本文へスキップします

診療科・部門紹介

成人移行支援室

当院では長期にわたり治療が必要な患者さんも診療していますが、患者さんが成長・発達をされた後に1人のおとなとして生活していくためにどのような準備をしたら良いのかと不安を持たれているご家族がおられると思います。引き続きこども病院の受診はできるのかそれともおとなの医療施設に移るのか、或いはいずれおとなの医療施設を受診したいがどうしたら良いのかなどもあるでしょう。患者さんご自身も成人期が近づくにつれて同様な気持ちかもしれません。
当院ではその様な患者さんとご家族をサポート致します。

ご家族の皆さんへ

慢性疾患をお持ちの患者さんが成人期に近づくあるいは既に成人年齢に達している時に、成人特有の病気になりおとなの医療機関を受診することになったり、成人医療機関に移る時に円滑に受診・移行するための準備が整っていることはとても重要な事です。

そのためには、まず何よりも患者さんご自身が自分の病気を理解し必要な自己管理ができ、自分で医療の選択ができる事が必要となります。

患者さんは

  • 自分の病気を理解して、服薬や処置などの自己管理ができますか
  • 医師や看護師、その他の医療者と良好なコミュニケーションを取ることができますか
  • 大人になってからも病院の定期受診を続けるなど、将来気をつけることが分かり情報収集とその活用ができますか

この様に自分の健康や疾患のことを理解し、自分で物事を決めて生活できる能力のことをヘルスリテラシーと言います。

患者さんが成人期に向けてご自身のヘルスリテラシーを身につけてゆくことを支援する取り組みを「成人移行支援」といいます。

私たちは成人移行支援を重要な課題として、病院全体で取り組んでいます。

患者さんがヘルスリテラシーを身につけるには患者さんの成長に寄り添いつつ丁寧に時間をかけて進めることが大切と考えています。スムーズに支援を進めるためにはご家族のご理解とご協力が欠かせません。支援を開始するにあたってはまずご家族にも成人移行支援の大切さをお話しご理解を得たうえではじめたいと考えております。

当院における成人移行支援の取り組み

当院では、患者さんが成人期を迎えるにあたりヘルスリテラシーを身につけることが大切であると考えて成人移行支援を行っております。

病気が分かった時から、成人移行支援は始まります。患者さんが年少であれば、まずご家族に、医師が病気や治療について説明をします。ご家族は、患者さんの内服などの必要な治療を継続できるようにサポートをお願いします。また、患者さんが自分の病気について親御さんに聞いてきたときには、分かる範囲でお伝えください。

移行を具体的に見据えた支援は、遅くとも10~12歳くらいまでには開始することが望ましいと言われています。発達に見合った病気や治療の理解ができるように、患者さんとのお話を大切にして、患者さんが分かることや、自己管理できることが増えるように支援しています(成人移行支援プログラム(PDF:39.2KB))。当院では12歳以上の患者さんを対象に、成人移行アセスメントシートを用いたアンケートを実施し、病気や薬についての理解を確認して、その後の支援に活かしています。治療の経過や生活上の注意点を自分で記録して、健康管理に役立てていただけるよう、「マイ・パスポート」(PDF:1,177.9KB)を作成しました。希望者には、外来診察時にお渡ししています。

成人診療科への移行前には、今後起こりうる健康問題や合併症について説明し、患者さんやご家族と病院の候補を検討します。

小児期から成人期へスムーズに移行できるように、成人移行支援外来(トランジション外来(PDF:779.1KB))を行っております。マイ・パスポートの記載を支援して病気の理解を深めるお手伝いをしたり、学校生活や就職などの成長の過程で、周囲に病気についてどう伝えて、自己管理していくかを患者さんやご家族と共に考え、アドバイスしています。必要時には、医療ソーシャルワーカー、チャイルドライフスペシャリスト、助産師、栄養士、薬剤師などの多職種を紹介し、専門性を活かした支援を行います。成人移行にあたり、主治医から依頼があった場合には、トランジション外来で対応させて頂いております。

1人受診のお願い

~1人で診察室に入り診察をうけてみましょう~

私たちは、患者さんが自律をするために、直接患者さんに話しかけて体調の変化や服薬の状態を確かめたりする中で、患者さんが医療者とのコミュニケーションをご自身でとれるようになっていただきたいと思っております。さらには、患者さんから医師への質問ができるなど積極的にご自身の医療に関わる姿勢も育みたいと考えております。

そのひとつの手段として、日常診療に際してご家族の同席がない中での医師による診察を行ったり、他の職種が関わる時間を設定したいと考えております。もちろん、いつ始めるかは患者さんそれぞれの状況が違いますので、医師が適切な時期を見据えたうえでご家族と相談のうえで決める事となります。

担当医から「今度からは、まずひとりで診察を受けてみましょうか」との相談があった場合、ご家族には是非ご理解をいただけますようお願い致します。

成人移行関する Q&A

ここでは成人移行支援についてお尋ねの多い質問にお答えしています。

Q1:成人移行支援はいつ始めるのが良いのでしょうか

患者さんが自分の病気をこどもなりに理解し、自己管理を高め,病気に対する気持ちを自分で気づきコントロールする力(ヘルスリテラシー)を身につけることを支援することが移行支援の目標ですが、患者さんの成長に合わせて無理せずに進めてゆくことが大切です。

当院では患者さんの理解力が高まり、自分の気持ちを言えることができ自己判断ができるようになる年齢、一般的には遅くとも10歳~12歳頃には支援を始めたいと考えています。

支援を開始するにあたってはご家族のご理解とご協力が欠かせません。ご家族も患者さんを保護する幼少期から、患者さんの成長に合わせて自己管理を任せて見守り支援することに変わることでもあります。まず、ご家族に成人移行を見据えて患者さんのヘルスリテラシーを身につけることの大切さを説明させていただきます。

ご家族の御了解が得られれば、支援の基本は日常外来診察の中で行います。

患者さんの中には成人に近い年齢の方、或いは既に成人されている方もおられますが、年齢に関係なくリテラシーを身につけて円滑に移行が進むことが望まれますので同様に支援をいたします。

~ 1人で診察室に入り診察をうけてみましょう~

私たちは、直接患者さんに話しかけて体調の変化や服薬の状態を確かめたりする中で、患者さんが医療者とのコミュニケーションをご自身でとれるようになっていただきたいと思っております。さらには、患者さんから医師への質問ができるなど積極的にご自身の医療に関わる姿勢も育みたいと考えております。

そのひとつの手段として、日常診療に際してご家族の同席がない中での医師による診察を行ったり、他の職種が関わる時間を設定したいと考えております。もちろん、いつ始めるかは患者さんそれぞれの状況が違いますので、医師が適切な時期を見据えたうえでご家族と相談のうえで決める事となります。

担当医から「今度からは、まずひとりで診察を受けてみましょうか」との相談があった場合、ご家族には是非ご理解をいただけますようお願い致します。

Q2:やはり成人診療科に転院・転科が必要なのでしょうか?

患者さんが成人期を迎えますと、成人特有の病気にかかることがあると思われます。例えば成人の生活習慣病や慢性疾患がこれにあたります。成人期のがんは胃がんや大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんなどで小児期のがんと全く異なるため、専門的な治療が必要です。心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの脳血管障害では救急対応ができるか否かが生命に関わります。

当院は小児疾患に特化した病院ですので、これらの成人期の慢性疾患やがんおよび救急疾患の経験の豊富な医師や専門医がおりません。また治療に必要な体制や医療設備もありません。産科・婦人科や男性を含めた生殖医療についても対応が困難です。

以上の様な状況ですので、必要に応じて適切な時期に適切な成人診療科に転院あるいは受診して治療を受けることが患者さんにとってより良い選択となると考えております。

Q3:移行支援について聞いてみたい、実際に移行支援を受けたいのですがどうすればよいですか

移行支援についてもっと詳しく知りたい・説明を聞いてみたい、あるいは実際に支援を受けてみたい方は、ご遠慮なく看護師あるいは担当医にその旨をお申し出ください。担当医と患者さんやご家族の了解を得たうえで、専従看護師やその他の適切と思われる医療者が対処を致します。

詳しい情報は下記の関連リンクでもご覧になれます。

移行期医療(支援)とは

ここでは、「移行期医療(支援)」について今一度説明します。

成人移行とは単なる成人診療科への転院調整のことではありません。

移行期医療は、患者さんが小児医療から成人医療に切りかわる過程(移行)およびその期間(移行期)における医療や関連するサポート(Health Care Transition)のことを指す言葉です。

移行支援概念図

移行期医療には大きく分けて2つの柱があります。

一つ目は患者さんのヘルスリテラシーの支援をすること、そして二つ目はそのために必要な支援体制を整えて提供することです。

1. 患者さんのヘルスリテラシーの支援

成人期を迎えるまでにヘルスリテラシーを身につけることは、現在は病状が安定していても将来病気に関連して注意すべきことの知識を身につけ必要な時に対応することができることでもあります。これは、すでに成人期に到達されていてもこども病院での診療を続けている患者さんにとっても大切な事と考えています。

2. 成人移行に必要な支援体制を整えて提供する

当院では、病院全体での取り組みとして成人移行支援を行っています。

  • 委員会の設定:継続的に取り組みを行うために多職種が集まり毎月委員会を開催して活動状況などの確認と今後の方針決定を行っています。参加職種は各科医師、トランジション外来担当看護師、外来・病棟看護師、助産師、薬剤師、事務員です。

また、隔月で千葉県移行期医療支援センターと合同で、個々の患者さんの最善の移行方針を検討しています。同様に隔月で病棟での取り組み状況を検討しています。

  • 成人移行支援室:成人移行支援室では専任の看護師が配属されています。移行支援の実務を担っており、ヘルスリテラシー・スクリーニングやトランジション外来をはじめ患者さん・ご家族と直接関わりながら支援活動を行っています。
千葉県の移行医療支援体制

関連リンク

千葉県移行期医療支援センター

小児期発症慢性疾患をもつ患者のための移行支援・自立支援情報共有サイト