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更新日:令和6(2024)年2月19日

ページ番号:5999

(大多喜町)青龍権現様と「久保・猿稲」

内容

九月二十八日は、「市の神様、商売の神様」を祭った青龍権現様(せいりゅうごんげんさま)のお祭りだ。

山車(だし)の上から笛や太鼓が威勢(いせい)良く鳴り響き、大勢の参拝者(さんぱいしゃ)でにぎわっている。手代(てだい)を連れた大店の主人、手をつないだ若い男女、子どもに手を引かれた老人・・・次から次に鳥居(とりい)をくぐり社殿(しゃでん)に進み、拍手(かしわで)を打ち頭(こうべ)を垂れる。参拝者は、境内(けいだい)から夷隅川の方まで人で続いていた。

 

そんな参拝客に混じって、赤いはんてんを着た三匹の猿が並んでいる。三匹の猿は、手に稲穂(いなほ)を持っている。穂はこぼれ落ちそうに膨(ふく)らんでいる。数えると、三本ずつ九本の稲穂を持っている。

社殿(しゃでん)に進むと、拍手をし、頭を下げた。滑稽(こっけい)な動作に笑いが起こった。

三匹の猿がピョンピョン踊りはじめた。

「猿が舞をまっている」

「猿が?」

「そうだ。猿だ、猿だ」

たちまち社殿の前は人だかりとなった。

猿の舞が終わると、拍手と歓声が起こった。三匹の猿は観衆に何度も頭を下げた。そのしぐさがまたかわいらしく滑稽(こっけい)なので、また笑いと拍手が起こった。三匹の猿はごった返している境内(けいだい)をぬけ、城下の通りを上の方に歩いて行った。

猿からの献上物(けんじょうぶつ)を、どう記載するか迷った。そこで「献上品、九本の稲穂」「献上者、猿」。「住所は?」・・・猿と稲・・・迷いながら奉納帳(ほうのうちょう)に記載した。

 

祭りは無事終わった。神主や巫女(みこ)たちは

「ひょっとして、あの猿は神様の使いだろうか・・・」

と猿の稲穂献上が話題になった。

九本の稲穂は

「これは縁起(えんぎ)が良いにちがいない」

とこのあたりの有力者、外記(げき)兄弟が分けてもらって帰った。

以来、青龍神社のあたりを『九穂(久保(くぼ))町』と呼ぶようになり、外記兄弟の住まいのあった地を「猿稲(さるいね)」と呼ぶようになった。

おしまい

 

出典・問い合わせ先

  • 出典:「広報おおたきNo.422」(「ふるさと民話さんぽ」斉藤弥四郎(『大多喜町指定文化財大久保家文書』参考)
  • 問い合わせ先:大多喜町外部サイトへのリンク 

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