したり、外国語教育が充実した大学と連携を図る。
  • 真の国際人として主体性のある資質を持った人材を育成するため、生徒の能力・個性に合わせた教科・科目を履修できるような教育課程を編成する。

学校の配置及び学科再構成等

県全体の学校配置

県立高等学校142校を127校程度(中等教育学校2校程度を含む。)とする。

学校配置及び学科再構成の方針

中学校卒業者数の減少の中でも、教育課程の柔軟な編成や活力ある教育活動が展開できるように、県立高等学校の学校規模の適正化を図り、あわせて学校及び学科の適正な配置を実施する。
なお、多様な教育の場を確保するため、地域によっては1つの高校に、例えば、農業、工業、商業などの複数の学科を設置する。

  • 中学校卒業者数の減少を受け、県立高等学校の配置を全県的に見直し、複数校の統合により、現在の県立高等学校142校を平成24年春までに127校程度(中等教育学校2校程度を含む。)とする。
  • 1校当たりの適正規模を、1学級40人換算で原則1学年4~8学級とし、1学年の学級数が3学級以下の学校は統合を前提とするが、学校・地域の状況等により統合しない場合もある。
  • より一層の教育効果が期待できるなどの理由から、単独で単位制や総合学科等への転換を行うほか、複数校の統合による学科再構成等を行う。
  • 生徒の多様な学習ニーズに対応し、複数の学科や様々なコースを設置している学校では、学科の枠を越えた教科・科目選択を可能とするなど、教育課程の工夫・改善を行う。
  • 千葉ニュータウン地区については、既設校を移転することを含めて検討する。

全日制高校の配置

全日制高校141校を123校程度(中等教育学校2校程度を含む。)とする。

学区別配置の方向性
  • 中学校卒業者数の減少の著しい学区はもとより、都市部の学区においても学校規模が縮小している学校が増加しており、必要に応じ統合や再配置を実施する。
  • 生徒の興味・関心や進路選択の多様化を踏まえ、学校の統合や学科の再構成を行うとともに、普通系学科と職業系学科の比率の適正化を進める。
  • 総合学科設置校や単位制高校については、各学区ごとに配置できるよう、順次導入を図る。
普通科

普通科は、単独校85校、併置校29校の計114校あるが、統合や学科再構成により、97校程度とする。

具体的内容

普通科を一層魅力あるものとするため、次のような特色化を図り、生徒の適性に応じ、能力を培う環境を整備する。

  • 生徒の興味・関心などに対応した学習を進められるよう、教科・科目の選択幅の拡大を図る。
  • 一部の学校においては、生徒の幅広い進路選択を可能にし、個性の伸長が図れるよう、より一層弾力的な履修ができる単位制を導入する。
  • 各学校において、地域に根ざした科目や学力の定着を図るための学校設定科目等を設け、特色ある教育課程の編成を行う。
  • 理数系を中心とした学習や学力向上を目的とする教育など、各学校の特色を生かした教育課程の編成を進める。
  • 国際化・情報化・少子高齢化・環境問題等、社会のニーズに対応したコース・類型の設置に努める。
  • 一部の普通科については、地域の実情等に応じて総合学科への転換を図る。
  • 普通科と専門学科を併置することなどにより、それぞれの学科の特性を互いに活用できるようにする。
  • 都市部にある一部の学校については、全日制普通科から三部制定時制高校や通信制独立校に再編する。
配置

普通科比率の高い地域においては、一部普通科を総合学科や専門学科に転換する。また、その比率の低い地域においては、生徒減少の中でも学科等の選択幅がある程度確保できるよう、普通科の割合を増やしつつ、職業学科を総合学科に転換するなどして、地域の実情に応じた再編を行う。

普通系専門学科・コース

既設の理数科、体育科、英語科等の普通系の専門学科の他に、新たに芸術系の学科を設置するなど、普通系の専門学科・コースの活性化を図る。

具体的内容
  • 新たに芸術科を設置し、普通系専門学科の拡充を図る。
  • 既設の学科については、生徒の志望動向を踏まえ、他学科との統合も考慮した学科やコース等への見直しを行う。外国語や国際系の学科については、単位制を導入するなど一層の充実と活性化を図る。また、体育系の学科やコースは特色化・個性化を図るとともに、総合学科にスポーツ系列などの設置を進める。
  • 普通科の専門コースについても、既設コースの見直しを行うとともに、教育内容の充実に努め、活性化を図る。
職業系専門学科・類型

職業系専門学科は、単独校18校、併置校21校の計39校あるが、統合や学科再構成により28校程度とする。
専門教育の一層の充実を図るため、複数の専門学科を併置した「(仮称)総合技術高校」を2校程度設置する。
学科の枠を越え幅広い選択もできる教育課程の編成を行う。

具体的内容
  • (仮称)総合技術高校をはじめ、複数の学科を持つ一部専門高校においては、生徒の募集方法や、学科および類型の内容・配置等を工夫し、生徒が学科の枠を越えた多様な科目選択もできる教育課程を編成する。
  • 施設設備や人材など専門学科の特色を生かしながら、他の学校の児童・生徒や県民が学習のできる機会を増やし、地域に開かれた学校づくりを進める。
  • 先端技術に関する学習機会を設けるため拠点校を指定し、高度な機器を設置することを考慮するとともに、民間の協力を得ながら産業先端技術教育を充実させていく。
農業科

農業科設置校は、単独校4校、他学科併置校11校の計15校あるが、このうちの2校程度を「(仮称)総合技術高校」に統合・転換するとともに、他校との統合や学科の再構成により、10校程度とする。

具体的内容
  • 一部の高校では、統合による総合学科等への転換等により、学科は廃止するが、農業関係の教科・科目を選択科目として学習できる教育課程を編成し、農業教育の人材や施設設備を生かしていく。
  • 専攻科については、その意義を踏まえ、継続して設置する。
工業科

工業科設置校は、単独校5校、併置校3校の計8校あるが、このうちの2校程度を「(仮称)総合技術高校」に統合・転換し、その全体数は現状を維持する。

具体的内容
  • 基幹学科の充実と学科の再編を実施する。
  • 「ものづくり」に代表される工業教育の特色を十分に生かして、知識・技術・技能が調和のとれた人材の育成を目指す。
商業科

商業科設置校は、単独校6校、併置校5校の計11校あり、統合や学科再構成を行うが、その全体数は現状を維持する。

具体的内容
  • 商業教育の基礎・基本を重視しながら資格取得や進学にも対応できる学科・類型を設置する。
  • 商業教育、とくに情報処理や簿記などの資格取得等に関連する学習ニーズも高いと考えられることから、県民向け講座を設置するなど、社会人の受入れを進める。
  • 千葉商業高校については、商業教育の拠点校として内容の充実を図り、起業家精神を養う教育、観光、ITの活用など新しい分野にも取り組む。
水産科

水産科設置校は、単独校2校、併置校1校の計3校あるが、各校の地域性等を考慮しながら他校との統合や学科再構成により、2校程度とする。

具体的内容
  • 海を単なる漁場としてとらえるのではなく、生命の源である海のすばらしさが実感できる学習、例えばマリンスポーツや海洋環境などについて学習できる新しい学科や類型の設置を検討する。
  • 現有の施設設備を活用し、体験学習を通して、生徒が海洋や水産業への理解を深める教育課程を編成する。
  • 専攻科については、水産科の設置状況を踏まえ、適切に配置する。
家庭科(家政等)、厚生科(福祉・看護)

家庭科はすべて他学科との併置で計10校あるが、学校や学科の統合により、5校程度とする。
厚生科は、福祉及び看護関係の学科について各1校ずつ、計2校に設置しているが福祉系の学科・科目の拡充を進める。

具体的内容
  • 女子校6校に設置されている家庭科は7学科あるが、共学化及び学校や学科の統合に伴い、一部の家庭科を総合学科の系列や、普通科の選択教科・科目に含める。
  • 家庭科は福祉的内容も含むなど幅広い学習ができることから、男女が共修する内容の学科や類型などを設置する。
  • 福祉系学科については、高齢社会を迎えニーズが高まっており、学科の設置や総合学科等に系列・類型を設置するなどして拡充を図る。
  • 統合校を含む4校程度に、福祉についての資格が取得可能な教育課程を編成する。また、すべての学区に福祉について学習できる高校を配置することを目指す。
  • 若葉看護高校の衛生看護科については、平成14年度に共学化すると同時に、看護師養成のための5年一貫教育を開始したところであるが、さらに、平成16年度に幕張総合高校と統合し、平成17年度に2年制の専攻科を設置する。
新しい専門学科・類型

高度情報通信社会を支える人材の育成のため、「情報科」の設置をはじめ、情報に関する系列・類型の設置を行う。
本県の豊かな自然を舞台とした、新たな専門教育を展開するために、必要に応じて観光や環境などが学べる、学科や類型などの設置を行う。

具体的内容
  • 高度な情報関連技術者や、新たな産業領域の形成に役立つような人材の育成のため、情報に関する既設学科・類型を充実させるとともに、「情報科」を置く高校の設置や、情報関係の系列・類型の設置を行う。
  • 地域の状況や生徒の卒業後の進路等を十分踏まえ、必要に応じて、例えば、観光、環境などこれまで設置していない分野においても、学科・類型等を設置する。
総合学科

総合学科については、既設校の再編により、全県的なバランスを考慮しながら、各学区に1校程度を目標に、計9校程度設置する。(再掲)

定時制高校の配置

単位制の三部制定時制高校を3校程度設置する。なお、設置学科は普通科または総合学科とする。
現在、独立校1校と夜間定時制併置校が16校あるが、統合及び再配置により夜間定時制併置校12校程度とする。
原則として単位制とし、通信制協力校とする。

三部制定時制高校の具体的内容
  • 三部制定時制高校は、全日制高校を転換するなどして設置し、午前部、午後部、夜間部で構成する。2学期制を導入して春季入学・卒業のほかに、秋季入学・卒業を可能とする。
  • 生徒募集定員は、転編入のための特別定員枠を減じて定める。
  • 修業年限は4年を基本とするが、他部の科目履修などにより3年で卒業できることも可能とする。
  • 生徒の能力・適性、進路希望等に応じて、教科・科目を幅広く設定するとともに、適切に選択できるようガイダンス機能の充実を図る。
  • ホームルーム活動等については、生徒の自主的・創造的な活動が活発化するよう配慮する。
  • 科目履修生の受入れ等、多様な教育の機会を確保できるよう配慮する。
単位制導入、通信制協力校の指定

現在、定時制は単位制と同様な弾力的な運用を行っているが、今後もより一層柔軟な対応を行うため原則として単位制とするとともに、通信制協力校とし、生徒のスクーリングを実施し、通信制課程に在籍する生徒の良好な学習環境を確保する。

通信制高校の配置

通信制独立校を第1学区に1校設置する。

独立校の設置の背景

近年、人々の生活や意識、学習歴や学習動機は多様化してきており、これに伴って徐々に通信制への入学希望が増加している。こうしたことから、現在の全日制との併置校から通信制課程を発展させ、自学自習を基本とする通信制の特長を生かし、より生徒の生活リズムと学習スタイルに適合する通信制の独立校を設置する。

具体的内容
  • 設置に当たっては、既設の全日制高校の転換により、通信制独立校を開校し、学習環境の向上と定員枠の拡大を図る。
  • 添削指導・相談・連絡等でインターネットの活用を図る。
  • 転・編入の随時受入れを可能とする弾力的な入学選抜とし、2学期制を導入して秋季入学・卒業を可能とする。
  • 修業年限は4年を基本とするが、自校での科目履修の数を増やしたり、他校での科目履修などにより、3年での卒業も可能とする。
  • 生徒の適性・能力、進路希望に応じたガイダンス機能の充実や、生徒の悩み・相談に応えるためのカウンセリング機能の充実を図る。
  • 定時制高校を通信制協力校とし、スクーリングや定期試験への利便を図る。
  • 科目履修生の受入れ等、多様な教育の機会を確保できるよう配慮する。
不登校等の子どもたちを支援する場の提供

不登校等の子どもたちが、生きる力を養うことができるようにするとともに、学校復帰の手がかりにもなるよう、校内施設の一部を活用して、いわゆる「フリースクール」のような場を提供する。

 参考資料

  1. 県立高等学校の学校規模(平成14年度)(PDF:9KB)
  2. 県立高等学校全日制の課程普通科通学区域図(PDF:59KB)
  3. 県内中学校卒業者数と高等学校数の推移(PDF:5KB)
  4. 県立高等学校募集定員の推移(PDF:9KB)
  5. 平成14年度県立高等学校の学科及びコース(PDF:273KB)
  6. 平成14年度県立高等学校設置学科の状況(全日制課程のみ)(PDF:26KB)
  7. 県立高等学校所在図(PDF:65KB)
  8. 公立高等学校中途退学者数(PDF:7KB)

お問い合わせ

所属課室:企画管理部教育政策課高校改革推進室

電話番号:043-223-4026

ファックス番号:043-224-5499

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